2023年6月25日 (日曜日)

森本隼太 ピアノ・リサイタル2023「幻想」 銀座王子ホール

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ラモー:新クラヴサン組曲より「ガヴォットと6つの変奏」「サラバンド」
ショパン:幻想ポロネーズOp.61
ブラームス:幻想曲Op.116
バッハ/ブゾーニ:半音階的幻想曲とフーガ
モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
リスト:ダンテを読んで~ソナタ風幻想曲 S.161
(6月24日 銀座王子ホール)

18才の巨匠(私が勝手に呼んでいるだけ)、森本隼太 さんのピアノ・リサイタルに行ってきた。王子ホール は初めて行ったが、ロビーや階段に絵画が貼ってあったり色々豪華だった。王子製紙のコンサートホールである。

曲順はプログラムとは変わって、いきなり幻想ポロネーズから演奏。昨年浜離宮でも演奏を聴いたけど、今回は前から2番目の席だったので、この時も幻想ポロネーズは弾いたが迫力が倍増。ただ、クラシックのリサイタルでは別になくてもいいと思うのに、本人によるMCとかたどたどしい曲目紹介が相変わらずで、微笑ましくて観客の笑いを誘っていた。たまに出る京都弁もかわいらしい。いやはやずっとこんなでいて欲しい。

ラモーは本当に好きなんだなあ、と思うくらい楽しさが伝わってきたし、ブラームスからは何かが彼の体に入って来たのかな、と思うような入神の演奏。バッハ/ブゾーニは流石にイタリアに留学してイタリア人師匠に習ってるだけあるなあと思うし、モーツァルトの解説は面白かったし。でも何と言っても最後のリストの何かに取り憑かれたような演奏が凄かった。前は気付かなかったが演奏中は終始鼻歌を歌ってたり唸ったり、自由な感じだった。アンコールは2曲でマズルカ13番と2曲目は・・・(貼りだされてなくてわかんなかった。あとでHPで確認)

コンサートとは関係ないが、隣の席のご婦人の香水がかなりきつくて、マスクしててもなおしんどかった。外国のオペラハウスではたまーにそういうことはあったが日本ではそうそうない。「出かけるときに旦那さんに言われませんでした?」とか聞きたいくらいだった。

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それにしてもまあ、こんなご時世なのに普通にチャイコフスキー国際コンクールが開催されているようで、普通にYouTubeで中継されている。司会者やスタッフは終始にこやかで、何事もなかったように画面に出ている。ピアノ部門では2名ほど日本から出ているようだが(他の部門は知らん)、どうか何事もなく無事で帰国して・・・いやよい成績を挙げられますようお祈りしています。

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2023年4月16日 (日曜日)

シマノフスキ/スターバト・マーテル ウルバンスキ・東響(サントリー)

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プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」より
モンターギュ家とキャピュレット家
 情景
 朝の踊り
 少女ジュリエット
 仮面
 ロメオとジュリエット
 踊り
 タイボルトの死
 朝のセレナーデ
 百合の花を手にした娘たちの踊り
 ジュリエットの墓前のロメオ
 ジュリエットの死
コネッソン:Heiterkeit(合唱とオーケストラのためのカンタータ)
シマノフスキ:スターバト・マーテル op.53
サントリーホール
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
東京交響楽団
ソプラノ:シモーナ・シャトゥロヴァ
メゾソプラノ:ゲルヒルト・ロンベルガー
バリトン:与那城敬
合唱:東響コーラス 合唱指揮:富平恭平
(4月15日 サントリーホール)

過去記事:ウルバンスキ/東響 シマノフスキ/ヴァイオリン協奏曲第1番、カルミナ・ブラーナ (川崎)

ウルバンスキがシマノフスキのスタバト振るので楽しみにしていた演奏会。前回聴いた彼の演奏会はシマノフスキのヴァイオリン協奏曲だったけど、それも素晴らしかったけど、わたし的にはシマノフスキの本領は声楽曲とオペラだと思ってるんで。

ロメジュリはまるで踊るような、いや何だかシェフが踊りながらパスタを料理しているような、そんな雰囲気の指揮。ハッスルしすぎて指揮台から足を踏み外しそうになることも。驚異的な記憶力なのか相変わらず譜面台はなく。あんまりプロコフィエフ聴かないので色々詳しい感想は書けないけど、冒頭から東響のダイナミックな響きで震える。組曲の並びはウルバンスキがセレクトしたそうで普通と違うらしい。バレヲタさんは曲聴いただけで映像が目に浮かび、涙が出るとの感想も。わしゃこの曲はテレビで英国のロイヤルバレエの舞台を見ただけだからよくわかんないんだけど、それでも感動。先日オーチャードの音の悪さに辟易してたのでサントリーってやっぱり音がいいな。

休憩後。合唱団の皆様登場。以前ウルバンスキの演奏で聴いたときに、「カルミナ・ブラーナ」の合唱団の人数の少なさにがっかりしたものだったが、この日はちゃんと普通の人数がいらっしゃった。

日本初演の(この指揮者に委嘱されたという)ハイターカイト?という曲は、現代曲というので怯えていたのだが、聞き始めてホッとするくらい、爽やかな聞きやすい合唱曲。ドイツ語だし普通に日本の合唱団のレパートリーに歌われてもいい感じ、知らんけど。存命の作曲家だから使用権とかあるのかな。初期のウェーベルンみたいな爽やかさ。

シマノフスキのスターバト・マーテル。ウチにあるCDは「ポーランド音楽100年」36枚組の中の一枚でカスプシク指揮ワルシャワ・フィルのそりゃあもう本場ものだからそれと比べちゃあ気の毒だけど(あと、ラトル盤も所持)、とにかくプロオケで生でシマノフスキの声楽曲を聴けたのが本当に嬉しくて、幸せだった。合唱団、ポーランド語みんな頑張った。指揮者以外ポーランド人じゃないのに。外国からいらっしゃったソプラノの方、まるでシマノフスキのオペラ「ロジェ王」のロクサーナのアリアのよう、清らかな歌声、メゾの方の深い声も素敵。与那城さんもよい声でかっこよく歌われてたし。

対訳の電光掲示板がなかったので必死に解説書の対訳を追っていたけどまあ、オペラじゃないのでそんなに筋書とかないんだけどね。静かな曲のせいかとくに大きなブラヴォーもなかったけど、聴衆はとても感動していたようで、オケ・合唱団はけたあとも観客居残りで拍手、歌手も含めて指揮者再登場。いやあ、まあほんと・・・あのう言いづらいんだけどノットの次の常任どうです?(あー、もしこの指揮者が常任指揮者になったらシマノフスキたくさんやってくれるかも、交響曲第3番「夜の歌」もやってくれるかも、ポーランド語余裕じゃないですか?東響コーラスのみなさん。)


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入り口でもらうコンサートのチラシの重さにビックリ。まあ、コロナ前はこんなんだったかな。

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2022年12月 2日 (金曜日)

W杯はポーランドを応援

日本人なのでもちろん一番に日本を応援しているが、その他ではポーランドを応援している。例によってにわかなので、ポーランドの選手はレヴァンドフスキしか知らんかったが、今はゴールキーパーのヴォイチェフ・シチェスニに注目。メッシのゴールを親の仇にみたいに止めまくる。

早速インスタをフォローしたが、世界中のサッカー選手の例に漏れず、ヨメは美人だ。ヨメはマネキン人形のごとく整ったウクライナ美人。クルクル巻き毛の息子さんもカワイイ(たぶん。顔はあまり写ってないので)。ヨメとは結婚6年とのこととで、結婚記念日?だかの時のインスタには「結婚して6年目。彼女がどうやって私を我慢するのかまだ理解できません」とのコメントで(もちろんポ語で、自動翻訳)、何だかとってもいいヤツだな、と思ったし、今日のニュースで観たインタビューで「パパはまだ帰れないぞ!」と決勝トーナメント進出の喜びを表現。なんとなくだけど、昔のドイツのゴールキーパーのオリバー・カーンを思い出す(別に顔は似てないけど)。

ポーランドの試合は(だいたい)見てるんだけど、国歌「ドンブロフスキのマズルカ」はいつも一緒に歌うし(歌詞はところどころしか知らんので♪フンフーンみたいな感じ)、次の試合も是非がんばって欲しい(優勝するとはもちろん思ってない)です。

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2022年10月 8日 (土曜日)

ヴィエニアフスキ・ヴァイオリンコンクール オープニングコンサート

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V. Polevá – Nova
A. Dvořák – Concerto in A Minor, Op. 53
Encore: I. Loboda – Requiem for Freedom
M. Karłowicz – Symphony in E Minor 'Rebirth', Op. 7
Veriko Tchumburidze – violin
First Prize Winner of the 15th International Henryk Wieniawski Violin Competition in 2016
Warsaw Philharmonic Orchestra conducted by Andrzej Boreyko

ヴィエニアフスキ・ヴァイオリン・コンクールが始まった。昨日の夜中にボレイコ指揮ワルシャワ・フィルのオープニングコンサートがあったので、YouTubeの生配信で観た。ヴィエニアフスキと冠ついてるのに彼の曲は演奏しない(鬼!)。Victoria Vita Poleváというウクライナの女流作曲家による曲に始まり、前回優勝のヴェリコ・チュンボリゼのソロによりドヴォルザークの協奏曲、そして(わたし的に)メインのカルウォーヴィチの復活交響曲である。

ボレイコのワルシャワ・フィルではつい何日か前に「復活」交響曲の生配信を聴いたばっかり(ただしマーラーのだけど)。ナマではこの指揮者は聴いたことないんだけど、こないだのショパコンから一番生配信を見てる指揮者となった(単にワルシャワ・フィルをチャンネル登録してるからなんだけど)。

ワルシャワ・フィルの音楽監督ボレイコは父親がポーランド人、母親がロシア人とのこと。ふと思ったけどアンドレイって名前のはずなのにポーランド表記だとアンジェイってポーランド名前になるのね。

Poleváという作曲家の曲はとってもかっこいい。管楽器のファンファーレがメインみたいな、オリンピックの開会式で演奏されたらぴったりみたいな曲。

カルウォーヴィチ(1876 - 1909)の交響曲は滅多に演奏されないけど、本国ポーランドではどうなのかな。私はアマオケさんの演奏で一回聴いたきりだ。20代で書かれたものだから若書きで、ほどんどチャイコフスキーの「悲愴」かな?とか思わせる部分も多いけれど、チェロのソロの入る美しい第2楽章や、ホルンのファンファーレから始まる輝かしい終楽章など、聴きどころは多い。ハンス・ロットの交響曲がお好きな方なら何か感じるものがあるかもしれない。

さて、今年のコンクールだが日本人出場者は、前田妃奈さん(2020年東京音楽コンクール覇者)、坪井夏美さん、内尾文香さんと、弓場多香子さん、日系ドイツ・ポーランド人のカスプシャック 舞彩 アレクサンドラさんとのこと。今日は弓場さんの予選。キングオブコントと被ってキツイけど、予選からみんなめっちゃうまいぜ。中ではDayoon YouさんとZhixin Zhangさんが素晴らしかったなあ。ところで、チャットがポーランド語で全然わかりません。ショパコンではあんなにみんな口をすっぱくして「英語でチャットしましょう」って言ってるのにね。

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10月からうちの部署に大学卒の新人が配属された。私はとある企業の末端子会社の社員で今は(何故か抜擢されて)親会社に出向中なのだが、さすがに新人は「いかにも企業が好みそうな逸材」感がすごく、明るくてハキハキしていて、先輩の言うこともよく聞き、私のつまらぬ冗談にも爆笑してくれるし、まだ1週間しか経ってないのにかなり好印象。俗にいうイケメンというよりはガタイがよくて(大リーグとかで活躍してそうな)スポーツ選手とかそんな感じ。本当は喜ばしいことなのだけど、何分にも「本当は陰キャでかなり無理をして明るく仕事している」私からすると眩しすぎて辛い。いや、いい子なんだけど、今の部署に出向しなかったら絶対出会えないようなタイプだ。長続きするといいが。

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2022年8月22日 (月曜日)

ショパンと彼のヨーロッパ音楽祭2022 リンク集

ショパン国際音楽祭(Fundacja Miedzynarodowych Festiwali Chopinowskich)

Recital fortepianowy
AIMI KOBAYASHI
Johann Sebastian Bach (1685–1750)
II Partita c-moll BWV 826 (17リンク
Sinfonia
Allemande
Courante
Sarabande
Rondeaux
Capriccio
Johannes Brahms (1833–1897)
4 Klavierstücke op. 119 (1893)
Intermezzo h-moll Adagio
Intermezzo e-moll Andantino un poco agitato
Intermezzo C-dur Grazioso e giocoso
Rapsodia Es-dur Allegro risoluto
Fryderyk Chopin (1810‒1849)
Scherzo h-moll op. 20 (1834–1835)
Scherzo b-moll op. 31 (1836–1837)
Scherzo cis-moll op. 39 (1839)
Scherzo E-dur op. 54 (1842–1843)

Recital fortepianowy
KYOHEI SORITA
Fryderyk Chopin (1810‒1849)
Rondo à la Mazur op. 5 (1825–1826)
3 Mazurki op. 56 (1843–1844)
H-dur
C-dur
c-moll
Ballada F-dur op. 38 (1839)
Largo Es-dur (1847)
Polonez As-dur op. 53 (1842–1843)
Franz Schubert(1797–1828)
Sonata fortepianowa A-dur D 959 (1828)
Allegro
Andantino
Scherzo. Allegro vivace
Rondo. Allegretto

ショパンの生家にて日曜リサイタル(Sunday Chopin Recitals in Żelazowa Wola )

14 August 2022
Aimi Kobayashi
Programme:
Fryderyk Chopin:
24 Preludes, Op. 28
Scherzo in B flat minor, Op. 31

3 July 2022
Martín García García
Programme:
Fryderyk Chopin:
Impromptu in G flat major, Op. 51
Mazurkas, Op. 50
No. 1 in G major
No. 2 in A flat major
No. 3 in C sharp minor
Prelude in A flat major Op. 28 No. 17
Prelude in E flat major Op. 28 No. 19
Prelude in F major Op. 28 No. 23
Sonata in B minor Op. 58

26 June 2022
Hyuk Lee
Programme:
Fryderyk Chopin:
Nocturne in B major, Op. 62 No. 1
Waltz in A flat major, Op. 42
Scherzo in C sharp minor, Op. 39
Barcarolle in F sharp major, Op. 60
Etude in C sharp minor, Op. 10 No. 4
Etude in E major, Op. 10 No. 3
Polonaise in A flat major, Op. 53

ショパンと彼のヨーロッパ音楽祭(18th Chopin and his Europe International Music Festival)

14-31 August 2022
14.08.22
Programme:
Stanisław Moniuszko
Nijoła
https://youtu.be/UfB4i4QM4us
Moniuszko Hall of the Teatr Wielki – Polish National Opera
Inaugural concert
Performers:
Natalia Rubiś soprano
Paweł Konik baritone
Krzysztof Bączyk bass
Roman Chumakin baritone
Paulina Boreczko mezzo-soprano
Kalina Młodożeniec
Kacper Pniewski
Jerzy Radziwiłowicz reciter
Danuta Stenka reciter
Podlasie Opera and Philharmonic Choir
Violetta Bielecka choir director
Artos Choir – children’s voices
Danuta Chmurska choir director
Europa Galante
Fabio Biondi conductor

Warsaw Philharmonic Concert Hall
Piano recital
Performers:
Alexander Gadjiev piano
Programme:
Fryderyk Chopin
Prelude in C sharp minor Op. 45
Polonaise-Fantasy in A flat major Op. 61
Sonata in B flat minor Op. 35
Robert Schumann
Fantasie in C major, Op. 17

Warsaw Philharmonic Concert Hall
Piano recital
Performers:
Martín García García
Programme:
Johann Sebastian Bach
Partita in B flat major, BWV 825
Ferenc Liszt
Sonata in B minor, S. 178
Fryderyk Chopin
Waltz in E minor, WN 29
Waltz in C sharp minor, Op. 64 No. 2
Waltzes, Op. 34
No. 1 in A flat major
No. 2 in A minor
No. 3 in F major
Sonata in B minor, Op. 58

Moniuszko Hall of the Teatr Wielki – Polish National Opera
Performers:
Kyohei Sorita piano
https://youtu.be/r198ker8Hmw
Programme:
Johann Sebastian Bach
Chaconne in D minor BWV 1004 (arranged by Ferruccio Busoni)
Johannes Brahms
“Es ist ein Ros entsprungen” in F major Op. 122 No. 8 (arranged by Ferruccio Busoni)
6 Klavierstücke, Op. 118
Fryderyk Chopin
Prelude in C sharp minor Op. 45
Piano Sonata in B minor Op. 58



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2022年6月25日 (土曜日)

ポーランド音楽の100年<1925~1927>

このシリーズ、やっと再開。誰も待ってないし読んでもないかもだけど、主に自分のためにやってます。翻訳があんまりうまくいってなくて読みにくくてすいません。なんとなく想像して補完して下さい。

CD4

1. 1925年
アレクサンデル・タンスマン:ピアノ協奏曲第1番
ヴァルデマル・マリツキ(P) アンドレイ・ボレイコ指揮 カトヴィツェ・ポーランド放送SO

(解説書より)
タンスマンは裕福なユダヤ人の家庭に生まれた。1915年に彼はワルシャワ大学で法と哲学を学び、ピョートル・ライデルの元で和声と対位法を学び、ヘンリク・メルサーに作曲を学んだ。その後パリに渡り、フランスの芸術コミュニティと交流する。モーリス・ラヴェルとの友情からサロンや出版社に紹介された。1920年代から30年代には著名なピアニストとして数多くのコンサートに出演し国際的ツアーをし、前例にないほどの成功を収めた。1938年、タンスマンはフランス市民権を得た。
が、彼はユダヤ人であったため、1941年にチャップリンの助けを得てアメリカに亡命、1946年にはフランスに戻り死ぬまでフランスで生活した。
タンスマンの作品は新古典主義と美的に適合し、とくに1960年以降に書かれた彼の音楽の独特の和音の構造は「タンスマン和音」と呼ばれていた。
このピアノ協奏曲第1番はセルゲイ・クーセヴィツキーの依頼で書かれ、パリ・オペラ座で作曲者のソロで初演され大成功を収めた。

(追加)
軽妙洒脱、和音と不協和音が程よく融合されて当時のフランスやロシアでもてはやされそうな感じ・・・ラヴェル+プロコフィエフ+ストラヴィンスキーといった作風かと。1933年の来日時には(来日してるんですよタンスマン!)新交響楽団と共演、自作のピアノ協奏曲2番を演奏してラジオ放送されたそう。チャップリンに献呈された2番のほうが有名なのかな。

2. 1926年
シマノフスキ:スターバト・マーテル Op.53
2.アレクサンドラ・クジャク(S) アグニェシュカ・レーリス(Ms) アルトゥル・ルチキンスキ(Br) ヤツェク・カスプシク指揮 ワルシャワPO&cho

(解説書より)
この「スターバト・マーテル」を作曲するきっかけとなったのは、パリの芸術のパトロンであるエドモンド・ド・ポリニャック王女(ウィナレッタ・ シンガー)によるオラトリオ の作曲依頼だった。シマノフスキはヤロスワフ・ イワシュキエヴィチに彼とのコラボレーションを呼びかけ、「農民のレクイエム」というタイトルと内容の概要を提案した。だがレクイエムの作曲は、妹の娘の悲劇的な死によって中断された。その直後、ワルシャワの起業家であり、亡くなった妻のイザベラを記念したいと考えていた芸術のパトロンであるブロニスワフ・ クリストールからの依頼が来た。テキストはヨゼフ・ヤンコフスキによるポーランド語訳による。 シマノフスキーは次のように説明し ている。
「 私が努力していたことは内なる実験であり、同時に魂の秘めたる生活の中で最も無形である何かに強力で簡潔な形を与えることでした」

全体は、いわば2組の 3つのムーブメントの章で構成されており、無伴奏の合唱が2番目の章を展開している。 このフレームワークでは、中央の劇的な楽章は、周囲の瞑想的な動きとの瞬間的なコントラストを表している( シマノフスキ「賛美歌の本質的な内容は、その外部の『ドラマ主義』よりもはるかに深いです 。 したがって、その前に沈黙と集中を維持しなければなりません!」)。

3. 1927年
スタニスワフ・ヴィエホヴィチ(1893-1963):ホップ ~ シンフォニー・オーケストラの為の婚礼の踊り
ウカシュ・ボロヴィチ指揮 カトヴィツェ・ポーランドRSO

(解説書より)
スタニスワフ・ヴィエホヴィチは、クラクフの音楽協会音楽院、ヘラーアウ(ドレスデン近郊)のエミール・ジャック・ダルクローゼ研究所、 ペトログラードのロシア帝国音楽院で学んだ。1921年、彼はポズナンに引っ越し、 州立アカデミーと音楽学校で働き、他のアンサンブルの中でも特にエコー男声合唱団を率い、同時にポーランドの歌手サークルの芸術監督を務めた( 彼のイニシアチブでポズナン・オラトリオ協会に発展した)。彼 の活動の中心は、ジャーナリズムと音楽批評であった。1926年から27年にかけて、彼はパリのスコラ・カントルムで教育を続けた。彼はパリの若い ポーランド人音楽家協会の創設メンバー兼副会長であった。1945年、クラクフの州立音楽学校に所属し、亡くなるまで作曲科の教授を務めた。 彼 はまた、学長および複数の学部長に任命された( 教育部、音楽教育学および声楽、器楽、指揮)。 ヴィエホヴィチの作品は、大部分が合唱曲で構成されている。彼の管弦楽の作品の中で、最も頻繁に演奏されるのはこの「ホップ」と、「大管弦楽のための旧市街協奏曲」(1954年)である。

この「ホップ」という楽曲は、おそらく"Oczepiny"(花嫁の除幕式)と題された計画された組曲の最後の楽章を表すことになっていたようだ。この曲の特定の典型的な振付け要素、特に繰り返しは、それがストラヴィンスキーの楽曲「結婚」へオマージュであるかどうかは不明である。しかし、それは偶然の一致であるとは考えにくい。この作品は、ポーランドのほぼすべての地域でさまざまなバージョンで知られている古語( ペンタトニック- 5 音階に基づく)の歌に基づいて作られている。
Karol Stromenger は、ワルシャワフィルハーモニーホールでのコンサートの後にこう述べた。「ポリリズム効果のある粗野なダンスバーレスクで、生き生きと力強い。」

指揮者グジェゴシュ・ フィテルベルクの熱意のおかげで、この「ホップ」はすぐに人気を 博した。 ポズナンでの世界初演(1929年)の後、ワルシャワ(1929 年)、ザグレブ(1931 年)、 ルクセンブルグ、 ブリュッセル、 ウィーン(1936 年)、 ブエノスアイレス(1937年)、 パリ(1937年)、アテネ(1938)、 ニューヨーク(1939)、 モントリオール(1943)で上演された。 

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2022年5月29日 (日曜日)

アリス=紗良・オット ピアノリサイタル(所沢ミューズ)

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話題のリサイタル。明日のサントリーホールで彼女の日本ツアーは終わりだそう。東京人なのにサントリーじゃなくて何で所沢まで行ったのかというと、言うまでもなく券が安いからである。サントリーは1万円するが所沢はS席でも5000円。私はB席(4500円)をちょっと前にとった。所沢までは1時間ちょっとかかるけど、交通費は往復で千円くらいなんで。駅からちょっと歩くけど・・・。

駅のスーパーでいつものようにさやま茶のペットボトルを購入。狭山茶のちょっといい方のお茶っ葉も買った。狭山茶、あんまり苦くないし甘いので大好き。実は近所でも狭山茶の新茶が出てたので買って飲んでるんだけど、本場のほうが美味しいかもって思って(値段は一緒だが)。

さて皿夫。私はナマで彼女の演奏を聴くのは初めてである。「わっ24の前奏曲やるんだ行こうかな」って思って券取ったけど、なんかいろいろ普通ではない。ショパンの24の前奏曲の合間に彼女がチョイスした現代の曲を挟んで、しかもデミレルって人(建築家)の各曲に合わせたビデオ・インスタレーション付である。同じ曲目のCDはすでに売られており(未聴)、同様のリサイタルはロンドンを皮切りに世界中で行われているとのこと。

正直、「24の前奏曲だけ純粋に聴きたい」などとも思ったが、今回の出し物はリサイタル・・・というよりパフォーマンスであるよう。ショパンの24の前奏曲は、昨年ショパン・コンクールにて小林愛実さんが見事な演奏をしたが、その時は(私は)「前奏曲集というより彼女の生きざまのよう」と思ったが、アリスさんはショパンの曲をもっともっと拡大して本当に彼女の人生そのもの(Echoes Of Lifeという題名だからね)を表現しているのだ。

アリスさんはいつものように『はだし』で登場。ボブヘアに青いジャケットのパンツスーツが素敵である。マイクが用意されていて聴衆に向かって椅子に足を組んで座り、気さくな感じで解説を始めた。すべてが彼女の考え抜かれたパフォーマンスなのかな。

場内が暗くなって演奏が始まる。彼女の親友でよく共演するフランチェスコ・トリスターノの曲。この一連のパフォーマンスのために作曲してもらったそう。映像は幻想的な曲に合わせて宇宙の星々。彼女の(ピアニストとしての)誕生を表しているのかな。それに続く、ショパンの(よく知ってる)曲たちは、今まで聞いたこともないくらい透明で美しい。きらきらしている。なんか格が違うって思った(←何と比べてというわけではないが)。映像はそのあと窓?のような四角いものから、建物がだんだん形作られてきて、図書館?の巨大なもの・・・と移り変わる。ピアニストとしての彼女の形成を表しているのかな?

途中途中の曲の感想を書いていくときりがないので省略するが、とくに印象に残ったのはペルトの「アリーナのために」。この曲はこないだセルゲイ・ババヤンのリサイタルの時に選曲されていたにも関わらず「こんな世界情勢でこの曲は弾けない」などと却下されたものである。だもんで、聴けて嬉しかったが・・・この曲のときだけ映像がなくなった。真っ暗な中で演奏。前もって入口で渡されたプログラムの解説を読んでいたのだが、この曲は彼女の「多発性硬化症」発症・医者からの宣告を表現しているそう。とても暗く、奈落の底に突き落とされたような感じの曲だ。

私は(全然違うけど)かなり前にある病気を患って、医者に病気を宣告されたときのことを思い出した。まさに・・・こんな感じだった(演奏を聴いてちょっと泣きそうになった・・・まあ、私は手術の結果は悪性のものじゃなかったから全然生きてるけどね)。アリスさんの病気のニュースは、とくにファンでもなかった私でも相当ショックだったし、「ジャクリーヌ・デュ・プレみたいになっちゃうの?演奏できなくなっちゃうの?」と心配になった。でもまあ、今はもっと医学も進歩しているし・・・。それに彼女のハキハキとした話し方や圧倒的なピアノ演奏を聴いて病気の影などみじんもなかった。しかし完治したわけではなく、無症状なだけだとのこと。

24の前奏曲が終わって、最後はモーツァルトのレクイエムのラクリモーサを元にアリスさんが編曲したもの。絶望的に終わるショパンから、もっとオープンで無限なエピローグをつけたかったからだそう。映像も最初の宇宙の星々に戻り、人は星から生まれ、最後は星に帰る、ってな感じかな。ウルトラマンかっ。

アンコールはサティのグノシエンヌ1番。いろいろな面でトータルしてとても新しい、美しき彼女ならではのステキなパフォーマンスであった。

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昨日は、友人と横浜まで行ってソフィア・ローレンの映画「ひまわり」を見た。「ひまわり」はほんの小さいときにテレビで見たんだけど、正直あんまり覚えてなくて(一面のひまわり畑とロシア女性がマストロヤンニをずりずり引っ張っているところしか覚えてない)。私も友人もものすごく感動するんだろう、とかハンカチどこじゃなくてタオルがいるかな、とか思ったが、私も友人もさっぱり泣けなくて。なんかソフィア・ローレンがあまりに激しすぎて、「イタリア女ってあんなに怖いの?やっぱり日本人と違うね」などという感想であった。私は子供の頃にテレビで見たオペラ「カバレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を思い出した。いや、いい映画でしたけど。こんな重い内容なのに最初のほうはクスっと笑える感じもあり、いろんな意味でイタリアっぽい。

せっかくの横浜なのに、友人が中華じゃなくてイタリアンな気分とのことだったので・・・何故かタコスを食べた。横浜イコール中華ってしか頭になかったので、今日は帰りに崎陽軒のシュウマイ弁当買って帰った。ちょっと気が済んだ。タコスはとても美味しかったです。

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2022年5月 7日 (土曜日)

森本隼太ピアノ・リサイタル 浜離宮朝日ホール

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番Op.27ー1「幻想曲風ソナタ」
フォーレ:ノクターン第6番Op.63変二長調
ショパン:ポロネーズ第7番Op.61CT156変イ長調「幻想ポロネーズ」
シューマン:交響的練習曲Op.13
(浜離宮朝日ホール)

GW唯一のコンサート。コロナ前はGWはLFJと決まっていたのだが、全然やってない。去年も今年もピティナが丸の内で無料コンサートを開催しているのを見た(ネットで)くらいだ。まあ放送は全部見たわけではなく、ピアノの山縣美季ちゃんと、珍しく英国歌曲を歌ったソプラノの大森彩加さんを見聞きした。英国歌曲はガーニー、フィンジ、クィルターと「英国歌曲好きなら大体チョイスする作曲家」だったので良かった。

さて、本日聴きにいった森本隼太さん(巨匠)も、国際フォーラムの裏のTOKIAで幻想ポロネーズを弾かれたようだが、ネット配信はなかったし、今日のコンサートの券を取っていたので聴きにいかず。TOKIAは音的にはいいのだけど、並ばなきゃならないし、立ち見だと全く見えないのでパス。

ところで、浜離宮だが私は初めて。どこの駅かな?と調べたら築地市場駅だったので「おお、これは久しぶりに築地で昼食かな」と思って開演より早く到着。場外の賑わっている通りを歩くと、寿司屋があちこちに並んでいる。「すしざんまい」にしようかなあと思ってたけど行き当たりばったりで(時間もあまりなかったので)呼び込みに釣られて入店。いやはや、店内は小上がりのところに昼飲みのグループがいるくらいでカウンターはガラガラ。『またやっちゃったかな』と思った(以前、平日の大手町で空いてて入った蕎麦屋が最悪で、空いてるだけのことはあった)。しかし、注文してしばらくするとお客さんがわんさか入ってきたのでホッとした。

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写真は2035円(税込)のセット。いつも食べている上野の寿司屋よりもシャリは甘めに感じた。イカがトロトロで美味しかった。他のも美味しかったけど。映ってないけど海老の頭で出汁を取ったお味噌汁付き(美味しかった!)。店名もわからず入ったけど、後で調べたら浜茂鮨という名前で築地でも老舗でリーズナボーな店だった(見たところ通りの他のお店は結構高い)。また浜離宮に来たら食べようとか思った(次はぜひおまかせで)けど、別に予定はないなあ。

しかし。お勘定をしている間に土砂降りで。傘持ってたからいいようなもののホールまで結構あるのでびしょびしょになってしまった。ついてないなあ。 帰りは止んでた。

さてコンサート(前置き長い)。 森本さんの生演奏は私は2回目である。前はピティナの特級コンクールのファイナルで、コンチェルトだったのでソロで聴くのは初めて。あれから2年も経ったのねえ。森本さんは当時はすごくあどけなくて、15歳?だかだったから他のコンテスタント(大学生)よりすごく幼く見えた。ちっとは17歳の青年らしくなってるかと思ったら外見は特に変わった様子もない。

だがピアノを弾き始めるとすごいスケールの大きい、大人のような演奏を繰り広げるのでギャップがすごいのである。現在、イタリアのサンタ・チェチーリア音楽院に留学中。そしてこないだイギリスのヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール(そういうのがあるのは初めて聞いた)で優勝したそうなので、今にもっとレベルの高い有名コンクールに出場するんだろうな。

幻想ポロネーズを目当てに聴きに行ったのだけど、意外と初めて聴くフォーレが良かった。ガンガン弾きまくる印象のピアニストだが、しっとりとしたこういう曲もいいなと思った。まあ、ベートーヴェンもシューマンも良かったけど(私はピアノ素人であまり他の演奏家のを聞いた事ないので比べることができない)。1番素晴らしいと思ったのはアンコールと称して演奏したスケルツォ2番。スケルツォというよりはバラードといった感じの緩急の激しいスケールの大きな演奏。ピアノは見たところ普通のスタインウェイではない感じがしたのだけど(横に書いてあるロゴを見ると)、Twitterを見たらタカギクラヴィアという会社がわざわざ運び込んだらしい。初めて聴くホールなのでなんとも言えないけど、よく鳴るなあと思った。

ピアノの横にマイクが用意されていて、演奏後ピアニストのご挨拶。今の今まで超一流の演奏を繰り広げていたのに、口をひらけば普通の高校生で、「今回選んだ曲がどんなに素晴らしいか」などと曲への愛が溢れていたが、高校の生徒会や文化祭とかレベルの話し方で(巨匠に向かって失礼ですねすいません)なんか懐かしい感じがした。このギャップが本当にいい。また東京に来てコンサートしてほしいな。

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GW色々見れたし友人ともたくさん会ったし、美味しいものも食べたし、楽しかったなあ、明後日から会社で既に憂鬱。

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2022年4月26日 (火曜日)

ポーランド音楽の100年<1924年>(ロジェ王)

英国から個人輸入した36枚組も、3枚目にして(わたし的には)メインな1枚。これを聞けばもうあとはどうでもいい(嘘です)。

CD3

シマノフスキ:歌劇「ロジェ王」

ロジェ王/ヴォイチェフ・ドラボヴィチ(Br)
ロクサーナ/オルガ・パシェチニク(S)
エドリシ/クシシュトフ・シュミト(T)
羊飼い/ピオトル・ベチャワ(T)
大司教/ロムアルト・テサロヴィチ(Bs)
女助祭/ステファニア・トチスカ(Ms)
アラ・ポラッカcho、ポーランド国立歌劇場テアトロ・ヴィエルキO&cho
ヤツェク・カスプシク(指)
2003年録音
<台本>カロル・シマノフスキ、ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィチ

あらすじ:12世紀、ロジェ王統治下のシチリア。美しい羊飼いに変身したディオニュソスが、新しい宗教を広めようとしているが、ロジェ王ほか聖職者たちと対立。しかし人民たちは段々と羊飼いの虜になっていく。最後はロジェ王と側近のエドリシだけが取り残される。

詳しいあらすじはWikipediaに載ってたのでそちらを参照(逃)。

(田村進/著 ポーランド音楽史を参照させていただきます)
1911年にイタリア各地を訪れたシマノフスキは特にシチリア島の神秘的で色彩的な美しさに魅せられたようで(1914年にもリピしたらしい)、ここがオペラ「ロジェ王」の背景となった。親友のイワシュキェヴィチの草案を元に、台本はシマノフスキ自身も手を加えて1920年には出来上がり、作曲は1924年に完成した。

まあとにかくベチャワの羊飼いが聞ける!というだけで有難い一枚。カスプシク筆頭に演奏者は多分全員ポーランド人であろう。いやもう、シマノフスキの曲はポーランド人が演奏してくれるのにこしたことない(ラトルをディスってる訳ではないんだけんども)。そしてとにかくベチャワの美声!ディオニュソス感が素晴らしい。いや具体的にはディオニュソスってどんなんだか。まあ陶酔的な感じだ(←テキトー)。イタリアもん、ロシアもん(と、ローエングリン)しか知らん日本のベチャワ・ファンよ。自国ものを聞いてこそ、ファンではないかい(いえ、どっちでもいいんですけどね)。

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2022年4月16日 (土曜日)

ポーランド音楽の100年<1921年〜1923年>

英国から個人輸入したCD36枚組「ポーランド音楽の100年」についての解説の2回目。このところオペラに出かけているのと残業続きで(今に始まったことじゃないけど)なかなかiPadに向かうヒマがない(パソコンが死亡しているのでiPadで書いているのだ)。

CD2

<1921年>
アレクサンデル・タンスマン:7つの前奏曲
イグナツィ・リシエツキ(ピアノ)
2018年2月録音

(解説書より意訳)タンスマンは1919年の終わりにパリに移り住んだ。開花した才能と完璧な外見を備えた彼は、すぐにアール・ヌーヴォーの首都に根を下ろした。これは芸術サロンへの紹介者であるモーリス・ラヴェルの認識のお陰であった。タンスマンの作品で、パリ移住後最初に出版された楽曲がこの7つの前奏曲である。これらの楽曲はタンスマンの内向的で洗練されたピアニスティックな芸術性を当時のパリの聴衆に紹介している。(中略)この曲は1922年5月6日に、アルフレッド・コルトーの弟子のHenri Gill–Marchexにより初演された。

(追記)タンスマンをポーランド音楽と言うにはちょっとアレだが、なんというか、カティンさんが弾いたら似合いそうな感じの曲だ(←テキトー)。

<1922年>
エウゲニウシュ・モラフスキ:バレエ音楽「シヴィテジアンカ」
ウカシュ・ボロヴィチ指揮 ポーランド国立歌劇場テアトロ・ヴィエルキ管弦楽団
2017年11月録音

(解説書より意訳)バレエの台本はミツキェヴィチの原作の筋書きを作曲者本人が大きく変更したもの。このバレエの主人公は村の娘サーニャで、彼女の恋人のランバージャック・ウィットには、彼女の愛情を金銭で手に入れようとする恋敵、リシュ王子がいた。サーニャに拒絶された王子は、復讐のために村のお祭りでウィットに罠を仕掛けて誘拐した。絶望したサーニャは湖で溺死する。第二幕では王子がウィットの服を着て変装し、湖の妖精となったサーニャをウィットの演奏する楽器で呼び出そうとする。王子の下僕によってウィットは殺されてしまう。楽器によって呼び出されたサーニャはウィットの服を着た王子の正体を見抜き、王子を誘惑して湖に引き入れ殺す、というあらすじ。


(追記)ポーランドラジオでは彼の別のバレエ音楽「愛」がたまに放送されていたので、結構気に入っている作曲家の1人。「愛」の方が有名なのかもだが何しろ長いのでこっちが収録されたのかな。「シヴィテジアンカ」もなかなか素敵な曲で、ロマンティックでありながらちょっと近代的なところもあり、しかもゴリゴリの無調という訳でもなく聴きやすい。ポーランド音楽の中でもおすすめ。なんと!YouTubeに「」も「シヴィテジアンカ」も上がっているので聞いてみて(それじゃこのCD買った意味はどこに)。特に「愛」は合唱も入り、SF映画みたいでなかなか格好いいぜ。内容は知らんけど。

<1923年>
アポリナリ・シュルト:交響組曲「パン・タデウシュ」
ミハウ・クラウザ指揮 ポーランド放送管弦楽団

(解説書より意訳)シュルトは作曲家として始めは有望視されていたが、彼は「若いポーランド」(ポーランド近代における音楽や演劇などの芸術家のグループ)のメンバーとして激しい芸術的生活の坩堝にいることに気づいた。だが、彼の才能はすぐに翳りを帯びてきた。彼がロシアに滞在してる間(1911〜18)、彼は作曲さえ放棄してしまった。ポーランドに戻ってからは彼は再び作曲を始めたものの、彼の音楽は変わってしまった。若い頃のモダニズムが姿を消し、後期ロマン主義、特にシュトラウスをモデルとして作曲をし始めた。(中略)彼の保守的かつ愛国的な傾向は「パン・タデウシュ」と題された交響組曲で表現された。後期ロマン派のオーケストラアンサンブルと交響詩に近い性格のプログラマティックジャンルの選択は、どちらも古風なものでした。それにも関わらず、音楽は旧世界の魅力に満ちている。その特徴はポーランドの舞踊、特にポロネーズの様式によって決定されている。

(追記)この時代のあんまり有名でない作曲家にありがちな、Rシュトラウスの音楽の影響を受けまくっているが、どっちかというともうちょっと後から出てくる私の大好きなルジツキの音楽に似ている。甘い甘いメロディに満ち溢れている。ところで「パン」ってポーランドの名前でよく出てくるけど、英語では Sir って意味だったのだね(と、今頃知った)。

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