グリエール/イリヤ・ムロメッツ
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グリエール:交響曲第3番「イリヤ・ムロメッツ」
ドナルド・ヨハノス指揮/チェコスロヴァキア放送交響楽団
過去記事:荒川選手の原点/グリエール・赤いけし
ロシアのまーまー知ってる人は知ってる作曲家、グリエールって言ったらバレエ音楽「赤いけし」。そう相場は決まってる。少なくとも私にとったら。
しかし。グリエールは、実は交響曲も素晴らしい。それどころか聴いていて「ひょー!」と叫んでしまうほどかなりの傑作であるぞ、この交響曲第3番。ま、このCDはね、ずっと聴かないまま死蔵されてたの、ウチに。で、今日ふと思い出して聴いてみたのです。
いやー、交響曲というよりは、劇音楽に近い。つか、昔の映画音楽とかに近い。壮大な力強さはロシア音楽というよりワーグナーの管弦楽曲にも近いかも。壮大でありながら叙情的な部分は非常に瑞々しい響き。また第2楽章の官能的な響きはR・シュトラウスを思わせる。
しかも、交響曲のくせに75分半もある。演奏するほうも疲れそうである。
「イリヤ・ムロメッツ」という物語はちっとも知らなかったのだが、調べてみたら結構面白いというか奇想天外、ロシアのドン・キホーテ(ディスカウントショップではない)って感じの物語であった。
なげぇので、かいつまんで。
ロシアの口承抒情詩「ブィリーナ」に登場する英雄の物語。
イリヤは老夫婦が子供が授かるように祈った末生まれた子だったが、生まれつき手足が動かなくて30歳まで家を出たことがなかった。
しかし、ある日3人の旅の老人が家を訪れイリヤに声をかけると彼は立ち上がり、薬によって強大な力を得た。老人たちは「国を乱す者と戦い弱い者を助けるためにこの力を使う」ことを約束させて去る。
イリヤはキエフを目指して旅立つが、その途中巨人スヴャトゴルの妻サルイゴルカに誘惑される。サルイゴルカは応じなければイリヤに乱暴されたって言いつけるわよというんで、しかたなく彼は応じる。しかしスヴャトゴルに見つかる。イリヤは正直に話しスヴャトゴルは妻を追放、イリヤとは兄弟の契りを交わす。
二人は旅を続けるが、スヴャトゴルは巨大な棺に入れられて死ぬ。このときスヴャトゴルの体から泡が溢れ、イリヤはこの泡を身につけるとスヴャトゴルの力と勇気を受け継ぐ。
イリヤはチェルニーゴフの町に着き、町を包囲していた軍勢を追い払った。人々に恐れられていた盗賊ソロウェイの右目を射抜き捕らえた。
キエフに着くと、太陽公ウラジーミルに迎えられ英雄たちと交誼を結ぶ。この地の幽霊や城に住む化け物を退治する。
しかしある日ウラジーミル公が宴会を開いたのにイリヤを招くのを忘れた。怒ったイリヤは町の建物を破壊して売って金にし、町の酒場で宴会を開く。ウラジーミル公は謝罪し、あらゆる酒場を貧乏人に3日間開放することを条件に仲直りする。
年老いたイリヤの前に強敵ボドソコリニクが現れ、互角の戦いになるが、相手は実は自分の子(サルイゴルカとの子)であることを知る。いったん二人は和解するが、ボドソコリニクは気が変わって槍でイリヤを刺す。しかし、イリヤは付けていた十字架に槍が当たって助かる。イリヤはボドソコリニクを雲の高さまでぶん投げて殺す。
ママイ率いるタタールの大群がキエフを襲う。イリヤはママイを殺し、5日間の戦いの末勝利する。しかし仲間の一人が慢心の言葉を吐いたため、敵軍の死者たちが起き上がり、5倍にもなって大群で襲ってきた。6日後また敵は増えた。イリヤが後悔の祈りを捧げると敵は地に倒れ伏し、勇士たちは全員石像と化した。
曲の構成は以下の通り。
第1楽章「さまよえる巡礼者、イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール」
第2楽章「山賊ソロウェイ」
第3楽章「ウラディーミル公の美しき太陽宮殿」
第4楽章「イリヤ・ムロメッツの武勇と石化」
こんなふーに。筋書きはあまりに奇想天外すぎて一瞬ヒクが、曲は本当にイイ。(昔話なのに何故か数字に細かくて、やたら3の倍数や5の倍数とか出てくるからいちいち「世界のナベアツ」を思い出した)
コレ知らない方は是非聴いてみて(この曲がどのくらい有名なのかは知らんが)。ナクソスの他にもいくつか録音はあるみたいだが、とりあえずこのナクソス盤の演奏は壮大で迫力があり素晴らしい。
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