2023年7月28日 (金曜日)

東京交響楽団 第92回川崎定期演奏会 ノット&神尾真由子

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エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 op.61
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 op.73
ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 
神尾真由子 (ヴァイオリン)

(7月15日 ミューザ川崎シンフォニーホール)

エルガーのヴァイオリン協奏曲を目当てに、川崎へ。ノットの振るエルガーと言えば何年か前のゲロンディアスがあったなあ、あれは素晴らしかった。ドイツ物の印象が強い(私だけ?)ノットだが、エルガーの国の人である。希望としては交響曲1番か2番をナマで聴いてみたいところ。

とは言え、ヴァイオリン協奏曲は内容も長さも交響曲並みである。今回の2曲目のブラームスより実は演奏時間は(人によるけど)長い。

有名なチェロコンより圧倒的に演奏機会は少ないので、ナマでは聴くの初めて。今回は三階の真由子女史の後ろから見る席だったので、楽譜はiPadで、めくる用の足踏みスイッチがよく見えた(演奏している顔は見えない)。そしてカッコいいノットの指揮ぶりは横からよく見えた。

演奏は、というか曲は流石にエルガー節が満載でとても良かった。しかし、当日券をケチって3階席だったので今ひとつヴァイオリンの音量が足りず。前にブラームスのコンチェルトのときも同様に思ったので、真由子さんのコンチェルトの時はケチったらいかんな、と思った。曲自体はオケの弦楽器セクションがピチカートで演奏したり、色々面白かった。(いつも思うけど真由子さんはコンチェルトのときはアンコールやらないね。文句を言っているのではなく、何か主義のようなものがあるのかなあと。)

今回は席がどうもマズって、隣席のオッサンがエルガーで寝息を立てていたり、演奏中に飴をポケットからゴソゴソ出してバリバリ紙を剥いたりして(2回もだよ!)、気になって楽しめず。

ブラームスはコンチェルトやドイツ・レクイエムは好きで演奏会に行ったりするけど、交響曲はいまだにあまり馴染めず。何故かな。

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2023年7月 9日 (日曜日)

ブルーメンフィルハーモニー 第53回定期演奏会(ティアラこうとう)

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ニールセン:序曲「ヘリオス」作品17

ウォルトン:ヴィオラ協奏曲(1962年版)

シベリウス:交響曲 第2番 作品43

指揮:寺岡清高 

ヴィオラ独奏:須田祥子(東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者、日本センチュリー交響楽団客演首席奏者)

管弦楽:ブルーメン・フィルハーモニー
(7月2日 ティアラこうとう)

いつも入場券をお送り頂きありがとうございます。 

ティアラこうとうは久しぶりに行った。久しぶりすぎて「こんな木のホールだっけ?」とか思った。区立の公会堂は最近はどこもかしこもこんな感じで区別がつかなくなってしまったな。

今回は、北欧と英国の楽曲がチョイスされている。プログラムの演奏前に、このオケの指揮を何度かされた桑田歩さんのご逝去にあたり、哀悼の意を込めてシベリウスの「クオレマ」より「鶴のいる情景」が演奏された。大変静謐な美しい曲。

ウォルトンは英国でも好きな作曲家の一人だが、ヴィオラ協奏曲を聴くのは初めて。第2楽章など、ウォルトンらしくかっこよい。ウォルトンの協奏曲は実はチェロ協奏曲もカッコいいのでどっかやってくんないかな。

さてメインのシベリウス2番。こちらのオケでは、前に5番を聴いたかな。うちにあるCDがバルビローリなもので、比べると出だしが大変早い印象。アマオケでも演奏機会が多い曲だけに、楽員の皆さんも慣れているのか落ち着いて聴いていた。いやはや名曲。次の演奏会は何を聴かせて頂けるのか、楽しみです。

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2022年11月 5日 (土曜日)

ヘンデル/シッラ(日本初演) 神奈川県立音楽堂

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ヘンデル『シッラ』全3幕 日本初演(イタリア語上演 日本語字幕付)

ソニア・プリナ(コントラルト/ローマの執政官シッラ)
ヒラリー・サマーズ(コントラルト/ローマの騎士クラウディオ)
スンヘ・イム(ソプラノ/シッラの妻メテッラ)
ヴィヴィカ・ジュノー(メゾ・ソプラノ/ローマの護民官レピド)
ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ/レピドの妻フラヴィア)
フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(ソプラノ/シッラの副官の娘チェリア)
ミヒャエル・ボルス(バリトン/神)
神谷真士(スカブロ/シッラの臣下 黙役)
桧山宏子 板津由佳(エアリアル)
片岡千次郎(兵士/殺陣)
亀山敬佑(兵士/殺陣)
ファビオ・ビオンディ指揮 エウローパ・ガランテ
台本:ジャコモ・ロッシ
演出:彌勒忠史
美術:tamako☆
衣裳:友好まり子
照明:稲葉直人(ASG)
立師:市川新十郎
台本・字幕翻訳:本谷麻子
舞台監督:大澤裕(ザ・スタッフ)

(10月29日 神奈川県立音楽堂)

実家の親にいろいろあり(今は元気です)、一週間ほど実家で寝泊まりしていてでオペラどこではなかったが、前から券をとっていて楽しみにしていたので何とか鑑賞。行く前は東京からそこそこ遠いし券とっておいて若干後悔したのだが、行って正解であった。オケも独唱者も全員外国からやってきてくださり、しかも実力のある方ばかり・・・ということだが、私はバロックオペラを聴くようになってそんなに経ってないんで、歌手の皆さんは名前も知らず。

ヘンデルのオペラって面白いって思い始めて何回か生で観に行ったけど、ほとんど予習をしたことはない。なんか歴史とかよくわかんなくて。でも当日は凄い超絶技巧のアリアとか美しい古楽器の演奏に引き込まれて、あっという間に時間が経ってしまう。そうそう、何で新国の「ジュリオ・チェーザレ」に行かなかったの?って思うでしょ。いや実は券取ってた・・・つもりだったんだよ。3階席のいいところ。それが、自分の勘違いだったということが直前に発覚し、気が付いたら一番いい席しか残ってなかった。でもなあ・・・私から言わせるとクレオパトラ役は是非モリマキ様でお願いしたいとこだったなあ・・・とか思い(いや別にキャストに文句はないですが)。しかしその頃モリマキ様はあのゲッツェルの椿姫だったしなあ・・・。まあ縁がなかったんかなあ。古楽器のオケじゃないのも(いや東フィルさんには何の不満もないんですけど)ちょっと。(いや本当は行きたかったんだけど)

さてシッラ。
この公演は2年前だかに本当は上演するはずで、あと15時間で初の舞台稽古だという時に、コロナ禍で中止に。そして今年になってほぼ同じメンバーで日本での公演が実現した。私はそのいきさつは全然知らなかったんだけど、そうそうあのびわ湖ホールの「神々の黄昏」と同じような感じだったのね。古楽ファンの悲しみはいかばかりか。しかしまあよく実現できたものだと思う。

とかく演奏時間が長い印象のヘンデル・オペラだが、この「シッラ」は長くない。休憩入れても3時間くらい。シッラという独裁者(妻帯者)と2組のカッポーとのせめぎあいというか、最初は争ったりシッラが奥さん以外の女にちょっかい出したりするけど最後は突然改心してハッピーエンドというわりとわかりやすい内容。あんまり内容は考えずに音楽や歌唱に身を任せるのが正しい感じだ。

まあ、これだけの芸達者な演奏者&歌手が揃っていれば舞台演出などなくても十分楽しめそうなものだが、そうもいかないのが彌勒演出。前に横須賀で上演のブリテンの「カーリュー・リヴァー」の演出を彌勒さんがされてた時も思ったのだけど、恐ろしく衣装が豪華。1回か2回くらいしか使わないのに、絢爛豪華な衣装が逆に(お金大丈夫かなと)心配になる。今回の「シッラ」も最高の席は15,000円であったけど、正直「別に演出なしの演奏会形式でもこの値段でも文句ない」と思った。素晴らしい演奏の上に、大変にカラフルなキラキラしい衣装。あの猿之助さん演出、バイエルン国立歌劇場の「影のない女」を思い出す衣装。

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(神奈川県立音楽堂のTwitterより拝借)
神奈川県立音楽堂は、今回初めて行ったのだけど、どう考えてもオペラ向きにはできてない。全体的に木造で、舞台は狭く、「せり」とかの舞台機構とかは皆無。そこを補った舞台装置、「別にバロックなのだからいらなくね?」と思うような歌舞伎の殺陣や最後にはエアリアル(舞台上からリボンをたらして、それに捕まったダンサーさんが2人アクロバットなどする)などサービス満点。

バロック・オペラにありがちの退屈など皆無。バロック初めてでも十分楽しめるように工夫を凝らした舞台は大変楽しかったけど、そうでない人も若干いたのか、私が観た初日ではなく2日目には(演出に向かって)ブーイングが出たらしい。(ブラボーは禁止されているのにブーはいいのかな)。こんなたった一人の「あなたの感想ですよね」のために観に来て楽しんだ人々は不愉快に感じたのかなと思ったら何だか悲しくなった。初日で良かった。まあ、開演前に(個人的に)不愉快な客を見たんだけど(案内してくれた係員さんが不慣れだったのか、どっかのおっさんが「ここでは使えない従業員を雇っているんだね!」と文句を言ってた。そのおっさんの背広のしっぽがみっともなくひっくり返ってて、自分の服装をちゃんとしてから文句を言えばいいのになと思った)それはちょっと嫌だったな。

公演に関してはとくに文句はなく、よい公演だったのだが本当は個人的にはカウンターテナーが好きなので(外見と声の乖離がすごく好き)、男性役が(神様役のバリトン以外は)全部女性歌手だったのがバロックにしては珍しいと思った。主役のシッラも男性役だけど女性のコントラルトの歌手が演じられていて、歌舞伎でいう隈取の悪役の化粧だったのですごく本人楽しそうにされていてそれは良かった。女性の役はやはり西洋人が着物を着ることになるのでどうしても外国で観る噴飯ものの「蝶々夫人」になってしまうのだけど、まあ・・・歌唱が素晴らしいので慣れた。韓国からいらした(たった一人の東洋人歌手)スンヘ・イムさんはさすがに着物が似合っててチャーミング、声も清澄で素晴らしかった。

バロック・オペラはやっぱり楽しいな、ワーグナーやR・シュトラウスなどのドイツ・オペラも大好きだけど、ヘンデルなどのバロック・オペラもまたずっと観に行ったりしたいな、と思った。・・・と思ったら、入り口で貰ったチラシに、来年のこの劇場での上演予定に鈴木王子指揮BCJによる「ジュリオ・チェーザレ」が。しかもモリマキ様のクレオパトラ、大西宇宙さんもご出演だとのこと。これは新国の上演より(私にとっては)嬉しい。ずっとずーーーと嬉しい。

なお、シッラ当日はNHKの車がお外に止まっていて、映像収録があった模様。2023年1月15日にBSプレミアムで放送予定だとのことで、是非みんな見てね。目も耳もとっても楽しい公演なので是非是非。

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2022年9月11日 (日曜日)

エリザベス女王の崩御に寄せて

エリザベス2世(エリザベスにせい、Elizabeth the Second、1926年4月21日- 2022年9月8日)は、イギリスのウィンザー朝第4代女王(在位: 1952年2月6日 - 2022年9月8日 )、その他14か国の英連邦王国及び王室属領・海外領土の君主。イングランド国教会の首長(英語版)。全名は、エリザベス・アレクサンドラ・メアリー(Elizabeth Alexandra Mary)。

早朝お亡くなりの知らせを聞いたとき、日本に住んでいながら「エリザベス女王の存在のないイギリスを見ることになるとは。」としみじみ思った。会社から戻って、リットン指揮の「戴冠式テ・デウム」のCDを久々に聴いてちょっとしんみり。初めての海外旅行がロンドンだったし、そのときはたまたまバッキンガム宮殿の内部公開の時だったので観ることができた。

イギリス音楽が好きだった(今もだけど)関係上、英国王室関係のCDはちょっとはある。すでに(遠い昔に)ご紹介したCDだけど写真で。昔の記事はいま読むと恥ずかしいんだけど。

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エリザベス女王戴冠式のCDは、ロンドンに住んでた友人から(ハロルド・ムーア・レコードで買って)送ってもらったもの。今や映像までYouTubeで観ることができる。便利な世の中になったものだ。ただし、音は全然CDのほうがいい。みんな大好きウォルトンの「宝玉と勺杖(ほうぎょくとしゃくじょう)」もYouTubeだと途中からだし音が悪い。CDはちゃんと全曲入っている。

まあそれにしても戴冠式ってウォルトンやヴォーン=ウィリアムスがまだ生きてた時の映像なんだよなあ、って思うと感慨深い。この時の首相はチャーチルだったし。女王が亡くなった日にBSNHKでワールドニュース見たけど、フランス国営放送のニュースではシャルル・ド・ゴールだのポンピドーだのもはやフランスの施設のほうを思い出すような人が出てきて「すごい昔」感があった。

チャールズ3世が国王になって、お札もお金も切手も?変わるというのが何だかさみしいし、またこの規模で戴冠式が催されるのか、そしたら音楽はまた作曲されるのかな、誰が?アデス?タネジ?パヌフニク(娘)?マシューズ?ファーニホウ?それともマッカートニー?ブライアーズ?タヴナーは亡くなってるし・・・想像がつかない。そもそも現代音楽苦手なので良く知らないんだけどね。

写真はロンドン旅行の時の残りのお札。今はもう変わってるんだろうな(というかもうすぐチャールズ国王の肖像になるのか)。このお札はウィーン旅行の時の10オイロ紙幣とともに何故かいつもの通勤カバンの中に入っている。

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2022年8月16日 (火曜日)

アルプス交響曲&エニグマ変奏曲 RSオーケストラ

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エルガー:エニグマ変奏曲
R.シュトラウス:アルプス交響曲 
指揮/和田一樹 RSオーケストラ

(8月13日 ミューザ川崎)

絶賛台風襲来中、ちょっと雨が収まったのでRSオーケストラというアマオケさんのコンサートに行って来ました。エニグマとアルペンをタダで聴けるなんて、素晴らしい。

台風の中、客の入りは3割くらいかな。アルペンでは舞台上にこんなに人が乗ってるの久しぶりってくらい人がいた。楽員さんはお若い方がほとんど。ぱっと見大学生オケみたいに見える。 

エニグマもアルペンもパイプオルガンが入るので何だか豪華。エニグマの始めのほうはちょっと「大丈夫かな?」とは思ったけど、ヴィオラの人のリードもあり、盛り上がりを見せた。アルペンは流石に生で聴くとド迫力ですな。嵐が過ぎ誰も遭難せず無事に下山された模様。

 

演奏会の模様はこちら。私も客席でたまにちっちゃく映ってる!

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2022年5月15日 (日曜日)

ヘンデル/世俗的オラトリオ「セメレ」(ヘンデル・フェスティバル・ジャパン)

 


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ヘンデル:世俗的オラトリオ《セメレ》(HWV 58) 全曲

演奏会形式 全3幕ノーカット 原語(英語)上演 字幕付き

セメレ: 隠岐彩夏(S) / ジュピター: 辻裕久(T) / ジューノ&アイノ: 波多野睦美(Ms) / ソムナス: 牧野正人(Br) / アイリス: 広瀬奈緒(S) / カドマス: 酒井崇(B) / アタマス: 中嶋俊晴(C-T) / アポロ: 前田ヒロミツ(T) / オルガン: 勝山雅世 / 指揮: 三澤寿喜 / キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団
(浜離宮朝日ホール)

先週、浜離宮は行ったばっかり。もう当分行く予定ないだろうなと思ってたら、ヘンデルのオラトリオを上演するという情報があったので、即刻券をゲット。また築地でお寿司が食べられる!という期待もあって。

今回は、ちゃんと事前にお店を調べて行ったんだけど、行ってみたら人気店でしかもカウンターしかないちっちゃい店だったのでいっぱいになっていた。だもんで、他のお店を探そうとしたらすぐに客引きに捕まってしまった。「鮨処つきじや」というお店だった。1000円引きということだったが、普段からこの値段だった。詐欺じゃないか。でもまあ・・・大トロ、タイ、中トロ、カンパチ、ズワイガニ、エビ、ウニ、イクラ、玉子、海老のお汁、等々で2750円(税込)ならまあいいんじゃないの? 鮮度も良かったし。美味しかったなあ(夢見心地)。

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最近は、コンサートを楽しむように、お寿司を頂いている。写真だと同じように見えてもやはりお店によってシャリの味やネタの鮮度など色々。演奏者によってショパンやベートーヴェンの演奏が違うのと同じように。

お寿司のバイロイトたる築地でも、(食べログを見ると)その日の仕入れとか行く時間とかでネタの鮮度や品揃えなどで不幸が重なり、いつもは美味しいお店でも美味しくなかったりすることもあるんだよね。お寿司は運試しが半分かと。

さて、ヘンデル。ヘンデルっていうとこないだBSでベートーヴェンをモデルにした「フォルテッシッシモ」という宝塚の(雪組だったかな)演目を放送していたので録画して見た。そんで、ヘンデルも出てきた。

何で見たかっていうと、会社の部署でズカファンが2名ほどいて、ちょっと話が弾むかなあという下心もあったんだけどね。

しかし。ベートーヴェン役の望海風斗さんがあまりにイケメンすぎて、ベートーヴェンというよりは西本智実さんに近かった。まあ、そもそも西本さんが宝塚っぽいもんね。

宝塚でのヘンデルは、このような感じだった。

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ーーー

さて、今回のセメレ。チラシによると初演当時は「淫らなオペラ」との評だったというが、これが淫らだったらモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」の方が衝撃的じゃね?とか思ったりもした。まあ、そもそもオペラじゃなくて「世俗的オラトリオ」とのことなので、今回のように演奏会形式が正しい。しかし。これはオペラとして上演してもとっても面白そう。新国立劇場でやらんかな。いやほんとに面白い。ヘンデルって本当に採用する物語が正しいというか、何百年経ってもどんなふうに演出しても面白く上演できるっていうのが天才的だよね。

<主なあらすじ>
人間の女セメレは(神)ジュピターと恋愛関係にあったが、ジュピターには(女神)ジューノという妻がいた。ジュピターは人間の姿でセメレと逢瀬を重ねていたが、ジューノの企みによってジュピターは神の姿でセメレと会うこととなり、セメレは神の姿で登場したジュピターによって炎で焼き殺されてしまう。セメレはジュピターの子(バッカス)を身籠もっており、バッカスは灰の中から無事誕生する。

事前に若干、Youtubeで予習。見た動画のセメレがチェチーリア・バルトリだったので「この役はメゾでもいいの?」とか思った。今回のセメレ役は絢爛たるコロラトゥーラ・ソプラノ(でしょ?)だったので、不思議に思った。それにしても初めて見聞きした隠岐彩夏さんというソプラノがびっくりするくらい素晴らしかった。二期会所属というが、知らんかった。まるで夜鳴き鶯のような、「神から与えられた声」って感じだった。CD売ってたら買おうと思ったけど、なんか自分の求めているものと違う気がしたので買わず。オペラアリア集だったら買ってたかもね。

どの方の声も皆素晴らしかったけど、他に特に印象に残ったのが中嶋俊晴さん(カウンターテナー)で、超絶コロラトゥーラですげえなって思った。その他、ジュピター役の辻裕久さんは、昔 英国歌曲にハマってた頃によくリサイタルに行った記憶が。なんか久しぶりにお姿を見たけどナイスミドルな感じでカッコ良かった。ソムナス役の牧野正人さんは車椅子で登場されていたけど、いかにも「眠りの神」っぽい歌唱で良かったし、音楽も眠い感じでちょっとブリテンの「真夏の夜の夢」っぽくて良かった。ジューノとアイノの二役だった波多野さんはいつもながらの貫禄。セメレのお父さん役の酒井崇さんは堂々たる美声と声量で素晴らしかった。ジューノの使いの広瀬奈緒さんは小柄で可愛らしくて声も良かった。

ヘンデル・フェスティバル専属のキャノンズ・コンサート室内合唱団と管弦楽団は、もちろん初めて聞いたのだけどすごい実力のある団体なんだなあと。このフェスティバルがあるのは知らなかったんだけどこのような大規模なオラトリオを上演するのは今回が最後とのことで、とっても残念だ。オペラを演奏会形式でもいいからやってほしいな。だめかな。

それにしても、こんなにヘンデルにハマるとは思わんかった。ヘンデルのオペラが欧米でよく上演されるのよくわかるわ。さて、BSでケイト・リンジー様主演のオペラを見なくちゃ。

 

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2021年12月25日 (土曜日)

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」 バッハ・コレギウム・ジャパン

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ヘンデル:オラトリオ『メサイア』HWV 56
ソプラノ:森麻季
アルト(メゾ・ソプラノ):湯川亜也子
テノール:西村悟
バス(バリトン):大西宇宙
指揮:鈴木雅明
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
(12月24日 サントリーホール)

年末調整も終わり(今月残業60時間超えたわ)。当日券が出るということで、朝思い立って予約。いやクリスマス・イヴに「メサイア」なんてそんなベタな、と今までずっと思ってたが、よく考えてみるとここ2~3年で私のヘンデル好きに気が付いてきたので(観たのオペラだけだけど)、生演奏初挑戦。しかし、実際のところメサイアで聴いたことあるの、ハレルヤコーラスんとこだけ。

大丈夫かな。実はつまんなかったらどうしようって思い、その日の在宅勤務中にYouTubeで聴いてみたんだけど、結構いけるじゃん、英語だからわかりやすいし安心。

2階席の結構いいところをゲット。しかし、運悪く前の席の男の人が座高が高く、ソリストはあんまり見えず。嗚呼。

そもそも、外人のソプラノとバスだったそうだが(ソプラノはレイチェルだったのね)このご時世で全員日本人に変更(困ったときの大西宇宙さん)。その上キャスティングのソプラノの人が調子悪くて歌えないってことで、当日突然森麻季様に代わった。サントリーのTwitterで知り、思わずガッツポーズ取ってしまった。しかし、過去に歌ったことあるとは言え、そんなに急に歌えるもんなんだろうか。

でも全然杞憂だった。前からのキャスティングかと思うほどで、女神か天使のように美しい声だった。遠目に見て、まるでダビンチの描く聖母マリアのような外見だった。赤いドレスが素敵だった。しかし、第9やクリスマスコンサートで多忙なはずの人気歌手なのに、イヴにたまたま空いてたなんて奇跡だな。

他の歌手さんもみんな素敵で。あいかわらず大西宇宙さんの声は力強くかっこいいし、比較的出番の多いメゾの方もとても知性的で素晴らしい歌声だった。テノールの西村さんも相変わらず長身でかっこいいし、歌声も素晴らしかった。それにしても・・・少数精鋭のBCJの合唱団の素晴らしさよ。一人ひとりのソロでも素晴らしいんだろうね。

オケも素晴らしい・・・こないだのヘンデルのオペラでも「すげえな」って思ったバロックトランペット?の凄さ。あれ、あたしでも吹けるかなあ。どうやって音程作ってるんだろう。大西さんとのアリアの掛け合いもカッコイイし。

(そーいや家は真言宗だし、ついこないだ親戚の法事でお経を聞いたりしたあとだったのに、キリスト教の音楽がこんなに心に響くのはどうしてだろう。・・・とは言いながら、こないだ聞いたお経もお坊さん3人で唱えてて、結構ポリフォニーな、アジアな感じでかっこいいな、とは思ったけど。)

何もかも初めてだったので、色々気が付いたこと。

・ロビーの注意書きで、「ハレルヤコーラスで座席から立たないで下さい、一緒に歌わないで下さい」ってのがあったんだけど、もしかしてコロナ禍でなかったらそういう人いるってこと?いや、町の教会ならまだしも、世界に名だたるBCJと一緒に歌ったりする観客がいるってこと?そんなの迷惑すぎる。

・対訳の電光掲示板がなく、プログラム冊子に書いてある対訳を見ながらの鑑賞だったんだけど、ヘンデル(というかバロック)って同じ歌詞を何回も繰り返し歌うから全体的の量は少ないし、英語だから初めてでも目で追うのは簡単ね。

・しかし、私の両隣の知らない女性はどっちも対訳追えてなくて、ページをパラパラやってたけど。

・長い曲なので、途中で出て行ったりする観客もいなかったわけでもないけど、「あと2曲でハレルヤなのに、出てっちゃっていいの?」とか思う老夫婦もいらっしゃった。ハレルヤあってのメサイアでしょうが。

曲が終わって大拍手のあと、こういう大曲のあとには珍しくアンコールあり。最初「アルヴォ・ペルトの知らない曲かな?」というくらいすごい絶妙な和音でアカペラでさすがだなあ~と実はヘンデルより感動してたんだけど、途中から「に、日本語?」と思い、何の曲か謎だった。サントリーホールのHPによると「トラディショナル(鈴木優人編):いけるものすべて」とのこと。賛美歌かあ。

・鈴木パパが指揮の時はだいたい鈴木息子さんがチェンバロ弾いてるもんだと思ったら、今日は違ってて「他にコンサートあったのかな?」と思ったらどうもMステに出てたらしかった。知ってたら録画してたのに・・・うう。

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今年から会社で一緒に働いてるおにゃのこが、毎週「題名のない音楽会」観てたりライトクラシックなコンサートに行ったりしてるんで若干お話が合うなあとは思ってたんだけど、実はガチなクリスチャンで日曜は礼拝行ったりしているということをこないだ初めて聞いた。クリスマスはやっぱりメサイアとか聴きに行くのかな。聖書読んだことないしよくわからんで聴いてる私とはやっぱり感じ方は違うのかな。

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ところで、楽しみにしていた二期会の「影のない女」が中止に。まあ、無理だろうなあとは思ってたんだけど。こんな状況でリモート演出でなんかあの難曲はムリなり。考えてみるとこんな状況で「ルル」はよくやったよなあ。

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2021年4月17日 (土曜日)

〜エルガー夫妻に捧ぐ〜 スペシャルコンサート

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・エルガー:弦楽セレナーデ ホ短調(弦楽四重奏曲版:Graham Bastable)
・2つの小品より「夜の歌」「朝の歌」
・序曲「南国にて(アラッショ)」からカント・ポポラーレ
・ソスピリ
・エニグマ変奏曲より第1変奏"C.A.E"、第9変奏"Nimrod"、第14変奏"E.D.U"
・ピアノ五重奏曲イ短調

アンコール:「愛の挨拶」メドレー(大久保勇也編曲)

杉原蓮子、井川知海(ヴァイオリン)
大久保勇也(ヴィオラ)
杉原正恵(チェロ)
村上恵三子(ピアノ)

水越健一(ご案内)
主催:日本エルガー協会
後援:英国エルガー協会
(2021年4月11日 ミューザ川崎音楽工房市民交流室)

日本のエルガー研究の権威、日本エルガー協会の会長より直々にご案内が来たので行ってきた。話によると本当は昨年行われるはずだったが、コロナ禍で延期に。エルガーの愛妻キャロライン・アリス・エルガー(1848~1920)の没後100年を記念して開かれるものだったそう。

まあ、エルガーの作品の室内楽中心のプログラムとしては妥当な感じかなあとは思うものの、いややっぱり一般的にはかなりマニアックな選曲なのかな。とくに、日本では演奏したのを何かで見たことがないピアノ五重奏曲の演奏はかなり珍しいかと。正直言うとこの曲をするので聴きに行ったと言ってもいい。

過去このブログで書いたのだけど、一時期ポーランドのネットラジオを聴くことにハマっており(今もたまに聴くけど)、それでたまたま海外のコンサートを放送する番組でこの曲のライブ収録が放送されたときに、初めて聴いたのだった。私も大変いい曲だと思ったんだけど、その時の聴衆の反応が大変素晴らしくて今も印象に残っている。

演奏は・・・印象に残ったのはヴァイオリンの井川知海さんという方で、全く初めて演奏を聴かせて頂いたのだけどピアノ伴奏のソロ曲「朝の歌」で大変輝かしい、明るい音色でとてもいいな、好きな弾き方だなって思ったんだけど、プロフィールを見たらどうもポーランドに留学・ショパン音楽大学でアンジェイ・クルカ先生に学んだそう。「あ、そうだそうだ、クルカ先生だ!」って思った。あとはもう、彼に大注目で。

メイン・プログラムのピアノ五重奏曲では、全然違う作曲家なのにクルカが弾いたザレンプスキのピアノ五重奏曲のCDを聴いているような気になった。きびきびとした弾きぶり、素敵な音、ファンになった。そういえばクルカ先生が弾くとどんなにマイナーな曲でも5割増しにいい曲に聴こえるんだよね(いや、ザレンプスキもエルガーも大名曲ですよ!)

エルガーのクインテットはもっと弾かれてもいいし、聴かれてもいいかと思う曲だし(室内楽曲にしてはちょっと長いかな)。YouTubeにも沢山上がっているけど、ここはハリエット・コーエンの古い録音をリンク。エルガー監修の録音とのこと。

Elgar Piano Quintet -- Harriet Cohen/Stratton Quartet (complete)

会場は初めて入ったミューザの会議室みたいな感じのところで、一番後ろに座ったけど、室内楽でもやはりちょっと近すぎた感で、最初少し耳が慣れず。だんだん慣れてきた。観客は40人くらい?でほとんど出演者の生徒さんとか知り合いのようだった。まあ、私も主催者の知り合いだからおんなじようなものか。(主催者の知り合いはずいぶん新国立のダブルビルに行ってしまったそうで。私も実は「イオランタ」は見たかったのだが、ちょっとワーグナーにお金を使い過ぎて自粛。あと、何年か前に聴いたプレトニョフの大名演が薄れてしまうのもさみしかったので)

アンコールとして用意されていたのは、ヴィオラ担当の大久保さんが編曲された「愛の挨拶」を中心としたエルガー・メドレー。何でもエルガー夫人の死去・葬儀の日々をつづった編曲ということでかなり凝ったものだった。

この日のコンサートは(主催者から)エルガー夫妻に捧げられたもので、演奏者の真正面に夫妻の席が備えられていた。最後にお二人のためにそれぞれ花束を贈呈。コロナ禍でイギリスからの来日は大変だったろうか。それとも、幽霊さんは関係ないのかな。ひょいっと来れるのかな。いいな。またイギリス行きたいな。




帰宅してからクルカ先生のCDを聴きまくったけど、エルガー関係なくてすいません。

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コンサート後すぐに感想アップする予定が、この一週間部署異動で業務が突然忙しくなり毎晩帰宅は10時~11時。遅くなってすいません&あんまり大したこと書けずすいません。

(以下、どーでもいい話)
イギリスと言えば。先日YouTubeを見漁ってたら、「ロンドンで一番美味しいフィッシュアンドチップスのお店に行ってきた」っていうイギリス留学生の動画があったんで見た。それはずいぶん立派なレストランだったんだけど、私がかなーり前にロンドンの友人に「大体のイギリス料理は不味いけど、ここのは美味しいよ」って、外人(イギリス人じゃないって意味)がやってるロンドン中心から離れたちっちゃなテイクアウトの店に連れて行ってもらったんだけど(店の名は忘れた)、なんか店のキャラクターが「オバケのQ太郎を魚にした感じ」で不気味可愛くて、入ってた袋を日本に持って帰ってきたくらい気に入ってた。それがまあ、上がってた動画のお店が同じキャラクターだったので、もしかして評判を呼んで繁盛して大きくなったのかしらん。お魚でっかくて美味しかったなあ。また食べたい。

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2021年2月14日 (日曜日)

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」

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ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM®
【脚本・詞】エリック・アイドル
【音楽】ジョン・ドゥ・プレ&エリック・アイドル
【原作】映画『Monty Python and the Holy Grail』より
【上演台本・演出】福田雄一

【出演】山田孝之/賀来賢人/小関裕太 
三浦宏規/矢本悠馬/じろう(シソンヌ)長谷川忍(シソンヌ)/新妻聖子

“歌って踊るひとびと”
坂元宏旬 高原紳輔 常住富大 広瀬斗史輝 横山敬 横山達夫 井上花菜 植村理乃 小山侑紀 竹内真里 永石千尋 森加織(男女別五十音順)

(2月13日 東京建物Brillia HALL)

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今回は初めて行くホール。方向音痴なので「いつも行くゲイゲキとは逆の出口」と頭に叩き込んで参戦。新しいからまあ、外見はカッコイイしトイレとかも奇麗だったけど、正直クラシックのコンサートホールに慣れているので、重厚感はあまりなく「うーん、印象としては国際フォーラム?」みたいな感じ。

この日はワーグナーの命日とのことだったが、特に関係なくモンティパイソン。まあ強いて言えば「パルシファル」の聖杯伝説系の話だからちょっとは関係あるかなあ(←こじつけ)。

今月はたまたま、私の大好きなイギリス古典映画二つのオマージュした舞台(片方はコロナ禍のため舞台を映画化したものを上映)を見れるのでこんなご時世でも結構楽しみにしていたのだが、とりあえず「モンテイ・パイソン」は無事に観ることができて本当に良かった(後述するが色々あった)。

「モンティ・パイソンのSPAMALOT」は映画「モンティ・パイソンとホーリーグレイル」をエリック・アイドルがミュージカル舞台化したものである。映画をもとにしたものではあるが、(今日見た印象だと)完全に一緒ではなく何割は違うかなあ、という感じ。

このミュージカルの上演は日本ではもう3回目ということだが、「ホーリー・グレイル」の大ファンの私は、「いつか観に行きたい」とは思っていたものの、ユースケ・サンタマリアさんなど人気俳優が出演することが多いので、毎回大手町に貼ってある巨大ポスターを眺めながら「いいなあ・・・でもきっと見れないなあ」って思ってた。

しかし、今回観に行けることになったのは、幸か不幸かコロナのせいで競争率が下がったお蔭である。とは言え、もちろん当日券なんかないし大入り満員。何かと「見づらい」という前情報が多かったブリリアであったが、2階席の一番前(端っこに近いが)だったのでかなりよく見えた。が、何故か私の席の隣は黒いシートがかけてあり座れないみたいで、もしかして前の観客の頭がかぶって見えない席なのかな?と思った。

私の映画のなかの特にお気に入りのシーンは何より「ニッ!」の騎士と、騎士ロビンの雄姿を称える歌が歌われながら、結局敵が来ると恐れおののいて逃げてしまうところと、人食い狂暴ウサギ、閉じ込められている沼の王子、手足を切られてもなお立ち向かってくる黒騎士などであるが、全部舞台で見ることができて良かった。

特に今回キャスティングされたシソンヌのじろうさんが、「いやホントにオリジナルキャストでしょ」っていうくらいモンティ・パイソンのキャラに合っていて(キンキン声がテリー・ジョーンスみたいよ)、「沼の王子」では相方の長谷川さんと「シソンヌ・コント・ライブ」さながらで「有吉の壁」ファンの私は大喜びだった。

たまたま・・・だが、この舞台は私の好きなものが沢山詰まっていて、まずは「勇者ヨシヒコ」の山田孝之さん(ヨシヒコではおなじみのシーンが出てきたりした)、「今日から俺は!」の賀来賢人さんと矢本悠馬さんとシソンヌ、そして「いつか生の舞台で歌声を聞いてみたい」と思っていた新妻聖子さん、もう私にとってはベストメンバーでしょって思うくらい。

テレビ放送もない舞台上演、下ネタや著作権の関係とかで「これ絶対DVD化無理でしょ」みたいなネタも沢山で「これがナマの舞台の醍醐味だよね」と思った。鬼滅の刃ネタやら色々・・・。

新妻聖子さんは大変素晴らしい歌声を響かせていたが、歌詞はほとんど内容がなくてそれも凄い良かった。「東宝っぽいわ~。帝国劇場にまた出れるわ~」みたいな。第2幕で「出番がなくて~、楽屋でUber Eatsでタピオカミルク注文するところだった~」とかそんなだったけど歌はさすがにうまいな~って思った。

まあ、正直言ってくだらないことこの上ない舞台なのだが、元ネタの映画よりはまとまってたので(映画はもっと意味不明)、良かったと思う。私が思ってたより観客はゲラゲラ笑ってて、ここだけコロナの影響ないのかなあって思って嬉しかった。

あと、(わたくし的には)前日に会社の上司が体調不良で休んで、(上司が)念のためPCR検査受けたんだけど終演後に「陰性でした」との連絡あり、ホッと胸をなでおろした(もし上司が陽性だったら、多分濃厚接触者になるから観に行けなかったかもだし。今後もオペラの券取ってあるし)。あと、家に帰ってこのBlogを書いていたら突然の地震。東京は大したことなかったけど東北は結構強くて(お見舞い申し上げます)、なんかもう色々あったなあって思った。


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スポンサーはSPAM®とのこと。私、そういえばSPAMって買ったことないなあ。今度食べてみようかな。

グッズは色々売っていたが、パンフレット以外は特に何も買わず。パンフレットは何故かワーグナーのオペラかな?と思われるくらい立派な装丁で、2500円もした。SNSによると、日が経つにつれて育つらしいので楽しみ(湿気を帯びて膨らむらしい)。

 

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2020年11月 4日 (水曜日)

ヘンデル/歌劇「リナルド」 BCJオペラシリーズVol.2

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ヘンデル:歌劇「リナルド」(セミ・ステージ形式)
鈴木優人 (指揮・チェンバロ)
バッハ・コレギウム・ジャパン (管弦楽)
リナルド:藤木大地(カウンターテナー)
アルミレーナ:森麻季 (ソプラノ)
アルミーナ:中江早希(ソプラノ)
ゴッフレード:久保法之(カウンターテナー)
エウスタツィオ:青木洋也(カウンターテナー)
魔法使い:波多野睦美(アルト)
アルガンテ:大西宇宙(バリトン)
使者:谷口洋介(テノール)
セイレーン:松井亜希(ソプラノ)
セイレーン:澤江衣里(ソプラノ)
砂川真緒(演出)
菅尾友(ドラマトゥルク)
(オペラシティ・コンサートホール)

過去記事:モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」 バッハ・コレギウム・ジャパン

(すでに大反響で大好評のこの公演。もう1日経ってしまって色々書かれたものを読んでしまったので書くことあんまりないんだけど、まあ一応自分の記録として書くね。)

過去記事はこのBCJオペラシリーズの第1回。そもそも海外キャストも交えてのシリーズのはずが、コロナ禍でオール日本人キャストになってしまった・・・というのはこないだの新国立の「夏の夜の夢」と一緒である。しかし、「夏の夜の夢」が「オール日本人でも結構いけるじゃん」な感想だったのに対し、今回のヘンデル「リナルド」は、「これ、オール日本人でこその上演じゃね?」って思った。

そもそも、私はこの公演の券取ってなくて(気が付いたら売り切れてたんだったかな)、コロナ禍からちょっと緩和状態になったので(一人づつ席を空けなくてよくなったので)券が取れたんじゃなかったかな。前回のポッペアでも歌った、レイチェル・ニコルズが魔女アルミーダ役だったのかー、って後で知ったくらいなんだけど。

最近、欧米で流行ってんだかわりとヘンデルのオペラを見聞きするようになったんだけど、それはネット配信とか映画館だけだったんで、実はヘンデルのオペラを生で観るの初めてである。ヘンデルって、子供の頃は音楽の父?で教科書に載ってて、もこもこのカツラ被って音楽室に肖像画貼ってあるってだけの人だったので、大人になって自分が楽しんで観るようになるなんて予想もしなかった。

とくに、こないだ映画館で観たメトの「アグリッピーナ」はホントに面白くて。舞台を現代に移した大胆な演出で、「あれ、もしかしてバロックオペラって何でもアリなの?」って思った。いやこんな、吉本新喜劇みたいなのでいいの?的な。

なので、今回の「リナルド」の演出は、ちょっと頭の古い?聴衆には受け付けないのかもしれないけど(←失礼?)、私はすぐ受け入れられた。まず、最初の写真のように、このオペラはロールプレイングゲーム(RPG)の中の物語として演出されている。(始めに宅急便の荷物を受け取り、その中にゲームの登場人物のフィギュアが入っている)なので、主役リナルドはこのゲームをやってる「ゲームオタク」の少年、という設定である。

ヒーローのはずのリナルドは、前髪を下ろしてメガネをかけた、「R」の文字のついたTシャツを着ている冴えない風貌だ。こないだ新国立で見た藤木大地さんのオベロン役では「なんかムロツヨシっぽい」って思ったけど、今回は・・・なんか「南海キャンディーズの山ちゃん」みたいだなって思った。でも、声はやっぱりいつもの藤木さんの美声で。

ヒロインのアルミレーナは森麻季さんで、それはもう美しかったんだけど、そもそも主人公のオタク青年はゲームの中のアルミレーナのファンであり、写真集(わざわざ小道具として作った)を持ってたりする。このオペラには3人もカウンターテナーが登場するのだけど、かなり沢山の歌を歌うアルミレーナの父ゴッフレートとその兄弟のエウスタツイオも大健闘。

しかしまあ、考えてみるとカウンターテナーの役は、女声のアルト歌手でもできるわけなので、それこそいろいろな演出ができるわけだよね。

そして、リナルドとアルミレーナの十字軍に敵対するエルサレム軍のカップルは、中江早希さん演じる魔女のアルミーダと、大西宇宙さん演じるアルガンテ。いやほんと、この二人は悪役であったのにもかかわらず、主役を食うほどの勢い。大西さんは半ばこの方が目当てで行ったようなものなんで、あいかわらず立派な押し出しと堂々たる歌唱で素晴らしかったのだけど、正直名前さえ知らなかった中江さんは本当に素晴らしい声と演技で。(まあ、今回は色々と行ってよかったって思う要素はあるものの)今回の一番の収穫は彼女の事を知ることができたこと、かな。

実は、私はB席で舞台を見下ろすバルコニー席だったので、舞台の左半分近く見えなかった。だもんで、ちょっと演出的にわからないところもあったのだけど、それでも中江さんのコミカルな演技(一升瓶をラッパ飲みしたりする)と素晴らしい声は伝わってきたし、いや何でほんとあんなに高い声が出るの。第2幕の怒り狂うアリアは(二人のチェンバロ奏者の超絶技巧の掛け合いと共に)、いやほんと素晴らしかったなあ。思わず禁止のブラヴォー言ってしまった客もいたんじゃない?

あと、もちろんBCJの方々の超絶技巧も素晴らしく。とくに大活躍の打楽器の方(稲妻、雨、風なども担当)も素晴らしくて、私なんか「アルプス交響曲」だの「ラインの黄金」だの慣れているはずなのに、稲妻の音にいちいちビックリしたりしました。

それと、私は学生時代にブラスバンドなどでトランペット吹いてたもので、華々しい場面で現れる古楽器のトランペットに大注目。アレ、もしかしてバルブないの?どうやってメロディ吹くの?すごく気になった。だってカウンターテナーの超絶技巧の歌唱と張り合ったりするんだもの。思わずオペラグラスでガン見。

・・・と色々書いてみたけど(まとまらなくてすいません)、今年あんまりオペラみてないけど観たものはみんな良かったです。でも今回はホントに格別。楽しかったなあ。有料のネット配信もあったみたいだけど、本当は・・・それでちゃんと舞台を観たいかな、とも思ったけど我慢我慢。

最後は大拍手がなかなか収まらず。でも、ウィーンでテロがあったせいなのか?(考えすぎ?)若干藤木さんの表情が暗かった気も・・・しました。今は日本にいらっしゃるけど、そもそもはウィーンで活躍されている方だからね。(ウィーン・フィルははるばる日本に来たそうだけど・・・)

しかしまあ、オール日本人キャストならではの演出(外国人勢ではできなかったでしょ)。楽しかった~。行けてよかった。子供の頃は遠い存在だったヘンデルが身近に、バロックオペラがますます好きになった。

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