2016年11月27日 (日曜日)

東京二期会/ナクソス島のアリアドネ 2016

R・シュトラウス:歌劇「ナクソス島のアリアドネ」
プロローグと1幕のオペラ
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
台本:フーゴー・フォン・ホフマンスタール
作曲:リヒャルト・シュトラウス
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執事長 : 多田羅迪夫
音楽教師 : 小森輝彦
作曲家 : 白𡈽理香
プリマドンナ/アリアドネ : 林 正子
テノール歌手/バッカス : 片寄純也
士官 : 渡邉公威
舞踏教師 : 升島唯博
かつら師 : 野村光洋
召使い : 佐藤 望
ツェルビネッタ : 髙橋 維
ハルレキン : 加耒 徹
スカラムッチョ : 安冨泰一郎
トゥルファルデン : 倉本晋児
ブリゲッラ : 伊藤達人
ナヤーデ : 冨平安希子
ドゥリヤーデ : 小泉詠子
エコー : 上田純子
管弦楽:東京交響楽団
指揮:シモーネ・ヤング
演出:カロリーネ・グルーバー
装置:ロイ・スパーン
衣裳:ミヒャエラ・バールト
照明:喜多村 貴

(11月26日 日生劇場)
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過去記事:飯守さんのナクソス島のアリアドネ(関西二期会)
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東京二期会/ナクソス島のアリアドネ(2008)
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昨日観てきた。なんだかもう、一晩明けてまだ頭がいっぱい、おなか一杯。「大満足」というよりは、「大変なものを観た」という感。ただでさえカオス感いっぱいのこのオペラ、数多くの仕掛けや演出で、もっとカオスなものになってしまった。
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印象を一行でまとめると、「ドイツ=オーストリア風吉本新喜劇+三谷幸喜+欽ちゃんの仮装大賞」・・・かな。とにかく舞台のあちこちでいろいろなことがひっきりなしに行われている。歌手の皆さんの歌唱以外の演技の負担は半端なく(とくにツェルビネッタ)。その上やたらと早いテンポでそれを行わなければならず、早回しの映像を見てるよう。もう何もかも・・・「よくやった」という感想。
が。
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断っておかなきゃならないのだけど、実は一階席の前から6番目でかなりいい席だと思ったら・・・またやってしまった。前の客の座高が高く、妖怪人間ベラのごとく髪の長い女性で、舞台の5分の1は隠れてしまって私は右に寄ったり左に寄ったり忙しかった。頭の上半分邪魔・・・キルビルのユマ・サーマンを呼びたくなった、いやそんな殺人事件起こしたくないです。
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なので、全部は見えてません。音はものすごくよく聞こえた。まあニッセイは小さいホールなのでどこも聞こえるけど。前にカプリッチョ観た時は2階席だったなあ。2階席にすればよかった。
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マエストラ・シモーネ女史の指揮はナマでは初めて。ただ、彼女のリングの録音は持っていてとても素晴らしいものだった。指揮・オケに限れば古今のリングの録音でも、かなり高レベルのものかと。ただ、歌手的には現代の歌手なのでごく普通にようろっぱで聴かれるレベルのもの。コンサートやシンフォニーは聴いたことがないので、比べようがないのだけど、彼女はかなりの劇場人であると思った、今回の上演を見聞きして。何だろう、ちょっとあらかわバイロイトのハンマー先生を思い出した。歌手とのタイミングはバッチリだし、音楽がゆるいところは一切ない。早めのテンポでぐんぐんと進める。しかも盛り上げるところは十分に盛り上げる。
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二期会、よく彼女を呼んだなあと。
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で、プロローグ。序奏から素晴らしい。緩急がちゃんとついていて、まるでCDで昔の名盤(ケンペとか)の演奏を聴いているようである。
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舞台は後方に地下駐車場。ホテルのエントランススペース。本家の劇場よりは舞台が狭いためか少し簡素化。本家の舞台写真と違い舞台に車は入れないので自転車で引っ張られた車の中からツェルビネッタご一行が出てくる。服装はなんというか・・・70年代ドイツっぽいというか。ヒッピーっぽいというのか派手だ。もしりゅうちぇる&ぺこちゃんがこの中に現れても違和感ない。プリマドンナも林さんも(お奇麗な方なのに)プロローグではヘンなピンクのスーツでなんかオバサンっぽい。
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そもそもドタバタ劇なのだが、もっとドタバタしている。歌ってる後ろでもいろんなことをしているし、お笑い担当歌手の方々はひっきりなしに(本チャンのリハーサルで)踊っている。覚えるの大変だったろうなあ。今はやりの恋ダンスでも踊ればよかったのに。舞台横に着替え室?的なものが男性用・女性用と並んでおり、その中でどさくさに紛れて音楽教師とプリマドンナがやっちゃってて、上演時間になり衣服を直しながら慌てて出てくる。
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ツェルビネッタ役は明るい茶色の髪のショートカットで、ちょっとIMARUちゃんみたいな感じだなあと。
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プロローグ終わって休憩。ロビーやトイレを歩き回る。日生劇場ってホントに古いというか、レトロな雰囲気。いろいろな思い出があり懐かしい。
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後半のオペラ。結婚式場の客席かなんかみたい。舞台はなく、観客の周りで(ホントに余興で)行われている感じ。アリアドネはアリアを歌いながら観客のワインを取り上げて飲んじゃったりする。羽を付けて高い靴をはいた3人の女性独唱者。端役ながらとても素晴らしい。もっとブラヴォー言ってやって。プリマドンナの林さんはさすがに素晴らしい豊麗な声。昨年は舞台で米とぎながらアリア歌ってたんだなあと、胸熱。来年はマルシャリンだそうだが、佐々木典子さんの跡を継ぐシュトラウス歌手になりつつあるのかな。
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期待のツェルビネッタ。これはホントにすごいぞう。ただでさえクソ難しいこのアリアを一つも音を外すことなく美しく歌唱しているのに、なおかつテーブルから飛んで4人の男性歌手に体を受け止められたり、はたまた胸だのいろんなところを男性に触られながら超絶技巧の歌を歌うというのは、いったいどんな感じなのだろう。いやほんと、恐ろしい度胸である。(実は正月に彼女の出るオペラコンサートに行くのだが、俄然楽しみになってきた。)
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演出ではその他、ちっちゃいスクリーンみたいなものが登場してその後ろで男性たちが演じて影絵のようになり、それとともにツェルビネッタが演じたりするのは楽しいのだが、早いテンポなので「忙しそうだなあ・・・ここまでやんなくても、歌だけでも十分楽しいのに・・・」という感想。何故か男性たちはフランツヨーゼフとかウィーンの皇帝に早変わり、ツェルビネッタはシシィの服装で、ホントに忙しい。
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そのあと、バッカスが登場するので音楽がにわかに慌ただしくなり、3人の女性があれこれ状況を説明したりする歌を聴いているうちに、何か知らんけど涙が溢れてきて。何だろう、この涙は。
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まるで女優さんのように美しいすらりとした林さん(ちょっと天海祐希さんみたい)と、いかにもオペラ歌手体形の(ちょっとプロレスラーっぽい)バッカスの似合わなさがいかにもオペラっぽく。最後の二重唱はとても幻想的な演出で、二人のほかは周りはスローモーションで。シュトラウスの音楽は本当に美しい、素晴らしい。こんなにこの曲って感動するものだったの。別にナマで聴くの初めてじゃないのに。最後はなぜか全員バタバタと倒れ、プロローグから出ていたキューピッド(子役)が出てきて、観客のほうに矢を向けて、終わり。このわけのわからなさがいかにもドイツから持ってきた舞台って感じ。
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前回ダナエのときは2回観に行ったけど、今回はこの1回だけ。なんか1回で十分堪能。ほんとに・・・歌手の皆様お疲れ様でしたと言いたい。
 

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2016年11月26日 (土曜日)

さっき観てきたばっかりなのに

1480164891882.jpg もう次の公演案内が家のポストに。てか、二期会どんだけシュトラウス好きなんだよ。困ったなあ。

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2016年10月30日 (日曜日)

ポーランド・ラジオでザルツブルグのダナエを聴く

Webdie_liebe_der_danae_2016_tomas_2ネットのポーランドラジオで今年のザルツブルグで上演されたシュトラウスのダナエを(日本の真夜中に)放送していたのだが、寝過ごしたので第2幕のダナエが固まったところから鑑賞。昨年の二期会で観てからちょろっと流れるだけでグッときてしまうくらいこの曲が好きなので、これ観に行けた日本人ウラヤマシス。
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ウィーン・フィルで(初演のザルツブルグで)この曲聴けるだけで素晴らしい。NHKプレミアムでやってたようだが(うち衛星ないので見てない)映像DVD出ないのかな。ギリシャ神話のはずなのに写真で見るとアラビア?っぽい。やたらみんな頭にかむっているものがでっかくて歌いにくそう。でもザルツブルグにしてはしんどい演出ではなさそう(「影のない女」の演出の酷さよ)。
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キャストは、残念なことにリアルタイムの欧米活躍歌手に疎い私なので、日本によく来るコニエチュニーがジュピターを歌っているくらいで誰も知らない・・・と思ったら、2011年のチャイコフスキー・コンクールの男声部門で優勝したバスのJongmin Parkさん(フツーの会社員みたいな容姿なのにやたらとドスの聴いた低い美声でお笑いの「麒麟」みたいだなと思った人)が4人の王様の一人で出ているのだね。でっかいコンクールで優勝しても活躍しないで消えていく人が多い中、ちゃんとザルツブルグに出演したりしているのを知ると(全く無関係だが)嬉しい。聴けなかったけど。
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メストは比較的さらりとした指揮で、二期会のときに第3幕の間奏曲で号泣したので(いや、私だけでなく周り結構泣いてたし)ちょっと違和感が。こんなもんかあ。そういえば二期会ではなんであんなに感動したんだろ。メルクルでよかったのかな。

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2015年11月 8日 (日曜日)

Vユロフスキの影のない女

YouTubeをぽかーんと色々見ていたら、2013年の「影のない女」のオランダでの演奏会形式のライブの映像を発見。2年前なのに全然知らんかった。完全全曲演奏のようだ。カットあり演奏のストレスがなくてよい。
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日本にも来た湯婆婆・・・じゃなくてうば役のヘンシェルさんが、扮装なくてもやっぱり宮崎アニメに出てくる魔女っぽい。普通に魔法使えそう。その他ティーレマンのDVDでも出てたシュヴァネヴィルムスが皇后、トルステン・ケルルの皇帝、他もみんな素晴らしい。バラックがちょっと走りがちなのがアレだけど、ライブらしくていいのかな。
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指揮者、ミハイル・ユロフスキの息子という。親子二代で指揮者ってこのところ多いな。ややこしい。早めで軽快な指揮がよい。最初まとまってた髪形がどんどん広がって行く様も見もの。
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(第1幕だけ貼った。2幕以降は自分で探してちょ。)

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2015年10月 4日 (日曜日)

二期会「ダナエの愛」②

1443952004932_4R・シュトラウス:歌劇「ダナエの愛」
ユピテル/小森輝彦
メルクール/児玉和弘
ポルクス/村上公太
ダナエ/林 正子
クサンテ/平井香織
ミダス/福井 敬
ゼメレ/山口清子
オイローパ/澤村翔子
アルクメーネ/磯地美樹
レダ/与田朝子
4人の王&4人の衛兵/前川健生 鹿野浩史 杉浦隆大 松井永太郎
指揮:準・メルクル 
東京フィルハーモニー交響楽団 二期会合唱団
演出:深作健太
(東京文化会館)
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感激・号泣のBキャストから一夜明けて、今日はAキャスト。別に昨日感動したから今日も券取ったわけじゃなくて、最初から両キャストとも見たかったから(何カ月も前に二期会にハガキ出して)取ったのである。だって、これを逃したら一生見れないと思ったからさ~。
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こんな凄い公演になる予想はしてなかったんだけどね。
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今朝起きて、「ああ、またあのダナエが聴けるんだ!何と言う喜び!!Heil dir Sonne!!」って思ったわ、シュトラウスなのに。
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でも、これが終わったらもうきっと二度と生で聞けないんだよね。
(泣)・・・ザルツブルグにでも行かない限り。
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で、今日の演奏。昨日、一度見ているから、なんか聴き手の私も余裕。演出の細かいところを見ようと思ったよ。それに、昨日のアフタートークで深作さんが、「細かい演技はわりと歌手さんに任せているから、日によって変わってる」的なことをおっしゃっていたので、それにも注目。なるほど、よく見ると違うのね。ポルクスの姪のあの4人の女性歌手も、違うことしてた。Bキャストはダンナにプロレスの技かけてたりしてたけど、今日はなかったようだし。色々面白いね。
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歌手さんは。もうね、どっちのキャストを取ってもよかったんだと思う。それぞれに・・・よかったなあ。
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それでもやっぱりミダス役の福井さんは、ベテランの貫録というか。登場してすぐの歌も、出会ってすぐにダナエが恋に落ちるという設定が「そんなアホな」とか思えないほど必然で。「はい落ちた~」って感じだった。ダナエの林さんも本当に可愛くてお綺麗で演技も歌も魅力に溢れてて。これは恋に落ちないわけないよね~と思った。
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ユピテル役の小森さんも、以前二期会のワルキューレでヴォータンを拝見してるので、もうまるでヴォータン。若い女への恋に悩むオッサン神様を人間臭く表現。そう、この役は男性版マルシャリンなんだね。
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(それと、あの白いカツラ被ったお子ちゃまはやっぱり「薔薇の騎士」を意識した登場だと思うし、最後にダナエが懐妊してたのは「影のない女」へのリスペクトかしら・・・って思った。)
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メルクールの児玉さんは、演技に余裕が感じられてよかった。やっぱりこの役大好きだなあ。とにかく可愛かった。(でも。ホフマンシュタールがちゃんと最後まで脚本を完成してたら、もっともっと面白かったかもね。)
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二期会合唱団のアンサンブルの素晴らしさにも脱帽。シュトラウスの大得意のカオスな場面が本当に楽しくて。第3幕のメルクールがお金をばらまく場面も、ポルクス王一団がお金を受け止めるところも最初はスローモーションな動きで音楽が変わると早い動きになるのとかも、ぴったりと合ってて面白かったなあ。
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でも・・・ホント、演出以上に音楽がすべてを表してるんだよね、シュトラウス。ダナエとミダスが恋に落ちるのと同じように、私たち観客もこの音楽に恋をしてしまった。ほんとに・・・恋に似た気分。心が一杯になってしまった。あとは家にあるベルリン・ドイツ・オペラのDVDでしのぐしかないなあ。テレビ収録はなかったのかしらん。
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心の底から再演を希望。ウルトラ怪獣版「魔笛」みたいに、またやって欲しい。きっときっと、みんなそう思っているから。
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第一幕が終わって、幕間に丸いテーブルのところでおやつを食べていた。すると音大生らしき女の子たちが「(テーブル)ご一緒していいですか?」と聞いてきたので「どうぞ」とニコヤカに返すと、どうも本日の出演者の生徒さんらしかった。「●●先生の衣裳は、普段あんなに素敵なのになんか足が短く見えるよね~」とかウフフキャハハとお話をしてて「可愛いな」と思ってきいてた。すると、「あ、○○君じゃない?久しぶり~~。あ、背が伸びたんじゃない?お父さんに似てきたねー」などと話しかけられてる男の子が登場。
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「今日お父さん、キンキラキンで凄いね~」と言われてたので、『あ、もしかしてこの子、神の子~~~??』って思った。「神の子」は数学の宿題をテーブルに広げてやりだした。こんなとこまで勉強。大変だな中学生。頑張れ!
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今月は東京は「黄金」ブームか。ラインの黄金も楽しみだな。
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上野の大混雑は「ダナエ」のせいじゃなくて、コレのせい。
 

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2015年10月 3日 (土曜日)

二期会「ダナエの愛」①

R・シュトラウス:歌劇「ダナエの愛」
ユピテル/大沼 徹
メルクール/糸賀修平
ポルクス/高田正人
ダナエ/佐々木典子
クサンテ/佐竹由美
ミダス/菅野 敦
ゼメレ/北村さおり
オイローパ/江口順子
アルクメーネ/塩崎めぐみ
レダ/石井 藍
4人の王&4人の衛兵/前川健生 鹿野浩史 杉浦隆大 松井永太郎
指揮:準・メルクル 
東京フィルハーモニー交響楽団 二期会合唱団
演出:深作健太
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<あらすじ>
触ったものが全部黄金になったら不便でしょうがないのでロバ引きに戻りましたとさ。
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Bキャスト?を鑑賞。初日は残業で無理だったので券取らず(社畜なので)。今日も午前中だけ会社に行って午後に上野へ。
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twitterで昨日この上演の様子を確認しまくってたんだけど(残業中に)、一般市民のあまりの評判の良さにひどくびっくらこいた。あたしらシュトラウス好きから言っても、このダナエはすごくマイナーなオペラである。私の一番好きな「影のない女」だって(薔薇騎士やサロメに比べると)かなりマイナーだと思うけど、それでもごくたまーに上演される(日本で3~4回見てる)。けどこんなには評判にならなかった。
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やっぱりtwitterやFBの威力の凄さを見たわけで。この評判を聞きつけて、今日だって急に出かけた人だっていただろうしさ。
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で。まあ私は(生は初めてだけど)全く初めてこの曲を聞いたわけでもないし、日本語字幕付のDVDを持っているので他の観客よりはちょっとはこの曲に近しいと思う。でも、ホントは...あんまりわかってなかったんだよね。音楽の良さは凄くよくわかってたけども。
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今回は深作Jrの演出がとてもわかりやすかったせいなのか、何の疑問もなくすうっと入ってきた。
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まあ、演出のこまかいところは他のブロガーさんが書くだろうから書かないけど(逃)。なんというか、第1幕と第2幕はヨーロッパの地下墓地とか、あとクリムトの絵画やゼセッション館なんかを想起させ、第3幕は大震災のあとの東北のガレキをイメージ。第1幕と2幕は結構普通の演出だと思う。
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印象に残ったのが、ポルクス王の姪4人(いい味出してる!)の洋服や髪形がベートーヴェンフリーズを思い出し、あのカッコができて羨ましく思った。また、クリムトの絵を思い起こされる美術や、シュトラウスの音楽もまたクリムトの絵のようで華やかで装飾的なので、自分が昔行ったベルベデーレ宮殿を思い出し、懐かしくなった。
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この映画監督の作品は全く見たことないので(バトルロワイアルなんか見ないよ、血みどろとかコワイもん)、何がこの監督の持ち味なのかは全く不明だが、映画より演劇の演出をしたものを見てみたいな、と思った。
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で。
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多分、この監督「らしさ」というのは第3幕にあると思う。美しい宮殿はユピテルの雷によって破壊され、見る影もなく廃墟のようになった。特徴的なものとして・・・遠くには破壊された原子力発電所?が見えるし、そのヘンに壊れた冷蔵庫とかビール瓶のケースとかが転がっている。ドイツの爆撃された廃墟というよりは、もう日本のガレキしか思い浮かばない。演出のポイントはやっぱり・・・第3幕なのかな。
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そう言えば、この曲唯一のDVDが出たのは震災の年で、私が観たのもこの年だったので、第3幕を見て涙が止まらなかった。ガレキっていうのがどうもダメだ。
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やはり、今日も第3幕でダナエが一人で米を研いだりしながら(!)幸せそうに歌っているところで、その歌や音楽の素晴らしさもあるけど、日本が誇るプリマドンナ、ノリコササキさんの幸せそうな表情になんかすごくやられてしまって、だめだった。涙がぼろぼろ溢れて止まらない。久しぶりにオペラで号泣。あーどうしようう。
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いやこれなんの涙?と思ったけどなんだかよくわからなかった。「金よりも愛が大事」とか「大きな愛よりも男女間の小さな愛を大事にしていこうよ」というこのオペラのテーマが全く私には関係ないので(お金・・・大事でしょ)、泣けたのはそこでない気がする。
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おそらく。
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この曲のもっと大きな愛・・・シュトラウスの後世の人々への強いメッセージのようなものを感じ取ったのかなと。この曲を作曲した頃、戦争の影響でこの曲の公的な初演は作曲者の存命中にはできなかった。シュトラウスの私的な関係者だけ集めたゲネプロだけ上演されたというのだ。そして「この次はもっとよい世界でお会いしましょう」とかウィーン・フィルの楽員に言ったとか・・・言わなかったとか。
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シュトラウス爺は、お友達のマーラーとかと比べると長生きだったから、戦争とかナチスとか、経験したくもない世界を経験しちゃった。ユダヤ人のお友達や脚本家と交流、その上息子のヨメがユダヤ人たったから、自分の家族を守るためにナチスに半ば協力(っぽいことを)しなければならなかった。表面はポーカー好きのハゲオヤジな印象しかないんだけど、色々大変な人生だったんだよね。それを思いながらこの曲を聴いていると「ああ・・・シュトラウス・・・こんなに大変だったんだあ・・・」って思っちゃうんだよね。
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(それと比べて、あまり長生きしなかったけど、あまり嫌な世界を見なくてよかったマーラーって幸せだったのかも・・・。)
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とにかくどこもかしこも美しい音楽が溢れていて、幸せな気分だった。とくに第1幕の金の雨が降ってくるシーンと、第3幕の冒頭、間奏曲、ダナエの歌、いやもう全部良かった。
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歌手の方の印象。
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佐々木典子さんは、いつも二期会でシュトラウスを演じるときに主役を歌っておられるので、とても慣れた感じだった(ダナエ日本初演も歌っておられる)。ずいぶんベテランの歌手さんなのに、今日はホントに可愛くて清純な乙女のようだった。迫りまくるユピテルの横っつら張り倒すの、好き。(彼女の発案らしいが)
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このオペラでは大好きな役メルクールを、新国立の「ピーター・グライムズ」のボブ・ボウルズ役高橋淳さんのカヴァー代役を勤めた(素晴らしかった)糸賀さんが演じた。ワグネリアンの演出家・・・という影響か?まるでローゲのような軽妙な演技だった。放射能防護服?で放射能を計測しながら登場、防護服を脱ぐとオペを始める医者のカッコだった。黒縁めがねが可愛くて、恋をしてしまいそうだった。
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ダナエに振られまくるユピテルを、カッコイイ大沼さんが演じた。まるでヴォータンのような風貌だし、高身長で正直ダナエがこっちになびいてしまうかも、という危機感はあった。ミダス役の菅野さんは若くて美しいというよりはとても誠実そうな好青年という印象だった。
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演奏。オケの鳴りが素晴らしすぎて、何だか日本のオケということを忘れてしまった。遠い昔にラジオで聴いたサヴァリッシュ&バイエルンと遜色ないのではないか(妄想)。前の「トーキョーリング」が素晴らしかったメルクルの指揮も冴えに冴えていた。こんなマイナーなオペラをこんな凄い演奏で聴けて、ほっぺたつねってしまうほど幸せだった。
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唯一残念だったのは、演奏の話ではないけれど、私の後ろの席に座っていた老夫婦の奥様?が演奏中にひっきりなしに「うふふ」「きゃはは」と劇に反応していたので、気になってしょうがなかったこと。家で見てるんじゃあるまいし、「黙って下さい」とか言ってもだんなさんに怒られそうなので黙ってたけど。明日はいないといいな、そういう人。1階席前から8番目だったよ、その人。キモイ。
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終演後、演出家のトークショー的なものがあり、参加。聴き手は大野徹也さんとゴーカ。深作Jrさんはとっても若くて普通の可愛いオニイチャンという風情。全く悪い意味でなくよい意味での七光りなのかな。よい才能。「タンホイザー」もいいけど、将来的には「影のない女」の演出もやってほしいな。歌える歌手がいるかどうかわからんけど。

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2014年6月 7日 (土曜日)

ベーム/無口な女(1959)

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iconR.シュトラウス:歌劇『無口な女』
ハンス・ホッター(モロズス卿)
フリッツ・ヴンダーリヒ(ヘンリー・モロズス)
ヒルデ・ギューデン(アミンタ)
ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ(女中)
ヘルマン・プライ(理髪師)、他
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)

録音時期:1959年8月8日
録音場所:ザルツブルク

<あらすじ>
「無口な女かと思ったのに騙されたぜ~」からの「人生は美しい」

こないだの「アラベラ」がアレだったので、ドタバタっぽさ・カオスな感じがなんとなく似ている感じの「無口な女」を。アラベラから3年くらい後の作品。ワタシこのオペラ見たことないの。CDはずっと前から持ってるんだけど(ヤノフスキ盤)、なんかあんまり聴かないでそのまま。対訳がなくてねえ。やっぱりこの手のは対訳ないと楽しくは・・・ないなあ。その点対訳のついたサヴァリッシュ盤の「アラベラ」はありがたいなあと思った。

(そういえばこの曲の最後の感動的なアリアは、こないだの新国「アラベラ」のヴァルトナーを歌ってた妻屋さんが今年のニューイヤーオペラコンサートで歌ってたなあ。)

ちょっと前に買ったベーム・シュトラウス箱の中の一曲。これ、鼻血が出そうなほどの豪華キャストである。これくらいなんか凄すぎると「別に歌詞なんかわかんなくてもいいや」って気になる。モノラルながらなかなかよい録音で、ザルツブルグの舞台のドキドキワクワク感が伝わってくる。ホッターもヴンダーリヒもプライも、なんか今からすると神である。こんな凄い歌手たちが何人も同じ舞台に乗ってた時代があったんだよなあ。あと、そんなに好きじゃないけど、ベームのシュトラウス録音に結構な頻度で出てくるギューデンの声が妙に懐かしく感じる。

英国の劇作家ベン・ジョンソンの原作をシュテファン・ツヴァイクが台本化。ツヴァイクがユダヤ人であったためにそのあと時代的にいろいろめんどうくさいことになり上演禁止に・・・というのは有名な話。(ものすごーく昔、ここらへんのことをドキュメンタリー番組にしたのを観たんだけど、断片的には覚えているものの、今観たらもっと感動するかもなあ。どこかで見れないかしらん。)

この演奏はライブということで普通にカットが多い(ようだが、実はこの曲をあまりよく把握してないのでどこをカットしたのかわからん)。完全全曲盤のヤノフスキは3枚で、本録音は(目いっぱい録音)して2枚。同じようにカットが多くて知られる「影のない女」だってCDの枚数が増えたり減ったりまではしてないんで、それを考えると、相当短くされているみたいだ。しかもフライング拍手がまるで日本のようだ。

とはいうものの、ベーム箱はまだまだ全部聴いてないのでこれからちょっとづつ聴いてみようかなと思う。あんまり暇がないけど。うわあ。

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・先日、毎週楽しみにしていた「銀二貫」が終わってしまった(次の木曜時代劇は観るかどうか未定)。まあ、ハッピーエンドなのでよかった。林遣都さんの走りっぷりが江戸時代のフォーム?だった。(林さんは、ホントは駅伝の映画撮影中に選手にスカウトされるほど走りのフォームは綺麗なんですよ。)

・先日、夜中にやってた「プロデューサーズ」って映画を観たんだけど、あまりの内容の下らなさ・ヒドさに(これはヒドい・・・ヒドい・・・ってつぶやきながら)全部観てしまった。ミュージカルそんなに好きじゃないけど、こういうのは大好き。しかしわざと当たらなそうなミュージカルを作るって・・・こういう粉飾決算?って・・・思いつかないなあ。会社で監査の仕事をしているから妙に興味深い。「春の日のヒトラー」って(笑)。

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2014年5月31日 (土曜日)

新国立劇場/アラベッラ (2014)

R・シュトラウス:歌劇「アラベッラ」

【指揮】ベルトラン・ド・ビリー
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣装】森 英恵
【舞台監督】大澤 裕
【合唱指揮】三澤 洋史

【ヴァルトナー伯爵】妻屋 秀和
【アデライデ】竹本 節子
【アラベッラ】アンナ・ガブラー
【ズデンカ】アニヤ=ニーナ・バーマン
【マンドリカ】ヴォルフガング・コッホ
【マッテオ】スティーヴ・ダヴィスリム
【エレメル伯爵】望月 哲也
【ドミニク伯爵】萩原 潤
【ラモラル伯爵】大久保 光哉
【フィアッカミッリ】安井 陽子
【カルタ占い】与田 朝子

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

(新国立劇場・オペラパレス)

過去記事:新国立劇場/アラベッラ(2010年10月2日)

<あらすじ>
ギャンブル好きの父親のせいで破産の危機にある一家を、美人の長女が玉の輿結婚によって救う。

尾高芸術監督が2010年に就任して最初に選んだオペラ「アラベッラ」を、最後のシーズンに是非取り上げたい、ということで再演。私はその最初の「アラベラ」の初日に行ったわけなんだけどね。結局尾高さんが新国立でオペラ振ったのってなかったのかな。新国立のコンサート(英国もの)は行ったけど。あれはよかったなあ。

尾高さんにはブリテンとか(たとえば「真夏の夜の夢」とか)振ってもらいたかったけどねえ。

このラブリーなオペラ「アラベッラ」は、私はシュトラウスの中では3番目くらいに好きなオペラ。1番はもちろん「影のない女」だし、2番目は「ナクソス」かな。でも、「カプリッチョ」も好きだし、1回も生で観たことない「ダナエの愛」だって大好きだな。「平和の日」もいいしね。このヘンは日によって変わるかな。

(えー?「サロメ」はどうした、そして肝心の「バラ騎士」はどうしたって言われても。)

そんで、4年ぶり?くらいのアラベラ。キャストは外人キャストは総変わりしているものの、安定のヴァルトナー夫妻(もはや、私の中では妻屋さんと竹本さん以外にこの役は考えられないほどになってしまった)とエレメルとドミニクと占い師の人は同じである。

演出とか美術とかは変わってないはずなので(ちょっとは変わってんのかもしれないけどそんなに覚えてないもんねえ)、演奏と歌唱について(と、雑感)のみ。

まずタイトルロール。当然、前の人と比べちゃうわけだが(遠い昔に生まれて初めて観たアラベラはポップだったので、それは別格として)、世間一般の評判として全回のカウネのほうが良かったというのが多い気がする(ネットで見たところ)。しかし、私はカウネは発声があんまり好きじゃないので(ワーグナーはよかったんだけどね)、今回のガブラーちゃんも遜色ないと思う。

ガブラーちゃんは昨年「東京の春」でエファを聴いたんで聴くのは初めてではない。声はやや不安定なとこもあるけど、とりあえず普通に綺麗な人だしスタイルもいいので、アラベラ的には及第点かと。(実は、「予習」と称してようつべで映像を海外の歌劇場のでちょっと見たんだけど、カリタ・マッティラのアラベラはいかにも苦しいねえ、声も容姿も。それと比べたら全然いいと思った。)

マンドリカのコッホは大変立派な声だった。どうもバイロイトでヴォータンを歌った人だったということで、その情報を仕入れてからはもうヴォータンにしか聞こえない。外見は・・・前回のヨハネス・マイヤーとさほど変わらない。

まあ、あのハンス・ホッターだって若い頃はマンドリカは歌ってたからね。いいんでねえの。

この曲は「アラベラ」との題名ではあるが、実際には主役は妹のズデンカである。大体においてアラベラ役よりもズデンカ役のほうが(観客には)魅力的に映ってしまう。しかたないのだが。

そのズデンカ役のバーマン(パーマンではない)はホントに魅力的な歌手である。何より声も容姿も可愛い。ズボン役(そもそも女性の役なんだけど)がとても似合っているし、男の子としてのしぐさもとってもうまい。「なんかに似てるなあ」って思って考えたんだけど、若い頃のマイケル・J・フォックスみたいだった(いや、2階席から見ての印象だけどね)。

で、マッテオに恋する女の子としての演技も可愛い。この曲の公演が成功するか否かは半分くらいはズデンカにかかっている気もする。

で。

今回私が最もキュンキュンした場面は、第3幕でズデンカが「パパー!ママー!」と出てきて、事の顛末をみんなに明かすところで、愛するマッテオに。

「私、本当は女の子なの」

って言ったとこ。あのカワイイ顔で涙目で言われたら、女のあたしだってキュンキュンしちゃう。しかも、これって普通日常ではありえないセリフだなあと。もしも私が生まれ変わってまた女の子になったとしても、絶対にこんなセリフは言う機会はないだろう。少女マンガでしか見たことないセリフだ。例えばボーイッシュな女の子が主人公(僕っ子?)のマンガとか。古くは「リボンの騎士」とか「ベルサイユのばら」とか。

で、ふと思いだしたのは。

一昨日、私が会社の男の人たちと飲んでいて聞いた話。とある社員がシンガポールに出張に行って、ちょっとハメをはずしたくて、ストリートガールを宿泊先に連れてかえってしまったのだそうで。でも、コトが進んで肝心の時に。ベッドの上でストリートガールが、

「私、本当は男の子なの」

まあ、よくある話だけども(ねーよ)。

このズデンカの愛、けなげさにいつも泣かされてしまう。そして姉妹愛の独特さ。これってやっぱり姉妹のいる女の人にしかわかんない感情なんじゃないかなあ。

そんで姉妹ものとして(ふと)思い出すのが、何と言っても今話題の「アナと雪の女王」だねえ。

残念ながら私はまだこの映画見てないの。でも、これって「長女号泣映画」っていうじゃない(マンガ家の久保ミツロウさん談)。映画見たらまたそいうのがわかるかもしれない(私は次女だけどね)。もしかして、このオペラもアナ雪にちょっと参考にされてるのかも?(え、そんなクラヲタはディズニーにはいませんって?)

そういえば。

このオペラの最後の最後、アラベッラはこんなふうに歌うよ。

「私は別のものになることはできません。
どうか私のありのままを受けてください。」

・・・

他、歌手の方々の中ではフィアカーミリの安井さんがチャーミングな美声で印象に残った。あと、歌手のことではないけど、マッテオの役のクズっぷりはいつもながら凄い(シュトラウスはテノール歌手嫌いで有名だからね)。なんであんな男にズデンカは身も心も尽くすのか・・・。

最後に、指揮者について。

どうも前のシルマーの指揮が普通に好演だったのでそれが印象に残っている。ド・ビリーも褒めている人は多いものの、私はテンポを早くしてほしいところ(例えは、第一幕でマンドリカがどうやってお金を作ってウィーンまで飛んできたか、と語るシーンとか)がどうもゆるく感じるので、なんか釈然としない。まあよいところもあったのだが。オケは先週のカヴァパリ同様よかったのですが。

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2014年2月27日 (木曜日)

ベーム箱のボーナストラックは結構良い件

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ベーム箱、10枚組を1,2と二つ買いまして。
まあ、着々と20枚を(断片的に)聴き進めているつもりなんだが。

なんだかなあ。

結構辛いわ。待望の1955年デッカ録音の「影のない女」は「録音古い」って書いちゃったけど、収録されてる他の曲を聴くとほんとにこのフラウは、年代にしてはずば抜けて素晴らしい録音ってことがわかる。普通に聴けるもん。

1958年のDGの「薔薇の騎士」とか、セッション録音でステレオ収録のはずなのにかなりガサガサした音で辛い。これでドレスデンのオケを堪能するのはキツイ。ゼーフリートやシュトライヒの名唱にはキュンとなるけれども。他もどれもこれもキラ星のごとく昔の名歌手の歌を録音しているけど、何だか悲しくなってくる。前はフルトヴェングラー&フラグスタート・マニアだったもんでヒストリカル耳なつもりなのに。ああ。

比較的普通のレベルで聞けそうな気がするのは、「エレクトラ」(ステレオ)と「無口な女」(モノラル)かなあ。あとは結構キツイなあ。まあ暇になったら全曲トライしてみるが。

その中で、これは楽しいなあと思うのが、パート2の最後に入ってる10枚目のボーナストラックである。1940年前後のドレスデンとウィーンでの断片的な録音集である。

まあ、一曲目のあまりに貧相な録音のサロメのヴェールの踊りはおいといて。(最初のほう、何の曲かもわからんくらいだ)

「ダフネ」「影のない女」「アラベラ」「カプリッチョ」「ナクソス」の一部がドレスデンとウィーンのライブで入っている。とくにドレスデン・シュターツカペレのオケがすごくいい(ダフネとか死ぬほどいい)。さすが!ドレスデンって感じ。シュトラウス演奏にかけてはウィーン・フィルと互角だなって思う。わりと疑似ステっぽくなってるので聴きやすい。

それと、なかなか歌手がよいのがありがたい。7割方(古すぎて)知らん歌手なのだが、スタイルは古いながら結構みんなうまいんだよね。Margarete Teschemacherの歌うダフネやアラベラが(やや時代を感じるけど)素敵な歌唱。Torsten Ralfの歌うアポロや皇帝は聴いててしびれるくらいの美声。あんなに素晴らしい素晴らしいと(あたしが)言ってた55年「影のない女」の、皇帝歌ってるハンス・ホップフはちょっと古臭くてテノーラルな魅力に欠けるなあ・・と常々惜しいと思っているけど、このTorsten Ralfのリリックな美声はいいわ。もっと聴きたいなあ。

マンドリーカ歌ってるMathieu Ahlersmeyerって人もかなり美声でうっとりと聞かせるし、最後の最後、「アリアドネ」のバッカスは有名なヘルデンテノール、マックス・ローレンツでこれも聞かせる。

まあ、比較的聴き所が入っているので録音が古くてもうんざりしないで聴ける。
なんかボーナストラックがいいってのも珍しいんだけど、もしかしてヒストリカルに慣れるためにここから聴いてみるってのも手かも・・・。

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終わってしまったオリンピックについて語りたい!語りたいと思いつつ、だんだんと時が経ってしまうだ。私の今回の胸キュンポイント、清水れるひ選手と平野あゆむ選手とリプ子について語りたいがまた後日。

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2014年2月21日 (金曜日)

ベーム箱、買う。

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ベーム・シュトラウス(激安)オペラ箱をついに入手。パートⅠもⅡもいっぺんに買ってきた。まだ何かもったいなくて、「影のない女」の第一幕しか聴いてない。

ウチにあるベームの「影のない女」(この曲の世界初録音だとゆー)のレコードはレコード最末期に輸入盤の新品で入手したものだけど、さすがにもうすり減ってきて老後が心配。ここでCD化されたことを素直に喜びたい。

過去記事:ベーム/DECCA盤・影の無い女

まあ、音はというとやっぱり1955年ステレオ最初期録音。やっぱり古い。昔の最初期のカラー映画を見ているような感じ。現在のサヴァリッシュ盤とかショルティ盤とか聴きなれていると慣れるまでちょっと辛い。しかもレコード盤に慣れていると「地の底から湧きあがってくるような有難い音」はやや希薄な気がする(このレコード聴くときはいつも正座して聴いてる)。たぶん、状態のいいレコードから起こしたのではないかと思う、隣の溝から音を拾っちゃったりするので。(どうなんだろう・・・やっぱり本家デッカが復刻盤を出すべき?)

しかし。

ベーム77年新盤と比べると(歌手はもちろん77年盤のほうがぜんぜん豪華である)、音の録り方が圧倒的に違う。ライブとセッションの違いというより、55年のデッカの技術がとんでもなく素晴らしかったのではないか。77年盤はオケが平坦な感じ(あくまで音が。演奏は素晴らしい)。

第一幕で言うと。冒頭の「うば」と「伝令使」の場面。弦のアンサンブルの何と言う美しさ。ことにうばの歌う「彼が彼女を欲しなかった夜は12カ月のうち一晩もなかった」というあたりのオケのエロティックさは、歌詞のエロティックさを遥かに超えている。ベーム新盤でもショルティ90年盤でも(ウィーン・フィルが全く同じ事をしているのに)こんな音はしない。例えて言えば物凄く腕のいい弦楽四重奏団が何個も集まって演奏しているような。何人かの弦楽器の音がひっからまっているのに、一人ひとりの音がちゃんと聴こえるのである。すごーく昔の録音なのに。

(そう思うと、ウィーン・フィルでないサヴァリッシュ盤はずいぶん頑張ってる感。)

それと、木管楽器の音がホントに鳥がさえずっているかの如く生き生きととらえられてるのもいい。ホント、聴いてもらいたいわ。始めのほうだけでも。

あと・・・レコードをひっくり返さなくていいっていうのと、同じとこ何回も聞いても盤が減る心配をもうしなくていいことが何よりも素晴らしい。今さら何言ってるの?いつの時代の人なの?って思われるかもしれんが。

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