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2023年5月13日 (土曜日)

R.シュトラウス「エレクトラ」ノット/東京交響楽団(ミューザ川崎)

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R. シュトラウス 歌劇《エレクトラ》
(演奏会形式/全1幕/ドイツ語上演/日本語字幕付き)
指揮=ジョナサン・ノット
演出監修=サー・トーマス・アレン
エレクトラ=クリスティーン・ガーキー
クリテムネストラ=ハンナ・シュヴァルツ
クリソテミス=シネイド・キャンベル=ウォレス
エギスト=フランク・ファン・アーケン
オレスト=ジェームス・アトキンソン
オレストの養育者=山下浩司
若い召使=伊藤達人
老いた召使=鹿野由之
監視の女=増田のり子
第1の侍女=金子美香
第2の侍女=谷口睦美
第3の侍女=池田香織
第4の侍女/クリテムネストラの裾もちの女=髙橋絵理
第5の侍女/クリテムネストラの側つかえの女=田崎尚美
二期会合唱団
東京交響楽団
(5月12日 ミューザ川崎シンフォニーホール)

過去記事:R.シュトラウス「サロメ 」ノット/東京交響楽団

ノットのエレクトラ 初日に急遽参戦。この日は奇跡的に残業なし。定時に上がって速攻川崎までぶっとんで行きましたよ、ホントに。考えてみると初の生エレクトラ。エレクトラ歌いは世界でも少ないもんだからあんまり上演されない演目。エレクトラを歌ったせいで喉を壊して引退って歌手過去にいたような(うろ覚え)。そして何より複雑怪奇なオーケストレーション。どうも2日間のリハーサルで本番に臨んだという話もネットで見て「プロはすごいな」と思った。

ガーキーは先日METのライブビューイングでオルトルートを見聞きしたんだけど、それも凄かったけど、やっぱり映画は映画だわ。生の声は全然違う。何という凄い声なのかしら。普通の1.5倍はいそうな(100人くらい乗ってたらしい)でっかいオケの大音響を突き抜ける声、オペラのプリマドンナと言うより、「歌う重量挙げの選手」と言った印象。昨年のノットの「サロメ」じゃ踊りは演出に無かったのに、エレクトラは最後に怪しい踊りを踊っててカワイイ。さらに妹役のキャンベル=ウォレスも役柄通りのスリムなボディなのに凄い声量。もうなんか凄すぎて最後は謎の感動が襲い、涙が出てきた。

(ガーキーはあんな凄い歌手だけど、アメリカ人ということもあるんだかものすごくよくしゃべる明るい人なんですよ。ライブビューイングの幕間のインタビューでめっちゃ喋ってた。表情豊かで、なるほど舞台上の演技は彼女の地の部分なのかな、と思った。演技も歌も、過去のYouTubeの映像よりも今回のほうが素晴らしかったように思う。まあ、体感ですけど)

さらに、子供の頃からバイロイトの放送などで聴いていて(シェロー演出の映像って1980年!)、日本に何度もいらしてくれてブランゲーネやフリッカやエルダを聴かせて下さったレジェンド・オブ・メゾのハンナ・シュヴァルツがまだ聴けるとは!なんと79歳!こんなに長く第一線で歌っている歌手っているのかな? 最近でもザルツブルグの舞台に上がっているようだし。登場はやっぱりちょっとよろよろしているし(お付きの役の日本人歌手が本当に介護の人みたいに見える)、声もさすがに往年の輝きはないけど、お元気なお姿を拝見できて嬉しい。長生きしてねハンナ。

オーケストラは「サロメ」の上をいく複雑さだが、応援部隊もいたようだがもうなんか凄いとしか。もちろんCDで聴きなれているサヴァリッシュなどとどうしても耳が比べてしまうけど、もうなんか・・・生で聴ける喜びは代えがたい。始めの方は表現主義的で不協和音が多い音楽だけど、オレストが出てくるあたりからシュトラウスらしい流麗な音楽になり、そのへんの変化も見事。(わたしだけかもしれないけど、シュトラウスの音楽ってたまにすごく「懐かしい」感じがすることがあるんだけど、いかにもその時代を生きてたみたいな。モノクロで映像が浮かぶ。なんでだろう)

ところで、ヴィオラ奏者がヴァイオリンと持ち替えてたっていうのは歌唱に夢中になりすぎてて見逃した。

日本人キャストも「サロメ」を上回る豪華さ。二期会じゃ主役級の人々が端役なの凄い。池田香織さん、増田のり子さん、金子美香さん、谷口睦美さん、田崎尚美さん、伊藤達人さん、歌うところ少ないのに存在感がばっちり。とくに池田香織さん相変わらず表情豊かで素敵でした。

日曜日のサントリーはもっと上をいく演奏になるのかな。

(実はサントリーも券を売り切れる前に入手していたのでエレクトラは2回行ってしまった。若干演出が違ってたけど同様に素晴らしかった)



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LFJ2023 ベートーヴェン 有料コンサート(三協&第九)

5月4日 名手たちによる彩のコンチェルト

懐かしきLFJが復活。しかし、あまり普段聴かないベートーヴェンのためあまり気分は上がらず。本日はレミ・ジュニエを久しぶりに拝むため券を買った。まあ、あんまりやらない曲(たぶん)なんで聴けてよかった。本当はレミくんのソロのコンサートが聴きたいものだ。

ベートーヴェン:ピアノと管弦楽のためのロンド※
ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲

谷口知聡 (ピアノ)※

辻彩奈 (ヴァイオリン)
伊東裕 (チェロ)
レミ・ジュニエ (ピアノ)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 (オーケストラ)
松本宗利音 (指揮者)

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しかし、渋い曲のわりにAホールがかなりいっぱいになっていたので良かったな。東京シティフィルなのも豪華。例年だと海外から謎のオケが来てあんまり上手くなくてガッカリしたりすることもままあるし。

国際フォーラムの屋台村は当然大変な混雑。屋台は値段お高めなのにね。しかし夕方だったせいか、交通会館の名店「ひょっとこラーメン」は並んでなくて、初めて食べる事が出来た。サッパリしてて美味しかった。また食べたい。


5月6日 交響曲第9番「合唱付」

種谷典子 (ソプラノ)
鳥谷尚子 (アルト)
宮里直樹 (テノール)
河野鉄平 (バリトン)
東響コーラス (合唱)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 (オーケストラ)
リオ・クオクマン (指揮者)

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ラフォルジュルネの有料コンサートは2回しか行かなかったけど、最後の第九は前から券取ってあったので夜9時より参戦。前から7番目でこの陣容で3000円はお買い得?

いつも東響のコンサートでお世話になっている?東響コーラスさんが神奈川フィルと共演。lfjではお馴染みのクォクマンが若々しいバネの効いた?指揮ぶりで圧倒。全体的に早めのテンポでスイスイ進み、好ましい。しかし・・・私にとって第九🟰年末なんで、年末調整を思い出しちょっとブルーに。しかし、演奏は素晴らしかったし、あのでっかいAホールいっぱいの観客を前に演奏して、出演の皆さんはさぞ気持ちが良かったろうな、と思う。

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ついでに・・・

この日はイギリス国王の戴冠式。実は英国音楽オタクなので(エリザベス女王戴冠式のCD持ってる)、3時くらいからBBCのYouTubeでずっと観てた。何なら国際フォーラムに入ってからも携帯で観てた。パッパーノが指揮したり、アフリカ系プリマドンナのプリティ・イェンデ、日本でもお馴染みのブリン・ターフェルなどの出演を楽しんだ。そして何より大好きなウォルトンの「戴冠式テ・デウム」をウェストミンスターで生で聴ける人をガチで嫉妬。

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GW無料/日比谷フェスティバルとLFJ丸の内

GWは無料コンサートに行くのが例年の楽しみだが、4年ぶりにやっと開催されたラ・フォル・ジュルネと、存在を今年初めて知った日比谷フェスティバルに行ってきた。以下の出し物を見た(聴いた)。

日比谷フェスティバル4月29日

①狂言「梟」(チーム能楽)

②田原綾子(ヴィオラ)原嶋唯(ピアノ) コンサート

エルガー「朝の歌」「夜の歌」、ドヴォルザーク:ソナチネ、ユモレスク

③仕舞「船弁慶」他(チーム能楽)

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④能「巴」(チーム能楽)

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⑤光のダンスナイト

友人と一日楽しんだ。観覧は全て無料。出し物が伝統芸能で渋いためかさほど混んでなかった。

ネスプレッソが主催の催しなので、コーヒーがただで飲めるのと、ミッドタウン内で高級ワインがただで試飲できるのと、コンサート後にアンケートに答えるとフィナンシェが一個貰えるのが良かった。

おまけに、ミッドタウン内のレストランは何処も行列で入れないので、近隣の飲み屋でせんべろした(しかもハシゴした)おかげで二千円ちょいで1日楽しんだ。

ヴィオラのコンサートのみ地下で演奏。ヴィオラの音はチェロとヴァイオリンの中間くらいで落ち着いた美しい音で素晴らしかった。ピアノはシゲルカワイでまた深い音でよかった。エルガーが聴けてとても嬉しかったが初めて聴くドヴォルザークのソナチネも良かった。そもそもヴァイオリンのための曲との事。

能や狂言などの伝統芸能を観るのは久しぶり。野外なのでたまに救急車の音がしたり、風が強かったりと若干やりにくそうな気もしたが、興味深く見た。外人観光客もちらほら。

(友人が金欠だったので、お金がかからずとても喜ばれた。)

日比谷フェスティバル5月1日

NBAバレエ団によるアダン「海賊」のハイライト公演を鑑賞。NBAは埼玉(所沢ミューズなど)で活動しているバレエ団とのことで(NBSではない)、なんでも「翔んで埼玉」に出演したそう(そーいえば冒頭にバレエ団が踊っていたような・・・うろ。)。2回公演で1回目はまにあわず2回目は30分前から陣取ってたのでよく見えた。外でこんな間近でバレエを見るの初めてだ。

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ラフォルジュルネ 丸の内エリアコンサート5月3日
1. 菊地裕介/ミニコンサート

コンサートというよりは、ベートーヴェンのピアノ曲についての解説。ちゃんと一曲演奏して欲しかったが、それは翌日するみたい。いや、座って観るために1時間も並んだのですが・・・これだったら並ばなくても立ち見で良かったかも。ピアノは毎年だがシゲルカワイ。いつもの茶色いのじゃなかったが。

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2. 東京二期会 オペラ劇場

二期会ガチ勢?なのでこれは是非行かないと。ちゃんと並んで座って観た。夏に上演される二期会の椿姫の宣伝。テノールの岸浪さんはそう言えばノットのあのサロメで代役ナラボート歌われた方だった。こないだのシュトラウスの「平和の日」も出演されてた。美声がまた聴けて嬉しい。また、思いがけず大好きな「椿姫」が聴けて行ってよかったな。

ソプラノの梶田さんも難しいヴィオレッタのアリアを歌い上げて素晴らしかった。可愛かったです。

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バレエの日の日比谷で頂いたランチ。「3代目文治」という牛たんの店。夜行くとちゃんと高い、板前さんがいるようなお店だが、ランチなら鶏もも西京焼き定食は千円で食べられる。とろろ麦飯のうえ小鉢が色々ついてて楽しい。しかし、「たまの外食なのだから奮発して牛たん定食にすればよかった。1690円だし」とあとで後悔した。味は美味しかったです。

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日比谷フェスティバル5月4日

ラフォルジュルネに行く前に参戦。

①水谷千重子50周年記念

明治座150周年記念公演のプロモーションとのこと。水谷千重子こと友近さんはさすがに芸達者で歌もうまい。中森明菜からジャズスタンダードナンバーまで歌いまくる。明治座公演はゲストがとても豪華ですね。清塚信也さん出るのか(うーん、ちょっといきたいかも)。

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②青木ありあさんのミニコンサート

岡山から来た高校生シンガー。何でもNHKのど自慢で優勝したらしい。椎名林檎さんやオリジナル曲などを熱唱。パンチの効いた歌声が素晴らしいです。たまたまなんだけど、外見が姪の高校生の頃にそっくりで、翌日姪に会った時に写真見せてやった。

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2023年5月 1日 (月曜日)

METライブビューイング/ローエングリン

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METライブビューイング  :  ワーグナー《ローエングリン》
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:フランソワ・ジラール
ローエングリン:ピョートル・ベチャワ
エルザ:タマラ・ウィルソン
オルトルート:クリスティーン・ガーキー
テルラムント:エフゲニー・ニキティン
ハインリヒ:ギュンター・グロイスベック

<あらすじ> 名前を尋ねると白鳥が迎えに来るシステム

東劇にて鑑賞。ベチャワ様のローエングリンはバイロイトその他の映像で見聞きしたが(いつも素晴らしい、かっこいい、しかしいつもコスチュームが「白鳥の騎士」とは程遠い)、もうすぐ日本でエレクトラを歌うというガーキー様が観たくて。

ベチャワ様のインスタで何度も舞台の写真をみていて「どんな演出だろう、核戦争後の地球かな?」とか思ってたけど、どうかな? 舞台はシェルターの中であり、ローエングリンは宇宙船に乗って地球を救いにやって来た異邦人(宇宙人)と言ったところか。

舞台衣装で印象的なのは、合唱団の着ているマント付きのドレスで、ビラビラとめくると色々な色に変わり出演者の心情や音楽を表したりするのだ。しかし、あまりに色々と変わるので(合唱の人大変そう)、あとの方では妙にツボにハマってしまいジワジワ来てしまった。沖縄の海にいるマンタの大群みたいにも見える。

ライブビューイング名物の出演歌手のインタビューでは、主役プリマドンナ二人がメリケンの方なんで、いやあよく喋る喋る、役柄と全然違うキャラクターなもんでちょっと困る。そしてワーグナーの楽劇の中では中くらいの長さなのに、幕間が長すぎて16時半始まりで終わったの21時過ぎ。

歌手の中ではまあ、タイトルロールはいつものように美声を響かせてうっとり聞き惚れるばかりだった(往年のジェス・トマスを思わせる声と風貌)が、なんと言ってもエルザ役のタマラ・ウィルソンの透明な美声には驚嘆。一世を風靡した(そしていつの間にかいなくなった)チェリル・スチューダーを思い出した。そして演出上では多分主役のオルトルート役ガーキーの強烈演技と歌唱、日本でのエレクトラが楽しみ。

それにしてもまあ、METはやっぱりMET、演奏その他諸々がヨーロッパと違いアメリカだなあと思う。

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あなた!ちょっと聞いて下さる?私はこことは別にSNSをやっておりますのですが、そっちで「ローエングリン」の感想を書いたらなんとピョートル・ベチャワ(本物)から「いいね」を頂いたのでびっくり。ベチャワもっと好きになったわ。実演見たんじゃなくて、映画ですよ、映画。

 

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