2023年9月23日 (土曜日)

グールドが・・・

Img_2671

先日引退を発表したばかりのステファン・グールドがお亡くなりになった。胆管がんだったという。長くて余命10ヶ月という発表だったが、あっというまだった。胆管がんは発見しづらく、症状が出たり発見されたりした時にはもう手遅れなことが多い(自分が最近色々あったので、病気となるとついつい調べてしまう)。逆にどうやって見つかったのだろう。やっぱり体調悪かったのかな。

グールドを最後に観たのは、新国立劇場でのタンホイザーだった。今年の事である。そのときは調子はどうだったのかな。いつもながらの歌唱だったし、演技にちょっとよっこらしょ感はあったけど、単に巨体なせいかなとか思った。60歳くらいなら、まだ何年か日本に来てくれて歌声を聴かせてくれるものかと思っていた。親日家で、実は大相撲のファンだったらしい。飯守さんと仲が良かったから、バイロイト常連クラスでもしょっちゅう日本に来てくれて、舞台に立ってくれて本当にありがたかった。

グールドはワーグナーの諸役(トリスタン、ジークフリート、ジークムント、ローゲ'、タンホイザー)とフロレスタン、あとは飯守さんの傘寿コンサートでの出演を見聞きする事ができた。私としては、世界的なヘルデン・テノールではルネ・コロと共に最も生で観た歌手である。

今頃、天国で飯守さんと会ってるかな、他の故人の名歌手とワーグナーの舞台を上演演してるかなあ、とか思ったり。このところワーグナー好きには悲しい知らせが続き、心がついていけない。どうか安らかに。それから出来る事なら新国立劇場での映像が残ってたらもう一度観たいものですね。お金払ってもいいから、上映会とかやってもらいたい(とくにリングとフィデリオ)

| | コメント (0)

2023年5月 1日 (月曜日)

METライブビューイング/ローエングリン

Img_2544


METライブビューイング  :  ワーグナー《ローエングリン》
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:フランソワ・ジラール
ローエングリン:ピョートル・ベチャワ
エルザ:タマラ・ウィルソン
オルトルート:クリスティーン・ガーキー
テルラムント:エフゲニー・ニキティン
ハインリヒ:ギュンター・グロイスベック

<あらすじ> 名前を尋ねると白鳥が迎えに来るシステム

東劇にて鑑賞。ベチャワ様のローエングリンはバイロイトその他の映像で見聞きしたが(いつも素晴らしい、かっこいい、しかしいつもコスチュームが「白鳥の騎士」とは程遠い)、もうすぐ日本でエレクトラを歌うというガーキー様が観たくて。

ベチャワ様のインスタで何度も舞台の写真をみていて「どんな演出だろう、核戦争後の地球かな?」とか思ってたけど、どうかな? 舞台はシェルターの中であり、ローエングリンは宇宙船に乗って地球を救いにやって来た異邦人(宇宙人)と言ったところか。

舞台衣装で印象的なのは、合唱団の着ているマント付きのドレスで、ビラビラとめくると色々な色に変わり出演者の心情や音楽を表したりするのだ。しかし、あまりに色々と変わるので(合唱の人大変そう)、あとの方では妙にツボにハマってしまいジワジワ来てしまった。沖縄の海にいるマンタの大群みたいにも見える。

ライブビューイング名物の出演歌手のインタビューでは、主役プリマドンナ二人がメリケンの方なんで、いやあよく喋る喋る、役柄と全然違うキャラクターなもんでちょっと困る。そしてワーグナーの楽劇の中では中くらいの長さなのに、幕間が長すぎて16時半始まりで終わったの21時過ぎ。

歌手の中ではまあ、タイトルロールはいつものように美声を響かせてうっとり聞き惚れるばかりだった(往年のジェス・トマスを思わせる声と風貌)が、なんと言ってもエルザ役のタマラ・ウィルソンの透明な美声には驚嘆。一世を風靡した(そしていつの間にかいなくなった)チェリル・スチューダーを思い出した。そして演出上では多分主役のオルトルート役ガーキーの強烈演技と歌唱、日本でのエレクトラが楽しみ。

それにしてもまあ、METはやっぱりMET、演奏その他諸々がヨーロッパと違いアメリカだなあと思う。

――――

あなた!ちょっと聞いて下さる?私はこことは別にSNSをやっておりますのですが、そっちで「ローエングリン」の感想を書いたらなんとピョートル・ベチャワ(本物)から「いいね」を頂いたのでびっくり。ベチャワもっと好きになったわ。実演見たんじゃなくて、映画ですよ、映画。

 

| | コメント (0)

2023年2月11日 (土曜日)

ワーグナー/タンホイザー(2023年 新国立劇場)

F4cd68dca6ff48b1954fbcc655991864
ワーグナー:歌劇タンホイザー
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付)

【領主ヘルマン】妻屋秀和
【タンホイザー】ステファン・グールド
【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト
【ヴァルター】鈴木 准
【ビーテロルフ】青山 貴
【ハインリヒ】今尾 滋
【ラインマル】後藤春馬
【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク
【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ
【牧童】前川依子
【4人の小姓】和田しほり/込山由貴子/花房英里子/長澤美希
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京交響楽団
【指 揮】アレホ・ペレス
【演 出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照 明】立田雄士
【振 付】メメット・バルカン
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史
(2月4日 オペラパレス)

鑑賞からもう一週間経ってしまった。前回、新国立で同じ演出で見聞きしたのは2019年であった。その時はコロナなんてまだなかったから普通にこの演出を見ていたんだなあ。そのあと2021年に二期会のヴァイグレ指揮によるタンホイザーを見聞きしたのでここ何年かは結構(ワーグナーの中では苦手な)タンホイザーは見てたんだな。

今回は3階席、B席をゲット。15400円也。まあまあ見えた。

コロナ禍真っ最中の時はどんなに高いお金を積んでも普段のレベルの公演は観れず。このところはやっとコロナも落ち着いてきて(というかみんな慣れてきて)合唱団がちゃんとフルメンバー舞台にいる、世界的な名歌手が登場するコロナ前のレベルの公演にやっと戻った感。

ステファン・グールドが主役を歌い、あんまり聞いた事ないけどすごい実力のある外国の歌手が出てくる、新国立劇場としては普通の(高レベルのほうの)公演。わたし的には指揮者とオケは2021年の二期会のタンホイザーを超えるものでは無かったものの(ヴァイグレと読響が素晴らしかった。なんであんなに良かったんだろう) 世界レベルの歌手は皆さん素晴らしかった。グールド、妻屋さん、外人美女二人、ヴォルフラムの人は言うまでもなく、ネットでかなり書いている人がいたけど、牧童を歌われた前川依子さんが大変素晴らしかった(考えてみるとこの役の人はだいたいいつもうまい)。グールドは飯守さん傘寿コンサートの時に(それこそコロナ真っ最中の時だ)コニュチェニなどと共に日本にいらして下さったので、そんなに久しぶり感はないけれどやはり彼のワーグナーは安定している。ただ、演出上どうしてもエリーザベトに向かって跪いたり起き上がったりしたりするので、あの巨体だと難しそうだった。

ヴァルフラムも素晴らしかったが、二期会のときの清水勇磨さんの美声を思い出して、また聴きたいなと思った(中止になった二期会「影のない女」のバラックは彼が歌うはずだった)。

そうそう先日、東京文化会館小ホールでのリサイタルで歌唱を聴いた、花房英里子さんが4人の小姓の一人として登場した。しかしみんな同じような化粧で同じカッコだったのでどれが彼女がわからず。ごめんなさい。みなさんかわいかったけど。

そういえば私の席の近くで、第二幕でタンホイザーがヴェーヌスベルクを讃える歌を歌うたんびに「ハッハッハ」と笑ってる観客がいて、「今更そこで笑う?」と不審に思って、休み時間に見たら外国人だった。へえー、外国人はそこで笑うのね、とちょっと面白く思った。外人さんはどう思ったかな、日本でのオペラ。

いつもながら、誰一人として同情できない(エリーザベトにとってヴォルフラムの何がダメなのかさっぱりわからない)よくわからないオペラだがやっぱり音楽は素晴らしい。こないだパリ・オペラ座の展覧会の時も思ったけれど、筋書的にはさっぱり受け入れられないものではあったろうに、音楽がそれを圧倒している。だから(マイアベーアなどとは違い)今もさかんに上演されているのだろう。ヨーロッパの人、あんなにドイツ人大嫌い(ワールドカップで日本がドイツを倒した時に、ヨーロッパの人々に何か違う感謝をされた気がする。)、ワーグナも大嫌いなはずなのに、ワーグナーの音楽は熱狂的に大好きなの不思議。

次回の新国はホフマン物語。合唱団活躍の演目で楽しみ。

516edf4d28b34473973b89d6c8bf9c6e

 

おまけとしてついでに。最近素晴らしいと思ってよく見ているYouTubeの映像について。

ベルント・ヴァイクルのチャンネル

これは本当に有難い。彼が出演・参加のワーグナーやシュトラウスの舞台の映像・録音がかなり見聴きできる。スタンダードなものからちょっとマイナーなものまで。「平和の日」や「火の欠乏」とか、「ボエーム」(プッチーニじゃないほう)とかも聞けてありがたい。ルチア・ポップとグルベローヴァ共演のこうもりも見れるの嬉し。

ベルリン・ドイツ・オペラのガラ・コンサート(1986年)

私がもし、大病か事故で神に召されたときに再び目が覚めて天国がここだったらいいなって思うようなコンサート。一晩で当時の名歌手が大集合して、オペラの舞台の一場面や衣装まで再現して上演するというお宝映像の数々。これが再生数すくないの不思議。意外とあんまり映像のないカタリナ・リゲンツァのゼンタ(やっぱり奇麗だ)とか、若きルネ・コロのリエンツィ、カラン・アームストロングとイエルザレムのコルンゴルト、ジャニス・マルティンのバラクの妻、ポップのスメタナとか、ヤノヴィッツのマルシャリン、パヴァロッティやカバリエも出演。懐かしき故ゲッツ・フリードリヒ監督が司会。ただ、ジェームズ・キングいないのは何故。

| | コメント (0)

2022年7月17日 (日曜日)

二期会/ワーグナー「パルジファル」ヴァイグレ(千秋楽)

Cbd45392baf5448194e0f7763f67b118

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
演出:宮本亞門
装置:ボリス・クドルチカ
衣裳:カスパー・グラーナー
照明:フェリース・ロス
映像:バルテック・マシス
合唱指揮:三澤洋史
演出助手:三浦安浩
澤田康子
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:佐々木典子
公演監督補:大野徹也
アムフォルタス:清水勇磨
ティトゥレル:清水宏樹
グルネマンツ:山下浩司
パルジファル:伊藤達人
クリングゾル:友清 崇
クンドリ:橋爪ゆか
第1の聖杯の騎士:新海康仁
第2の聖杯の騎士:狩野賢一
4人の小姓:宮地江奈
川合ひとみ
高柳 圭
相山潤平
花の乙女たち:宮地江奈
松永知史
杉山由紀
雨笠佳奈
川合ひとみ
小林紗季子
天上からの声:小林紗季子
少年:近田聖
母:白木原しのぶ
合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団
(東京文化会館大ホール)

過去記事:二期会/飯守さんのパルシファル 初日

全く行く予定なかったんだけど、3連休は友人と映画観に行く以外結構ヒマだなあと思ったので、一回だけ行く事に。土日のうち「安くて比較的よさそうな席があったらそっちに行く」という感じで、正直ダブルキャストのどっちでもよかった。10年前に観に行ったときに福井さんのパルジファルを間違って2回買ってしまったので、まあたまたま今回は伊藤さんの回でよかったかな。席は3階席の斜めから見下ろす感じ。幸いにも視線の先の2席ほど空いてたので、視界を遮るものがなく良く見えた。

(ところで。今回ティトゥレルを歌われる予定だった長谷川顯さんが闘病の末お亡くなりになったそうで、本当にこの悲しみをどこにぶつけたらいいのか。長年日本のワーグナーのバスと言えばまず長谷川さんで、何度も舞台を見聞きしてきたのでとても残念。まだ65歳という。昨年のマイスタージンガーでハンス・シュヴァルツを歌われたのが私にとって最後である。)

今回タイトルロールを歌われた伊藤達人さんは新国立劇場のマイスタージンガーでダヴィットを歌ったのを見聞きしたのが私は最初。その時は「がんばって歌っているな」以上の感想がなかったので(すいません)、今回の大抜擢はびっくりした。でも、予想以上に素晴らしかった。「日本にもついに新しいワーグナーテノールの誕生か?」と思ったけれど、前に同じように思ったびわ湖テノールの二塚直紀さんが早々に亡くなられてしまったので(縁起でもないですが)、伊藤さんはくれぐれもユーゲントリッヒャー・ヘルデンテノールの喉とお体を大事にして頂きたい。それで是非将来的にはジークムントを歌って欲しいな。

<あらすじ>ママと仲直りしてよかった♡めでたしめでたし。

第1幕
ある住居。少年とお母さんらしき人が登場。なんかちょっと仲悪そう?だが二人で美術館に行く。人類展?(フランス語ようわからん)。絵画などの展示の他に「ネアンデルタール人から人間」?の進化の展示あり。「これはもしかして、上野で上演するからカハクを舞台にしたのか?」と勝手に思ったが、そうでもないのかな。宗教画から抜け出してきたような人々を少年は目撃。まるで映画「ナイト・ミュージアム」のよう。

少年の前で数々の展示の宗教画をバックに、オペラ「パルジファル」の劇が繰り広げられていく。クンドリ登場。そういえば前の二期会のパルジファルでクンドリを演じられていたのは同じ橋爪ゆかさんだった。その時の演出ではクンドリは最後は昇天せずにスーツケース片手に長い旅に出ていたので、今回はまた戻ってきて奉仕をしたり再度パルシファルを誘惑したりするのかな(違うかあ)。

昨年二期会で同じヴァイグレ指揮で「タンホイザー」を上演した時に、ヴォルフラム役で大変素晴らしい美声を聴かせてくれた清水勇磨さんが今回は苦悩のアムフォルタスである。本当にいい声で(本人はお腹の傷が痛くてしょうがない演技なんだけど)聴き惚れてしまった。普段はレパートリー的にはイタオペなのかな?とは思うけど是非これからもワーグナー歌って欲しい。ベルント・ヴァイクルを思わせる美声。

そうしているうちに白鳥を弓矢で撃って大騒ぎのパルジファル登場。なんかさっき出てきた少年と同じ服装みたいよ。なんか前のタンホイザーと同じで謎の少年出すの流行ってるの?いつものようにグルネマンツが謎の聖杯の儀式に勧誘。くれぐれも言っておきたいのがこれは美術館もしくは博物館の中で行われるものだから、なんか係員みたいな男女がキリスト様を包んでた聖布?のようなものを取り出してきて広げると、その後ろからティトゥレル登場。男声合唱団は今戦っているウクライナの人々みたいな風貌(また戦争関係かー、いやだな)。アムフォルタスは中央の手術台みたいなのに乗せられて、係員の人が手術(?)。血がどくどく出てくる。イヤーヤメテー(スプラッタ苦手)。いつものようにさっぱり意味がわからん表情のパルジファル。グルネマンツは「今度は白鳥でなくて嫁でも探せば?」という謎の発言(字幕)。本当はガチョウでも探せ、じゃなかったっけ?

25分休み。外の空気に当たろうと券もって外出すると、パルシファル鑑賞してたと思しきカッポーの会話がたまたま聞こえた。(彼女)「ねえねえ(このクソ暑いのに)なんで(灰色の)パーカー着てきたの?」(彼氏)「だってパルジファルが着てたから・・・(お揃いにしたかった?)」(彼女苦笑)。いやー、その気持ちすごくわかるよ。私もベルリン国立歌劇場の「パルジファル」のDVD見て、シャーガーさんが着てた黒のパーカーを無印まで買いに行ったもん。

第2幕
美術館の中の管理人室。モニターの前にあきらかに怪しげな3~4人。クリングゾルの一団。相変わらず友清さんの美声、カッコイイぜ。この悪役好き殺し。クンドリ登場。10年前に観た時より今回の橋爪さん美しい。前は椿鬼奴さんみたいなメイクだったわ。モニターに映るパルジファルが男たちをバッタバッタとなぎ倒す(映像)。ここですかさず花の乙女たちがパルジファルを誘惑。10年前に引き続き謎のダンスを歌い踊る。パルジファルを少年が登場、花の乙女さんたちはパルジファルを誘惑しつつもクリングゾルの手下にそそのかされて刃物でパルジファルを殺そうとするが失敗。

クンドリが前より着飾って登場。別室のベッドのある部屋にパルシファルを連れて行きいつものようにちゅうをするけれど、そこでパルジファルは知を得てアンフォルタスの苦悩に気付く。そんでもってクリングゾルとその手下登場。パルジファルをかばって少年が槍に刺された! いつもだったら聖槍を投げて空中に止まるとかそういう演出があるんだけど、そういうのはいっさいなし。


第3幕

前奏曲は(ニュースでよく見る)徹底的に爆撃されたウクライナの映像。いやそういうのは・・・。舞台は1幕と同じ宗教画がいっぱい貼ってある部屋。グルネマンツが倒れているクンドリを起こしてあげる。武装した謎の騎士登場(少年をかついでいる)。前より髪が伸びてるねえ。これが前に白鳥殺して大騒ぎだった青年と気が付いて、クンドリその他みんなでパルジファルをキレイキレイしてあげる。お腹の傷イタイイタイのアムフォルタスが聖杯儀式を拒否してたため先王のティトゥレルは死去。クンドリは色々許されて、ピアノ線に釣られて昇天。

第1幕の儀式の部屋で傷だらけの兵士さんがまた集まってくるけど、ティトゥレルの遺体(もうミイラ化してるんで思わず「うわ」って言いそうになった)が出てくるとアムフォルタスを責める責める。そこで聖槍持ったパルジファルが登場。槍で傷をつつくとあら不思議、お腹の傷は治っちゃったよ。一同歓喜。倒れてた少年も槍でつつくと治って起き上がった。パルジファルはアムフォルタスの後を継ぐと思いきや、今まで何度も登場してるゴリラさん?に森に連れられて行ってしまった。少年はお母さんが探しに来てくれて、ハグして仲直り。めでたしめでたし(か?)。

歌手の皆さん、素晴らしかったけれど、やはり主役は読響とヴァイグレか(飯守さんの深い音楽に慣れてしまっているのでやっぱりテンポはやや速いな、軽いな、とは思ったけど)。管弦楽は若干縮小されてた感もあるし、合唱もやや少なかった気はしたが、まあこのコロナ禍ではしょうがないか。演出は・・・賛否両論あったがまあ・・・こんなもんでしょ。ようろっぱではもっと訳が分からん演出が多いかと思う。私のようにパルジファル何回も観てるガチ勢から言うと「わかりやすい・・・でもこんなにわかりやすすぎる必要あるのかな?色々詰め込みすぎでは。」というのが正直な感想。逆に初めてこのオペラ観る勢にはちょっとキツイかも? いろいろ言いたいことはあるんだけど、結局はとても感動したせいで、帰りに上野駅でお弁当買おうとしたけどあんまり考えがまとまらず構内をぐるぐるしてしまった。結局また塚田農場のチキン南蛮弁当で・・・まあ美味しいからいいか。

----

某・茂○先生もいらしていたようですが、YouTubeでのレビューを聞いてたんだけど、スタンディングオベーションしたらうしろのおじさんに「立つんじゃねー!見えねーよ!」って怒られた話なのかと思って途中までドキドキしちゃった。

|

2022年4月30日 (土曜日)

ワーグナー/トリスタンとイゾルデ ウィーン国立歌劇場ライヴ・ストリーミング

A3e689441bd34a4e8db9b0c31d19bb10

いつか再開するのかな〜とたまに起動してたウィーン国立歌劇場のアプリだか、先日の新国立劇場の「ばらの騎士」に合わせて(なのか偶然なのか知らんけど)本場の「薔薇の騎士」を配信してくれた。新国立劇場だって素晴らしかったけれど、やっぱり本場はすげえなって思いつつ見てた。オクタヴィアン役の歌手が高身長で演技も素晴らしかったしかっこよかったなあ。

次の配信の演目の「ランメルムーアのルチア」は残念ながら全部見切れず。その次がこのトリスタンである。いつまで見れるのかな。演奏は大変素晴らしい。フィリップ・ジョルダンの指揮も(デモーニッシュなところはないけど)軽快で素晴らしい(アルミン・ジョルダンの息子さんね)。

ところで。

「このコロナ禍で悔しかったことベストテン」をやったら(数多く挙げられる中で)「東京春祭のシャーガーさんのトリスタンが中止になった事」がわたしの中では堂々の第一位である。もう彼のトリスタン(や、他の諸役)を見聞きするには、ウィーンやベルリンに行かないといかんのかなあ、とか憂鬱になる。わたしは数多くの「トリスタン」を見聞きしてきたけれど、最初から最後までちゃんと(力を抜かず)歌われたトリスタンは2回しかない。シャーガーさんはその3回目になるはずだった(多分)のである。


この公演でのシャーガーは絶好調で、最初から最後まで声をビンビン響かせている。クルヴェナルやイゾルデと抱き合って歌うところなど、(彼のリサイタルを前の方で見聞きしたもので)相手の歌手は耳がかなりしんどかったのではないだろうか。第3幕でクルヴェナルは瀕死のところなのにイゾルデの到着で力一杯歌うトリスタンの横で耳を塞いでいた(演技なんだろうけど)。

イゾルデ役のマルティナ・セラフィンは前にトーキョー・リング再演の時にジークリンデを歌ってた人である。すっごい声量のある人だなあとびっくりした覚えが(というかわたしの感想では)あるが、まあウィーンでこのくらいよく歌ってくれれば文句はないなって感じのレベル。ブランゲーネのグバノヴァは綺麗で歌も良い。全くどうでもいい事だが、ブランゲーネの衣装のグリーンのワンピースがとても素敵で(なんでイゾルデは同じグリーンでもあんな変な水玉模様なんだろう、でもジャケットの裏地は細かい水玉模様で可愛いな、とは思った)あの柄があったらワンピース作りたいな、とか思った。

ルネ・パペがマルケ王なのも豪華だなあと。パペのマルケ王は随分前にベルリン国立歌劇場の引越し公演で見聞きしたが(その前にフンディングでも見てるな)、相変わらずいい声。しかし、第2幕で子供連れだったのはなぜ。

こんなに素晴らしいレベルでトリスタンを券取れて見られればもう本望よ!ってくらいの公演だと思うけど、やっぱり演出の意図がさっぱりわからんかった。いや、演出の意図がわかるような(プレーンな)演出のワーグナーは、もうドイツやオーストリアのでかい劇場では見られないのかもしれない。第1幕のたくさんのブランコ(大人がブランコ乗ってると黒澤明の「生きる」を思い出す)もびちゃびちゃの舞台もよくわからんし、第2幕の別々の部屋で壁紙や家具やら破壊しまくるトリスタンとイゾルデもよくわからん(コロナで隔離されてるのかと思ったけど違ったみたい)し、生魚を捌いているブランゲーネも気の毒だし(鱗をカリカリ削ったり内臓を出したりしてた)、「この演出は無視して音楽にのめり込むのが1番良い鑑賞法かな」と思うように見てた。

だが、第3幕ではもう無視するとか無理だった。演出家が「ふっふっふ、わたしの演出は観客をこの曲に集中できないようにしてるんだよ」みたいに言われているような気がした(わたしは)。幕が開いてすぐ何十人もの全裸の男女(全裸だぜ)が舞台にいて、男同士で(女同士で?)抱き合ったり〇〇したり。パ〇パンだからまだいいようなものの。画面の前で「ひゃー」となってしまった。シャルマイ吹いてるはずの牧人の役の人も別に楽器を吹くそぶりもなく、座ってるだけだし。

でもまあ、最後はちゃんとトリスタンは死ぬし、愛の死歌ったあとにイゾルデも、結構落ち着いてぶっ倒れてたダイニングセットを綺麗に整えてトリスタンを座らせ、自分も向かいに座って死亡。「本当はこんな生活を夢見てたんだよね」みたいな不倫カップルの死に方(かな?)。

 

 

|

2022年4月 2日 (土曜日)

ワーグナー/ローエングリン 東京・春・音楽祭2022

801997e4e479400c8338fbf22fe4c2d4

何年ぶりになるのかな、春祭のワーグナー。私は2017年の「神々の黄昏」以来らしい。コロナになってシャーガーさんのトリスタンが中止になってもう何年かな。もう、日本にいる限りシャーガーさんには会えないのでは、という悲しみが襲う。

それでもまあ、久しぶりにヤノフスキは日本にやってきた。相変わらずの低い譜面台が懐かしい。

8dc5689260a14b97aa729461a2410117

Ddb9e0201dd34134ad19dd539a0e180c

そもそも、ワーグナーのオペラではあんまりローエングリンは見ない方。何故かというと、日本で大人気の歌手さんが大体タイトルロールなんで。私はあの歌手さんが苦手なんだよね。なので春祭も新国立劇場も縁がなく。あ、二期会は行ったよ。今回はツィトコーワたん目当てで券をゲット。でも、直前になってキャンセルに。まさか、ロシア人だからってことはないよね。

そんで、キウリってとっても覚えやすい名前の歌手が代役に。

とにかくまあ、ワーグナーのオペラが全曲聴けるのであれば、演奏会形式でもありがたい。今やほとんど日本人キャストの新国立劇場を思えば、こんなに外人の歌手がキャストを占めるのはコロナ以来珍しい。コロナ前とほとんど変わらない・・・東京オペラシンガースさんがちょっと人数が少ないかな?というくらい。

いつもはキュッヒルさんがコンマスを務めているのが目玉の1つだったが、今回は白井圭さんがコンマス。それもまた良い。ワーグナーのオペラで大活躍の舞台裏のバンダの金管楽器とか合唱とか聞くと、やっぱりオペラはこうじゃなくちゃね、というなんか懐かしい気持ち。コロナ前は普通だったのに。

あと。このところのヨーロッパ情勢で、このオペラが随分昔の筋書きながら、ドイツ軍がハンガリーに攻めるとか?以前と比べて昔の話っぽくなくなっている感が(対訳を見ながら鑑賞すると特に)ある。そのオペラをポーランド人が指揮してるってのもねえ(気にしすぎか?)

歌手は・・・タイトルロールは腹の出っ張ったメガネのおっちゃんが担当。3等席だったんだけど舞台が結構見える席だったので、正直、あまり見ないようにはしていた。声はなかなかいいなって思ったけど、第3幕ではやっぱりちょっとつかれてた感。でも、最後の最後は盛り返して頑張ってたよ。

それとは打って変わって、エルザ役のオオストラムという歌手はとっても素敵だった。外見も金髪でエルザらしくて美しかったし、声量がありどこまでも伸びる声がすごく素敵だった。失礼だけどローエングリン役のヴォルフシュタイナーはあんまり見ないでエルザばっかり見てた。

オルトルートのツィトコーワたんの代役のアンナ・マリア・キウリという歌手は覚えておいていいと思う。「予習」と称してこのところ昔のサヴァリッシュ/バイロイト盤を聴いてたんだけど、愛するヴァルナイ様のオルトルートを思わせる悪役っぷりだった。いやホントですってば。旦那役のシリンスはちょっと悪役要素が足りなかったなって思ったけど声楽的には良かったと思った。

男声ではハインリヒ王役のタレク・ナズミという歌手さんがとってもいい声で外見も押し出しが立派でとても良かった。彼が歌うところを待ち遠しくしていたくらい。伝令のホレンダーって歌手も頑張ってたけど、うーん、伝令と言えば石野繁生さんの素晴らしさを超えるものは今の所なし。

演奏はもちろん素晴らしく、とは言えそういえば二期会の準メルクルの方が指揮は好みだったよなあとか思いつつも、こんな素晴らしいキャストで聴けるのは本当にありがたく、最後はやっぱりスタンディングオベーション。第3幕の登場で拍手が終わる前に演奏を始めたのは、同じポーランドの指揮者のヴィトみたいだなあとか思ったりもした。曲は違うけど。

最後は拍手が鳴り止まず、N響さんが片付けを終わった後も鳴り止まず、スタンディングオベーション。やっと指揮者が挨拶に出てきてそれで終了。このご時世でやってきて下さった指揮者にも歌手の皆さんにも、もちろん関係者の方々にも感謝。演奏後Twitterを検索し、ワーグナーの時はいつも悪口を撒き散らしてる ○こ○○さんをまた非表示にした自分の行動も懐かしさを感じた。いやこんなに文句言うならドイツにでも移住したらいいのに。

終演後、上野駅の駅弁売り場が200円引きだったので購入。私がこれを購入したら後ろに並んでたお婆さま方も買ってて笑った。

30b0b46653504aa6818eaf80328a040b

いやあ だって金目鯛と鰻とシャケ乗ってた買うでしょ。美味しかったし、また見かけたら買いたい。これで(200円引きで)900円ちょいは安い。

9b8b1bc47531482fa32bd94971e23fcb

それと・・・明日、去年夫に先立たれた高校時代の友人と久しぶりに会うので、ちょっとでも笑顔になってもらおうと上野駅でお菓子を購入。しかし、なんで私の(かなり親しい)友人って夫に先立たれる人多いんでしょう。もう3人目だ。

E4fd74637cb84e2db4dcbf6fdedee074

|

2021年11月29日 (月曜日)

ニュルンベルクのマイスタージンガー 新国立劇場

199d42f03b7646d486b6fec17e7b9858

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲
【指 揮】大野和士
【演 出】イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
【美 術】マティス・ナイトハルト
【衣 裳】シビル・ゲデケ
【照 明】ファビオ・アントーチ
【振 付】ラムセス・ジグル
【演出補】ハイコ・ヘンチェル
【舞台監督】髙橋尚史

【ハンス・ザックス】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ファイト・ポーグナー】ギド・イェンティンス
【クンツ・フォーゲルゲザング】村上公太
【コンラート・ナハティガル】与那城 敬
【ジクストゥス・ベックメッサー】アドリアン・エレート
【フリッツ・コートナー】青山 貴
【バルタザール・ツォルン】秋谷直之
【ウルリヒ・アイスリンガー】鈴木 准
【アウグスティン・モーザー】菅野 敦
【ヘルマン・オルテル】大沼 徹
【ハンス・シュヴァルツ】長谷川 顯
【ハンス・フォルツ】妻屋秀和
【ヴァルター・フォン・シュトルツィング】シュテファン・フィンケ
【ダーヴィット】伊藤達人
【エーファ】林 正子
【マグダレーネ】山下牧子
【夜警】志村文彦
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団、二期会合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団

(11月28日 新国立劇場 オペラパレス)

昨日行ってきた。上演時間5時間55分とのことだったが、体感、もっと長い気がした。あれ?私このオペラの全曲ナマで観たの何回目だっけ?と思ったらたったの3回目だった。こんなに長いと思ったことなかったわ。もしかして、テンポ遅い?(リングやトリスタンと比べてあんまりこの曲聴かないからわからん)

新国では座席に一枚づつお座布団が敷いてあるんだけど(エア・ウィーブ?)、それでももう3幕の最後の方はお尻が痛くなってきた。帰りの京王線で座った時、痛さに思わず「ひゃっ」と声が出た。

演奏は、なんかよかったのかよくなかったのかわからない(←えー)。普通に行われていた気がする(何年か前に聴いたハルサイの時のヴァイグレよりはよい)。10日の間に4回もやってもうなんかみんな疲れてないか? 楽団はとんだブラック企業。

しかも。拘束時間長いのに、愛する二期会では主役級の方々が、「え、いつ歌ったの?」ってくらい歌うとこない。もったいない・・・。鈴木准さん、大沼さん、長谷川顕さん、妻屋さん、好きな歌手さんたくさんなのに。もっと聴きたいよう。

覚えていることをつらつら。(ネタバレ?)
<第1幕>
舞台は現代。しかも今年の話だ。筋書では教会だけど、この演出では舞台上にもう一つ舞台、観客が宗教演劇みたいなのを見ている。マイスターの組合は劇団に読み替えされている・・・のかな。今年の話なので客がはけたあと、椅子をアルコール除菌シュッシュしてフキフキ。他の人が触った本をまたフキフキ。いちいちフキフキ。

現代のってわかるのは、舞台上の方にマイスターたちの写真が飾られるんだけど、そこに"Unsere Meistersinger2021"ってあったんで。あと、挙手するときに人差し指一本立ててたんで(ドイツでは日本人みたいに普通に挙手すると捕まるんだよね??)。

ヴァルターがエーファと結婚したいために、とりあえずマイスタージンガーの歌の試験。ベッグメッサーが舞台幕の後ろに隠れて、黒板に採点。黒板には何故か漢字がいっぱい。(あと1回上演があるけど、1階席前のほうでもオペラグラス必須。あちこちでいろんなことが起こり、小道具にも細かい設定が色々仕掛けられているので。ザックスの仕事部屋にクラナッハ?のアダムとイヴの絵が貼ってあって、まるでこの演出の結末を表しているような。あと演劇とオペラのスケジュール表にポーグナーの広告が載ってたりとか)

何故か熊の縫いぐるみ着ている人がたまに出てくるし、肉襦袢着た3人のおねいちゃんたちも何だろう。ぼる塾みたいな・・・

ヴァルターが怒りのあまり歌合戦に出る人々の写真の額をビリビリ破ったりする。鈴木准さんなど私の好きな歌手さんの写真が破られているのはとても悲しく、辛い。つか、ヴァルターはちっともかっこよくないし、歌もそんなに(悲)。合唱はいつも通りうまい。林さんはいつもながらお奇麗でうまい。安定の山下牧子さんもいわずもがな(長髪のかつらかぶるとお美しいのね。第3幕のお花のワンピース可愛かったし。)。ダーヴィットの伊藤さんは初めて見るな、代役なのか。めっちゃがんばってた。(でも・・・望月さんのダーヴィット観たかったなあ。)あと、コートナーの青山さんがすっごい美声で良かった。彼が座るときに座席に腰かけてた他の人が振動で飛び上がったのは、青山さんがイルデーヴの人だから?

第一幕、なんか眠かった。ワーグナーで眠くなるの珍しい。

<第2幕>
「ずっと眠かったらどうしよう」とか心配していたが、大丈夫だ、2幕は面白いので安心せい。とにかく・・・ベックメッサーを演じるアドリアン・エレート(ヴァイグレの時もこの人だった・・・忘れてたけど)が本当に面白くて・・・なんかもうこの人だけで今回大枚はたいて前の方取ってよかったと思った。YouTubeでゼンパーオーパーの予告編見たら、この人オリジナルメンバーなのね。アレ、まるでMrビーンなんだもん。エーファにセレナーデを歌う時だけちょーちんブルマー履いてたのワロタ。

この演出ではザックスは劇団の団長なのかな?って設定だけど、靴屋の設定は(音楽上)どうしても必要になるので、靴も作っている団長ってことなのかな(ワカラナイ・・・)。

ベックメッサーとダーヴィットの取っ組み合いのあと、大騒ぎになって劇場のブレーカー?が爆発しておしまい。

<第3幕>
ヴァルターが自分の歌を書き留めてた紙をベックメッサーがこっそり持ち出す(ザックスに見つかるけど)んだけど、歌合戦の時にザックスが演説してるときにこっそりその紙をちろちろとみているところがホントにMr.ビーンっぽかった。そんなシーンあったよねえ(第1話「カンニングはダメよ」)

本来であれば、従順な娘のはずのエーファだが、この演出では全然そんなことない。「靴が合わねー!!」って言ってザックスに向かって靴をぶん投げたりする。まあ、林さんが何をやっても、ダナエ役で米研いでたのを見てからびっくりしない。最後の最後のどんでん返しも、私はTwitterで知ってたのでそんなでもなかったし、いやそもそも現代のおにゃのこが「歌合戦の賞品」にされるのを良しとするわけない。あの演出は正しいのよ。

初日は演出に対して?ブー出たらしいけど(ブラヴォーは禁じられてたけどブーはええのんか?)、この日はなし。あとは大拍手喝采。もうなんか「このご時世の中、何度も延期になったけどよくやった」ってのと「こんな長い時間よく演奏した」ってのでもうスタンディングオベーションよ。本当に・・・お疲れ様でした。上演してくれて本当にありがとうございました。

しかし最近また、おミクロン様が出てきて(あたしゃ「なんで憎っくきコロナに『お』なんか付けるの?」ってホントに思ってたわ)、今後の演目はどうなるのか・・・「オランダ人」大丈夫なのかしら(行かないけど。)

| | コメント (0)

2021年11月27日 (土曜日)

ハイティンクを偲んで ROHのリング(YouTube)

ふと、今日暇だったので「久しぶりにハイティンクのワーグナー聴こうかな」と思い、YouTubeを探したら(いやあ、CDのワルキューレは実家において来ちゃったんだよね)、なんと1996年のロイヤル・オペラ・ハウスのライブの「ワルキューレ」と1995年の「神々の黄昏」ってのがあった。

どうもBBCラジオからのエアチェック(←古い?)らしく、UPして下さった方の説明で「カセットをチェンジする間のパッセージがところどころ抜けてます」的なことが書いてあったので、てっきりエゲレスのワグネリアンさんなのかしらって思ったら違ってた。なんとロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団の首席クラリネット奏者の方らしく。私がロンドンに観に行った時のプログラム本を見たら、ちゃんとお名前があった。おおううう・・・(感涙)。

私がロンドンでハイティンクのリングを見聞きしたのは1998年で、ホールも違うんだけど(当時ロイヤル・オペラ・ハウスは工事中だったんで、ロイヤル・アルバート・ホールで観た)、確かに聴き始めてすぐ「ああ・・・そうだ、こんな音だったわ」と思った。何というか、登場人物や聴く人を大きな暖かな愛で包み込んでしまうような演奏。例えば、私が一番見聞きしているはずの飯守さんのワーグナーは、彼自身のワーグナーへの愛情が痛いくらいに聴衆に伝わる演奏なのに対し。

とりあえず本日はワルキューレを全曲鑑賞。(うーん明日もワーグナーあるでな)
このYouTubeのワルキューレは私が観に行った時のキャストとは若干違うけど6割くらい同じであった。いや何たって私の時はブリュンヒルデはベーレンスだったもんでね。いやはや、いつぞやの同志の方々との飲み会で、私が泥酔すると必ずハイティンクのリングの素晴らしさを語りだすという迷惑な人だったんだけど。この録音を聴けば、どんなに素晴らしかったか(少しは)わかるんじゃないかな。録音の抜けはあるものの、音はさすがBBC、素晴らしい。聞いていてまるで昔のアルバムを何十年ぶりに開けたみたいな気持ちになった。一生の宝物、ずっとこの動画は聴けるといいな、欲を言えば(BBCに残ってたら)CDで発売して欲しいな。あと実はロンドンで観たのでは「ジークフリート」が一番良かったので、ないのが残念。

Die Walküre ROH 25.10.1996 Bernard Haitink

Götterdämmerung ROH Haitink 28 October 1995

7a3d1a99ebeb4b77aef345f270d40ed4

| | コメント (0)

2021年5月16日 (日曜日)

飯守さん傘寿記念コンサート/ニーベルングの指環ハイライト

857fc3d1ae4c4b56b2707018b2ea34ec

R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」ハイライト(演奏会形式/字幕付)
序夜『ラインの黄金』より
―序奏~第1場「ヴァイア!ヴァーガ!…」~アルベリヒの黄金強奪 (ラインの乙女たち、アルベリヒ)
―第4場 神々のヴァルハラへの入城 (管弦楽)
第1日『ワルキューレ』より
―第3幕 第1場 ワルキューレの騎行(管弦楽)
―第3幕 第3場 ヴォータンの別れと魔の炎の音楽
 「さらば、勇敢ですばらしい娘よ!」(ヴォータン)
第2日『ジークフリート』より
―第1幕 第3場 ジークフリートの鍛冶の歌
 「ホーホー!ホーハイ!鎚よ、丈夫な剣を鍛えろ!…」(ジークフリート、ミーメ)
―第2幕 第2場 森のささやき(管弦楽)
―第3幕 第2場 「上の方を見るがよい!… 」(さすらい人、ジークフリート)
―第3幕 第3場 「太陽に祝福を!光に祝福を!…」(ブリュンヒルデ、ジークフリート)
第3日『神々の黄昏』より
―序幕より 夜明けとジークフリートのラインの旅(管弦楽)
―第2幕 第3場「ホイホー!…」
    ~第4場「幸いなるかな、ギービヒ家の御曹司!」(ハーゲン、男声合唱)
―第2幕 第5場「ここに潜んでいるのはどんな魔物の企みか?…」(ブリュンヒルデ、ハーゲン、グンター)
―第3幕 第2場「それから小鳥は何と?…」~ジークフリートの死と葬送(ジークフリート、ハーゲン、グンター、男声合唱)
―第3幕 第3場 ブリュンヒルデの自己犠牲「太い薪を積み上げよ…」(ブリュンヒルデ、ハーゲン)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ワーグナー特別演奏会合唱団(合唱指揮:藤丸崇浩)
指揮:飯守 泰次郎(桂冠名誉指揮者)

ブリュンヒルデ:ダニエラ・ケーラー 
ジークフリート:シュテファン・グールド
アルべリヒ、ヴォータン、グンター:トマス・コニエチュニー
ハーゲン:妻屋秀和
ミーメ:高橋 淳
ヴォークリンデ:増田 のり子
ヴェルグンデ:金子 美香
フロースヒルデ:中島 郁子
名誉監督:カタリーナ・ワーグナー(バイロイト祝祭劇場総監督・演出家)

コロナ禍緊急事態宣言のため開催が危ぶまれていたが、関係者の皆様の努力のお蔭で見聞きすることができた(ありがとうございます)。都民なので色々としんどい思いをしていたが、東京都民で良かった、地方に住んでいたら鑑賞を諦めていたと思う。聴いていて色々な思いがよぎったけれど、今これを鑑賞している自分を羨ましく思うという謎の感情。演奏会終わったあと、友人に「もうなんか、明日死んでもいいかもって思うくらい良かった(死なんけど)。」ってLINEした。

「完売御礼」との表示だが、もちろん会場は満員ではない。このご時世なので50%くらいで売り切れにしたみたい。だもんで「きっと隣の席は空いているんだろうな」と思ってたら私の列はびっちり。隣の片方はちょっとふくよかな方で肩がしょっちゅう当たるし、反対側はずっとうとうとと舟漕いでいてそれも気になるし(舟漕いでた方は「かみたそ」の前に帰られたので助かったが)。

先日観た新国立「ワルキューレ」がオケ縮小版ってやつだったので(とは言え全然オケは見えない席だったんだけど)、舞台に上がったフルオーケストラは壮観で、それだけでも涙が出そうだった。ホルン何人いるんだい・・・。もうすべてが本気でねえ・・・コロナなんて何だよ!どこも縮小しないよ!っていう飯守さんの意気込みが感じられる。

飯守さんを見たのは2019年の新響との「トリスタン」以来だったんだけど、ご病気されたせいなのか若干足元が不安な感じがして心配してしまったのだけど、指揮ぶりは相変わらずだったのでほっとした。椅子が用意されてたけどちゃんと立って指揮されてたし。

それから、東京にグールドとコニェチュニーがいて、生の声が聴けるっていうのが信じられない。バイロイトのスタメンの歌手が、このコロナ禍で生で聴けるなんて、ああ、あたし本当に生きてるの?って思った。

今回、外人勢は3人いらっしゃって(残念ながらペーゼンドルファーは来日不可能になったので妻屋さんが代役を務めた)、グールドとコニュチュニーはそりゃー何回も見聞きしているのできっとよかろうとは思ってたんだけど、肝心のブリュンヒルデを歌うケーラーって歌手が知らなくて、どんなかなあって思ったんだけど、この人すっごい発見だった。

見た目まだ若い人のようだったけど、やや細めの声ながらよく通り、(私のいる)3階席まで普通に聴こえた。声が高くなる程美しくなる。ブリュンヒルデなんて音楽史上最も難しい役だと思うんだけど、ブリュンヒルデの(ジークフリートに起こされた時の)戸惑い、裏切られた時の怒り、そして最後にこの長い楽劇を〆る長丁場を見事に演じ歌い切った。今にバイロイトのスタメンになる人なんだろうな。カタリナが送り込んだのかな。

ポーランドの星コニェチュニーも大活躍でアルベリヒとヴォータン(さすらい人)とグンターを演じ分けた。最初のアルベリヒの時に演技とかめっちゃしながらの熱演で、本当に歌うの嬉しいんだなって思った。声質からいうとアルベリヒが一番合っているなって思う・・・っていうかアルベリヒでしょこの声は。いやもう何歌ってもこの声量は何。3階席でも普通に聴こえるの凄い。

新国立での飯守さんリングでローゲとジークムントとジークフリートを歌ったグールドは、相変わらずでっかいなあ、スーツなんか普通の4倍くらい布がいりそう、とか思いつつ聴いてたんだけど(なんじゃそりゃ)、本当に・・・シャーガーさんと並んで貴重なヘルデンテノールだよなあ。普通に金床カンカン叩いて歌ってたけど。ミーメの高橋淳さんとの掛け合いも最高。ってか高橋さんはミーメにしか見えないんだが。

話は前後するけど、3人のラインの乙女の日本人の方々も安定感ハンパなし。二期会での「ワルキューレ」のジークリンデ以来、飯守さんは事あるごとに増田のり子さんを起用されているようだし、バイロイト経験者の金子さんはもちろんだし、こないだのびわ湖でワルトラウテを歌われてた中島さんの深い声も最高だし。いやほんと穴がない。

しかしまあ。リングのハイライトで、これだけ濃ゆいものが今まであっただろうか。リングの中の数々の名場面の中で、演奏がハードな部分を抜き出した感。だからオケにとっても演奏がすっごいハードだと思う。最初から最後まで気を抜かずに同じテンションで演奏し続けられるのは本当に凄い。オケの本気を見た。

ギービヒ家のまんねんの人たちの男声合唱も、謎の「ワーグナー特別演奏会合唱団」という団体だったんだけど、きっと実力のある合唱団から集められたに違いない、素晴らしい歌唱だった。マスクして歌ってたけど。びわ湖でもハーゲン歌われてた妻屋さんもさすがの歌唱。

どの曲も最初から最後までとんでもないテンションで演奏&歌唱されたが、最後の「ブリュンヒルデの自己犠牲」のあと、カーテンコールのあとに舞台上全員で「ハッピーバースデー」を演奏。こんな豪華な(バイロイト歌手含む)ハピバは初めて聴いたし、たぶん死ぬまでこれ以上はないな。そのあとも拍手は鳴りやまず。14時から始まり、18時半過ぎに終わったコンサートだが、そのあとも19時くらいまで拍手してた。もうね、オケも合唱団も退出して、コントラバスのあとかたづけしててもまだ、観客の3分の1くらい残って拍手してた。

まったくまとまらない感想ですいませんが、本当に凄かった。ぎりぎりに券取れて良かった。飯守さんお誕生日おめでとうございます(←今頃)。いつまでも長生きして、日本のワグネリアンを楽しませて下さいね。

------

D482d63d871b4ff48fc41cfdd0bc7f72

お昼に上野公園で頂いた「やわらかひれかつサンド」。万世のカツサンドが上野駅で見当たらなかったからしかたなく買ったんだけど、分厚くてやわらかくて美味しかったなあ。また食べたい。からしが別添えなのもグー。

| | コメント (0)

2021年3月21日 (日曜日)

新国立劇場「ワルキューレ」(2021)

84040c8c71834b8d86b705c5a39bff90

楽劇「ニーベルングの指環」第1日
『ワルキューレ』/リヒャルト・ワーグナー(アッバス版)
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
(3月20日 オペラパレス)

ジークムント(第1幕)村上敏明
ジークムント(第2幕)秋谷直之
フンディング:長谷川顯
ヴォータン:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ:小林厚子
ブリュンヒルデ:池田香織
フリッカ:藤村実穂子
ゲルヒルデ:佐藤路子
オルトリンデ:増田のり子
ヴァルトラウテ:増田弥生
シュヴェルトライテ:中島郁子
ヘルムヴィーゲ:平井香織
ジークルーネ:小泉詠子
グリムゲルデ:金子美香
ロスヴァイセ:田村由貴絵

大野和士指揮/東京交響楽団
ゲッツ・フリードリッヒ演出

大野指揮の最終日に行ってきた。全体の最終日は城谷正博さんという人(ワーグナーのスペシャリストらしく、この日もプロンプターをされていた)で、大野さんを別に選んだわけではない。そもそも飯守さんが振るはずだったので券を取り、そのあと新国立のサイトを見て、指揮者変更を知った次第。

あー だって、休日の行ける日がこの日で、S席が一個しか残ってなかったんだもん。しょうがないよねえ。だもんで、たまたま誰かキャンセルしたと思しき1階席のまあまあ良席をゲット。

ところで(話はそれるので、いらん人は飛ばして)。

いつもTwitterで鑑賞の前でも後でも感想を検索するけれど、「ワルキューレ」とだけ入れても(今回とくに)なかなか該当の感想にたどり着かず。まあいつもの・・・アニメかマンガかゲームの関係でしょ、って思ったけど、今回は「何がこんなにワルキューレ?」と疑問に思いチェック。何でも、「終末のワルキューレ」というマンガがアニメ化されるってのと、アニメ「マクロスΔ(デルタ)」に登場する少女戦士のグループ「ワルキューレ」がオンラインライブのようなことをやってたらしい。

「終末のワルキューレ」はマンガの第1巻だけ読んだ(無料だったので)。ざっくりとした筋書は、「世界のかみさま」が大集合して人類の終末を決めるが、そこへ元神様で今は人間の(マンガでは半神半人のようだが)ブリュンヒルデが登場し、「一番強い神様と一番強い人類を何人か選んで、戦わせればよくね?」的な意見を述べ、順々に戦わせるっていうバトル漫画だな、たぶん。ヴォータン(オーディン)も出てくる。

「マクロスΔ」はアニメの第1回と第2回だけ見た。西暦2067年、人類が奇病に侵され、それを救うために作られた戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の活躍の話。「ワルキューレ」に憧れて入団する少女はりんご農園?の娘でフレイアって名前で(フライアのこと?)、何か特別な力を発するときに「ルン」と言われるものが頭から出てくるので(ルーンのこと?)、「リング」関係がよくわかってるとなるほどなって思う。製作者はワグネリアン?

ルンがピカッと光ったら」は名曲。これはワルキューレの声優さんたちが歌っている。

---


さて新国立のワルキューレだが。

ご存知の通り、指揮者がかわり、コロナ禍のためにほとんどの外国人歌手が来日不可能。日本ではよくワーグナーを歌う東京二期会の歌手の方々はびわ湖「ローエングリン」に出稼ぎに行ってたせいか、なんと普段はワーグナー歌わん藤原歌劇団からジークムント&ジークリンデをキャスティング。

ブリュンヒルデは先日二期会「タンホイザー」でヴェーヌスを歌った池田さん、フンディングがヘルマン歌ってた長谷川さん、ヴォータンは関西でたまたまワーグナー・コンサートに出演してたクプファー=ラディツキーさんを引き留めキャスティング。予定通りなのはフリッカの藤村さんとワルキューレの皆さん・・・かな。

しかも。ぎりぎりまでジークムント役は決まらず。「このぶんだと公演まで発表なくて、舞台に出てきて『おお、この歌手だったのか!』ってゲリラ発表だったら面白いかも」って思ったけど、1~2週間前くらいにやっと発表。1幕と2幕は別の歌手が歌うと。

ご覧になった方々のTwitterの感想を見てて、「第1幕を歌った村上さんがかなり不調で、第2幕の秋谷さんに交代すると突然良くなる」みたいな印象だったけど、(かばうわけではないけど)そもそも村上さんは「ボエーム」のロドルフォを歌うようなリリックテノールである。秋谷さんよりもきめ細かやかな表現では優れていたと思うし、個人的には好きな声なのでスタミナ切れが残念だけどそんなに不調でもなかったと思う。

秋谷さんのスタミナと村上さんの表現力を足して2で割ったらちょうどいいんじゃないかな(←無理)。

それとあと、イレギュラーなのはオケで、普段ワーグナー上演ではぎゅうぎゅうトレイン状態のオケピット人数を減らすために、小劇場・中劇場用に作られた「アッバス版」を使用。金管・木管楽器はいろんなパートを吹いたりするからかなり大変そう。(子供のころ読んだマーラーの伝記で、マーラーが駆け出しの頃地方の小劇場の指揮者で、それこそ人手不足で歌手も楽員もいろいろなパートを掛け持ちしてたみたいなことが書いてあったんで、それを思い出した)

残念ながら1階席のためオケピットは全く見えなかったが、耳で聞いてもやっぱり弦は薄い印象。ただ、それがいい事もあって、日本人はやっぱり声量が足りない人が多いので、縮小編成のせいでオケにかき消されることがあまりなかったこと、あと(個人の印象だが)普段はあまり目立たない木管楽器がよく聴こえて、とくにオーボエのソロが素晴らしくてブリュンヒルデが切々と歌うところなどすごくよかった。

まあ、そんなこんなで色々とアクシデントが多い公演であった。第1幕は日本人しか出てこないせいか何故か「ワーグナーというよりはNHKの朝の連続テレビ小説みたいだ。ジークムントはテルヲ?」と思った。

第2幕から突然「ああ、私は新国立劇場にワーグナーを観に来ているのね」という実感が湧く。ヴォータン役のクプファー=ラデツキーさんは新国立の「フィデリオ」の時のドン・ピツァロで見ていたのだが、その時はどうもあんまりよい印象ではなかったようで(自分の感想を見ると)、どうかなって思ったけど、素晴らしかった。自分の今まで観てきたヴォータンの中で最も泣き虫だった。

ブリュンヒルデの池田さんは。日本人キャストの中でもかなり小柄な方なのに、声のパワーは相変わらず。びわ湖「神々の黄昏」では(まあ、ブルーレイですけどね)ワーグナーオペラでは珍しい「恋する女」を巧みに演じられていたけれど、「ワルキューレ」ではジークフリートに出会う前の「まだ色恋も知らん乙女」で「強いいくさ乙女」というよりはあくまでヴォータンの娘であるちっちゃな可愛いブリュンヒルデを歌い、演じられた。

第2ヒロインであるジークリンデの小林さんは、もちろん初めて聴いたのだけど、初役とは思えない堂々たる声でとても感動した。今回のカヴァーであるオルトリンデで出演されてた増田のり子さんを思い出した。前に二期会で歌われた彼女のジークリンデもよかったなあ。

(小林さんは5月に上演予定の新国立劇場「ドン・カルロ」でエリザベッタを代役で歌われるそうです。ついでにエボリ公女を藤村さんとか・・・ないか。)

藤村さんはいつもの・・・いつもの通り。ドイツ人みたいな歌いぶり。押しが強い。気品たっぷりなのに怖い。藤村さんの出演部分だけバイロイト。前の新国のフリッカはツィトコーワたんだったので全然違うキャラクター。

二期会での「ワルキューレ」でもフンディング歌った長谷川さん。流石の貫禄。演出のせいか怖い。悪い顔選手権に出そう。普段はいい人そうなのに。

さて、ご存知の通り昨日の上演中にかなり大きな地震が東北地方に発生。オペラパレスちほーも結構ゆらゆら揺れた。ちょうど激しいワルキューレの騎行の時だったので、ディズニーのアトラクションみたいに感じが出てて良かった(←そんな物騒な)。我々観客はちょっと「地震?地震?」ときょろきょろしたりしてたけど、なんも気にせず上演は続けられた。(その昔バイロイトの「神々の黄昏」上演中に丁度いいタイミングで雷が鳴ったってのがあってだな・・・)

第3幕最後の最後、ややオケは音量はいつもよりは弱かったものの、やっぱりヴォータンとブリュンヒルデの別れのシーンは本当に素晴らしく(ブリュンヒルデよりヴォータンが泣いてるのは新しい)、わたし的にはマスク着用での鼻水だらだらは本当に辛くて・・・。私の周りの観客のみなさん、鼻すすってうるさくてすいませんでした。まあ、周りも結構泣いてたけど。

カーテンコールは何度も続き、スタンディングオベーション。池田さんちょこまかして可愛いなあ。こんな急場を凌いだ大野さんの指揮も素晴らしかった(小編成を補うティンパニードカドカがちょっと気になったけどしょうがないかな)。残り一回の城谷さんもどんなかな。聴いてみたかったなあ。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧