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2022年10月16日 (日曜日)

ブロムシュテット/N響 マーラー9番

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第1965回定期演奏会
マーラー:交響曲第9番ニ長調
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団
(10月15日 NHKホール)

土日とも全席完売、当日券なし。どうも(他人のTwitterによると)N響の定期が完売するのって、朝比奈隆さんが晩年に指揮した時以来なんだそうだ。どんだけ売れてないのN響。まあ、だいたい当日行けば入れるもんね。しかしまあ、クラシックのコンサートであのでっかいNHKホールが全部うまってるのって初めてみたかも。だいたいどこか空席はあるものかと。私はたまたまEプラスのアプリで眺めてたら「あら、ブロムシュテットがマーラーを振るの」と思い、まだちょっと余裕があったので一番安い席をゲット。何でも私が初めて自分で買って行ったコンサートはブロムシュテットのN響(巨人)だったもんでね。マエストロは数か月前にどうも転んで骨折したらしく来日も危ぶまれたが、ちゃんとおいでになった。

しかし、御年95歳。ずっと若々しい姿をみせてらしたマエストロも、さすがに老人になったなあと思った。マロさんに支えられて登場したときは観客は今まで聞いたこともないような大拍手で迎えた。まだ演奏してないのにまるで世紀の名演が終わったような感じな拍手。足がまだお悪いので椅子に座って指揮。私は3階席真ん中へんの列はしっこだったので(いや、安席にしてはいいほうです)、指揮姿は遠く観客の頭でよく見えなかったが、指揮棒なしのその手で紡がれる音楽は意外と快活でテンポは速いかな、と思った。

それにしても。らじるらじるで昨日の演奏をプレイバックPart2しているが、「いやあ素晴らしい演奏だ」と心底感動した。実演で聴いたときはまあ3階席にしてはよく聴こえるな、NHKホールちょっとは音よくなったかなとか思ってたんだけど。何しろ楽員の集中力と何より聴衆の人々の集中力で、(私が)恐ろしく緊張してしまい「咳が出ちゃったらどうしよう」とか「お腹がなっちゃったら大変」とか思いながら聴いていた。もうこれ以上の「水を打ったような静けさ」はなかった。こんなに緊張したのクライバーの「薔薇の騎士」以来だ。ぴーーーんと張りつめた空気の中、楽章が終わるたびに聴衆みんなの安堵の声が聞こえるようだった。携帯が鳴るとか、演奏中くしゃみをするとかそんな粗相をする人は皆無。ほんとに・・・ほんとにこれだけはどんなにラジオの音が良かろうとも現場にいた人にしかわからない。エモーショナルな(若者言葉でいうところのエモイ)ひと時だった。

演奏の感想は・・・生中継されたしまあ11月にテレビ放送もされるのでそれを見て頂くとして(逃)。意外とこの曲で言われるような「死への恐怖」とか「この世との決別」みたいなのは感じず、まあ第1楽章はさすがに死神がうろちょろしているような感じはしたものの、第4楽章は「まだまだ生きるぞ」という指揮者の気持ちがあらわれるような演奏だったように思う。演奏終わったあとも深く落ち込むということはなく、感動しながらも「いいものを聴いたな」という明るい気持ちに溢れていた。まあ、演奏は超完璧というわけでもなくて第4楽章は高齢のマエストロの指揮のせいなのか打楽器の出が0.5秒くらい早いかなとか楽員さんも若干お疲れかなとか思ったりした(個人の感想です)。今日は改善されてより良き演奏になるのかな。券ないから行かないけど。

演奏が終わったあとかなり長い沈黙のあと、聴衆の一人が「ぶらぼう」と言ってみんな大拍手。あれ、あのさあ、ブラボーまだ禁止じゃないの?あとで「あれ、ブラボー言ったのオレなんだぜ」ってクラヲタ連中に自慢したいの?まあ・・・フライングじゃないからいいけどさあ。

万雷の拍手の中、マエストロはマロさんに支えられて2回も舞台に登場してくれた。「ああ、そんな無理せんでも・・・」とか思った。自分の高齢の父がやっぱりちょっと足が悪いので姿が重なった(でも父のほうが若いが)。

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拍手に応えるマエストロ。N響もカーテンコールは撮影可になった。

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