バイロン・ジャニス/ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第1番 コンドラシン
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番
キリル・コンドラシン指揮、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
バイロン・ジャニス(ピアノ)
他
最近、買ったCDの中でスマッシュヒットだったもの。バイロン・ジャニスってアメリカ(ロシア・ポーランド系ユダヤ人)のピアニストの、有名どころのピアノ協奏曲(と展覧会の絵)を集めたBOX。最近、こればっかり聴いてる。いやあほんとにいいんだから。
バイロン・ジャニスってホロヴィッツの弟子なんだそうな。(手短に言うと)ジャニスが子供の頃にこれまた子供だったマゼールの指揮でピアノ協奏曲を演奏、見に来てたホロヴィッツに認められて弟子になったっつー話だ。
ハコには4枚入ってる。最初のラフマニノフ2曲(2・3番)はドラティの指揮によるもの。これは素晴らしい。最初から「ああ、これ買ってよかった。何て素晴らしいピアニスト。全然知らなかったけど。」と思った。ブリリアントレーベルにふさわしい?、ブリリアントな演奏。ホロヴィッツ譲りの技巧と何ともいえない気品。何とエレガント。アメリカ人らしくなんだか昔のハリウッド映画を思わせるゴージャスさ。何かね、ジャケット写真でみるようなぴっちりと7・3分けの、昔のミュージカル・スターみたいな演奏。フレッド・アステアとか思い出す。ちなみにジャニスさんはゲーリー・クーパーの娘さんと結婚したらしい、関係ないけど。
1960年代とかの録音なのに、音もびっくりするくらいいい。デッカとかの昔のいい音のレコードを思い出し、とっても落ち着く。
で、一枚目だけでもう満足って感じだったんだけど、2枚目でまたもっとびっくり。ぶっとび演奏。コンドラシン指揮のラフマニノフ1番。これがもう希代の名演である。・・・というかこの曲をまともに聴くの初めてだもんで他の演奏全然知らないんだけど(ええええ)、そしてこんな私が語るのもおこがましいんだけんど、本当にこの演奏は素晴らしい。ドラティ指揮のロンドン響からがらっと変わってコンドラシンとモスクワのオケ。ロシアの音がする。ちゃんとわかるよ。
第一楽章。
http://www.youtube.com/watch?v=CIwO7utOYE8&feature=related
解説書によると(英語なので間違ってるかも。ごめんして)、このCD箱に入ってるコンドラシン指揮による三曲(ラフ1プロコ3リス1)は、何でもロシアのオケが初めて外国のクルーによって録音されたものらしい(マーキュリーの名高いリビングプレセンスなんちゃらによる録音)。ということでこちらの録音も(ドラティ指揮のより)素晴らしい。無論、演奏もどれも素晴らしいけど、とくにラフ1は出色の出来だと思う。丁々発止というか、コンドラシンの熱い指揮との掛け合いは本当に気分が良い。
これらのコンドラシンとの録音はたぶん、ジャニスが第2回チャイコフスキーコンクール(1962年)の特別ガラコンサートに招かれた時にロシアで録音されたようだ(ライブではないけど)。このガラコンサートというのがまた凄いプログラムで、ひと晩でコンチェルトを3曲も演奏したらしい。ラフ1とシューマンとプロコの3番。これだけでも鬼畜なのに、あまりの素晴らしい演奏に聴衆がなかなか帰ろうとしなかった。んで、そのときの指揮者のコンドラシンが「アンタ、まだ何か弾かなきゃなんないよ」と言った。それに対しジャニスが「こんなに弾いたのにアンコール?オッサン、狂ってんの?なんも用意してないし・・・」って答えたんだけど、コンドラシンは間髪いれず「アンタ、チャイコフスキーの協奏曲のフィナーレはどんなテンポで弾く?」と聞いてきた。というわけで、そのあとチャイコフスキーのコンチェルト1番の第3楽章を全く一度のリハーサルもなしで演奏、30分の拍手喝さいをあびたそうな。何と言う武勇伝。
で。
コンドラシンとドラティの他の指揮者との共演の演奏も、なかなか素晴らしい。コンドラシンの指揮と比べてしまうとちょっと普通かなと思うけど・・・。チャイコフスキーとかなかなかいい。ああ、首が痛い。
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