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2022年5月15日 (日曜日)

ヘンデル/世俗的オラトリオ「セメレ」(ヘンデル・フェスティバル・ジャパン)

 


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ヘンデル:世俗的オラトリオ《セメレ》(HWV 58) 全曲

演奏会形式 全3幕ノーカット 原語(英語)上演 字幕付き

セメレ: 隠岐彩夏(S) / ジュピター: 辻裕久(T) / ジューノ&アイノ: 波多野睦美(Ms) / ソムナス: 牧野正人(Br) / アイリス: 広瀬奈緒(S) / カドマス: 酒井崇(B) / アタマス: 中嶋俊晴(C-T) / アポロ: 前田ヒロミツ(T) / オルガン: 勝山雅世 / 指揮: 三澤寿喜 / キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団
(浜離宮朝日ホール)

先週、浜離宮は行ったばっかり。もう当分行く予定ないだろうなと思ってたら、ヘンデルのオラトリオを上演するという情報があったので、即刻券をゲット。また築地でお寿司が食べられる!という期待もあって。

今回は、ちゃんと事前にお店を調べて行ったんだけど、行ってみたら人気店でしかもカウンターしかないちっちゃい店だったのでいっぱいになっていた。だもんで、他のお店を探そうとしたらすぐに客引きに捕まってしまった。「鮨処つきじや」というお店だった。1000円引きということだったが、普段からこの値段だった。詐欺じゃないか。でもまあ・・・大トロ、タイ、中トロ、カンパチ、ズワイガニ、エビ、ウニ、イクラ、玉子、海老のお汁、等々で2750円(税込)ならまあいいんじゃないの? 鮮度も良かったし。美味しかったなあ(夢見心地)。

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最近は、コンサートを楽しむように、お寿司を頂いている。写真だと同じように見えてもやはりお店によってシャリの味やネタの鮮度など色々。演奏者によってショパンやベートーヴェンの演奏が違うのと同じように。

お寿司のバイロイトたる築地でも、(食べログを見ると)その日の仕入れとか行く時間とかでネタの鮮度や品揃えなどで不幸が重なり、いつもは美味しいお店でも美味しくなかったりすることもあるんだよね。お寿司は運試しが半分かと。

さて、ヘンデル。ヘンデルっていうとこないだBSでベートーヴェンをモデルにした「フォルテッシッシモ」という宝塚の(雪組だったかな)演目を放送していたので録画して見た。そんで、ヘンデルも出てきた。

何で見たかっていうと、会社の部署でズカファンが2名ほどいて、ちょっと話が弾むかなあという下心もあったんだけどね。

しかし。ベートーヴェン役の望海風斗さんがあまりにイケメンすぎて、ベートーヴェンというよりは西本智実さんに近かった。まあ、そもそも西本さんが宝塚っぽいもんね。

宝塚でのヘンデルは、このような感じだった。

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ーーー

さて、今回のセメレ。チラシによると初演当時は「淫らなオペラ」との評だったというが、これが淫らだったらモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」の方が衝撃的じゃね?とか思ったりもした。まあ、そもそもオペラじゃなくて「世俗的オラトリオ」とのことなので、今回のように演奏会形式が正しい。しかし。これはオペラとして上演してもとっても面白そう。新国立劇場でやらんかな。いやほんとに面白い。ヘンデルって本当に採用する物語が正しいというか、何百年経ってもどんなふうに演出しても面白く上演できるっていうのが天才的だよね。

<主なあらすじ>
人間の女セメレは(神)ジュピターと恋愛関係にあったが、ジュピターには(女神)ジューノという妻がいた。ジュピターは人間の姿でセメレと逢瀬を重ねていたが、ジューノの企みによってジュピターは神の姿でセメレと会うこととなり、セメレは神の姿で登場したジュピターによって炎で焼き殺されてしまう。セメレはジュピターの子(バッカス)を身籠もっており、バッカスは灰の中から無事誕生する。

事前に若干、Youtubeで予習。見た動画のセメレがチェチーリア・バルトリだったので「この役はメゾでもいいの?」とか思った。今回のセメレ役は絢爛たるコロラトゥーラ・ソプラノ(でしょ?)だったので、不思議に思った。それにしても初めて見聞きした隠岐彩夏さんというソプラノがびっくりするくらい素晴らしかった。二期会所属というが、知らんかった。まるで夜鳴き鶯のような、「神から与えられた声」って感じだった。CD売ってたら買おうと思ったけど、なんか自分の求めているものと違う気がしたので買わず。オペラアリア集だったら買ってたかもね。

どの方の声も皆素晴らしかったけど、他に特に印象に残ったのが中嶋俊晴さん(カウンターテナー)で、超絶コロラトゥーラですげえなって思った。その他、ジュピター役の辻裕久さんは、昔 英国歌曲にハマってた頃によくリサイタルに行った記憶が。なんか久しぶりにお姿を見たけどナイスミドルな感じでカッコ良かった。ソムナス役の牧野正人さんは車椅子で登場されていたけど、いかにも「眠りの神」っぽい歌唱で良かったし、音楽も眠い感じでちょっとブリテンの「真夏の夜の夢」っぽくて良かった。ジューノとアイノの二役だった波多野さんはいつもながらの貫禄。セメレのお父さん役の酒井崇さんは堂々たる美声と声量で素晴らしかった。ジューノの使いの広瀬奈緒さんは小柄で可愛らしくて声も良かった。

ヘンデル・フェスティバル専属のキャノンズ・コンサート室内合唱団と管弦楽団は、もちろん初めて聞いたのだけどすごい実力のある団体なんだなあと。このフェスティバルがあるのは知らなかったんだけどこのような大規模なオラトリオを上演するのは今回が最後とのことで、とっても残念だ。オペラを演奏会形式でもいいからやってほしいな。だめかな。

それにしても、こんなにヘンデルにハマるとは思わんかった。ヘンデルのオペラが欧米でよく上演されるのよくわかるわ。さて、BSでケイト・リンジー様主演のオペラを見なくちゃ。

 

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