2009年9月 2日 (水曜日)

デアゴスティーニ・オペラコレクション「カルメン」を買ってみた。

P1110226 ビゼー:歌劇「カルメン」
カルロス・クライバー(指揮)、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、合唱団、ウィーン少年合唱団
カルメン:エレーナ・オブラスツォヴァ
ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ
エスカミーリョ:ユーリ・マズロク
ミカエラ:イゾベル・ブキャナン他
※演出・装置・衣装:フランコ・ゼッフィレッリ

(1978年)

DVD Opera collection Vol.1

DVD Opera collection Vol.2

デアゴスティーニHP

オペラ・ファンにとっては話題の、クライバーの「カルメン」が990円で買えるっつーやつだが、さっそく買ってきました。

これって本屋で買えるから図書券使えるし(ケチ?)。クライバーのカルメンって普通に買ったら5千円くらいするんだぜ。

で、ざっとDVD見て(結構長いのね)。

まあ、この演奏は有名なものだし名演だし今さら私がどうこう言うことはないんだが、やっぱり年代的に古いんで音とか映像はちょっとなあ・・・と思う。だが、ドミンゴは若いし、オブラスツォワもいい声だし、クライバーも私が見た1988年より10年も若いもんだからまだまだ青年かな?みたいな印象。あ、私が見たときのほうが渋くなっててカッコ良かったけどね。←自慢

あ、あたしのアイドルのツェドニクも出てる。なんか出てるだけで笑ってしまうのは何故?ウィーンのレギュラー・スターティングメンバーのクルト・リドルも出てる。

第一幕のウィーン少年合唱団もカワイイ。ショタコン・・・じゃなくてファンの方は楽しめるかも。

ウィーン国立歌劇場も、なんか自分が行ったときのことを思い出して嬉しい。(この映像で、一階席の前のほうに歌手の人たち座ってない?なんかグイネス・ジョーンズっぽい人がいたような・・・違うかな?)
ゼッフィレッリの演出・舞台はどんなの見ても盛りだくさんでとーっても楽しい。とくに第4幕の群衆シーンとか、「さすがっ!」と思う。

で。

解説書はオールカラーで色々と懇切丁寧に解説が書いてある。私からすれば「字幕あんだから見ればわかるだろうに」と思うんだけど。初心者向けってこったね。

P1110227_2

「ハバネラ」の楽譜がついてるから、カラオケで歌えるね(いや歌えねー)。

で、われわれのようなどっちかっつーとワーグナー好きの者にとってかんじんなのは「このコレクションの中にワーグナーはあるの?」ということである。なんか・・・「けっ、どうせあんまり長くない初心者向けのタンホイザーとかオランダ人しかないんだろう?」とか思ってたんだけど。

そんなでもない。

いまのところワーグナーで予定されているのは以下の4演目。どこの歌劇場かの記述はなし。ちっさい写真のみ。

・ローエングリン(写真ではペーター・ホフマン)
・パルシファル(日本未発売DVD!とある)
・マイスタージンガー(写真ではイエルザレムっぽい?これも日本未発売DVDだそうだ)
・トリスタン(どこの演奏だか不明・・・)

つーことで、これらがもし定価1990円で手に入るのなら、曲が普通のオペラの倍くらいの長さのワーグナーにしたら随分お得な感じだ(おいおい、ワーグナーだけ長いから2990円ってことないよね?)。
しかも字幕つきだしカラーの解説書がついてるし。で、「ワルキューレ」は? あと、「サロメ」は?「ヴォツェック」は? 

(ちなみに・・・デアゴスティーニさんからは別になんも貰ってないです。宣伝ではありません。あしからず。)

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2009年8月29日 (土曜日)

シューベルト/未完成ほか クライバー (+お魚食べよう)

シューベルト: 交響曲 第3番 ニ長調 D.200
交響曲 第8番 ロ短調 D.759 《未完成》

カルロス・クライバー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(1978年9月 ウィーン)

やっぱりね(前回の続き)。
やっぱり日本人は肉ばっかりでなくて魚を食べましょう、とくにサンマ、アジやサバとか青い魚をね。あ、カツオもね。肉ばっかり食べてると動脈硬化とか生活習慣病になっちゃうからね。魚と野菜を主に食べるのがいいと思うよ(栄養士ではないんですが)。

今日は、意外な盲点でお魚大好きシューベルト(知らんが)。多分、自分の持ってる唯一のシューベルトのCD。グラモフォンのクライバー箱に入ってた。でもほとんど聴いてない。

シューベルトっていったら音楽史に残る恐怖歌曲「魔王」の作曲者として、そして「わっらっべっわっみーたーりー」の作曲者として、そして世界で一番有名なお魚ソング「鱒」の作曲者で知られる。そして歌曲以外で一番有名なのはやっぱし「未完成」ってとこか。本当は「ザ・グレート義太夫」を聴きたかったんだが、このクライバー箱にはなかった、つかクライバー氏はグラモフォンに録音してないみたい。

ところで、未完成はいつから7番になったんだろう。8番だと思ってたのに。今は8番がグレート義太夫になってる。何このウィキペディア。

私は、シューベルトの曲自体はあんまりよく知らないんだけれど、小学生の頃はシューベルトのファンだった。休み時間と放課後はよく図書館にいた(文学少女だったわけではない)が、主に学校に何冊もあるシューベルトの伝記を読むためであった。もちろん他の作曲家のも読んでたけどあんまり面白くなかったし、モーツァルトもベートーヴェンもあんまりタイプでなかったんで。

シューベルトはよく知られている姿(ちょうどこのCDのジャケットのクリムト画のような)のメガネデブとは違い、10代の頃の肖像画はけっこう甘いマスクだったのである。だから読んでたんだか・・・なんだかあんまりよく覚えてないけど、とにかく3~4冊は読んだ。

Schubert800 (ちなみにこのクリムト作のシューベルトの絵は火事で焼失しているんで、本物は見たことない。写真しか残ってないよ。残念だわ。)

今も印象に残っているのが、(今考えると)その伝記の著者が勝手に想像して付け加えたと思われるシューベルトのセリフ

「この魚、ヘンだ。腐ったような味がする」

シューベルトはお魚ソング書いたのにお魚食べて死んだ(ことになってる。実際は梅毒かもしんないが)。伝記読んでた頃はもしかしてマス食べて死んだのかとか思ってしまった(魚の復讐?)。まあ、魚の種類まで知らない。とにかく当時はあんまり保存状態は良くなかったのかな。

あと(非常にかすかな記憶だけど)覚えているのは、シューベルトは極度の近眼だったんだが曲想が浮かぶのが眠ってるときで、目が覚めてすぐに記録しておきたいがために、いつも枕もとに五線譜とペンを置いて、寝るときはメガネをかけて寝ていたってこと。もしかしたら別の作曲家だったらどうしよう。マーラーってことはないよな。

あー、なんか曲について書く気力が失せてきた~。シューベルトの曲なんかアタシよりみんなのほうが知ってるし、クライバーの魚の活き造りのごとく生き生きとした演奏は定評のあるとこだし、いいよね。とりあえず未完成交響曲は、コリン・マシューズが完成させようと思わなくてよかった~。

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2009年2月 8日 (日曜日)

クライバー:トリスタンとイゾルデ(74年バイロイト・ライブ)

ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」
ヘルガ・ブリリオート(トリスタン)、カタリーナ・リゲンツァ(イゾルデ)、イヴォンヌ・ミントン(ブランゲーネ)、クルト・モル(マルケ王)、ドナルド・マッキンタイア(クルヴェナール)、ヘリベルト・スタインバッハ(メロート)、その他
カルロス・クライバー指揮/バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団

(1974年7月27日・バイロイト音楽祭)

お天気がいいので、お散歩に出かけた。
なんか品川神社で、 「品川てづくり市」というハンドクラフト作家さんたちが出品する縁日みたいなのを開催するということなので、行ってみることにしたのさ。

ところが。

なんか道に迷ってしまって、品川神社だと思ったものは荏原神社だった。オー・ノー・・・。

で、目の前に広がったのは、信じられないこの光景。


Pa0_0349 満開の桜。なんて奇麗なの・・・って2月じゃん。

えーん、もしかして私、いつの間にか死んじゃったの?これって天国?

っていうのは冗談で、これって緋寒桜って冬に咲く桜なんだって。もう、びっくりしちゃったよう。

Pa0_03491(←色修正なしでこの色です)













今日はカルロス・クライバーのトリスタン、第3弾。

過去記事:

クライバー:トリスタンとイゾルデ(スカラ座ライブ)

クライバー「トリスタンとイゾルデ」

ずっと欲しかったバイロイト盤だが、たまたまワーグナー水色箱(何と言ったらいいのか?)に収録されていたのでラッキー。

バイロイトと1978年スカラ座盤、全然客席の雰囲気が違う。いや、バイロイトは「お客、いたかな?」くらいの感じで演奏中は雑音なし。スカラ座は鼻チーン、ブー! ヘーックション!とかカトちゃんばりだった・・・ようだった気が。そして第1幕終わったあとのブラヴォーもさすがイタ公で熱狂的。ま、ブラヴォーがそれだけ出るくらいの熱狂的な演奏なのではあるが、それに対しバイロイトの観客は第1幕のあと(こんなに熱狂的な演奏でありながら)「あれ・・・? あの・・・パチパチ」な感じ。圧倒されてしまったのかも? (第3幕のあとの微妙な反応も気になる・・・アレレ?)

カタリーナ・リゲンツァは(何度も何度も何度も書くけど)、生まれて初めて見聴きしたブリュンヒルデである。そして(おそらく)、生まれて初めて見た金髪外人女性である。東京とて都心でなければ、家の近所を金髪女が歩いていることは全くない時代であった(いつなんだ・・・)。

いやあ、たいそうびっくりした。外人さんというのはなんて奇麗なんだろう。まるでマリリン・モンローが来日したときのようである(←想像)。背高けえ~、足長げ~。モデルかよ。凄い昔のことなのに、今だに彼女がカーテンコールで出てきた時の輝くような笑顔とスカートのスリットから見え隠れする足が忘れられない・・・ブリュンヒルデの自己犠牲とともに。

で、昨日の記事ではないけど、オペラ歌手はやっぱり奇麗なほうがいいと思うわ。CDだから全然見えないんだけどね。

ヘルゲ・ブリリオートはカラヤン・リングでジークフリートを歌ってた(神々の黄昏)歌手のようだが、実は私はカラヤン・リング全曲盤に未だに縁がない珍しい人なのでおそらくこの人はあんまり聴いたことがないんだと思う。密かにお好きな方もいらっしゃるようだ(←え)。コレを聴く限りもっと評価されるべき歌唱だと思うんだけど、どうでしょう(ダ、ダメ?)。

のちにヴォータン聴くことになるマッキンタイアは立派だ(クルヴェナールにしては立派すぎる)。大好きなミントンはやっぱいいブランゲーネ。合唱もバイロイトらしくやっぱり全然いい。それにしても今さらだけどなんでモノラルなのだ。うーん。

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2007年5月19日 (土曜日)

クライバー・ボエーム再び

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」 (DVD)
パヴァロッティ(ロドルフォ)、コトルバス(ミミ)、ポップ(ムゼッタ)、サッコマーニ(マルチェッロ)、ネステレンコ(コリーネ)、ジョルジェッティ(ショナール)他
カルロス・クライバー(指揮)、ミラノ・スカラ座管弦楽団、同合唱団
(1979年3月30日、ミラノ・スカラ座でのライヴ)
演出/フランコ・ゼッフィレッリ

過去記事:クライバーのボエーム1988

Pa0_0111 昨日はね、友人が「イタリアンが食べたい!」っていうので、いつものように「ぐるなび」で探して、行ってきました。

「ラボエム クアリタ」

左は入り口の写真。いやまあ、なんて素敵なの。ボエームに出てくるカフェ・モミュスのようだわ。お店は地下に下っていくのだが、中は結構広く、内装もとってもすてき。さらに地下2階は夜のヴェニスみたいに幻想的。ここが渋谷の中心地なんて。
(場所は渋谷HMVの向かい、COACHの隣)

こんな素敵なお店、カフェ・モミュス並みに伝票見て目玉が飛び出るんじゃないの?と思うかもしれないですが、そんなことはないのですよ。赤貧の私が行くのだから、そこはリーズナブルに決まってるでしょう。しかもなかなか美味しいときている。ピザは焼き釜で焼いているしね。生ビールはハートランド。ワインも美味しかったす。

そんな感じなので、若い女性客が80%くらい。カッポーも不思議なくらい少なく。殿方だけで行ったらかなり浮くと思う・・・。ま、部署内のOLさんでも連れておごって差し上げたら、もしかしたら部長(課長?)の株が上がるかもしれないね。

というわけで、今日はまたクライバー指揮による、「ボエーム」。しかもDVDの映像である。

この映像、DVDになるまえに一回VHSヴィデオテープの形で発売されて、「ものすごく音も映像も悪いけどクライバー・ファンは覚悟して買って」的なことが店で書いてあったのだけれど、その覚悟をはるかに凌駕する質の悪さであった。(世の殿方が有名女優の裏ヴィデオを画質を我慢して見る感じが初めてわかった)その後、このDVDが発売されて、ずいぶん改善されて見やすくなった(悪いことは悪いので少々の覚悟は必要)。音はやっぱり今ひとつ・・・。

(ところで、クライバーが日本で初めて「ボエーム」を指揮したときにNHKで録画を放映したのを子供ながらに観たのを覚えている。アレって残ってないのかしら~。)

ま、いうまでもなくスタンダードな名演だし名演出だから、改めて語るまでもないんだけど、一応。クライバーの指揮ぶりを幕の最初などで見ることができ、私が生で観たクライバーよりはるかに若く(←またしても自慢)ツヤツヤしている。

ミミはフレーニではなくてここではコトルバスが歌っている。
こないだ買った三浦先生の「演奏家ショートショート」にコトルバスとクライバーの相性のよさについて書かれている。コトルバスはあの薄幸そうな外見とは打って変わって結構「ずばり言うわよ!」的な歌手で、「非常に悪い指揮者とだとどうも私調子悪くて」などと言っている。それとは逆にクライバーとは「最高のフィーリング」になってしまうらしい。そうなのか~、やっぱりなあ。

そんな感じで、コトルバスは大変素晴らしい。フレーニのような声量はない(多分。生では聴いてないので)と思うが、外見・声からリアルにミミらしく肺病で死ぬ感じがちゃんとする。第4幕の死ぬ場面がめっぽううまい。

ムゼッタのルチア・ポップは、ファンからしたら「世界遺産」級の映像ではないだろうか。イタリア・オペラでは異質な感じの声だけれど、もーどーでもいい。だってポップだもん。

一方、殿方の歌手はパヴァロッティ、ネステレンコとベテランの素晴らしい声を聴くことが出来る。

・・・っつーか。
昔からこんなおっさんだらけのボエームをテレビ等で見てて、「この人たちはいい年こいて何を夢見ているのだろう、就職しろ。」と思っていた。

しかし何年か前、日本で見ることのできたサントリーホール・オペラでの(サバティーニ以外)リアル年齢な歌手による「ボエーム」(ヒッピー風の衣装がみんなとっても可愛かった。森マキさんのサイケな衣装も似合ってた)や、先ごろ教育テレビで見た新国での「ボエーム」(トレンディドラマみたいな気分で演出)など、方向性を違えた説得力のある上演を見ると、やっぱりこれって青春オペラなんだなあ、と今更納得した次第。



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2007年3月 3日 (土曜日)

クライバー「トリスタンとイゾルデ」

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」
ルネ・コロ(トリスタン)、クルト・モル(マルケ王)、マーガレット・プライス(イゾルデ)、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(クルヴェナール)、ブリギッテ・ファスベンダー(ブランゲーネ)、アントン・デルモータ(牧童)その他
カルロス・クライバー指揮/ドレスデン国立管弦楽団・ライプツィヒ放送合唱団

過去記事
クライバー:トリスタンとイゾルデ(スカラ座ライブ)

「カルロス・クライバー・オリジナル」に収録のオペラ全曲盤のCDの感想(っつーか漫談)を連日やってきました。ま、残るは「トリスタン」だわね。期待していた方も多かったと思う。

今日、ベルリン国立「トリスタン」の券が届きました。うーん、招聘元の作った(ガガガーとレジ印刷でない)券を久しぶりに見ました。ほとんどプレイガイドで取っていたからね、このところ。ナンだか豪華でイイネ。

まああ、今年のベルリン国立のトリスタンは、演奏や歌唱も楽しみなのはもちろんのこと。クプファーの演出とシャーフェルノッホ(シャヴァノフ?いったい本当の発音はなんなの?)の舞台美術もおおいに楽しみ。チラシで見れるこの舞台写真はなんとも素敵だ。う~。

以前、市川猿之助さんがR・シュトラウスの「影のない女」を演出したのが縁で、猿之助さん主催の「スーパー歌舞伎」の舞台美術をシャーフェルノッホが手がけたときがあった。私は何故かたまたま父の仕事経由で券が回ってきてお弁当・お土産つきでタダで観にいくことができた。歌舞伎とドイツ・オペラの美術の融合。「影のない女」逆バージョンとして、興味深く見させて頂いた。演目は八犬伝だったかな~?いや~黒を基調とした舞台はかっこよかったです。

実はわりとこんなことが縁で歌舞伎にもはまったのかもしれない。

さて、クライバーのトリスタン。すでにどこでも語りつくされた名盤で、私のファーストバイ・トリスタンであった。が、実は最初に聴いたのはラジオ放送でのバイロイト音楽祭のバレンボイム指揮、トリスタンはコロであった。なんだか第3幕がコロのトンでもない大熱演で大層びっくりした覚えがある。今はバレンボイムはどんな演奏をするんだろう。

で、クライバー(なかなか本題に入らない・・・)なんだけど、こないだ買ったグッドールの「トリスタン」演奏が重戦車(Niklaus Vogel氏がコメントで表現して下さったのを引用)なのに対し、早めの指揮ぶりは最新のベンツとかBMWがアウトバーンをぶっ飛ばしてる感じ。すいーすいーとハンドルさばきは軽快だ。

ドレスデンのオケのややくすんだ音色とあいまって、なんだか耳で聴いているのに映画みたいに悲劇の情景がすうっと目に浮かぶ。(最近、「トリスタンとイゾルデ」の映画が公開されたが見ていない。ワーグナーとは関係なさそうだったんで)

昔。(自慢、始まるよ!)
クライバーが来日してフレーニのミミで「ボエーム」を指揮したときに、私もこれは観にいったのだが、吉田秀和さんだかが新聞評で「この日出演した名歌手の他に稀代の名歌手がもう一人加わったような、クライバー指揮のオーケストラ」などということを書いてらっしゃったのを思い出した。

たとえば、第3幕。
瀕死のトリスタンがやっと目をさます。大喜びのクルヴェナールと一緒にオーケストラも横で無言で大喜びしているのが目に浮かぶ(なんとなく「千と千尋の神隠し」の「カオナシ」が頭に浮かんだ)。しかしそれに反して次にはトリスタンはイゾルデを思うあまりに苦悩の歌を歌うが、カオナシがその横で「え?」とばかりの落胆の表情。そしてトリスタンとともにオケにもみるみる表情に悲しみが表れる。このへんはまあワーグナーの音楽自体もうまいのかもしれないけれども、こういった変幻自在のクライバーの指揮はうなるもんがある。

歌手は~。コロのトリスタンは、昨日はお調子者の「こうもり」のアルフレートを歌ってたばっかりでちょっと笑ってしまった。このところヴィナイだのヴェンコフだのの「重トリスタン」を聴いていたので、コロの「軽トリスタン」はちょっと新鮮。コロのトリスタンはベルリン・ドイツ・オペラ来日で見聞きしたけれど、指揮者があまり良くなかったんだかあまりよく覚えてないのが残念。

イゾルデのマーガレット・プライスは、解説書の写真さえ見なければ、リゲンツァやデルネッシュ並の金髪美女を想像できる歌声かと思うが、ムリだろうか。プライスの、他のワーグナー歌手にはないこまやかな歌いぶりは結構気に入っている。とくにホレ薬を飲んだあとの「どうしたの、ブランゲーネ?あの叫び声は何ごと?」と取り乱して歌うところなど、ニルソンやフラグスタートなどには見られない可憐な表情が何度聴いても好き。

・・・。
そんなわけで、10月のトリスタンが楽しみですねえ!



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2007年3月 2日 (金曜日)

クライバー「こうもり」再び。

ヨハン・シュトラウス:歌劇「こうもり」
ヘルマン・プライ(アイゼンシュタイン)ユリア・ヴァラディ(ロザリンデ)ルネ・コロ(アルフレート)ベルント・ヴァイクル(ファルケ)ルチア・ポップ(アデーレ)他
カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団・バイエルン国立歌劇場合唱団

過去記事
クライバーの椿姫とこうもりと私

今更聴いていて。
なんて素敵な録音なんでしょう。すべてのオペラ・ファン、クラシック・ファンは手に入れるべきである、本当に今更ながら。こんなに素敵なCDを聴いたことなくて一生を終わる人は本当に不幸だわ。クライバーの序曲から素晴らしいわくわくする指揮と、ポップ、コロ、プライにヴァラディにヴァイクルと揃いも揃ったキャスト。マイスタージンガーだってできそうよね。

それと、オルロフスキーを歌っているイヴァン・レヴロフって歌手もなんだかいまだにナゾだが面白い。フランクとアイゼンシュタインの珍妙なフランス語の会話も笑ってしまう。アイゼンシュタインとロザリンデの舞踏会での二重唱も楽しいね。これがプライとヴァラディで贅沢。クライバー得意の「雷鳴と電光」も。

昨日の「椿姫」同様、ヨーロッパの昔の人はやけに舞踏会ばっかりしてたんだな、と思いながら・・・。

・・・・。

私は実は「ウィンナ・ワルツ」は苦手。ウィーンの毎年やってるニュー・イヤーコンサートだって(もちろんクライバーのときは熱心に見たが)テレビは最初だけ見てあとはろくに見ていない。有名な曲はいいんだけど、そうでもないのは曲の区別がつかないし、退屈なんだもん。

正月にウィーンに旅行に行った時も、宿泊場所より路面電車で10分でムジークフェラインに行けるというのに、昼間にホテルでテレビ生中継を見ながら「これじゃ日本と変んないね」とか笑ったもんだったが。まあ、自力で券を手に入れることなど大変なことはわかってたが。

それでもまあ、正月にウィーン国立歌劇場で「こうもり」を見たことはあるにはある。出演者はほとんど覚えてない。キルヒシュラーガーがオルロフスキーだったの以外は。演出や装置は、日本の引越し公演と同じであり。

あの、ドリフみたいな回り舞台の。しかし、NHKホールではそういった装置はなかったのでわざわざ作ったんだね確か。

で、NHKホールではご存知のとおりクラシック関係以外の番組収録もある。しかし組んであるセットを動かすわけにも行かず、公演期間内に主に五木ひろしさんや吉幾三さんなどの演歌歌手の出演する「歌謡ホール」って番組の収録をしなきゃなんなかった。

でも。なんだか演歌歌手の皆さんは大喜びだった。小林幸子さんはあの豪華セットに負けないくらいのハデな衣装で歌っていた(・・・ような気がするが記憶が薄い)。もちろん舞台もぐーるぐる回していた。
私の両親は大の演歌マニアであるから毎週この番組は見ていて、私もいつもは興味もなかったけれど、その回はさすがに一緒に楽しくテレビを見ていたものである。このNHKでの「こうもり」には行かなかったのだけれども。

でもって、このCD。どの歌手も本当に素敵だが、とくにルチア・ポップのチャーミングさとルネ・コロの美声にはほんとに参ってしまう。あとプライもヴァイクルもヴァラディも、幸運なことにこの5人ともオペラの舞台を見ることができた。 (←軽く自慢。)

ああ、バブルよあっぱれ。そして二度とあんな素敵な時代は戻ってこないのである。



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2007年3月 1日 (木曜日)

クライバー「椿姫」再び。


ヴェルディ:歌劇「椿姫」
イレアナ・コトルバス(ヴィオレッタ)プラシド・ドミンゴ(アルフレード)シェリル・ミルンズ(ジョルジョ・ジェルモン)
その他
カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団・バイエルン国立歌劇場合唱団



昨日の「魔弾の射手」に続き、カルロスの名盤「椿姫」を聴いてみよう。

過去記事
クライバーの椿姫とこうもりと私



以前にも書いたとおり、私が一番最初に買ったオペラのレコードはクライバーの椿姫です。中学生1年のときです。

音楽的に言えば、この「椿姫」とゆーオペラは実にわかりやすい。オペラの基礎というか基本というか、美しい前奏曲あり、有名なアリアあり、合唱が入り、男女の恋愛があり、最後はヨヨと泣かせる。
「わたし、オペラなんて行くの初めて~。ドキドキ。何着て行こうかしら?」なんていうデートのシーンでも活躍しそうな演目である。全曲短いので女性が退屈して「私帰るわ」なんてこともなさそうだし、そのあと豪華ディナーに行くなり、他の所(?)に行くなり、自由である。

ワーグナーだったらそうはいかん。初デートが初オペラで「パルシファル」とかだったら目も当てられない。普通の婦女子だったら第1幕終わったあたりで相手の男の横っ面張り倒して帰るだろう。や、あたしだったら無論超オッケーなんだけれども。

や、それはさておき・・・。

私とこのオペラとの出会いは、少し早すぎた。オトナの世界があまりよくわからんうちにやってきた。

(ウチの子は小学生だけど、とっくの昔にこの曲を聴いていますよ、などというコメントは受付けません。あくまで私の話。)

まず、この主人公ヴィオレッタの職業がナゾであった。解説書には具体的には書いてない(と思う。よく読めばどっかにあるのかもしんね)。

解説書のヴィオレッタの説明は以下の通り。

ソプラノ。ドゥミモンドの女。けがれない心の持ち主で、アルフレードを愛し、病のため死ぬ。ソプラノ・リリコの持ち役であるが、ドラマティックな表現力も必要であり、コロラトゥーラのパッセージも歌いきることが求められている。そのためにこのヴィオレッタの役は、ソプラノにとって、至難の役とされている。下は1点ニ音から、上は3点ハ音までが必要で、特に<ああ、そは彼の人か>のカバレッタ<花より花へ>では3点ニ音が求められている。デュマの原作での、マルグリット・ゴーチェ。

ドゥミモンドて何。
1点だの3点だのどうでもいいっ。いったいこのヴィオレッタという女は何者なのか。何故こんなに舞踏会ばっかり行っているのか。何故こんなに金持ちそうなのか。なぜ恋人のお父さんに「息子と別れてくれ」と言われて素直に従うのか。

うすうす、何とはなしに「もしかしてアレ・・・?」とか思いつつ、ナゾは深まるばかりだ。

しかもある日、この録音がNHK-FMで放送された時。NHKの解説の女性はこんなふうにしゃーしゃーと切り抜けた。
「昔、貴族のご機嫌をとりながら生活していた女性たちがおり、ヴィオレッタもそのような女の一人であった・・・」
ご機嫌を、取るだけで、こんな裕福な暮らしを!昔のパリの女性はなんて幸せなんだ!

・・・。

で、まー。私も自分の働いたお金でCD買うなり実演のオペラなり観にいくような年齢になる頃にゃ、ヴィオレッタがどんなヤツだかはイヤというほど充分わかっていた。

が。

題名の「椿姫」ってのが、ずっと意味がわからなかった。オペラには椿の花はいっさい出てこないし。ヴェルディのオペラの題名は「道に迷った女」であり。いったいどういう関係が?

この「椿」の本当の意味がわかったのはつい3~4年ほど前である。つまり(まあ、オペラ通の方はとっくにご存知だと思う)、お仕事が可能な日は白い椿、お仕事が不可能な日は赤い椿をお部屋に飾る、というかなりグロイ理由で椿姫なんだそうである。

中学生のときに知らなくてよかった。

さてこのCDの演奏であるが、もう言うまでもなく素晴らしい。今やワーグナーなんか歌っちゃってるドミンゴも、このころは大変若々しい声でうっとりする。まあ、いかにも田舎のボンボンの役のアルフレードにはちょっと理知的にすぎるかも、と今聴くと思うけれど。

そして、なんといってもコトルバスの声が、実にかわいそうな感じがする。声自体が悲しげである。実演で見たらきっと大泣きであろう。実際、テレビで彼女の演じるヴィオレッタを見たことがあるが、かなりの大熱演でけっこう「キタ」のを覚えている。泣きはしなかったが。

しかし、この演奏の主役はどう考えても指揮者。悲しい前奏曲が終わり、生き生きと曲が進み、あっというまにアルフレードとヴィオレッタは恋に落ちる。それにしてもなんという速さだろう。まるでビデオの早回しのようである。第1幕のこんなドキドキワクワク感は他の演奏では感じられない・・・っていうか他にCD持ってないので何ともいえないが、多分そうなんでしょう。・・・。

ま、次は”クライバー「こうもり」再び”の予定なんでお楽しみに!

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2007年2月28日 (水曜日)

C・クライバー「魔弾の射手」

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」
ベルンド・ヴァイクル(オットカール)、ジークフリート・フォーゲル(クーノ)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(アガーテ)、エディット・マティス(エンヒェン)、テオ・アダム(カスパール)、ペーター・シュライアー(マックス)、フランツ・クラス(隠者)その他
カルロス・クライバー指揮/ドレスデン国立管弦楽団・ライプツィヒ放送合唱団

吉田さんっちのblogで取り上げてなすったので、「あーそいえば、うちにもあったわね(殆ど放置プレイだけど)」と聴いてみました。

クライバー・オリジナルスの中の一組。この中にはクライバーの公式なグラモフォンのオペラ録音(が、「薔薇の騎士」はない)が全部入っている。他にシンフォニーが何枚か。


前にも書きましたが。
私は他のオペラ「椿姫」と「こうもり」と「トリスタンとイゾルデ」のクライバー盤を聴いて育った。まだレコードだったから、大人になってクライバー・オリジナルズを買うことでいっぺんにCDに切り替えることができた。でもクライバーのデビュー盤っていうこのウェーバーはレコードもってない。

しかもCDはほとんど聴いてない。国内盤対訳つきだから、別に鑑賞に支障はないはずだ。しかもオールスター・キャスト。次のオペラ録音の「こうもり」とおんなじくらいの高レベルのキャストである。

なんでだったんだろう。

聴いていて、そうそう、思い出した。まず有名な序曲はいいとして、次からでてくる合唱とキリアンって「裕福な農夫」がキモイ。

ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ・・・・て。なにそれ。

ここらへんでちょっとヒイた。ダメだった。なので多分、エンヒェンやアガーテのアリアとかまでもきっと聴いてないと思う。で、第3幕で歌われる「狩人の合唱」はよく聴いてた。♪8時ちょうどの~あずさ2号・・・じゃなくて有名なアレね。昔、高級外車のCMで使われてたんだたしか。

ま、このオペラは全体的に「キモイ」とか「コワイ」と思っていいと思う。私の最初の印象は外れてない。ドイツの黒い森っぽいホラーな雰囲気満載である。妖怪とか出てくるしね。部屋にかけてある絵がおっこっちゃうし(オペラの中でね)。花嫁付添人の歌も不気味だし。結構、女一人暮らしの夜聴いているのはキッツイなあ。

(ディズニーランドの「ホーンテッド・マンション」とかの世界に近いかもしれんね)
そして、このホラーな感じは・・・そういえば「さまよえるオランダ人」の世界もここから通じているような気がする。ドイツ人、コワイもの好きなの?

(ワタクシ事ながら。3幕でアガーテが「白い鳩になった夢をみた」といっているが、白い鳩ってドイツ語でWeisse Taubeっていうんだね。ヴァイセ・タウベって私がザルツブルグ旅行で泊ったホテルの名前。築何百年だかで、白い壁で内装もたいへんかわいらしい。ザルツブルグ音楽祭に行ってまた泊るんだという夢はどこへいっちゃったの?)

歌手は私んちでもレギュラー・スターティングメンバーばっかりなもんでみなさんすばらしいが、全くウチには他にCDがないと思われるエディット・マティスがとっても素晴らしい。モーツァルト歌手っていうばかりに滅多に聴けない歌手が多いのは残念である。まあ、それは私の勝手なのだが。

いつもながらクライバーの大変勢いのよい指揮は素晴らしい。他のオペラ録音でも感じるが、(ヘンなたとえだが)切り立てさばきたての魚のお刺身盛り合わせのようなライブ感。こんな凄い指揮者でオペラを2度も聴けたのはシアワセ者である。 


↑軽く自慢。





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2006年11月11日 (土曜日)

のだめフェアー/クライバーのベートーヴェン7番



ベートーヴェン:交響曲第5番・7番
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

雨なので、みんな家でネットしてる?イエ~イ。

このところ、「やはりタワレコあっての私の人生なのね」という感謝の念でいっぱいなのでタワレコさんのフェアーの宣伝をしております。

で、やはり気になるのはのだめカンタービレキャンペーン 。少女マンガにはいっこうに疎い私だけれど、テレビのほうは初回をのぞいて一応ぜんぶ見ています。

で、ドラマで千秋さまがコンサートで指揮したベートーヴェン7番が、頭に残って離れないよ!

ってなわけで今日はベト7。私にとってはベト7はクライバー以外の人選はありえない。何故って。

これしかもってないから。

気がついてる読者の方も多いと思うけれど、私のCDコレクションにはベートーヴェンやシューベルト、ブラームスは少ない。

クライバー指揮のこのベートーヴェンと、クライバーのブラームス4番、シューベルトの3番&未完成があるくらい。

で、ほとんど聴いてない。なんで買ったのか?

それは、何年か前購入した
「クライバー・オリジナルス」に入ってたから。

 
←タワレコ在庫わずかよん
オンライン価格19、199円



Pa0_0023 12枚組2万4千円。上記の交響曲3枚と、魔弾の射手、椿姫とこうもり、トリスタン全曲が丈夫な紙箱に入っている。オペラはウェーバー以外レコードを持ってたが、これを機に全部CDに切り替えた。対訳・解説書も全部別の冊子になっていて、バラで売っているのと仕様は同じ。ただ、日本独自のオリジナル・イメージピット・プロセッシングってのになってるので音はいい。当時はクライバー・カレンダーもついていた。

全部同じ箱に入っているので、すっきりとしてとても見栄えがよい。ただ、友人に「椿姫」だけ貸したいと思うと、解説書もつけなければならんので別の全然違うオペラの外箱を使用して貸さなければならない。滅多にあることではないけど。

で、クライバーのベートーヴェンだけれども。すでにこれは語りつくされた名盤だし、いまさらながら古典純音楽に疎い私が語るもんでもないが、いいと思う、とりあえず。クライバーの美しい指揮ぶりを見ながら聴けば、素敵さは倍増でしょう、きっと。久しぶりに「運命」なんか聴いたら耳が「どうしたの?何かあったの?」とか言っています。

クライバーの指揮映像。
http://www.youtube.com/watch?v=s1qAWcd4rr0

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それでは、個人的に「のだめカンタービレフェア」いきます!




←予約受付中!


んん・・・なんかヘンなのも混じってるかも・・・。

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2006年6月27日 (火曜日)

クライバーのボエーム1988

今や景気が悪くて(世間もオイラも)世に言う「引越しオペラ」の類はここ何年も行ってない。しかし、十何年か前のバブルな時期にはもう目玉が飛び出るほど法外な値段を出してオペラに通っていた。「バブル青田」さんがジュリアナだのなんだの(よく知らないが)通ってブイブイ言わせてた(死語?)頃、私は「神奈川県民ホール」やら「NHKホール」だの通ってかなりのお金を使っていたのだった。

そんなオペラ鑑賞の経験の中で、「今まで生きてきて、一番幸せです」(by岩崎恭子)と言えるオペラ公演がある。しかもこれから仮に40年滞りなく人生をまっとうしたとしても、最高のオペラ体験と間違いなく言えるのが1988年のカルロス・クライバー指揮のミラノスカラ座引越し公演の「ボエーム」である。

この年の引越し公演はまさにバブル絶頂期であった。ミラノスカラ座とともにミュンヘン・オペラもその年に来て、この中には「史上最強のマイスタージンガー」(なんか特撮映画の題名みたいだ)といわれる伝説の公演もあったし、ルチア・ポップによる「アラベラ」もあったりとほんとに盛りだくさんな年であった。(その話はまた別の日に)

1988年のミラノ・スカラ座公演はムーティ指揮の「ナブッコ」「カプレッティとモンテキッキ」、クライバー指揮の「ボエーム」、マゼール指揮の「トゥーランドット」という超豪華版。出演者もフレーニ、バルツァ、ディミトローヴァ、アリベルティ、クベルリ、デッシー、ドヴォルスキー、ブルゾン、ラ・スコーラ、マルティヌッチ、なんとか、かんとか、ああもうめんどくさいとにかくたくさん有名な人が出たのさっ。

その年のある日、私は仲良しだった友人に「トゥーランドット見に行きたいね」と言われ、「いってみるう?」と何やら盛り上がってしまい、私が電話で券を予約することになった。1時間くらいかかってやっと電話が繋がり、マゼール指揮のトゥーランドットを2枚ゲット。で、念のため 本当に念のため「あの、クライバーのボエームまだありますか?」
と聞いたてみたら「うーん、A席が何枚か、残ってますね♪」という信じられない言葉が返ってきた。

ありえない

ありえない

で、自分の分だけゲット(だって友達はトゥーランドットだけ見たいんだもーんいいんだもーん)。

結局「ボエーム」と「トゥーランドット」のプッチーニの作品を2日続けて見ることに。

そして待ちに待った「ボエーム」当日。
神奈川県民ホールの裏口にバスが着くと「なんとかサファリパーク」みたいなシマウマ模様の車を発見。「何で?」とその時は思ったが、なんてこたない、第2幕に出てくるパルピニョールの連れてるロバが運ばれてきてたのであった。ビバ!パルピニョール。

<その日の配役>

ロドルフォ:ペーター・ドヴォルスキー
ショナール:アントニオ・サルヴァドーリ
ミミ:ミレッラ・フレーニ
マルチェロ:ジョナサン・サマーズ
コルリーネ:ジョルジョ・スルヤン
ムゼッタ:バーバラ・ダニエル
その他

席はA席だったが、クライバー好きには願ってもない、よい席であった。
神奈川県民にいったことのある方はおわかりだと思いますが、2階席の両はしは舞台近くまでせりだしています。その一番前だったのです。ってことは、少し横から見ることになりますが、舞台に近くてよく見えるし、指揮者はこんなかんじで、真横からよく見えました。Kleiber_2 にこにこしながら踊るように指揮していました。楽しそう、カルロスったらなんてキューーーート。絵があまりに下手でごめんなさい。遠い昔なもんで。

ボエームの実演を見るのがはじめて(いやいや、イタリアオペラのほんもの見るのこの日が人生初めてさっ)だったので、「ああ、こういうものなのか」と思い、すべてが発見。ミレッラ・フレーニおねえさまも、CDで聴いていたときはリリックソプラノそのものだったが、実際に聴いてみると声量のものすごさに驚き。会場の隅々までいきわたるクリーミーな声。「我が名はミミ」で引き込まれそうなくらいの絶妙なうまさ、可憐さ。まさにイタリア・オペラの声とは、これだ。

夢のような第一幕が終わり、幕がおり、休み時間?と思ったら指揮者はひっこまない。にこにこして腕組をして立っているクライバー。と突然「ぱっぱっぱっぱー」と威勢のいいトランペットが鳴り響き幕が上がり、合唱の声。大拍手。そのときの衝撃は何年経っても忘れられない、大好きな瞬間。

舞台は2段になっていて、2段目のほうは遠くの街並みを子供たちに大人の服を着せて歩かせて、目の錯覚を起こさせて舞台の奥行きを感じさせている。やるなゼッフィレッリ。
舞台からはみだしそうなほど沢山の人が舞台に乗っている。ムゼッタが大爆笑とともに登場。有名なアリア(ムゼッタのワルツ)を歌う。他の登場人物もだんだんと歌に加わり絶妙なアンサンブル。あれこれとやりとりがあったあと、ついにムゼッタはマルチェロのもとに帰る。全員の声がぴったりとまとまり、オケも最高に盛り上がる。フォルテシシシシしししモ(?)。 

「♪マルチェッロー♪」

そして場内は大喝采。ぜんぜん泣く部分でないのに私はここの所で大泣きしてしまった。だってものすごいんだもん。なんていったらいいの?この涙はなんなの?わかんないよ。感動なのかしら。

うゎーんうゎーん。(ToT)

涙がとまらないよママン。

すげえよ、クライバーすげえよ。

カルロス愛してる~(←?)

(以下、3幕4幕の感想は略)

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クライバーはとうとう「ボエーム」のスタジオ録音はしなかった。(第一幕だけしたって話は本当???)クライバー自身、日本にくるたびに自分の海賊録音盤をCDショップで探しては喜んで買って帰ってったって話(そして東京ネズミーランドに女子大生とデートしてたって話も・・・アワワ)を読んだことがあるが、「ボエーム」も海賊盤がある。自分が見た公演のとほとんど同じ配役のものを持っている(ヤバイすか?)。そして、ことあるごとに聞き返す。本当に随分前のことなのに、昨日のことのように涙とともに蘇る。本当は買ってはいけないのかもしれないけど、私にとっては人生最高の演奏を思い出すことのできる、大事な大事なCDなのである。

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