2021年5月30日 (日曜日)

メサジェ/歌劇「お菊さん」(日本初演・初日)

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アンドレ・メサジェ:歌劇「お菊さん」全4幕(全4幕、日本語上演・英語字幕つきピアノ伴奏)
〈指揮〉佐々木 修
〈演出〉日本橋オペラ研究会
〈出演〉福田祥子(お菊さん)、池本和憲(ピエール)、上田誠司(イヴ)、飯沼友規(勘五郎)、大倉修平(サトウ)、田辺いづみ(お梅)、根崎一郎(シャルル)、高橋千夏(お雪)、居福健太郎(p)、 山井綱雄(金春流能楽師)、他
(5月29日 日本橋劇場)

昨日行ってきた。コロナ禍で上演を危ぶんでいたが(私が)、小劇場であり観客数を半分以下にしていたために、めでたく公演が実現したようだ。(本当は昨年上演予定だったがコロナ禍で延期)

日本橋劇場は、私が前にここらへんで勤めていたこともあり「こんなところに劇場があるのか」とお散歩がてら思っていたが、まさか「日本橋オペラ」としての公演があったなんて知らなかった・・・いや、チラシくらいは何かのコンサートで入ってて、スルーしてたのかもしれない。基本的にはちっちゃい歌舞伎とか能とか、落語とか小演劇とかやるくらいの規模のホールである。畳席があり、羨ましかった。

「日本橋オペラ」の会長という福田祥子さんは、ワーグナーを得意としている歌手であり、私は彼女のイゾルデブリュンヒルデ(かみたそ)、アーダ(妖精)を見聞きしている。どの役も素晴らしい歌唱だった(と、過去のブログに書いてあった)。とても声量があり、声質も美しく特に高音の美しさが心に残る。

(私の認識だと)主に「あらかわバイロイト」で活躍されていたようだが、あらかわで相手役のトリスタン歌ってた池本和憲さんが今回も相手役のピエールをつとめ、あらかわでハンマー先生の振らない日に指揮をしていた(私は見てないけど)佐々木修さんが指揮。佐々木さんは「ルナルナ」の人である。

「あらかわバイロイトどうなっちゃったかな~」とか思ってたけど、福田さん、佐々木さんによってこのような形で脈々と公演が続いている。ちなみに「日本橋オペラ」の第一回公演は「トリスタンとイゾルデ」だったらしい。指揮者による室内オーケストラ編曲版とのこと。(今回のプログラムに記載があったが、昨年ドイツのハノーファー劇場では佐々木さん編曲のこの版を用いてトリスタンを上演した、とのこと。)

さて、この珍オペラ「お菊さん」だが、知っている人は知っているが原作者ピエール・ロティが日本に滞在中に芸者と「短期結婚」していた体験をもとに小説化したものを原作としている。音楽的には(おふらんすなんで)同年代のシャルパンティエの「ルイーズ」を思わせる・・・かな。ちなみに作曲者メサジェは「ルイーズ」の初演の指揮をした人である。

プログラムをざっと読ませて頂いた(大変おもしろい)が、メサジェが「お菊さん」を避暑地にて作曲していたその時に同地でプッチーニが「マノン・レスコー」を作曲していたとのことなので、「お菊さん」にところどころ聴かれる「蝶々夫人っぽさ」は・・・はあ、そうなのやっぱりねって感じ。「蝶々夫人」は「お菊さん」のおいしいところを貰って作られたのかな。

また、メサジェは当時絶大な影響力のあったワーグナーにも傾倒していて、お友達のシャブリエとミュンヘンに「トリスタン」を観に行ったり、フォーレとバイロイト行ったりしてたらしい。なるほど、シャルパンティエもワグネリアンだったから、ルイーズっぽさを感じるのはこのへんかな。

<ワーグナーっぽいと感じたところ>
・船の上からオペラが始まる、かじ取りの歌など。
・結婚仲介人の勘五郎が「ダンナ、ダンナ」と連呼して歌うところが「ジークフリート」の第一幕(ジークフリートがミーメに文句を言うところ)に似ている。
・お菊さんの義理の妹のお雪さんの歌は「タンホイザー」の牧童を思わせる。
・第4幕のお菊さんとピエールの愛の場面はまんまトリスタンじゃん。

・・・という感じだが、このオペラがいまいち後世に残ってないのは(アリア以外)、「蝶々夫人」などと比べて若干悲劇性が薄いからかなって思う。蝶々さんは騙されているのも知らずにピンカートンを信じて待ち続け、生まれた子供を取られて自決するなどの強烈な悲劇性がこの「お菊さん」にはない。お菊さんは「短期の現地妻」ということをわかっているので若干ドライで、蝶々さんよりずっと賢く感じる。まあ、現実にはこんな感じの人がいっぱいいたんだろうな、当時の長崎には。

蝶々夫人との類似点はいっぱいあるんだが(重ねて言うが作曲は「お菊さん」のほうが先である)「蝶々夫人」にはスズキさんが出てくるけど、こっちはサトウさん。始めの方にお梅さん(お菊さんの義理の母)が念仏唱えるところ、お菊さんとお雪さんのデュエットは、蝶々さんとスズキのデュエットを思わせる。

さて歌唱だが。主役のお菊さんはそもそも(私の印象として)アリア集などで聴かれるのはスミ・ヨーやバーバラ・ヘンドリックスなどのコロラチュラややや軽い声のリリックソプラノ向けの役だと思ったので、堂々たるワグネリアンソプラノで歌われるお菊さんは新鮮。二階席バルコニーで聴いていたが、声量すごいし、小ホールのすみずみまで響き渡ったのでは。ブラボー言えなくてつらい。

(ところでお菊さんのアリアは意味もなんも知らずに聴いていたが、なんと虫の「セミ」について歌っていたのだって昨日知った。マスカーニの「イリス」のアリアが「オオダコ」について歌ってたので、何か日本人女性の役の歌うアリアってへんなの多いな。)

まあまあ登場人物多いオペラなので(その他おうぜい的な人々にもちゃんと役名がある)、ソリスト級の人が歌っている合唱アンサンブルもなかなか聴きごたえがあり、美しかった。女性はそれぞれ着物を着てて「日本橋っぽい」感じ。端役のソリストもそれぞれ素晴らしかったが、中でもお雪さん役の高橋さんの可憐でさわやかな歌声はとくに印象に残った。

筋書的には、ピンカートンと違ってお菊さんと結婚するピエールはもっと人間的で、一緒に来てた部下のイヴとお菊さんとの仲を疑ってたり、お菊さんがお祭りで人前で歌を歌っただけでめっちゃ怒ったりなかなか嫉妬深いのだけど、(プログラムを見て「あ~?」ってなったが)史実ではイヴと同性愛者だったってことで。そっちか~。

本日2回目の公演があり、もっと演奏はこなれているものと思われる。なお、今回はピアノとトランペット、打楽器のみの伴奏で、曲の美しさは伝わったし違和感のない程度に頑張ってはいたが、「イリス」のようにいつかオーケストラ版、フランス語版で見てみたいな~とは思った。ミッチーなんとかして。

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2020年11月26日 (木曜日)

ルジツキ/歌劇「カサノヴァ」YouTube

Ludomir Różycki - Casanova (Warsaw Philharmonic Orchestra & Choir, Łukasz Borowicz, solists)

在宅勤務中のBGMをYouTubeで探してたら、わたしにとってポーランドではカルウォーヴィチと並ぶ最愛作曲家、ルジツキのオペラがアップされていた。今まで(ポーランド国内では)有名な「カサノヴァのワルツ」しか知らなかったが、オペラ「カサノヴァ」が全部聴けた! 凄い! 夢みたい! 残念ながら演奏会形式だが。

まあ・・・先日「アルマゲドンの夢」を観に行ったから余計思うのかもだけど、ルジツキの音楽はホントに・・・甘い。甘すぎる。ヨハンとリヒャルトの両シュトラウスも真っ青の甘さである。ウィーンのカフェで色とりどりのケーキを選んでいるよう、何ならウィンナコーヒーに誤って砂糖の瓶の中身そのまま全部入れちゃったみたいな甘さ。

わたしは「ポーランドのコルンゴルト」って思ってる。

オペラの筋書は・・・わからない。遠い昔のプレイボーイのジャコモ・カサノヴァを素材にしたオペラなのかな~という知識しかない。まあ、音楽はとびっきり素敵なので(甘すぎるが)普通に仕事しながら聴くにはちょうどいい。ただ、ワルシャワ・フィルは動画にとんでもなく広告を付けているので見づらい。もうね、プレミアム入ろうかと思ったくらい(これだけのために?)。やめたけど。演奏会じゃなくてちゃんとオペラの舞台にしてくれたらさぞ素敵だったろうな、なんて。

 

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2020年9月24日 (木曜日)

ヤーニス・メディンシュ / 歌劇「火と夜」

昨日今日と在宅勤務。ヴァイオレット・エヴァーガーデンに想いを馳せつつ、知らないオペラ。実はヴァイオレット・エヴァーガーデンにもオペラが出てくる。オペラハウスの歌姫が、新作オペラのアリアの歌詞に悩んでおり(だいたい、オペラ歌手が歌詞を書くことなんてほぼないことだがそこはアニメなんでおいといて)、それをヴァイオレットが代筆するっつー話だったかな。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの舞台はライデンシャフトリヒという架空の国だが、雰囲気的にはバルト三国っぽいかななんて勝手に思ったので、昨日見つけたラトビアの作曲家の知らないオペラを紹介。ヤーニス・メディンシュって作曲家知ってる人います?

ヤーニス・メディンシュ(Jānis Mediņš、1890年9月27日 - 1966年3月4日)は、ロシア帝国(現:ラトビア)出身の作曲家。ロシア帝国支配下のリガ(現:ラトビア)出身。1904年から1913年まで地元のオーケストラに加わり、1908年からは音楽院で学んだ。その後1920年から軍楽隊長を務め、1944年からリガ・オペラ座の指揮者となった。第二次世界大戦後、スウェーデンに亡命し、ストックホルムで死去した。
作品には4つのオペラとバレエがあり、ラトビア国民楽派の伝統を打ち立てた。他に3つの交響曲、2つの管弦楽組曲、2つのチェロ協奏曲、ピアノ協奏曲、室内楽曲、カンタータなどがある。(Wikipediaより)

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ラトビア語の翻訳によると、「火と夜」という題名のようだ。

J. Mediņš op. ''Uguns un Nakts'' ,diriģents Aleksandrs Viļumanis, režisors Alvis Hermanis

アルヴァ・ヘルマン監督の初のオペラ・ステージング。ソリスト:ソルヴェイガ・ラジャ、リリヤ・グレイダネ、アレクサンドル・ポラコフス、セルゲイス・マルティノフス、アイヴァルス・クランマニス、カルリス・ザルヒシュ、アンドリス・ブラウマン ,カルリス・ミエスニエク,カルメナ・ラドフスカ,ナウリス・プントリス,アンシス・ソウカ,オレグス・アップマニス,イヴァルス・クラスティシュ,ヴィエシュトゥール・ライニエクス, ラトビア国立歌劇場・バレエ合唱団と管弦楽団

民族音楽っぽさと時代的な後期ロマン派っぽさもあり、なかなかお気に入りなんだけど、内容がさっぱりわかんねー。調べたらこの曲の初演の日にオペラハウスに爆弾が仕掛けられたって予告があり、観客ともども避難したらしい。物騒な。

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2020年2月24日 (月曜日)

モニューシコ/歌劇「ハルカ」 アン・デア・ウィーン劇場(BS-NHK)

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Halka
Oper in vier Akten (1858)
Musik von Stanisław Moniuszko
Libretto von Wlodzimierz Wolski

Halka, ein Bauernmädchen  Corinne Winters
Janusz, ihr Verlobter  Tomasz Konieczny
Jontek Piotr Beczała
Stolnik Alexey Tikhomirov
Zofia, seine Tochter Natalia Kawałek
Dziemba, Haushofmeister Lukas Jakobski
Dudziarz Sreten Manojlović

Musikalische Leitung  Łukasz Borowicz
Orchester ORF Radio-Symphonieorchester Wien
Chor Arnold Schoenberg Chor (Ltg. Erwin Ortner)

過去記事:モニューシコ:ハルカ

あらすじについては過去記事参照のこと。(何故かゆうべのハイティンクのブル7の録画を見ながら記事書いてるすいません)

ポーランド音楽エセ研究家を名乗るわたしなので、放送は大変うれしく思うと同時にNHKがなんでこんな珍しいオペラを放送するの?しかも日本でやったわけでもないのに・・・と思いつつ鑑賞。が、エンドロールでNHKが製作(放送?)にかかわってたのを見て、納得。もっとやってほしい。

ご覧になった方も多いと思うが、「農奴のハルカとちょいと遊びのつもりで男女関係を結び妊娠させたあげく捨てた貴族がコロされる話」という週刊文春真っ青の内容ながら、今回の演出はウィーンらしい(?)洗練されたセットと演出。時代設定は現代(ファッションは60~70年代な感じで、ツィギーとかシルビー・バルタンとかの・・・または「別に」のときの沢尻エリカ容疑者みたいな感じ)になっており、高級ホテルの主と従業員などという風に変えられている。

このところ足を怪我していて(わたしが)、毎週か隔週で整形外科に通って週刊文春の最新刊を熟読する(かなり待たされるので)という生活なので、全くイケメンでなく「ただの太ったヨーロッパのおっさん」な容姿のコニェチュニがオペラの内容からどうも東〇〇大に見えてしまい、ハルカちゃんならぬえりかちゃんをこんな感じで口説いてたのかなあとか妄想してしまった。(わ、わたしだけ?)

このオペラは実は対訳がついたものを観るのは初めてなので、どんな内容の歌詞なのか初めてわかって大変興味深いものがあった。現代的なカッコイイ舞台装置なのに、歌詞は「ポーランド民族を全面に押し出した感じ」なので、ハルカは出てくるたんびに自分の愛する人を「わたしのハヤブサさん」とか言ってるし(どういうこと?)、もののたとえがすべてポーランドの土地とか川とかの名前になっているのが全然画面と合ってなくて面白かった。

音楽も「これぞポーランド民族音楽!」という感じでモノトーンのとっても素敵なワンピースを着た淑女たちがポロネーズだかマズルカだかの(よくわからんが)ダンス・ミュージックに乗せてかっこよく踊るのもなんか合ってるんだか合ってないんだか。
演出的には全体的にはおどろおどろしい感じは少ないのだが、最後のほうでハルカが流産して股から血を流してたりしているのがなんかヨーロッパだなあ(日本ではやらなそう)と感じた。

歌手は。これぞ現代のポーランドの誇る、普段はワーグナー歌っているのしか見聞きしたことないテノールのベチャワとバスバリトンのコニェチュニが出演(少し前でいうとヴィエスワフ・オフマンとアンジェイ・ヒオルスキみたいな感じ?)。とくにコニェチュニはよく日本にも来てくれてワーグナーを歌っているのでわたしはポーランド人ということをさっぱり忘れており。ああ、この二人はポーランドの人なんだなあと再確認。

しかし。驚いたのはタイトルロールのハルカ役はアメリカ人(らしい)だったこと。最初っから最後まで狂乱の場みたいなこの役を、難しいポーランド語で歌い切った。コリン・ウィンターズという名前は覚えておいていいかも。アンデアウィーンのドイツ語での解説によるとロイヤルオペラとかで活躍してるみたい。他にルサルカとか歌ってるようだからこういったなじみのない言語に強い人なのかな。

他にヤヌーシュの婚約者ソフィー役のNatalia Kawałekというポーランドの歌手は素敵なカツラとコスチュームを着こなしていて素敵だった。ハルカに恋する幼馴染役のベチャワは「ポーランドではたぶんわりと有名な」アリアを朗々と歌い、たくさんのブラヴォーを貰っていた。たぶんポーランド・ラジオで何回か流れたのだろう、この「おお、ハリーナ(ハルカちゃん)」という歌詞は耳なじみがあった。

なお、エンドロールで出演者やスタッフの名前が流れてきたときに「アルファベットのLに斜め45度の斜線がささったもの」がたくさん見えたので、「あああポーランド人がいっぱい!」と喜んだのはたぶん日本でわたしだけだ。

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(舞台写真はTheater an der WienのHPより借用)

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2020年2月10日 (月曜日)

モニューシコのオペラ「ハルカ」NHK-BSで放送!

大変よ!モニューシコのオペラ「ハルカ」をBSで放送するそうよ!
しかも、キャストはコニェチュニやベチャワなんてバイロイト・スターティングメンバーよ!
 
NHK-BS プレミアムシアター
2月17日(月)【2月16日(日)深夜】午前0時00分~
(新国立劇場バレエ団ニューイヤーバレエのあとなので真夜中だ、きっと。)
ポーランドでの上演じゃなくて、アンデアウィーン劇場っていうのもなんだか。

過去記事:モニューシコ:ハルカ

 

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2020年1月 1日 (水曜日)

アルビン・フリース/子供オペラ「ペルシネット」ウィーン国立歌劇場ライブストリーミング

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Albin Fries  " Persinette "  Kinderoper
Auftragswerk der Wiener Staatsoper
 
Dirigent  Guillermo García Calvo
Regie  Matthias von Stegmann
Bühnenbild  Marc Jungreithmeier
Kostüme Constanza Meza-Lopehandia
 
Persinette Bryony Dwyer
Prinz Lukhanyo Moyake
Hexe Monika Bohinec
Mutter Regine Hangler
Vater Orhan Yildiz
Rabe Sorin Coliban

あけましておめでとうございます。本年も細々と更新して行こうかと思います。

しょっぱなから新作、しかもガキ用オペラなので「なにこれ」と思われるかもしれない。アルビン・フリースという作曲家もよう知らんのだが、見て見ると(聴いてみると)これはなかなか、私の大好物な音楽なのである。もうなんか、ストライクゾーン過ぎて聴いていて胸がウッって詰まっちゃうくらい。作風としてはR・シュトラウスに影響を受けまくった感じで、ツェムリンスキー、いやシュレーカーに近いのかな。子供向けとは言え、お子さんを連れた(ウィーンの耳の肥えた)パパやママにも十分楽しめる音楽となっている(と思う)。もちろん無調ではない。

ペルシネットとは何ぞや?と思われるかもしれんが、ぶっちゃけ根っこの物語はディズニーの「塔の上のラプンツェル」と同じである。まあ、子供向けなのでかなり端折ってある。


<あらすじ>

貧乏な夫婦。妻は身ごもっているが体調が悪くなり魔女の薬草が必要になるが、それを買うお金がない。そこで交換条件として魔女は生まれてくる子供を自分の子として育てることを提案。貧乏な夫婦はそれを受け入れざるを得ない。魔女は生まれてきた娘ペルシネットを高い塔の上に住まわせる。魔女の留守中はカラス(元は人間)が見張りをしているのでペルシネットは外の世界を知らない。


ペルシネットの長い髪をはしご代わりにして魔女が出かけている間に、ふと通りかかった王子様に見初められ、ペルシネットは髪の毛を垂らして王子様を自分の部屋に上げてしまう。恋に落ちる二人。そこへ魔女が帰ってきて怒って娘を塔から追放、娘の耳を聴こえなくし、王子の目を見えなくしてしまう。離れ離れになった二人は一年もの間お互いを探しあうが、ある日とうとうめぐり逢う。それを見た魔女は最初は激怒するが、二人の必死な思いを見て感動し突然二人を許す。二人を巡り合わせたカラスも呪いを解かれ元の人間に戻される。何故か元カラスは魔女に結婚を申し込む。ペルシネットの両親もここで現れてペルシネットと王子の結婚式をあげてめでたしめでたし。


演出も映像を使っていてまるで飛び出す絵本のような風情だし(舞台で高い高い塔を表すのやそれを登る魔女を表すのもアニメーションの映像を使っていて楽しい)、無論オケはウィーンなのでめっちゃうまい。こういうのを見て育つウィーンの子供たちは羨ましい(などと言うと、「日本なんてアニメーションの放送をすぐみられるし日本語もわかるし幸せじゃないか」とヨーロッパのアニヲタに言われそうだが)。

前半はまあ、ディズニーっぽいかなと思うけど(東京ディズニーランドの入口でえんえんとかかっている音楽ってR・シュトラウスっぽいしね)、最後のシーンはほぼモーツァルトの魔笛なので(カラスのコスチュームもそれっぽいし)ウィーンだなあって思う。

ただ、惜しいのは王子様がアフリカ系の人で(人種差別しているわけではないが)、ここは金髪痩身の美しい王子様にしてほしいなあ。子供向けだし・・・とは思った。しかし小さいころから「オペラって、実際はこういうものだよ」って教えておくべきなのかなあ、とも思う。

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なんか流行ってるみたいなんでやってみたんだけどどうですか?(こんな本はありません)

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2019年6月 1日 (土曜日)

フォン・アイネム/ダントンの死 ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング

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ゴッドフリート・フォン・アイネム:歌劇「ダントンの死」

DIRIGENT Michael Boder
REGIE UND LICHT Josef Ernst Köpplinger
BÜHNENBILD Rainer Sinell
KOSTÜME Alfred Mayerhofer
CHOREOGRAPHISCHE MITARBEIT Ricarda Regina Ludigkeit

George Danton Tomasz Konieczny
Camille Desmoulins Benjamin Bruns
Hérault de Séchelles Michael Laurenz
Robespierre Thomas Ebenstein
Lucile Olga Bezsmertna
Saint Just Peter Kellner
Herman Clemens Unterreiner
Simon Wolfgang Bankl
ein junger Mensch Wolfram Igor Derntl
1. Henker Wolfram Igor Derntl
2. Henker Marcus Pelz
Julie Szilvia Vörös
eine Dame Ildikó Raimondi
ein Weib Lydia Rathkolb

(2019年5月29日 ウィーン国立歌劇場)

先日入ったウィーン国立歌劇場のライブストリーミングにて鑑賞。生中継は見なかったが72時間は何回か観られる。

ベルクの「ヴォツェック」(正確にはヴォイツェック)と同じゲオルグ・ビュヒナー作の戯曲によるオペラである。まあ、雰囲気的にはヴォツェックと似た感じながら、音楽はヴォツェックよりは聴きやすい。作曲年はヴォツェックより新しいながらバリバリの無調ではなく、場面場面間の音楽はジャズっぽくもありなかなか親しみやすい。とはいうものの・・・ヨーロッパ旅行でたまたまスケジュールが合ってこのオペラしか観られないよ、という事情がない限り、金払ってまで観ないよなあという印象。今回はちゃんと日本語字幕つきということで貴重なので鑑賞。まだ無料期間なのでありがたい。

話としては(歴史が苦手なのでざっくりした印象しか書けないけど)、フランス革命で活躍した政治家ジョルジュ・ダントンが、ロベスピエールによって仲間とともに捕らえられ、ギロチンで処刑される、という内容である。1幕もので休憩なし。100分くらい?でそんなに長くはない。

ワーグナーの諸役で日本にもよく来てくれる、今や世界中で大活躍のコニエチュニーが主役のダントンを歌っている。彼は10月に上演される「パワーアップ“影のない女”」でバラクを歌うようでそれも楽しみだが、今回はバスバリトン歌手には珍しいタイトルロールなので張り切ってる感じ。肖像画の本物ダントンとなんとなく外見も似ている。あと、お友達のカミーユ役(だと思う)のテノールの人もとっても美声でよいなと思った。あとは、イルディコ・ライモンディが知ってるかなあというくらいであんまりよく知らない歌手。私が最近の歌手を知らないだけなのでゴメンして。

最後はブラヴォーが飛んだものの、観客の「なんだかなあ」感はテレビからも伝わってくる。次はの配信はマスネのマノンでフローレス出るらしい。多分見るかな、あんまり知らないけど。

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健康診断がやっと終わったので、昨日の残業後に一ヶ月ぶりにラーメンを食べた。三代目てらっちょという前から気になっていたお店だが、トンコツラーメンとは言えサッパリとしてクリーミーであまり塩っぱくなくて美味しかった。味玉も美味しかったし。でもコッテリ好きの人にはさっぱりしすぎかも。引き続き塩分控えめ生活をするつもりなのでスープ半分残してしまったが、お店の人怒ってなかったかな。美味しかったので1ヶ月後くらいにまた行きたい。

めん吉ってトンコツラーメンのお店も美味しい。安いし中盛りや大盛りにしても同じ値段なのもいい。餃子もあるので夜のみしたい。サッパリクリーミー系てらっちょと比べてこってり背脂系。

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2019年2月24日 (日曜日)

スティーブ・ジョブズのオペラ

グラミー賞が先日(ずいぶん前?)発表になったけど、クラシック部門は日本人でも受賞しない限り全く話題にはならない。
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ネットで調べてみたところ、なんかスティーブ・ジョブズの生涯をオペラにしたものの録音が受賞したみたい。今頃だけどそんなのあるの知らなかった。私マックユーザーでないものだからジョブズ興味ないし。スマホもiPhoneじゃないしな。
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そのオペラどんな音楽なのだろう、ガリガリの現代音楽なのかと思ったが委嘱・初演したというサンタフェ歌劇場のUPした映像によると全然そんなことなく。メイソン・ベイツという作曲家は比較的わかりやすい作風のようで、もしなんか間違って観に行ったとしてもたぶん退屈しないで観られそうな感じがする(字幕があればだけど)。

.全部聴いてるわけではないので感想はとくになし。音だけだと多分しんどいけど、映像で全部観たら面白いかもなあ。なお、昨年ノットのゲロ夢で素晴らしい天使を歌ったサーシャ・クックさんがジョブズの嫁の役を歌っている模様。

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メイソン・ベイツ:歌劇「スティーブ・ジョブズの革命<進化>」
Santa Fe Opera Presents 'The (R)evolution of Steve Jobs'
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2018年7月 1日 (日曜日)

ルジツキ/歌劇「エロスとプシュケ」(映像)

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私がずっと探し求めた珍オペラカテゴリー中最愛の「エロスとプシュケ」だが、本日なんとYouTubeで全曲の映像を発見し(いや、今年の3月からあったんだけど)、あまりの素晴らしさに最初と最後で号泣し、ここにご紹介する次第。ああ、永久に消されないでほしい。または円盤で欲しい。
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まあ、曲の内容は過去記事を見て頂くとして(大体あってるんじゃないかな)、とにかく・・・色んな時代が5場に渡って出てくるので視覚的にも面白い。
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プロローグは楽屋。下着姿もせくしいな歌手たちが(映画を撮っているという設定なので女優さんなのかな)出番を待っている。
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最初のエロスの登場(スーツに黒い翼を付けている。)から、
「ナクソス島のアリアドネ」(バッカス?とか出てくる)
「修道女アンジェリカ」(謎のよい体のキリストが出てくる)
「アンドレア・シェニエ」(またはレ・ミゼラブル。フランス革命。)
「ルル」(プシュケはショートボブでいかにもルルな感じのコケットな衣装。音楽はウィンナワルツ)
を思わせる舞台が登場する。オペラ好きにはたまらない。
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何しろ説明よりも観てもらうしかない。音楽は本当に魅惑的。とくにR・シュトラウスとコルンゴルト好きだったら絶対好きだと思う。
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プシュケ役のソプラノは(やや年食ってる感があるけど)なかなか奇麗だし演じてて楽しそう。エロス役のテノールは謎のコルンゴルト「死の都」感。ちょっと太ってるけど声は素晴らしい。第3場でスタンドマイクで歌ってたりするのが面白い。最後はアレレ・・・まさかのアンハッピーエンドなのがまた、意外でいいかな。とにかく楽しい演出である。
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Psyche: Joanna Freszel
Arete / Ksieni: Wanda Franek
Hagne / Laida / The Monastery's doorkeeper: Anna Bernacka
Hedone / Hanna: Aleksandra Orłowska-Jabłońska
Blaks: Mikołaj Zalasiński
Eros / Arystos / Knight Errant / De la Roche / Stefan: Tadeusz Szlenkier
Hermes / Old Slave / Chaplain / Cafe owner / Hugo: Wojtek Gierlach
Charmion / First Guest / Hr. Albert: Adam Kruszewski
Old Greek / Second Guest / Paul: Grzegorz Szostak
Knight / Youth / Tolo: Mateusz Zajdel
Chorus: Chorus of the Teatr Wielki - Polish National Opera
Orchestra: Orchestra of the Teatr Wielki - Polish National Opera
Music: Ludomir Różycki
Text: Jerzy Żuławski
Conductor: Grzegorz Nowak
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メイキング映像。
演出と美術は女性です。
(演出では)1970年代の映画会社が舞台で、全体的にフェリーニの影響かなと。
このオペラ、ポーランドでさえ「忘れられたオペラ」なのだそうです。
まるで映画音楽っぽい作風とか、「ポーランドのコルンゴルト」って思うわ。
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2018年6月26日 (火曜日)

三善晃/オペラ「遠い帆」(ハイライト)東京アカデミッシェカペレ

三善 晃 / オペラ「遠い帆」抜粋(演奏会形式)
G. マーラー / 交響曲第1番「巨人」
支倉六右衛門常長:原田 圭(Bar.)
ルイス・ソテロ:鈴木 准(Ten.)
影:菅 英三子(Sop.)
児童合唱:すみだ少年少女合唱団
指揮:外山 雄三
東京アカデミッシェカペレ

(6月24日 すみだトリフォニーホール)
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いつもお世話になっている、東京アカデミッシェカペレさんの演奏会。またもや友人ともども演奏会に行けることになり大変感謝しております。
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それにしても今回は、めったに演奏されない(と思う)三善晃先生の唯一のオペラ「遠い帆」とマーラー「巨人」という意欲的なプログラム。どっちもメインディッシュと思えるような楽曲である。まあ、ここのアマオケさんはいつも、普通のアマオケさんの1.5倍くらいのボリュームのプログラムを組んでるような気がする(以前、マイスタージンカーの第三幕とか、オランダ人全曲とか聴かせて頂いたし)。
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それと。
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日本楽壇の重鎮である、外山雄三先生が振られているというのもまた感慨深い。外山先生といえば、昔N響の指揮者であり、子供の頃よくテレビで観ていた。まあ、大体自作の「管弦楽のためのラプソディー」を振られているのを見たという印象なのだけれど。
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プロフィールが間違ってなければ(間違ってません)、御年87歳のはずである。しかし、指揮台で立ったまま振られてたのでびっくり。まあ、指揮台への往復はさすがに椅子とかに捕まられてたし、よろよろしてたのも見受けられたけど、あの現代音楽の難曲を(初演者とは言え)振ったのは本当に驚き。まあ、楽員さんにとっては我々聴衆のあずかり知らぬところで色々アクシデントがあったのかもしれないが、全く初めて聴く曲だし、今後聴けるか正直わかんない曲だし。
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プログラムによると、指揮者と「影」役の菅英三子さんも初演(1999年)の時と同じということである。それに原田圭さん(田中圭と何度も空目したのはナイショ)と、ここ何年も大活躍の鈴木准さんも加わり、付属の合唱団と少年少女合唱団も加わった大規模な演奏会。
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オペラ「遠い帆」は、奥州仙台藩主・伊達政宗(キャー!!マサムネー!!キャー!!・・・失礼しました)の命で、慶長遣欧使節としてメキシコ、スペインに渡り、ローマで法王に謁見した仙台藩士・支倉六右衛門常長の物語である(解説より)。たまたま、一緒に行った友人が隠れキリシタンなので(←別に隠れてない、私がずっと知らなかっただけだ)、感慨深く見聞きした。
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とはいうものの私、時代劇好きなのにあまり日本の歴史が得意でないので、どんなんだろうとちょっとびくびくしてた。まあオペラというよりは(演奏会形式だからだが)オラトリオみたいな感じである。
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とにかく・・・題名も「遠い帆」なので、当時の船旅はホントに大変だったんだろうな、ということがよくわかるオペラである(←そこかい)。印象として・・・とにかくずっと船乗ってる感じである。今の時代飛行機に乗ってだってヨーロッパに行くのはたいへんな事である。14時間もかかる。それを、3か月くらいかかってメキシコに行き、そこからまたスペインへ。日本から合計して1年?くらいかかっている。どんだけ長いのだ。だもんでオペラもほとんど旅の苦難ばっかりを歌っている印象。いや辛いだろうガチで。
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オペラは少年合唱によるかわいらしい童の数え歌で曲は始まる。ここはまだ当然調性があるわけだけど、やっぱり三善晃なので重苦しい調性のない音たちがすぐに押し寄せてくる。とにかく暗い、遠い、海の音楽。本当に目指す国があるのが、何のためにこの暗い海を渡って行くのが、旅人の精神的な葛藤が歌われる。合唱の「あ~なた~は選ばれた」というフレーズがかなり何回も出てきて耳に残る(というかまだ歌える感じ)。本当は伊達政宗とか徳川家康とか出てくるのだがハイライトのため、カット。
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日本の現代音楽にありがちの打楽器の多用、それと小鼓?(いよ~ポンっていう能とかに出てくるアレ)の音も聴こえてとてもThe日本らしかったように思う。
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演奏会形式で、楽団がステージに乗っているので歌手の声が若干聴こえ辛いところもあり、まあそれは仕方ないかな(最近演奏会形式のオペラ観ること多いな)。まあ、編成も大きいし合唱団もいるので凄い迫力で良かった。友人も(現代音楽のオペラなんか聴くの初めてだと思うんで)どんなかな、と少し心配していたけど、かなり楽しめたようでよかった。「とくにメロディーがあるわけではないけど、迫力がすごくて圧倒された。こんなにたくさんの人が舞台に乗ってるの初めて見た」と。私は「いや、私は何度もあるけどさ~」と答えたけど。
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私のこの曲の印象としては、明るさのないオネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」みたいだなあとか思った(アレも暗いけど)。どういういきさつでこの曲をすることになったのかは知らないんのだが、取り上げた事に拍手を送りたい。今後もそうそう聴けるものではない。演奏の感想でなくてどうしても曲の感想になってしまうけど、許してちょんまげ。
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書くの遅くなったけど、満員というほどでもないけど意外と客席は大入りだった・・・まあ、演奏者が多いからそのぶん知り合いがたくさん来たのかもしれないけど・・・日本ものには日本もののマニアはいるものであると感じ(意外と知り合いには会わなかったけど)。
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さて、後半の「巨人」なのだが、私はこの曲は大体アマオケで聴くことが多い(実は生まれて初めて自分でコンサートの券買ってナマで聴いた曲はN響の「巨人」なのだけど)ので、こんなに高齢の指揮者で聴く「巨人」は初めてかもしれない。なんというか、あまりのテンポの遅さに若干違和感があった(なんか・・・聴いたことないのにメンゲルベルクを思い出した)が、ちゃんと最後はまとまっていたと思う。
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プログラムにも書いてあったが第3楽章がコントラバスのソロでなくパート全員で弾いてた(ちょっと「え?」ってなった)。どうも「マーラー協会新校訂版」によると・・・そうなってるらしい。第4楽章もホルンだけでなくトロンボーンとトランペットも1人ずつ?立ってたので「ホルン以外もそんなに立ちたいのかな?目立ちたがり?」て思ったけどそういう風に楽譜にあるらしくて「へえ」ってなった。私も・・・立って吹いてみたいよう。
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コンサートがはねてから、当然友人と飲みに行ったりしたのだけど、私はコンサートの感想そっちのけで・・・私の・・・その・・・現在ハマっている沼の話ばかりしていて・・・あまりクラシックマニアでもない友人のほうがコンサートの感想を熱く語っていたので、楽しんでたようで良かったと思った。いや私も楽しかったでしたけどね。
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早く沼から這い上がりたい。しかしまた昨日も今日も「銀二貫」を見て・・・「ああ、牧(林遣都)がまた、自分の気持ちを抑えて、耐え忍んでいる・・・ああ・・・辛い・・・」と思いつつ号泣。いや、NHKでの本放送でも号泣してたんだけど、見方が若干変わってきてるのね。病気。
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