2023年8月20日 (日曜日)

飯守さん・・・

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とうとう飯守泰次郎さんがお亡くなりになった。飯守さん指揮のコンサートやオペラ、または団員さんに頂いた券で数多くのアマオケのコンサートに通っていた私は、もう生演奏を聴ける事はないのだ、と絶望し、死去の知らせを聞いたその日に
Amazonでポチリしたのが、このCD

いつでも生演奏に接する事が出来ていたので、CDは一枚も持ってなかった。手兵のシティフィルとの「英雄の生涯」は、私もこの場に居て、拍手し、ブラヴォー言ったもの。しかし拍手は収録されてなかった。飯守さんの名物うなり声は収録。

しかしながら。CDを聴いて、やっぱり生演奏とは違うなあ、と悲しみが倍増。自分が一生のうちで一番生演奏に接した指揮者。昨年末の第九が、私の行った最後の演奏会だった。

これからどうやって生きていこう、ジェネリック飯守さんを探さなきゃ、いやおらんがな。悲しい気持ちは沢山だけど、飯守さんはきっとよい人生だったんじゃないかな、天国でヴィーラントやヴォルフガングと再会してるかな。

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飯守さん実演鑑賞の記録。(都合により遡りです)

1.飯守さんの第九 (2022年1228日 東京文化会館)

2.飯守さんのブルックナー 「ロマンティック」2021721日 サントリーホール)

3.飯守さんのブルックナー7番 (2021年626日 サントリーホール)

4.飯守さん傘寿記念コンサート/ニーベルングの指環ハイライト2021年5月16日 東京文化会館)

5.新響:トリスタンとイゾルデ(2019年120日 東京芸術劇場コンサートホール)

6.飯守さんのフィデリオ at天井桟敷 (2018年5月30日 新国立劇場

7.飯守さんの「神々の黄昏」 (2017年10月15日 新国立劇場)

8.飯守さん・読響のブラームス&ワーグナー フレイレ2017年07月07日 東京芸術劇場)

9.飯守さんの「ジークフリート」 新国立劇場 2日目 (2017年06月04日 新国立劇場)

10.飯守さんの「ワルキューレ」 新国立劇場(2016年10月8日 新国立劇場)

11.フェスタサマーミューザ 飯守さんのワーグナー2016/08/10 新国立劇場)

12.飯守さんの「ラインの黄金」 新国立劇場 (2015/10/17 新国立劇場)

13.飯守さんの「さまよえるオランダ人」/新国立劇場 (2015年1月25日 新国立劇場)

14.飯守さんのパルジファル 新国立劇場 (2014/10/12 新国立劇場)

15.ワーグナー生誕200年記念コンサート(日本ワーグナー協会主催)(2013916日サントリーホール)

16.二期会/飯守さんのパルシファル 3日目 2012/09/16 東京文化会館)

17.二期会/飯守さんのパルシファル 初日 東京文化会館 大ホール(2012年9月13日)

18.飯守さんの「さまよえるオランダ人」アカデミッシェカペレ2012/06/10 すみだトリフォニー)

19.飯守さんの大地の歌 新交響楽団(2012年4月30日 東京オペラシティコンサートホール)

20.新国立劇場オペラ研修所公演「フィレンツェの悲劇」「スペインの時」2012/03/10 新国立劇場中ホール)

21.ザ・シンフォニカ第50回定期演奏会・飯守さんのマーラー5番 (2011731日 サントリーホール)

22.飯守さんの真夏の第九 (2010/08/07  ティアラこうとう)

23.飯守さんのカルミナ・ブラーナ (2010/07/04 東京芸術劇場)

24.飯守さんのブルックナー9番/新響2010/04/18 サントリーホール)

25.小山由美サントリー音楽賞受賞記念コンサート2010/04/05 サントリーホール)

26.飯守さんの「英雄の生涯」2009/12/09 オペラシティ)

27.飯守さんのワーグナー・ガラ・コンサートin Bunkamura (2009/09/05 オーチャード)

28.飯守さんのブルックナー7番 ミューザ川崎2009/08/11 ミューザ川崎)

29.飯守さんの「トリスタンとイゾルデ」inティアラこうとう (2008/09/21ティアラこうとう)

30.飯守さん/関西フィル ワーグナー・コンサート すみだトリフォニー (2008/03/30 すみだトリフォニー)

31.飯守さんの「ワルキューレ」その2 二期会 (2008/02/23 東京文化会館)

32.飯守さんの「ワルキューレ」その1 二期会2008/02/21 東京文化会館)

33.飯守さんのナクソス島のアリアドネ 関西二期会(新国立劇場・中劇場 2008年1月27日)

34.飯守さんのワーグナー/日フィル (2007/12/08 サントリーホール)

35.飯守さんのマーラー7番 シティ・フィル2007/11/16 オペラシティ)

36.飯守さんの惑星 ミューザ川崎(2007/07/28 ミューザ川崎)

37.マイスタージンガー第3 アカデミッシェカペレ (2007/06/24 すみだトリフォニー)

38.第10回東京シティ・フィル定期演奏会2007/05/26 ティアラこうとう)

39.関西フィルinすみとりに行ってきた。2007/02/21 すみだトリフォニー)

40.新響:トリスタンとイゾルデ (20061112日 東京芸術劇場大ホール)

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2023年5月13日 (土曜日)

R.シュトラウス「エレクトラ」ノット/東京交響楽団(ミューザ川崎)

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R. シュトラウス 歌劇《エレクトラ》
(演奏会形式/全1幕/ドイツ語上演/日本語字幕付き)
指揮=ジョナサン・ノット
演出監修=サー・トーマス・アレン
エレクトラ=クリスティーン・ガーキー
クリテムネストラ=ハンナ・シュヴァルツ
クリソテミス=シネイド・キャンベル=ウォレス
エギスト=フランク・ファン・アーケン
オレスト=ジェームス・アトキンソン
オレストの養育者=山下浩司
若い召使=伊藤達人
老いた召使=鹿野由之
監視の女=増田のり子
第1の侍女=金子美香
第2の侍女=谷口睦美
第3の侍女=池田香織
第4の侍女/クリテムネストラの裾もちの女=髙橋絵理
第5の侍女/クリテムネストラの側つかえの女=田崎尚美
二期会合唱団
東京交響楽団
(5月12日 ミューザ川崎シンフォニーホール)

過去記事:R.シュトラウス「サロメ 」ノット/東京交響楽団

ノットのエレクトラ 初日に急遽参戦。この日は奇跡的に残業なし。定時に上がって速攻川崎までぶっとんで行きましたよ、ホントに。考えてみると初の生エレクトラ。エレクトラ歌いは世界でも少ないもんだからあんまり上演されない演目。エレクトラを歌ったせいで喉を壊して引退って歌手過去にいたような(うろ覚え)。そして何より複雑怪奇なオーケストレーション。どうも2日間のリハーサルで本番に臨んだという話もネットで見て「プロはすごいな」と思った。

ガーキーは先日METのライブビューイングでオルトルートを見聞きしたんだけど、それも凄かったけど、やっぱり映画は映画だわ。生の声は全然違う。何という凄い声なのかしら。普通の1.5倍はいそうな(100人くらい乗ってたらしい)でっかいオケの大音響を突き抜ける声、オペラのプリマドンナと言うより、「歌う重量挙げの選手」と言った印象。昨年のノットの「サロメ」じゃ踊りは演出に無かったのに、エレクトラは最後に怪しい踊りを踊っててカワイイ。さらに妹役のキャンベル=ウォレスも役柄通りのスリムなボディなのに凄い声量。もうなんか凄すぎて最後は謎の感動が襲い、涙が出てきた。

(ガーキーはあんな凄い歌手だけど、アメリカ人ということもあるんだかものすごくよくしゃべる明るい人なんですよ。ライブビューイングの幕間のインタビューでめっちゃ喋ってた。表情豊かで、なるほど舞台上の演技は彼女の地の部分なのかな、と思った。演技も歌も、過去のYouTubeの映像よりも今回のほうが素晴らしかったように思う。まあ、体感ですけど)

さらに、子供の頃からバイロイトの放送などで聴いていて(シェロー演出の映像って1980年!)、日本に何度もいらしてくれてブランゲーネやフリッカやエルダを聴かせて下さったレジェンド・オブ・メゾのハンナ・シュヴァルツがまだ聴けるとは!なんと79歳!こんなに長く第一線で歌っている歌手っているのかな? 最近でもザルツブルグの舞台に上がっているようだし。登場はやっぱりちょっとよろよろしているし(お付きの役の日本人歌手が本当に介護の人みたいに見える)、声もさすがに往年の輝きはないけど、お元気なお姿を拝見できて嬉しい。長生きしてねハンナ。

オーケストラは「サロメ」の上をいく複雑さだが、応援部隊もいたようだがもうなんか凄いとしか。もちろんCDで聴きなれているサヴァリッシュなどとどうしても耳が比べてしまうけど、もうなんか・・・生で聴ける喜びは代えがたい。始めの方は表現主義的で不協和音が多い音楽だけど、オレストが出てくるあたりからシュトラウスらしい流麗な音楽になり、そのへんの変化も見事。(わたしだけかもしれないけど、シュトラウスの音楽ってたまにすごく「懐かしい」感じがすることがあるんだけど、いかにもその時代を生きてたみたいな。モノクロで映像が浮かぶ。なんでだろう)

ところで、ヴィオラ奏者がヴァイオリンと持ち替えてたっていうのは歌唱に夢中になりすぎてて見逃した。

日本人キャストも「サロメ」を上回る豪華さ。二期会じゃ主役級の人々が端役なの凄い。池田香織さん、増田のり子さん、金子美香さん、谷口睦美さん、田崎尚美さん、伊藤達人さん、歌うところ少ないのに存在感がばっちり。とくに池田香織さん相変わらず表情豊かで素敵でした。

日曜日のサントリーはもっと上をいく演奏になるのかな。

(実はサントリーも券を売り切れる前に入手していたのでエレクトラは2回行ってしまった。若干演出が違ってたけど同様に素晴らしかった)



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2023年4月10日 (月曜日)

R.シュトラウス 歌劇「平和の日」(日本初演)千秋楽 東京二期会

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R・シュトラウス:歌劇「平和の日」(日本初演)
包囲された街の司令官:小森輝彦
マリア(その妻):渡邊仁美
衛兵:大塚博章
狙撃兵:岸浪愛学
砲兵:野村光洋
マスケット銃兵:髙崎翔平
ラッパ手:清水宏樹
士官:杉浦隆大
前線の士官:岩田健志
ピエモンテ人:山本耕平
ホルシュタイン人 (包囲軍司令官): 狩野賢一
市長:持齋寛匡
司教:寺西一真
女性の市民:中野亜維里
合唱: 二期会合唱団
指揮:準・メルクル
東京フィルハーモニー交響楽団
(4月9日 文化村オーチャードホール)

初日に続き千秋楽も鑑賞。別キャストだから両方見るもん。お蔭で東京春祭のマイスタージンガーは諦めた。まあ、マイスタージンガーは生きていればまた見聞きできるだろうが、この曲はもう二度と聴けないだろう。

席は2日目は若干ケチった。1日目は前から2番目で音は大迫力だったけど前すぎて舞台全体が見えず。2日目は2階席の後ろの方だったので舞台全体がよく見えた。しかし音響はホールのせいで今一つ。

初日の若々しい美声の司令官も素晴らしかったけど、今日の小森さんは流石にベテランの歌唱で貫録。そもそもの世界初演はかのハンス・ホッターが歌った役だったんだよな、と(ヴォータン歌う歌手だもんね)納得。しかし、遠目に見るとマントの衣装でロマンスグレーの小森さん、なんだか幕末の武士にも見えた。そーだ、せっかく全員日本人キャストなんだからいっそ舞台を日本にして、みんな侍のカッコでどう?とか考えたけど、「あ、だめだ。それじゃみんな最後に切腹しちゃう」って自分で却下。

2回目なんで、昨日より色々とシュトラウスの音楽について気づくこともあった。平和が訪れ始めた時の音楽は何だか「ダフネ」みたいだなとか思ったり、やっぱりあとの方は「影のない女」かなって思ったり。しかし最後はやっぱりまあ、ベートーヴェンの第九だなあ。(前に出かけた藝大の「戦没学生のコンサート」の時に、この時代の音楽はどうしてもベートーヴェンになりがち、と片山先生がおっしゃっていたのを思い出す。)

メルクルの指揮はあの「ダナエの愛」や「ローエングリン」の如く素晴らしかったし何の文句もないんだけど、もしかして(お元気なら)飯守泰次郎さんが振ったらどんなかなあ、とか考えたり。そーいえばメルクルの新国での「ジークフリート」は素晴らしかったなー。またメルクルにリング振ってもらいたいな。

その他、遠くてオペラグラスでしか見てないけど、イタリア語の唄を歌うピエモンテ人役の山本耕平さんかっこよかった、声も。この役は何となく「薔薇の騎士」のテノール歌手役的存在なのかな。この日頂いて帰った二期会の冊子を見ると、小森さんと同様にマリア役の渡邊仁美さんも「シュトラウス・ラバー」のようだったので、やっぱり好きな作曲家の初演を演じるのは嬉しいだろうな、と思った。ワーグナーの諸役に勝るとも劣らない難役と感じたが、もし「影のない女」が上演されていたら皇后役だったそうなので、つまりあの・・・「影のない女」やってくんないかな二期会さん。

 

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R・シュトラウス  歌劇「平和の日」(日本初演) 初日 東京二期会

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R・シュトラウス  歌劇「平和の日」(日本初演)
包囲された街の司令官:清水勇磨
マリア その妻:中村真紀
衛兵:北川辰彦
狙撃兵:高野二郎
砲兵:髙田智士
マスケット銃兵:松井永太郎
ラッパ手:倉本晋児
士官:石崎秀和
前線の士官:的場正剛
ピエモンテ人:前川健生
ホルシュタイン人 包囲軍司令官:河野鉄平
市長:伊藤達人
司教:堺 裕馬
女性の市民:石野真帆
合唱:二期会合唱団
指揮:準・メルクル
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
(4月8日 文化村オーチャードホール)

過去記事:R・シュトラウス「平和の日」

2015年の「ダナエの愛」以来のメルクル&二期会のシュトラウス。「ダナエ」は日本オペラ上演史に残る(と思う)名演だったが、この「平和の日」もそれに迫る上演。その昔、この曲のCDは入手が困難、「世界初録音盤」しかなかったので聴いてみたくて個人輸入までしてしまった。それが・・・自分の生きている間に生の上演が見られるなんて、本当に信じられなかった。この日は渋い演目&天気悪い&渋谷(駅は工事中で都民でもよくわからんし東急本店まで向かう道が最悪)という悪条件で客の入りは今ひとつだったようだが、私は一階1前から2番目の席でまるで時の権力者みたいな気分(なんか微妙)で堪能させて頂いた。シュトラウスを聴いた、というより思う存分「浴びた」という感じが近い。周囲はいかにもシュトラウス好きそうなおっさんお兄さんだらけであった(なんとなくだけど)。

しかしまあ実は、対訳がついた状態で聴くのは私は初めてで「えーこんな歌詞だったのか」と思った。30年だか戦争が続き、市民たちは飢餓に苦しんでいるシーンが続く。そのうち大砲が鳴り教会の鐘が響き、敵が白旗をかかげ一瞬平和が訪れる。しかし司令官は「いや、騙されているんだ。戦争は終わらせないぞ」と頑なに握手を拒むが、ヨメのマリアの説得で心を開き、戦争は終わる。最後はフィデリオか第九交響曲のようなオラトリオ風の平和賛歌で終わる。なんか(ぼんやりと筋書は知ってたけど)「はあ、そうなのかあ」という感じ。曲は凄く好きなんだけど、内容は素直に喜べない感じだ。やはり第2次大戦直前のあの空気を感じて微妙な気持ち、シュトラウス大好き人間でもそんな感じ。ヒトラーもこの曲はお気に入りで?プロパガンダに利用していたようにも思うが、シュトラウスが(表向きは)ナチ寄りにしていなきゃいけなかったのも、家族(息子のヨメがユダヤ系)の関係で仕方がないんだけど・・・。ナチ寄りとも反ナチとも取れる微妙な造りなのかね?

しかし本場ヨーロッパではなく、日本で上演してくれたこと、シュトラウスやワーグナーの名手であるメルクルの指揮で聴けたことは意義があるし、二期会の若手実力者の歌唱も聴きごたえがあった。

このところの二期会での私の推しバリトンの清水さんは相変わらずの美声で、まるでベルント・ヴァイクルをおもわせる。歌うところ沢山で耳が幸せ。妻役の中村さんの熱演、出てくるところは少ないながら石野さんの演技も印象に残る。二期会のドイツ系演目を担うユーゲントリッヒャー・ヘルデンテノールの伊藤さんの歌唱も素晴らしかった。

オペラコンチェルタンテなので、オケも舞台に乗りその前で歌手は最低限の装置と衣装で歌い演技。むかしのドイツの兵士っぽい衣装からフィナーレは男性はスーツ、女性はコンサートドレスで登場、まるでティーレマン指揮ザルツブルク音楽祭の「影のない女」のフィナーレみたい、って思った。だれも指摘しないけど。

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2023年1月14日 (土曜日)

第20回東京音楽コンクール優勝者コンサート

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第20回東京音楽コンクール 優勝者コンサート
・トランペット:河内桂海 *金管部門第1位
トマジ:トランペット協奏曲
・バリトン:池内響 *声楽部門第1位及び聴衆賞
プッチーニ:オペラ『ジャンニ・スキッキ』より 「声は瓜二つだったか」
モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』より 「訴訟に勝っただと」
ヴェルディ:オペラ『ドン・カルロ』より 「私の最後の日がきました」
・ホルン:吉田智就 *金管部門第1位
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番 変ホ長調 Op.11
・ピアノ:中島英寿 *ピアノ部門第1位及び聴衆賞
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
指揮:高関健
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
司会:朝岡聡
(1月9日 東京文化会館大ホール)

過去記事:第20回東京音楽コンクール 声楽部門・本選 

昨年の東京音楽コンクールの優勝者によるコンサート。声楽部門の本選を聴きに行って、ついでなのでお披露目コンサートも行く事に。しかしまあ上野は混んでいた。開演前に上野公園に行ったら「牡蠣フェス」なる催しをやっていたので、カキフライを並んで買って食べた。一人だったので牡蠣を右手に持ちながらビールを買うのは難しく、断念。しかし牡蠣はとても美味しかった。画学生時代、卒業制作期間中カキフライ弁当を毎日ほか弁で買って食べていたら「もうたくさん」状態だったので、食べるの久しぶり。(生ガキは大好きなので当たりませんようにと毎回祈りながら食べる。)

祝日とあってコンサートはなかなかの人の入り。ロビーは人でごった返していた。イベント割で前売り買っておいたけど、「絶対に陰性証明か接種証明書を持ってきてくださいね」とくぎを刺されていたので今回は忘れず。皆様、文化会館主催のコンサートは接種証明を忘れずに持って行こうね。割引きになるものがあります。

さて演奏。今回は金管楽器の1位がお二人だったので2曲聴けることに(儲かったのかな?)。ピアノとヴァイオリン以外の楽器のコンクールは全く行ったことないので興味深く聴いた。しかしまあ、やはりピアノとヴァイオリンのように演奏家人口が多くない(管楽器は私みたいに学生時代にブラバンでかじってる人は多そうだが)、そもそも有名な協奏曲も少ない。たまたまトマジはCD持ってたけど、実はシュトラウスは初めて聴く。トランペットの子は緊張感がこちらにも伝わってきてしまいどうもリラックスして聴くことができなかった。ホルンの子は(私は3階席だったのでそんなに良く見えなかったが)汗びっしょりで吹いていたようだ(司会者によると)。

声楽部門の優勝者の池内さんは、他のコンテスタントと比べるとかなり年上だしすでにコンサートや舞台で活躍されている人なので、全く緊張感なく見ることができた。途中司会者とのトークも挟まれたが、関西人だけあってトークも慣れたもの。それにしてもマイクいらなくね?と思うほど話す声も大きい。アリア3曲歌われたが、私は前日に「ドン・カルロ」のロドリーゴのアリアはYouTubeのホロトフスキーで予習。ホロ様もかっこよかったが池内さんもかっこよかった。

さてコンサートの花形はさすがにピアノ協奏曲。私はグリーグのピアノ協奏曲にトラウマがあり(学校の音楽鑑賞教室でこの曲が演奏されたが何故か前奏とともに大爆笑が起こり、すでにクラヲタの卵だった私はたいそう恥ずかしかった。それと小学校のときからホフナング音楽祭で育ったのでこの曲は鬼門)、「うわなんでこの曲なの、ブラームスかラフマニノフならいいのに」とか思ったけど、意外なことに大変感動した。この曲ナマで聴いて良かったの初めて。(昔コンサートで聴いたヒロコナカムラの演奏でも「うーん・・・」とか思ったくらい)

ピアノの中島さんは小柄でまだ少年のような外見だったが、実際は20代後半らしい。しっとりと落ち着いたスケールの大きい演奏で、第1楽章から「これは凄いぞ」と思いながら聴いてたら第1楽章の終わりで拍手が起こった。とくにマナー知らずな観客というわけでもない(他の曲は楽章間で拍手なんか起こらなかったし)から、自然に起こった拍手なんじゃないかな。オケと合わせて披露したのこれが初めてらしい。ラフマニノフとかシューマンとか聴いてみたいな。

最後も大喝采でもさすがにこのご時世だったのでブラボーはなし。高関さんの好サポートもあってよい演奏会でした。司会の朝岡さんはこういう催しの時にたまに登場されるけどホントにオペラ好きなんだなって思うわ。局アナの時よりこういう仕事のほうが楽しいんだろうね。(こういった司会とかインタビューとかの才能が全く私はないので仕事にできる人は羨ましい)

帰り道で東南アジア人と思われる男の人に「〇〇駅に行くにはどの電車に乗ったらいいか」と聞かれ、『ああ、まただ』と思った。優しそうで親切そうなオーラが丸出しなのに、実は方向音痴で説明ヘタ英語もヘタ。おまけにコミュ障。よく外人さんに道とか聞かれるのが悩み。まあ、地元だったのでカタコトの英語を駆使し、「this train OK!バイバイ!」みたいな感じで電車につっこんでサヨナラした。まあ、本当にわかんなかったら駅員に丸投げするけど、最近駅員が駅にあまりいなくて困る。

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会社でバディを組んで?働いている会社の女の子が、なんと先週末に陽性になってしまい、今週は休んだりたまに在宅勤務で働いたりしていた。コロナなのに働かせるのかこの会社は~とか思ったけどやっぱり仕事は万全ではなく、そのぶん私の仕事が激増して昨日は夜11時過ぎまで残業。おまけに会社は節電してて寒い(フェイクファーして仕事してるの私くらいか)。他の社員も結構風邪引いたり体壊して休んだりしてるけど、私はただ疲れているだけで風邪とかぜんぜん引いてない。オペラやコンサートの券とってあるから気を付けてるからかなあ。N響のシマノフスキは取れなくて残念だけど、今年はコンサート目白押しなので倒れられない。

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2022年12月25日 (日曜日)

花房英里子(メゾソプラノ)コンサート / 東京文化会館小ホール

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上野deクラシック
レスピーギ:最後の陶酔 P8
4つの歌 P125より 第4曲「昔の歌に寄せて」
ベルク:『7つの初期の歌』より
第2曲「葦の歌」
第3曲「夜鳴きウグイス」
第5曲「室内にて」
第7曲「夏の日」
トマ:オペラ『ミニョン』より 「君よ知るや南の国」
モーツァルト:オペラ『皇帝ティートの慈悲』より 「行こう、だが愛しい人よ」
チャイコフスキー:6つの歌 Op.6より 第6曲「ただ憧れを知る者だけが」
オペラ『オルレアンの少女(ジャンヌ・ダルク)』より 「さあ、時は来た」
ヴェルディ:オペラ『ドン・カルロ』より 「むごい運命よ」
〈アンコール〉
R.シュトラウス:オペラ『ナクソス島のアリアドネ』より 「さあ、仲直りしましょう」
花房英里子 (MS) 木下志寿子(ピアノ)
(12月21日 東京文化会館小ホール)

毒展のついでに何かリサイタルやってないかと探したらたまたまあったので。
1100円なんて安い~と喜んでいたら、どうも「イベント割」対象公演だったらしく、もちろん4回目の接種済であったが証明書も何も持ってなくて(もってたらもっと安かった)、しかたなく定価で入場。かなしす。

お値段のせいか、それと平日午前中だったせいかお年寄りが多め。まあこういう公演は上野とはいえ民度は若干低めなわけでで、隣の老夫婦の奥さんは鈴のついたカバンを始終いじっていたし、なんとびっくりなのは反対隣のお兄さんがベルク演奏中に携帯の着信音を盛大に鳴らしていたことで・・・怒りそうになったが我慢。

1時間ほどのコンサートだったが、イタリア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語ともりだくさんな、ご本人の思いの丈を詰め込んだ、贅沢なラインナップ。

花房さんは前回の東京音楽コンクール声楽部門第2位及び聴衆賞とのこと。ポスター写真やアーティスト写真は明るいお嬢さんと言った感じだった(私の勝手な印象)が、今日拝見したところショートの髪形でしっとりとした大人の雰囲気。お声は底光りするような美声で、どのジャンルの曲も歌いこなされていてとてもよかった。 

ベルク目当てで行ったんだけど、後半のチャイコフスキーや有名なエボリ公女のアリアも素晴らしかった。思いがけずアンコールで大大大好きなナクソス島の作曲家のアリアを歌ってくださって本当に行って良かったなあ。っていうかもしかして実穂子さんを意識されてるのかもって思ったり。いつかシュトラウスのズボン役で新国の舞台に立たれますように、応援しております(1月の新国の「タンホイザー」で小姓役でご出演予定。髪型はそのせいかな?)。

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2022年11月23日 (水曜日)

R.シュトラウス「サロメ 」ノット/東京交響楽団

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R. シュトラウス:オペラ『サロメ』
(演奏会形式・字幕付 全1幕・ドイツ語上演)
サロメ:アスミク・グリゴリアン
ヘロディアス:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
ヘロデ:ミカエル・ヴェイニウス
ヨカナーン:トマス・トマソン
ナラボート、ナザレ人2:岸浪愛学
ヘロディアスの小姓:杉山由紀
兵士1、ナザレ人1:大川博
兵士2:狩野賢一
カッパドキア人:髙田智士
ユダヤ人1:升島唯博
ユダヤ人2:吉田連
ユダヤ人3:高柳圭
ユダヤ人4:新津耕平
ユダヤ人5:松井永太郎
奴隷:渡邊仁美
指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団
演出監修:サー・トーマス・アレン
(11月20日 サントリーホール)

沼津旅行の次の日だったので、券を(前から)取っていたのを若干後悔。疲れてて寝てしまうのでは、と危惧していたが、サロメは演奏時間100分と短いため、とくに寝ることもなく鑑賞。パルシファルとかだったら爆睡してしまってたかも。

2018年のザルツブルグ音楽祭ですい星のごとく現れたサロメ、アスミク・グリゴリアンを日本において堪能。なんという幸運。日本に生まれてよかったあ、お魚美味しいし。

ザルツブルグですい星のごとく現れたサロメ、というと(古いけど)カラヤンがみっけてきたヒルデガルト・ベーレンスを思い出す。カラヤンは偉大な指揮者だったけれど、私にとってカラヤンの最大の功績は(全然無名だった)ベーレンスをサロメに抜擢したことだと思う。今回の予習と称してカラヤンのザルツブルグ・ライブをYouTubeで見つけて子供の頃を懐かしんで毎晩聴いていたが、いつのまにか動画が検索されなくなっていた。どこ行ったんだろ。あ、セッションじゃなくてライブね。狂気のサロメ、ベーレンスと咆哮するウィーン・フィル、あれを超える演奏などない、と思ってた。

グリゴリアンのザルツブルグの映像は、BSで観た。よくわからん演出(首が欲しいって言ってるのに首を取られた胴体だけ出てきたり)にまぎれてすっかり演奏などどっかに行っていたが、ショートカットの髪型のせいか「ホラン千秋さんみたい」とか思って見てた。

サントリーで観た時は長い髪?を後ろに編んでまとめて、クノップフやバーン=ジョーンズの絵画に出てくるファム・ファタルな美女を彷彿とさせた。ごっつい名前に似つかわしい眼力のつおい美人。そんでモデルさんみたいな体形(ウエストほっそ!)。胸を大きく開けたせくしいなブラックドレスがお似合い。どうしたらこんな人が生まれてくるのかわからん。私、女だけど眼福でしたわ。前から12番目で良く見えた。41歳って嘘でしょう?ロシアとかあの辺の女性は40超えれば太ってるじゃないか普通(←偏見)。

今回の演奏会(演奏会形式じゃからのう)では、日本人キャストに若干変更があり、そのうち好きな歌手さん、ナラボート役の鈴木准さんとユダヤ人役の糸賀修平さんが急病またはコロナ陽性で交代。しかたないけどなんか悔しい。とくに鈴木准さんのナラボートは聴きたかったなあ。

しかし、ナラボート代役の岸波さんは立派に勤めていらしたのでよかった。サントリーは川崎に続いて2回目の公演だったので、川崎よりこなれていたのかな。曲が始まってすぐに歌いだす責任の重い役ながら、バルト三国美女に迫られて役得かと。

それにしてもまあ、グリゴリアンは素晴らしい。まあ、ジェット機を圧するほどすごくでっかい声というわけでもなく(オケが舞台下に潜ってないのでしかたないか)たまにオケの音に声が埋もれてしまってはいたものの、声量は日本人とかに比べると圧倒的だし、何というか声に色っぽさがあるというか(イタリアものもロシアものもよい)、艶のある声に魅了された。他の歌手のサロメは「そういう役柄だから(周りの男が魅了されまくっても)仕方ない」って思って見るけど、グリゴリアンはいやこんなんナラボートが陥落してもしかたねえな、ヨカナーン呼び出しちゃうなって思った。声や外見だけでなく、演奏会形式ながら若干の演出もあったため、黒猫のごとき我儘でいたずらっぽい表情、そして周囲を(自分では意識してないのに)魅了する妖艶さなどを堪能。こんなに前のほうの席なのに、私の両隣はオペラグラスでガン見。

他の来日組の歌手さんたちも素晴らしかった。なんかユル・ブリンナーみたいなこっちも眼力つおいヨカナーン、毎日お酒ばっかり飲んでるでしょ感の強いヘロデ王、ヘロディアス感の強い声と外見のヘロディアス(ドレスが素敵だった~)、穴はなし。端役ではあるけどナラボートを想う小姓役の杉山さんもこの豪華キャストの中埋もれることなく輝いてらした。他のその他おおぜいの男の人たちもよかった。普段日本人がすると「おーおー」というナザレ人やユダヤ人たちの叫び声はなんか歌舞伎っぽくなったりするのだけど、今回はそんなことなかった。

しかしまあ、歌手が中心なわけでなくこのオペラの主役はオーケストラ。ノットの指揮の演奏会は私は何故か声楽ものばかりでシンフォニーなのは聴いたことないんだけど、今まで外れなく「この曲のトップ演奏!」て思うものばかりだけど、今回のサロメも生で聴いたものの中で1番のサロメであった(そんなに沢山聴いてないけど)。実演とラジオ放送の差はあるけど、たぶんカラヤンのライブと張る演奏だったな。何年か前に聴いた二期会のヴァイグレも素晴らしかったけど・・・なんか凶暴さ、暴れまくりの演奏でノット&東響は圧倒してる。ネットで見ると「今年のベスト1!」という感想で溢れていた。終わってからの拍手(照明が最後に落ちてカッコイイ!)はなかなか止まらず、何回もカーテンコールに呼ばれる出演者たち。ブラボー禁止だから「BRAVO!」と書かれた自作の布を掲げる人も何人かいた。でもブラボーの声出してる人も何人か。しょうがないねこりゃ。

演出はサー・トーマス・リプトン・・・じゃなくてアレン。最少の小道具・最少の演出はさすが演劇の国という感じで(演奏を邪魔することなく)楽しめた。いや、こんなんでいいんだよ。こないだのゲッツェル指揮の「椿姫」もこんな感じ(もうちょっとセットがあったかな)だったけど、余計な演出があるより演奏や曲に没頭出来ていいと思う。そういえば、原作者オスカー・ワイルドはイギリス人だもんなあって終わってから思い出した。

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2022年8月27日 (土曜日)

第20回東京音楽コンクール 声楽部門・本選

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第20回東京音楽コンクール 声楽部門 本選出場者

〇黒田祐貴(バリトン) KURODA Yuki, Baritone
E.コルンゴルト:オペラ『死の都』より「私の憧れ、私の空想(ピエロの歌)」
G.マーラー:『子供の不思議な角笛』より
「起床合図」
「美しいトランペットが鳴り響くところ」

〇前川健生(テノール) MAEKAWA Kensho, Tenor
G.ドニゼッティ:オペラ『ランメルモールのルチア』より「我が祖先の墓よ」
R.シュトラウス:オペラ『ばらの騎士』より「厳しさに胸を装い」
G.ヴェルディ:オペラ『リゴレット』より「彼女がさらわれた!~ほほの涙が」

〇川越未晴(ソプラノ) KAWAKOSHI Miharu, Soprano
G.ドニゼッティ:オペラ『ランメルモールのルチア』より 狂乱の場「あの方の優しい声が、私の心に響いたわ!〜苦い涙をこぼしてください」

〇池内響(バリトン) IKEUCHI Hibiki, Baritone
W.A.モーツァルト:オペラ『ドン・ジョヴァンニ』より「カタログの歌」
V.ベッリーニ:オペラ『清教徒』より「ああ!永遠に私は貴女を失った」
G.ヴェルディ:オペラ『ファルスタッフ』より「夢かまことか」

園田隆一郎指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
(8月26日 東京文化会館大ホール)

音楽コンクールはピアノとヴァイオリンしか観に行った事ないので、声楽部門は初めて。ヴァイグレ指揮の二期会で2年続けてワーグナーの舞台で主要な役を歌われた清水勇磨さんを見聞きして素晴らしいと思い、でも全く知らなかったので「海外で長年経験を積まれたベテランで、最近日本に帰ってこられたから知らないのかな」とか思って調べたら2015年に東京音楽コンクール1位とあった。えー、じゃあまだまだ若手でいらっしゃたのね→東京音楽コンクールってすごいのね!(今更)と思い、観に行くことに。

本選に残った方々と曲目を確認してびっくり。大好きなコルンゴルトの「死の都」のピエロの歌が歌われるじゃないですか!この曲をオケ伴奏で聴けるなんてラッキー。あと、二期会の「ルル」でアルヴァ役を歌われた前川健生さんが出場とな。えー、だってアルヴァって準主役じゃないですか。でもコンクール出るのかあ、これは聴きものだと思った。

(演奏順)
1.黒田祐貴さん(バリトン)。「鬼のパンツはいいパンツ」の動画でお馴染み(なのか?)だが、すでにCDデビューもされている。コルンゴルト歌われてる時点で私の中では優勝。イタオペが圧倒的に多い出場者の中でコルンゴルトとマーラーというオーストリア物で勝負しててかっこいい。温かみのある美声もさることながら、舞台俳優のごとき長身で痩身、舞台映えしそうだ。舞台で是非見てみたいがどこかに所属してないのかな。

2.前川健生さん(テノール)。二期会に所属されているのですでに何度か舞台は見ている模様。私の記録があるだけでシュトラウスの「ダナエの愛」、前記の「ルル」など。とくにアルヴァ役は難役なのに(っていうかこのオペラ自体とんでもないのだが)頻発する高音をびんびん響かせて素晴らしかったのを覚えている(その後飼われた猫さんに「るる」と名付けたそうだ)。いやもう「薔薇の騎士」のテノール歌手のアリアを歌ってくれて、オケ伴奏のあのフルートの序奏を聴いただけで嬉しくてウルウル(←え)。リゴレットの有名なアリアで得意の高音を響かせてもううっとり。また二期会の舞台で拝見できるといいな。

3.川越未晴さん(ソプラノ)。何曲か歌う出場者の中で、「ルチア」狂乱の場という難曲中の難曲の長丁場1曲で勝負。清楚で可愛らしい外見で舞台映えしそうだ。最初はやっぱり緊張感に溢れていてなんかお母さんだったら耐えられない、かわいそうで客席から逃げ出しちゃうかもって思ったりもした(何故か親目線)。しかしだんだんのこの悲劇の主人公が憑依した感じで、難しいフルートとのデュエットもピタリとこなし素晴らしかった。それにしてもなんという心臓だろう。

4.池内響さん(バリトン)。こちらのバリトンも長身でスタイルがよい、「カタログの歌」から表情豊かに歌い(関西人なので芸人さん?ちょっと見取り図の盛山さんぽい)、聴衆の心をわしづかみに。やっぱり選曲は大事だと思った。そのあと続く2曲のイタオペのアリアで、響き渡る低音の美しさにもうノックアウト。コンクール観に行って「次にお金出してでも観に行きたい」って思うのが私の中の審査基準なんで、「聴衆賞」の1票は彼の投票箱に。

<審査結果>

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第1位
池内響(バリトン) 

第2位
前川健生(テノール)

第3位
黒田祐貴(バリトン) 
川越未晴(ソプラノ) 

聴衆賞
池内響(バリトン) 

皆さん順位がついてまずホッとした。自分が投票した池内さんが1位と聴衆賞だったのでよかった。それにしても審査員が錚々たるメンバーで、紹介されたときになんだかテンションが上がってしまった。市原多朗さん、伊原直子さん、大倉由紀枝さん、大島幾雄さん(部門審査委員長)、高橋薫子さん、永井和子さん、堀内康雄さん、彌勒忠史さん、吉田浩之さん、久保田真澄さん。なんかもう1曲づつ歌ってほしいくらい。とくに子供の頃から憧れのディーヴァ、伊原直子さんを久しぶりに舞台で拝見。お元気そうで嬉しい。皆さんこのご時世でマスク装着でそれは残念。

表彰がほぼ終わったあと、観客席に慌てて入ってきた女性二人に「優勝はどなたでした?」「聴衆賞は?」と聞かれて「池内響さんです」と答えると飛び上がって喜ばれていたので、池内さんのファンなのかな、ぜんぜん関係ないけど私も喜ばれて嬉しかった。

今朝、Twitterを漁ってたら声をかけて頂いた方と思われるつぶやきを偶然見つけた。

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餃子召し上がっていたんですね。上野の昇龍有名ですね、行った事ありますよ。残念ながらTwitterやってないのでお返事できないけど(お返事は求めてないだろうけど)。9月9日のコンサート私も行きたいけど、仕事の関係で行けなそうで残念。

 

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2022年8月16日 (火曜日)

アルプス交響曲&エニグマ変奏曲 RSオーケストラ

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エルガー:エニグマ変奏曲
R.シュトラウス:アルプス交響曲 
指揮/和田一樹 RSオーケストラ

(8月13日 ミューザ川崎)

絶賛台風襲来中、ちょっと雨が収まったのでRSオーケストラというアマオケさんのコンサートに行って来ました。エニグマとアルペンをタダで聴けるなんて、素晴らしい。

台風の中、客の入りは3割くらいかな。アルペンでは舞台上にこんなに人が乗ってるの久しぶりってくらい人がいた。楽員さんはお若い方がほとんど。ぱっと見大学生オケみたいに見える。 

エニグマもアルペンもパイプオルガンが入るので何だか豪華。エニグマの始めのほうはちょっと「大丈夫かな?」とは思ったけど、ヴィオラの人のリードもあり、盛り上がりを見せた。アルペンは流石に生で聴くとド迫力ですな。嵐が過ぎ誰も遭難せず無事に下山された模様。

 

演奏会の模様はこちら。私も客席でたまにちっちゃく映ってる!

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2022年4月10日 (日曜日)

新国立劇場 ばらの騎士 2022

 

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R・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」

【元帥夫人】アンネッテ・ダッシュ
【オックス男爵】妻屋秀和
【オクタヴィアン】小林由佳
【ファーニナル】与那城 敬
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】森谷真理
【ヴァルツァッキ】内山信吾
【アンニーナ】加納悦子
【警部】大塚博章
【元帥夫人の執事】升島唯博
【ファーニナル家の執事】濱松孝行
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】青地英幸
【テノール歌手】宮里直樹
【帽子屋】佐藤路子
【動物商】土崎 譲
【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】多摩ファミリーシンガーズ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】サッシャ・ゲッツェル
(2022年4月9日 新国立劇場)

このオペラを新国立劇場で見るのは初めて。それどころか二期会でも見たことないから日本人がこのオペラ諸役を演じるのを見るのは全く初めてなのである。

私のばらの騎士観劇歴(そこそこ輝かしい)

・1994年 カルロス・クライバー指揮ウィーン国立歌劇場(日本公演、千秋楽)

・1995年 ペーター・シュナイダー指揮ウィーン国立歌劇場(ウィーン、クライバー公演の主要4キャスト以外は全部同じ配役)

・2007年 フランツ・ウェルザー=メスト指揮チューリッヒ歌劇場(日本公演、ニナ・シュテンメのマルシャリン、カサロヴァのオクタヴィアン)

他の演目では二期会や藤原歌劇団はそこそこ見に行ってるので、決して「日本人の演じるオペラなんて・・・(ぷっ)」などと思ったことは全くなかったが、流石に本場の公演しか見たことないから最初はちょっと(日本の人が演じるオクタヴィアン、ほぼ宝塚)違和感があった。しかしすぐ慣れた。

前評判で、指揮者の振りがほとんどクライバーのコピー、というTwitterで溢れてたので、本物を2回見たことある者として(えっへん)、2階席の前から4番目で観客の頭をかき分けながら高性能オペラグラスで幕があくまで凝視していたが正直「・・・そうかな、そうかもしれない」くらいな感じだった。てか、あんましよく見えなかった。

しかしまあ、最初のホルンの咆哮から、そうそうオックスのワルツもだけど、「アレ?ここウィーン?」って思うくらい違和感なかった。全然ウィーンだった。ぶっちゃけ学生時代によく実家のビデオで見ていた後の方のカラヤンよりウィーンだったかも。この指揮者全然知らなくてどこの出身かも経歴も知らんかったんだけど、公演見たあと(遅いわ)、Wikipedia見て納得。ウィーン生まれで、指揮者になる前はウィーン・フィルでヴァイオリン弾いてたらしい。これはねえ、身についているんだね。何がどうって言う説明はできないけど、ワルツを刻む「ずんちゃっちゃ」じゃなくて「ずちゃ・っちゃ」なのは当たり前として、かなり雰囲気は掴んでいたと思う。まあ、日本のオケがウィーン・フィルばりにうまい、とか言ってる訳ではないんだけど。

指揮が良ければオケも頑張るし、歌手だってのるし。なんて良い化学反応だろう。指揮だけで私の今まで見た新国立劇場の公演でもかなり良い方に入る。

とはいえ、歌手も素晴らしかった。日本で初役というダッシュ、ローエングリンのエルザでしか(テレビで)見たことなかったけど、マルシャリンでの立ち振る舞いはなんという違和感のなさ。「え、初役をこんな東洋の島国で見せちゃっていいの?」と最初は思ったのだけど、おそらく欧米の歌手はヨーロッパの大舞台を踏む前に日本で試運転をするんじゃないかな(ってのをどこかで読んだ気がする)。新国はアジアでは多分最高峰の歌劇場だし、聴衆の耳も肥えてるし熱心だしマナーも良い。おまけに反応が早く観客はすぐに感想を(幕間でも)Twitterで呟く。こんなに良い試運転はないだろう。日本で肩慣らしをしておいて、次はザルツブルクとかウィーン国立とかドイツのおっきな劇場で歌ったりするんだろうな。

オペラ好きとしての習性として、歌手の外見は二の次で頭で修正して見るのだが、今回はあんまりそれが必要なかった。大抵のマルシャリンは設定よりかなり老けていて、17歳と2ヶ月の少年がお付き合いするにはちょっときついかも・・・と思うことが多い(というか考えないようにしている)けど、ダッシュだったらまあ、まだいけるかなという気がする。そんで、日本人が演じるオクタヴィアンは若干小柄ながら遠目なら(いやオペラグラスで見ても)大体17歳でも許される範囲の可愛さだった。まあ、オッターのような凛々しさは西洋人でもちょっと難しいことが多いかもだが。(ケイト・リンジーのオクタヴィアンが見てみたい❤️です。)

外見のことばっかりで申し訳ないけど、ダッシュは演技も女優かなってくらい良かった。女の私でも見惚れちゃうくらい(隣に座ってた老夫婦のおじさまがオペラグラスで胸の谷間をガン見)。声もワーグナーで鍛えてるからよく通り、良い良い。他の日本人の歌手さんもそれに引き上げられているのか、二期会公演では見られないかも?くらいな名唱が繰り広げられた。二期会の夜の女王、安井陽子さんも最初は(ちょっと苦しいのかな)という感じの高音で珍しいな、とは思ったけどだんだんとルチア・ポップばりの歌唱だった(褒めすぎ?)。ただ、歌手のせいではないけど、登場の時の衣装がグレーでなんかあんまり可愛くなくて、ビジュアルありきのこのオペラではちょっと違和感を感じた。ゾフィーにはシルバーとか薄いピンクを着せてあげたい。

新国のバスといえばこの人、妻屋さんのオックスはとても楽しく拝見。第3幕のハゲ頭はわざわざ剃ったのかな。ただ、あまりにクルト・モルの映像を見慣れてしまって(カラヤンでもクライバーでも)、妻屋さんでさえ「若くて清潔感がありかっこいい」とか思ってしまうので(ほんとですってば)、クルト・モルの怪演はやっぱり世界一かと。あのスケベハゲ親父っぷりはなかなか他の歌手では出まい。

あとは、(別にかっこいい必要はないのに)与那城さんのファーニナルがかっこよくて見惚れてたわ。なんか遠目に見てちょっとステファン・ランビエールっぽいなと思った(あくまで遠目にだよ)。マリアンネが森谷さんって贅沢だけど、これはダッシュがこれなかった時のためかな。森谷さんはマルシャリン、二期会で歌ってるけど。いやでも、ダッシュ来なかったらほとんど二期会(笑)。テノール歌手役にイタリアオペラでは主役級の宮里さんって贅沢。あと、別に歌わないけどモハメッド役のお子ちゃまが可愛いかった。

この日は土曜日で、ネットでの評判を聞きつけてこのコロナ禍でも珍しくほぼ満員。大喝采だったけどあいかわらずブラヴォー禁止で苦しい。紙に「bravo」とか書いて持ってようかな(2階席じゃ見えないか)。欧米のネット放送で見るともうブラヴォーは解禁されてる気がするんだけどな。

この公演とは関係ないけど、山響で「薔薇の騎士」ハイライト的なものをするらしく、石橋栄実さんのゾフィーかあ(ちょっといいなあ)って思った。別件あるので行かないけど。

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