サン=サーンス: 歌劇「サムソンとデリラ」
クリスタ・ルートヴィヒ(デリラ)、ジェームズ・キング(サムソン)、ベルント・ヴァイクル(ダゴンの大祭司)、アレクサンダー・マルタ(アビメンク)、リヒャルト・コーゲル(ヘブライの老人)、ほか
ジュゼッペ・パターネ指揮、ミュンヘン放送管弦楽団、バイエルン放送合唱団
(1973年6月 ミュンヘン)
スケートのシーズンたけなわ?ということで、本日は「フィギュア・スケートで使われた音楽シリーズ」。
このオペラのバッカナールとか、デリラの歌う有名な「あなたの声に私の心も開く」とかいうアリアが何年も前からよく有名な選手が試合に使ってるのを見る。我が国の安藤ミキティも2007年だかにこの曲を使ってて、彼女の個性にはあってるなと思った。
オリンピックでも使うのかなこの曲。女の子はこういう華やかで舞台映えのする曲がいいよね、やっぱし。今度のオリンピックはバンクーバーで行われるから、ロシェットはカナダの選手なのでかなり地元の期待も大きいと思われる。(別件ですが、バンクーバーは南北アメリカ大陸では唯一旅したことのある都市なので大変楽しみな私であります。食べ物うまいし治安いいし大好きな都市です。)
ロシェットは、もちろん女性なんだけれどもなんだか凄い筋肉隆々な選手なので、2ちゃんねるの実況では「兄貴」とか言われていた。本当にテレビでみると凄いんである。ナマで見たらもっと凄いんだろうな。だもんでロシェットは「サムソンとデリラ」のうち、どう考えても美女デリラじゃなくて兄貴サムソン役と思えてしまう。オリンピックでは思い切ってサムソンの衣装で出たらどうだろうか、んなあほな。
ということで(?)、有名なオペラ「サムソンとデリラ」だが、「カルメン」とともにフランスのグランド(大げさ)オペラの代表選手みたいな感じである。・・・が、私は一回もナマで見たことがない(それどころか舞台のヴィデオも見たことない)。フランス語が苦手なせいかあんまりフランスものはうちにはCDないんだな、気がついてみると。
あらすじ・・・私もよくわからんので、ながーいとっても親切な解説書をテキトーにぶったぎってつなぎ合わせてみた。本当はもっとたくさんの人が出てくるはずである(なげやり)。
パレスチナのガザ地区。今も昔も戦が絶えないところである。征服されたヘブライ人たちが嘆きの歌を歌っている。その中で英雄のサムソンが力強く歌いだす。(中略) その時大寺院の扉が開いてペリシテ人の妖艶な美女たちが歌いだす。その中の一番の美女デリラがサムソンを誘惑する。(中略)サムソンはデリラの誘惑に抵抗したものの、ついに抗えなくなってしまう。ペリシテ人に捕えられ、その怪力の根源である頭髪を刈り取られたばかりでなく両目もくり抜かれ、投獄され石臼に鎖でつながれてしまう。(中略)ペリシテ人の勝利を祝う盛大なるバッカナール。サムソンはエホバの神に最後の願いを祈る。すると彼の祈りはかなえられ、ダゴンの神殿も轟音とともに崩壊し、ペリシテ人たちを一人残らず下敷きにしてしまう。めでたしめでたし。
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よくわからんながらもこのCDがウチにあるのは、他ならぬキング様がサムソンを歌っているからなんだけど、やっぱりフランス語を歌うキングは(イタリア語よりも増して)すごく違和感がある。なので普段あんまり聴かない。「ぬい~」とか「でとわ~」とか歌わんでほしい、キング様には。キング様は私にとっては永遠のジークムントとローエングリンなんだし。もちろん筋肉隆々の力強いキャラは彼にぴったりだから、カッコイイ歌唱には違いない。
ところで、「ヒーローを誘惑するエロい役」ということでヒロインはメゾ・ソプラノが歌っている。「サムソンとデリラ」はカルメンとともにメゾが主役の美女を歌える貴重なオペラである。だいたいさー、メゾやアルトは普段の歌劇場ではヒロインを苦しめる恋敵役か、女なのにズボン履いたりとか、または怪しい占い師とか地味な役が多いからね。
カルメンにしろデリラにしろ、発音がめんどくさいと思うフランス語で歌わなならんということで、メゾって結構気の毒な声域かと昔から思ってた(そんなでもないのかな?)。このCDでは一般的には「エロさ」とは無縁と思われる、ドイツの名歌手クリスタ・ルードヴィヒが歌っている。ベーム・ファミリー?の一人であるし、歴史に残る名歌手なんで歌唱は見事だ。あんまり普段の彼女(レオノーレとか)を思い浮かべなければそんなに違和感無い。でもやっぱり実際の舞台ではアレだな、ワルトラウト・マイヤーとか妖艶な外見の人が歌ってほしいな~と思う。
ところで、この曲はデアゴスティーニのオペラ・コレクションでDVDを発売する予定はあるんだろうか。何種類か映像はあるはずである。かなり豪勢でスペクタクルな舞台が想像できるので、ちょっと見てみたい気もする。
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