L・ブーランジェ&F・ヘンゼル&C・シューマン声楽作品集
リリ・ブーランジェ:合唱曲「セイレーンたち」、「春」、「草原の夕暮れ」、「太陽への賛歌」
4つの歌(つきぬ悲しみの中で、期待、反映、帰郷)
ファニー・ヘンゼル:庭の歌(樹のそよぐ音がきこえないだろうか、美しい故郷、秋に、朝の挨拶、夕暮れの森、森で)、夜の輪舞
クララ・シューマン:ガイベルの詩による三つの混声合唱曲(ヴェネツィアの夜の祭、前進せよ、ゴンドラを漕ぐ人)
白井光子(メゾ・ソプラノ)、ハルトムート・ヘル(ピアノ)
クリスティーネ・フリーデック(ソプラノ)、レギーネ・ベーム(メゾ・ソプラノ)、ベルンハルト・ゲルトナー(テノール)、ザビーネ・エーベーシュペッヒャー(ピアノ)
ハイデルバルク・マドリガル合唱団
ゲラルト・ケーゲルマン指揮
過去記事:薄命女流作曲家Ⅱリリ・ブーランジェ
すっかりそのカテゴリーを忘れてたけど、久しぶりに女流作曲家のCDで行こう。・・・とはいってもそんなに女だてらに作曲をしてる人っていないから、取り上げる人は決まってしまってる。でも、結構有名なファニー・ヘンゼルとクララ・シューマンは今回は初登場。
女流作曲家という以外は、あんまり関係ない3人の作曲家の合唱曲・独唱曲を集めたCDである。
最初に登場の毎度おなじみリリたんであるが、最初のほうの合唱曲4曲は結構穏やかな海のような音楽で落ち着いて聴いていられる。(しかしなんとなく・・・不気味な雰囲気が感じられるのは何故)
ほかの(時代・作風ともに違う)作曲家との兼ね合いもあってそういう静かな選曲なのかな。
・・・と思ったら白井光子女史の歌う歌曲で平静な気持ちは断ち切られる。リリたんの本領発揮、聴く人を奈落の底に陥れる恐怖歌曲が登場。歌詞が怖い。墓って。
つきぬ悲しみのなかで
(ベルタ・ガレロン・ド・カローヌ)
つきぬ悲しみのなかで
また重い沈黙のなかで、
足音がし、人影があらわれる。
そして質素な墓に身をかがめる、
ああ、おまえはこの聖なる場所でなにを求めるのか、
なぜこの墓地の平和を乱すのか、
墓石の下に宝物でも隠したのか、
それともおまえは墓の陰を借りて
哀れな生者よ、死者たちから
しばしの休息をかすめようとするのか。
いや、女はそのためにここに来たのではない、
(ちょうどそのとき月があたりを照らす)
そしてこの女が(ああ、胸が張り裂ける)、
この女がここに求めるものは、
いたいけな、かわいいみどり児。
その子はこのお墓の中に眠っている。
その子は空想に耽っている。
その子の母がここを立ち去って以来、
かわいらしい子よ!
子供らしい気持ちでこう思っているのだ、
母はただ姿を隠しただけ、すぐに現れると。
そして夜ともなると、ひそかに現れる。
ブロンドの子がこっくりしはじめ、
その小さな心が悲しみに飽むとき、
その母が子守唄を歌うために、
きっとやって来てくると信じて。
(喜多尾道冬/訳)
なんて暗い詩なの。舞台は墓地。音楽も鐘の音を模したピアノ伴奏とともにズンドコに暗い。この詩を書いたカローヌという人は盲目で聾唖の女流詩人であったそうな。なるほど、リリたんは自分の境遇と似たものを感じてこの詩に曲をつけたのだろう。フランスにはこれを10回聴いたら死ぬ、という都市伝説まである(超ウソ)。
他の歌曲の詩はごく普通。
・・・。
次の作曲家、ファニー・ヘンゼルはご存じフェリックス・メンデルスゾーン=バトルディのねーちゃんである。メンデルスゾーンがあんな作風だったから当然そんな狂気に溢れるような恐ろしい曲は書いてないと思う(よく知らないが)。ファニーは弟フェリックスとともに音楽の教育を受けてたらしいし才能もかなりあったらしいが、当時は女性が職業を持つなんてありえないことだったので、フツーに結婚した。相手はヘンゼルって宮廷画家だった。夫が描いたっていうファニーたんの肖像がなんか・・・ギガントカワユス。萌。本当にこんなに可愛かったんだろうか。
夫のヘンゼルはファニーの音楽の才能を理解して応援してたらしく、そのおかげでピアニストとしても活躍し自作の出版もしたらしい。しかし、42歳の若さで脳卒中で突然死んだ。弟フェリックスもその衝撃からか同じ年に脳卒中(クモ膜下出血?)で死んだという。
(管理人は毒のある音楽しか受け付けないという傾向にあるため、曲に関してはスルー。ごめんして)
次は一番有名なクララ・シューマン(旧姓ヴィーク)。夫のロベルトはメンデルスゾーンとともに学校の音楽室に普通に肖像画が飾られているようなメジャー級の作曲家だが、晩年かなり精神を病んでいて悲惨な人生を送った・・・ていうか、すいませんこちらも私はあまりなじみのない作曲家なので多くは語れないんだけど・・・まあみんな知っているからいいよね(放棄)。
CDに収録の「3つの合唱曲」は1948年に38歳になった夫の誕生日に演奏(歌唱)された曲ということで、この曲を気にいったシューマンはこの曲をセレナードとして編曲して今度は妻の誕生日に演奏したという。やれやれ。
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