映画「東京オリンピック SIDE:A & B」
昨日(月イチの有休)SIDE:Aの上映がもう終わりそうなので、慌てて鑑賞。近場の品川で見ようかと思ったら、もうレイトショーでしかやってなく、終電にも間に合わない感じだったので日本橋で。金曜日・平日の午前中で3人くらいしか観客はいなかった。正直、Aだけ見て帰るつもりだったのだが、終わった後20分後に同じ映画館で上映されるとのことで、慌ててBも券を買いに行った次第。お昼は高っかいホットドックを館内で買い食べた。
東京2020と同じように色々なトラブル(主に監督に)に見舞われ評判の悪いこの映画。実は私はカンヌ映画祭で常連になるような(日本の)監督は好きではないようで(何故かなあ?)、河瀬直美監督の映画はあまりちゃんと見たことない。是枝監督の映画も実は苦手・・・。だけど映画館で観に行くほどオリンピック映画が好きなので、行かなきゃならんと思った。
映画は藤井風さんの鼻歌?の君が代で始まる。全体的に音楽は少なく、ナレーションは基本的になし。関係者と選手と一般国民のインタビュー映像と競技の映像で綴られる。インタビュー映像の顔面が超ドアップで、前の方に座るとものすごく辛い。某柔道監督の顔のシミの一つ一つがよおおく見えるし、大会責任者(交代前)のシワの一つ一つが(見たくないのに)良く見える。気分が悪くなる。観に行く方は後ろの方の席を選ぶがよろし。
AとBを同じ日に観てしまったために、どっちがどっちかもうわからなくなっている(なので混じってたらごめんなさ~い)。SIDE:Aは競技そのものの映像が主で、Bは大会関係者やそれを取り巻く日本の人々の反応やコロナに立ち向かう医療関係の方々・患者さんなどの映像が主である。SIDE:Aはとても明るい気分で観ることができた。日本人大活躍のスケボーやソフトボールなどの競技のほかに、難民の選手や乳飲み子をかかえたママさん選手(だんなさんが育休取ったのかな、一緒に来日して赤ちゃんの世話をしている)、出場が決まってたのに出産のため(当然のように)出場を諦めて応援に回る日本人バスケ選手の姿などが映し出される。赤ちゃんがいても来日し競技をし、競技の合間にお乳をあげる外国人選手の姿は、なんだかパワフルで圧倒された(そういう選手は1人でなく2人ほど撮影されている。もっといたかも?)。あと、アメリカの黒人の選手のメイクもすごく個性的で、カールしたつけまつげに鉛筆を何本も載せてみたいな、と思った。
最後にエンドロールとともに流される藤井風さんの歌が深く印象に残る。
SIDE:Aが意外と良かったので、SIDE:Bも続けて観たものの、少なくとも我々日本人にとってはかなり辛い内容であった。これは監督のせいじゃなくて、忘れていた現実を思い出したから。閉会式での大竹しのぶさんと子供たちのあの歌声が流れ、悪夢の閉会式を思い出されたし(大竹さんは好きな女優さんですが)、あの何年も前から何百回もみた「トキオ~」の映像が「日本人は何て貧乏くじを引かされたものか」と悪い記憶がよみがえったり。当初の企画段階の開会式・閉会式の担当者の人々、MIKIKOさんや椎名林檎さん、野村萬斎さんのにこやかな表情を見て、胸がいたくなった。そして途中で勝ち誇ったような顔でインタビューに答える佐々木宏さんを見て「ああ、もし違う人だったら・・・」などと思ったりもした。
あと、思い出したくないのが陸上男子リレーのバトンパス失敗は・・・すっかり忘れてたのにまた「ああ・・・」となってしまった。リアルを残さなければならないのは仕方ないけど、あれは選手も関係者も悪夢だったろうし、映像に残して欲しくなかっただろうな。あと、(今も終わってないけど)コロナ関係の映像は「あの頃はあんなに大変だったんだなあ」と今見るとちょっと身震いした。
というように、SIDE:Bは観るのにちょっと覚悟が必要かも。観た後結構へこんでしまった。おまけにSIDE:Aで素晴らしかった藤井風さんの音楽はBではぜんぜん出てこない。最後の歌も誰が歌ってたんだろう。エンドロール追ったけどだれかわからなかった。もしかしてもう歌が間に合わなくて監督が自分で歌ってんのかとか思ったり。しんどい。
せめて、食堂の食べ物を美味しいと喜ぶ外国人選手の映像があったりしたらちょっとは救われるかなあ?と思った。
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