« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »

2023年3月26日 (日曜日)

「重要文化財の秘密」展 東京国立近代美術館

E2804e5d740e4c6fbee9df3aec941c70

金曜日に急に思い立って有休を取り(この展覧会に行くためではなく、なんとなく疲れちゃったので)重要文化財の秘密展に行ってきた。明治以降に重文に指定された作品を展示するという催し(全部じゃないけど)。教科書に載ってる作品ばかりかと思いきや、初めてみる作品もわりとあった。会期途中に作品の入れ替えがあるらしく、目当てにしていた黒猫ちゃんには会えず。

重文といえど、最初から傑作との誉の高かった作品ばかりではなく、公募展でも成績は下の方とか、発表時は表現が新しすぎて世間が付いていけなかったりとか、そんな作品も多かった。まあ、そのくらい新しい表現方法でないと将来の美術史に残っていかないのであろう。かなり昔の作品なのに重文になったのは結構最近、なんて作品もちらほら。

例えば、以前知らなかったけど山田吾郎さんのYouTubeで知った「騎龍観音」は最初は「龍に乗っててサーカスの女みたい」な評もあったらしいが、正直言うと現代の私から見ても結構異様な感じではあった。
08bd9ab2363647afa3f1ca65116e2d38
(原田直次郎 騎龍観音 1890年)

この日は平日の金曜日にもかかわらず、朝イチは空いてたけど11時くらいからかなり混んできた。もしかして近隣の皇居の花見も兼ねての人も多かったのかな。

場内は撮影可・SNS可の作品もあり、みんなバシバシ撮っていた。しかし、わざわざ音声ガイド(前に行った「ポンペイ」の時にアプリを入れてあったので)を購入したのに、私の携帯のせいなのかWi-Fiがイマイチで音声が途切れ途切れなのは残念だった。800円もしたのにさー。

021abb35decd4d00b9ad94bb5637254f
(安田靫彦 黄瀬川陣 1940/1941 部分)
なんか侍ジャパンて感じ。ちょっと村上に似てるなとか思った(←気のせい)。

76132c18303442df991362c24b78450e
(高橋由一 鮭 1877)
この絵を見ると鮭茶漬けが食べたくなる。

61adb315bd0d4fe8932b6eb3e37b17b2
(初代宮川香山 褐釉蟹貼付台付鉢 1881 部分)
これさ、鍋で湯がくと真っ赤になってきっと美味しいだろうね・・・と思うほどリアル蟹だった。

B488ce77d7124ce6b5e67ffacd030d9b
(中村彝 エロシェンコ氏の像 1920)
全くどうでもいい話なんだけど、「つね」って漢字が難しいのでググったら全然違う人の写真(中邑真輔さんというプロレスラー)が出てきてびっくりした。

E8d10e0298f145308be8782a5fbb6b98
(和田三造 南風 1907)
突然のいい体。筋肉は裏切らない。パワー!

6d0efbfefc7f49a4a2e19769d7502ff6
(高村光雲 老猿 1893)
この作品を作るために栃木の山から大木を切ってきたとか、知り合いに猿を借りたみたいなことが解説されていた。いやほんとに毛並みとか細かい。

常設展も全部鑑賞し(常設展には岡本太郎や藤田嗣治の絵があったり面白かった。修復に関する展示に「なんでも鑑定団」に出ててそれを美術館が買い取ったと思しき絵があった。)、近隣でとろ玉うどんを食べて(卵が不足している中、ちょっと貴重。美味しかったなあ)花見へ。しかし意外と桜の名所の千鳥ヶ淵公園は遠く、万歩計を見たらこの日は12000歩ほど歩いていた。いい運動。

Af5f923c7c9f4b8496ad5b7fcaac4b3b
E11a33e2dabc4864b7f5e86425f5f8fe

 

| | コメント (2)

オッフェンバック「ホフマン物語」新国立劇場(千秋楽)

34caeb48eac14b94bf900f82ac4e5cb6

オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」
【指 揮】マルコ・レトーニャ
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣 裳】アンドレア・ウーマン
【振 付】上田 遙
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】須藤清香

【ホフマン】レオナルド・カパルボ
【ニクラウス/ミューズ】小林由佳
【オランピア】安井陽子
【アントニア】木下美穂子
【ジュリエッタ】大隅智佳子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【スパランツァーニ】晴 雅彦
【シュレーミル】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
(3月21日 新国立劇場・オペラパレス)

新国立劇場のホフマン物語 の千秋楽を観てきた。3階席だったが後ろの席がフランス語を喋る夫婦で、「なんか感じが出るな(フランス・オペラだし)」と始まる前は思ったが、演奏中も結構ぺちゃくちゃ喋ってたし(とくにダンナ)、椅子もガンガン蹴られて注意もできず、よい公演だったのに若干悲しい気持ちになった。相手が日本人だったらやんわり注意するとこだが、もし観光客でイヤな気分になられたら私の責任で日本がキライになるかも、とか色々考えて黙ってた。こういう時って、係員に相談するべき?

それはさておき。
実はこのオペラを生で観るのはたったの2回目で、1回目はかなり昔にウィーン国立歌劇場でだった。有名なアリアや音楽もあるので初心者向けと思いきや、実は何言ってるかわからない、難解なオペラ。まあ、大体まとめると「ミューズに魅入られたばっかりにことごとく恋愛をぶち壊されるかわいそうな男の話」でok?かしらん。

カラフルな舞台と衣装、合唱は素晴らしいしバレエやカンカンも楽しいし、日本でのワーグナーの上演では欠かせないシリンスの悪役全部も素晴らしかった。

主役のカパルボは初めて観る人だが、なかなかハンサムだし熱演だし良かった。影のようについて回るニクラウス役の小林さんもズボン役似合っててカッコよかった。実は安井陽子さんのオランピアを目当てに行ったのだけど、声は当然素晴らしかったけどロボットの演技もぶっ飛んでて良かった(めっちゃ可愛い)。

第3幕で何故かどうしても泣いてしまうので(内容にっていうより畳み掛けるような音楽に)、生の舞台を観るのを避けていたのだが、今日もかなりヤバく休み時間にトイレに駆け込んで鼻をかんだ。こんな人いますかね?

やっとブラボー解禁になり、みんなこぞってブラボーやブラービ、ブラーバを言いまくっていた。やっぱりブラボーないとつまんないよね、オペラは。

意外と長いのね、このオペラ。


E851618208884df8a68c4502e07493e7

この日の午前中はWBCの準決勝だった。侍ジャパン逆転勝ちで気持ちよくオペラパレスに向かえたけど、もし負けてたらちょっとイヤな気分で鑑賞するとこだった(前記のフランス夫婦のこともあったし)。

| | コメント (0)

2023年3月18日 (土曜日)

映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(まあまあネタバレあり)

0b444b55f76c4d3f89753c8dbd1d7cb7

月曜日、アカデミー授賞式の日に「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(エブエブ) 」を観てきた(auマンデーだったので)。観た回の日比谷の映画館は7割の入り。1100円で映画が見られるのはありがたいけれど、銀座・日比谷界隈はラーメンの値段が高く、1100円のラーメンを食べて(一番安いのだぜ)なんとなく釈然としなかった。まずくもなく、かと言ってさほど美味しくもなく。

会社の女の子が公開後すぐに見に行って、「(色々な意味で)是非観て下さい」とのことだったので「どんなもんかなー」と思ったけど、まあ・・・想像を絶するカオスっぷりにドン引き。これを観た後にどんな映画を観ても、「普通に意味がわかるって素晴らしい」って思うと思った。

映画の内容は、「主人公はLGBTの娘を認めることのできない母親。夫とは離婚の危機にある。ある日父親と夫とともに自営のコインランドリーの税金の申告にIRSへ行ったが、エレベータの中で普段冴えない夫が急に豹変し(中略)、国税局の中で数ある敵に立ち向かう(中略)ハートウォーミングな家族再生の物語」である。(たぶん)

おバカ映画である。次から次へと場面が変わり、頭がついていくのがやっと。観客の何割かは落伍者が出ていたようである(女子トイレで、「速攻寝た」という話をしていた女子たちがちらほらいたので)。私は全然寝なかった。寝る暇などなかった。金払ったものをどうして寝ようか。途中出て行く人も何人か。寝てはなるものかと一生懸命ついていってみてたけど、やっぱりよくわからない。えーと、あのう・・・って感じ。しかし、最後はハッピーエンドでほっこりとし、なんならちょっと感動までした。でもやっぱり・・・ここまでのことを描くのにこのめちゃくちゃな設定はいるかなあ、などと思った。

あとで知ったのだが、映画「スイス・アーミー・マン」の監督だとのことで「ああ、なるほどなあ」と思った。「スイス・・・」はあのダニエル・ラドクリフが最初から最後まで死体役で出演する映画で、わたしは(たぶんアマゾンでみたと思うが)どんなおバカ映画でも最後まで見るという謎の自信があるのだが、これは最後まで見た記憶がない。ラドクリフは好き好んでこの映画に出演を決めたそうだが、なんかなあ。


しかしまあ、ヘンな映画慣れしているせいか、税務局の女性(助演女優賞もらった)が「私は優秀なのでこんなにトロフィーを貰っているのよ」と自慢げに見せるシーンを見て、わたしはその独特な形を見て「ああ、あれは多分おしりの〇〇に・・・」などと想像したら主人公が戦うシーンで予想通りに使用されたので「えええ??」というよりは「やっぱりなー」と思った。・・・という具合に下ネタがあるのでそういうのが嫌いな人は見ない方がいいかもしんね。

アジア人初めて米アカデミー賞獲得したミシェール・ヨーは60歳だそうだが、あんなに体利くのかすごいなーと(まあ特殊撮影だろうけどそれでもねー)思った。カンフーシーンとか。夫役のキー・ホイ・クァンは「グーニーズ」や「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」で子役で出演していた人だが、すでに51歳となっていて時の流れを感じた。アカデミー賞授賞式では大村崑さんみたいな容貌になっていたが、やっぱり演技をずっと見ていると「面影あるな」とは思った。もう一人のヒロインというべき主人公の娘役のステファニー・スーは、アジアのおっさんおばさんばっかり出てくる中でギリギリの奇麗どころ(かなりお世辞)だが、井上真央ちゃんと渡辺直美ちゃんを足して2で割った感じ・・・かな? 彼女がいろんなカッコして出てくるのが楽しい・・・けど、映画の核となるベーグルの意味がイマイチよくわからないので・・・いったい何。

IRS(アメリカの国税庁)の監察官役の女性は、現実とは別の世界ではヒロインとカップル?になっているが、同居する部屋では手の指がソーセージ状になっており、ピアノを弾くのは足で・・・なんか柔道一直線の近藤正臣さんを想起させた。

報道の通りアカデミー賞7部門受賞。なんか審査基準がさっぱりわからない。ちなみに何年か前にアカデミー賞作品賞取った(そして評判はこれよりずっとよい)「グリーン・ブック」より私はずっと好きだ。予定調和な映画が私はあまり好きじゃないし、どちらかというと「あっ」っと驚かされるような映画が好きである。そして、エブエブと同じようにアカデミー賞作品賞とって賛否両論だった「シェイプ・オブ・ウォーター」が私は大好き。

| | コメント (0)

« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »