マーラー/交響曲第9番 ブルーメン・フィル
マーラー:交響曲第9番ニ長調
寺岡清高指揮 ブルーメン・フィルハーモニー
(ミューザ川崎シンフォニーホール)
今でこそ東京には数多くのアマチュアオーケストラが沢山存在し、マーラーなんてごくごく日常的に演奏されるが。私が子供の頃なんて、東京だってプロもそんなにマーラーなんて演奏してなかったろうし。
ワーグナー/楽劇《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死
楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より第1幕への前奏曲
マーラー/交響曲第1番 ニ長調《巨人》
エリアフ・インバル指揮
ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団
(7月8日 すみだトリフォニーホール)
過去記事:ちょっと昔のレビュー(10)*1996年・インバル/マーラー6番*
バースデー休暇を取るように言われてたので、突然仕事があいて午後半休を取り行ってきた。当日券があるのか?と疑問に思いすみトリに電話をかけて見たところ「どこの席も十分にございます」とのこと。「ラッキー!」とガッツポーズを取ってみたものの、それってヤバイんじゃないの?興行的に。
昔と違って今はネットなりツイッターなりがあるのだから、「当日券あります」的なお知らせはするべきではないだろうか。いちいちホールにお問い合わせをするのがめんどくさい人もいるだろうし。
行ってみると・・・やっぱり空席が目立った。私の大好きなすみトリの2階バルコニー「お1人様席」が余裕で取れた。ああ、なんていいバースデー(1日遅れ)。ネットで見ると明後日の皿オットちゃんの出演するゲイゲキは売り切れているようである。やはり人気美人ピアニストは強力じゃのう。まあ、皿オットちゃんは元気なうちに聴いておいたほうがいいかな、とは思っているのだけど。
ところで、私が聴いたインバルのナマ演奏は今回でたったの2度目である。前は過去記事に挙げたN響とのマーラー6番である。演奏会終わってから自分のその時の感想を読んでびっくりした。その時、珍しく(私はその演奏会が初めて)弦楽器の弦が切れるという事故があったらしいのだが、本日の演奏会でもなんと、切れたらしい。私は演奏に夢中になりすぎてちょっと気づかなかったのだが、演奏後のツイッターを巡ってたら書いてあった。これって凄くないですか?たった2回しか聴いたことない指揮者の演奏会で2度とも弦切れるなんて。
プログラムの最初はワーグナー。インバルのワーグナー初めて聴くかも。ドイツのオケということで、もっと重厚なくすんだ響きを勝手に想像していたのだけど、意外とカラフルな感じがした。そしてインバルということでもっとバレちゃんばりのねっとりした演奏を想像してたけど、そんなでもなく(すっきりさっぱり演奏でもないんだけど)。トリスタンもよかったけれど、マイスタージンガーはもっとよかった。「ああ、あたしの誕生日を祝福してくれているのね!」と勝手に喜んでた。なんて輝かしくていい演奏だろう。早くも涙が出た。
演奏が終わったあと、一階客席後方でなんかトラブルがあったらしく、「インバルがちっとも見えないだろ~~~」と叫んでいる男の人の声が聴こえた。チョン指揮フィデリオん時みたいに音楽評論家Kがまた来てるのかと思った(←違う)。
そして何事もなかったように、メインの巨人。ああ、私はこの曲が大好きだ。大好きだけど・・・外国のオケでナマで聴くの実は初めてかも。アレレ。
んでまあ、聴いててなんだろう、とても懐かしい気がした。子供の頃聴いてたマーラーを思い出した。こんな音色だったなあって。何故かというと、ウチはとっても貧乏な家でねえ、小学生の子供がいくらクラシックが好きでもN響とかのナマの演奏会になんか連れて行ってもらえなかったの。なので、少ないお小遣いをやりくりして、レコードを買ってた。だから外国のオケでしかマーラーは聴いたことなかった。クーベリックとか、ワルターとか、バーンスタインとか。
大人になったら結局はナマでは日本人のオケでばっかり聴くようになっちゃったから。今日の演奏は「ああ、本来はこういう響きなのだな、マーラーは」って思った。うまい、へたじゃなくて。だってN響だってうまいと思うもの。今日のオケだって雑なところもあったし。でも・・・そういうんじゃないんだよね。
今日の演奏で、びっくりしたのは第3楽章が一番面白かったこと。私、第3楽章が正直退屈だなっていつもは思ってたんだけど・・・今日は違ってた。マーラーの伝記で読んだ、「子供の頃に家庭内で何か辛いことがあって家を出て行くと、道端で辻音楽師が『おお、いとしのアウグスティン』を演奏してて・・・それ以来何かとその経験が自分の作品に反映されるようになった(うろおぼえ)」みたいなことを思い出した。そういうのって・・・多分ヨーロッパで生活してないとわかんない感覚じゃないかなって思った(伝われ)。頭の中で、辻音楽師がクラリネット吹きながら踊ってたもん。
他にも、びっくり案件があって・・・第1楽章と第2楽章の間にお休みがなくすぐ演奏したんで、ちょっと「ほえ」って声出そうになった。インバルもこの曲を演奏するのなんかホント何回かわかんないくらいたくさんしてると思うから、きっと色々と工夫をしているのかな。いつも同じじゃつまんないしね。
まあ、ほんとに色々・・・ここに書ききれないほど面白い演奏だった。最後の立ち上がったホルンもずっと立っててかっこよかったし、最後の終わり方もばしっと決まってたし(好きな終わり方だった)、間髪入れず私もブラボーしてしまった。かっこよすぎて泣いた。たぶん、私の聴いた巨人ではベスト演奏だったと思う。賛否両論あるのは認めるが。
明後日の5番聴ける人羨ましい。そして、まだまだインバルさんはお元気で頑張って頂きたく。そしてティンパニー2人がかっこよかった。
A. ツェムリンスキー / 「春の埋葬」
G. マーラー / 交響曲第9番
東京アカデミッシェカペレ
指揮:海老原 光
独唱:坂井田 真実子(Sop.) 与那城 敬(Bar.)
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム
(6月16日 すみだトリフォニーホール)
家庭の事情で感想を書くのがすっかり遅くなってしまった。いつもお世話になっているアカデミッシェカペレさんの演奏会。今回は珍しいツェムリンスキーの合唱曲と、この季節にはちょっと重いかな〜(いやいつ聴いても重いわ)マーラー9番。まあ、このところ東京美術界ではウィーン関係の美術展が多く、ちょっとしたウィーンブームかなあと思っているくらい。ウィーン気分満喫の演奏会である(私だけ?)。
(他にも演奏会やオペラと美術展が偶然被った?と思われるものも。二期会の先日のサロメと、新橋のPanasonic美術館でのギュスターヴ・モローのサロメ展が被ったかな、と。しかしモロー展は大盛況で1時間待ちとかなのに、二期会のサロメのガラガラ加減は何と申したら。絵でサロメを見たら、音楽も聴いてみたいとか思わないのかな。なんかコラボ的に宣伝すればよかったのに。)
さてまずはツェムリンスキー。この曲はこの演奏会のご招待がなければ全然知らんかった。どこから見つけて来たのだろう。まあ、予習と称していつものようにYouTubeで探したりしてたんだけど、学生オケ?でのライブがあり、他にCDにツェムリンスキーではおなじみのコンロン先生のものがあるくらいか。学生オケの演奏を半分だけ聴いて、正直あまり面白くなくてギブアップしてしまった。おかしいなあ、大好きなツェムリンスキーなのに。
正直、曲については解説書を頼るしかないんで(山田先生すいません)、かいつまんで書きますと、この曲はツェムリンスキーにしてはかなり初期の作品で、アマチュア合唱団のために作られた曲だということである。しかしまあ、19世紀末ウィーンのアマチュアと現代の東京のアマチュアとの実力の差は歴然で(いや、その時代に生きてないので知らんがな)、この日は大変素晴らしい演奏でした。「埋葬って何それ怖い」などと思っていたのだけれど、解説によると「春」を擬人化しておりまして春の終わりから夏の訪れを迎え、亡くなった春を悼んで妖精やら森の動物やら集まってお葬式をする的な感じなのでおどろおどろしいものは何もない。ウィーンらしい美しさに溢れた曲である。
なんとなーく、であるけれど若干エルガーの「ゲロンティアス」を思わせるような部分もあるが、悲しい感じではない。だって春はまた来年も来るもんねえ。歌詞にも「新たに、そしていつまでも、春は蘇るのだ」という歌詞はマーラーの復活や「大地の歌」を思わせる。
合唱団やオーケストラは演奏に定評のある方々だが、今回ことさら素晴らしいと思ったのは二人の独唱の方である。この曲では「長老」の歌詞を主に歌う、二期会ではお馴染みの与那城さんの素晴らしさは当然だし、私は恐らく初めてお声をお聴きした坂井田さんというソプラノ歌手さんは本当に素晴らしい美声で、もっともっと聴いていたいと思わせるほど。舞台姿も大変美しいので、さぞオペラでは舞台映えしそうだなあと思ったのだけど、解説書のプロフィールではどうも難病を患ってらっしゃるらしい。またいつか声を聴きたいな、お元気で天性の美声をたくさん聴かせてほしいな、と思った。
さて、今回の本当のメインのマーラー。今やアマチュアオケがマーラーの9番を演奏するのなんて全く珍しくないのだが、私はこの曲があんまり得意ではないので(もちろん好きな曲ではあるのだけど、マーラー死んでワルターが初演したんだとか悲しいウィーンを思い出し気分が重くなるので聴くときは家で人に会わない日とかである)あんまりのめり込まないようにしていた。見ていると指揮者の方のオーバーアクションが面白く、まるでマーラーのカリカチュアみたいだな、なんて思った。ずいぶんテンポは速いなあと(少なくとも第1楽章は)思った。あんまり生でこの曲聴いたことないんで、あまり深い感想が書けなくてごめんなさい。演奏は、素晴らしかったです。
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演奏会前に行った、店内をレトロに作ってあるラーメン屋さん。ボンカレーの広告がいい。
味は普通のトンコツラーメン。
で、もうひとつこっそりと教えるけど、毎週木曜日の深夜にやっている「ブラックスキャンダル」とゆードラマはとても面白いです。袴田さんがゲスな役なのも凄いし(よく引き受けたな)、こんな内容なのにゲスの極み乙女が主題歌歌ってるのも凄い。おすすめです。
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