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2022年5月29日 (日曜日)

アリス=紗良・オット ピアノリサイタル(所沢ミューズ)

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話題のリサイタル。明日のサントリーホールで彼女の日本ツアーは終わりだそう。東京人なのにサントリーじゃなくて何で所沢まで行ったのかというと、言うまでもなく券が安いからである。サントリーは1万円するが所沢はS席でも5000円。私はB席(4500円)をちょっと前にとった。所沢までは1時間ちょっとかかるけど、交通費は往復で千円くらいなんで。駅からちょっと歩くけど・・・。

駅のスーパーでいつものようにさやま茶のペットボトルを購入。狭山茶のちょっといい方のお茶っ葉も買った。狭山茶、あんまり苦くないし甘いので大好き。実は近所でも狭山茶の新茶が出てたので買って飲んでるんだけど、本場のほうが美味しいかもって思って(値段は一緒だが)。

さて皿夫。私はナマで彼女の演奏を聴くのは初めてである。「わっ24の前奏曲やるんだ行こうかな」って思って券取ったけど、なんかいろいろ普通ではない。ショパンの24の前奏曲の合間に彼女がチョイスした現代の曲を挟んで、しかもデミレルって人(建築家)の各曲に合わせたビデオ・インスタレーション付である。同じ曲目のCDはすでに売られており(未聴)、同様のリサイタルはロンドンを皮切りに世界中で行われているとのこと。

正直、「24の前奏曲だけ純粋に聴きたい」などとも思ったが、今回の出し物はリサイタル・・・というよりパフォーマンスであるよう。ショパンの24の前奏曲は、昨年ショパン・コンクールにて小林愛実さんが見事な演奏をしたが、その時は(私は)「前奏曲集というより彼女の生きざまのよう」と思ったが、アリスさんはショパンの曲をもっともっと拡大して本当に彼女の人生そのもの(Echoes Of Lifeという題名だからね)を表現しているのだ。

アリスさんはいつものように『はだし』で登場。ボブヘアに青いジャケットのパンツスーツが素敵である。マイクが用意されていて聴衆に向かって椅子に足を組んで座り、気さくな感じで解説を始めた。すべてが彼女の考え抜かれたパフォーマンスなのかな。

場内が暗くなって演奏が始まる。彼女の親友でよく共演するフランチェスコ・トリスターノの曲。この一連のパフォーマンスのために作曲してもらったそう。映像は幻想的な曲に合わせて宇宙の星々。彼女の(ピアニストとしての)誕生を表しているのかな。それに続く、ショパンの(よく知ってる)曲たちは、今まで聞いたこともないくらい透明で美しい。きらきらしている。なんか格が違うって思った(←何と比べてというわけではないが)。映像はそのあと窓?のような四角いものから、建物がだんだん形作られてきて、図書館?の巨大なもの・・・と移り変わる。ピアニストとしての彼女の形成を表しているのかな?

途中途中の曲の感想を書いていくときりがないので省略するが、とくに印象に残ったのはペルトの「アリーナのために」。この曲はこないだセルゲイ・ババヤンのリサイタルの時に選曲されていたにも関わらず「こんな世界情勢でこの曲は弾けない」などと却下されたものである。だもんで、聴けて嬉しかったが・・・この曲のときだけ映像がなくなった。真っ暗な中で演奏。前もって入口で渡されたプログラムの解説を読んでいたのだが、この曲は彼女の「多発性硬化症」発症・医者からの宣告を表現しているそう。とても暗く、奈落の底に突き落とされたような感じの曲だ。

私は(全然違うけど)かなり前にある病気を患って、医者に病気を宣告されたときのことを思い出した。まさに・・・こんな感じだった(演奏を聴いてちょっと泣きそうになった・・・まあ、私は手術の結果は悪性のものじゃなかったから全然生きてるけどね)。アリスさんの病気のニュースは、とくにファンでもなかった私でも相当ショックだったし、「ジャクリーヌ・デュ・プレみたいになっちゃうの?演奏できなくなっちゃうの?」と心配になった。でもまあ、今はもっと医学も進歩しているし・・・。それに彼女のハキハキとした話し方や圧倒的なピアノ演奏を聴いて病気の影などみじんもなかった。しかし完治したわけではなく、無症状なだけだとのこと。

24の前奏曲が終わって、最後はモーツァルトのレクイエムのラクリモーサを元にアリスさんが編曲したもの。絶望的に終わるショパンから、もっとオープンで無限なエピローグをつけたかったからだそう。映像も最初の宇宙の星々に戻り、人は星から生まれ、最後は星に帰る、ってな感じかな。ウルトラマンかっ。

アンコールはサティのグノシエンヌ1番。いろいろな面でトータルしてとても新しい、美しき彼女ならではのステキなパフォーマンスであった。

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昨日は、友人と横浜まで行ってソフィア・ローレンの映画「ひまわり」を見た。「ひまわり」はほんの小さいときにテレビで見たんだけど、正直あんまり覚えてなくて(一面のひまわり畑とロシア女性がマストロヤンニをずりずり引っ張っているところしか覚えてない)。私も友人もものすごく感動するんだろう、とかハンカチどこじゃなくてタオルがいるかな、とか思ったが、私も友人もさっぱり泣けなくて。なんかソフィア・ローレンがあまりに激しすぎて、「イタリア女ってあんなに怖いの?やっぱり日本人と違うね」などという感想であった。私は子供の頃にテレビで見たオペラ「カバレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を思い出した。いや、いい映画でしたけど。こんな重い内容なのに最初のほうはクスっと笑える感じもあり、いろんな意味でイタリアっぽい。

せっかくの横浜なのに、友人が中華じゃなくてイタリアンな気分とのことだったので・・・何故かタコスを食べた。横浜イコール中華ってしか頭になかったので、今日は帰りに崎陽軒のシュウマイ弁当買って帰った。ちょっと気が済んだ。タコスはとても美味しかったです。

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2022年5月27日 (金曜日)

映画「シン・ウルトラマン」

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有休休暇を取得。友人もたまたま同じ日に有休を取ってたので一緒に横浜で遊ぶ約束をしていたが、神奈川方面は豪雨。東京も結構ひどい雨だったので雨天順延。はて、有休をどうしようと思ったけど、行きたい美術展などない。で、「シン・ウルトラマン」を観に行くことに。

どちらかというと、私は(多くのウルトラおたくと同じように・・・ってわたしはウルトラおたくではないですが)ウルトラマンよりもウルトラセブン派である。ウルトラセブンは何より主題歌が素晴らしい。わたくし的にはR・シュトラウスのアルプス交響曲+英雄の生涯+マーラーの千人の交響曲みたいな曲風だと思う。「英雄の調」と言われる変ホ長調であることも注目に値する。

さて。シン・ウルトラマンの映画を観る前に、数多くの日本映画の予告を見させられたが、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンに続きシン・仮面ライダーも作られているようだ。実は私は元おんなのこであるので、仮面ライダーはとくに見た覚えはなかった。(なら、ウルトラセブンは何で見てたんだろう。ミラーマンも見てたけど)

シン・ウルトラマンは現代の話になるので、パソコンもあればスマホも登場する。YouTubeもある。そうだよねえ。だもんで、ウルトラマンの正体はすぐばれるし、変身シーンの映像もすぐに世界中に拡散されてしまう。そうね、なるほどね的な。

ま、色々考えさせられながら映画を観ていたが・・・印象に残ったのは俳優さんの顔面のドアップのシーンが多くて。お奇麗な女優さんはまだいいとして(長澤まさみさんはでっかくなっても奇麗だ。)。大スクリーンで見ると男性の俳優さんはシワやシミがクローズアップされててかなり残酷だなあと思った。

しかし、主役である「サンシャイン斎藤工」さんはそんなことはない。どんなにドアップになっても美しい。さすがは超絶怒涛のセクシー俳優である。セクシーを愛しセクシーに愛された男である。もうなんか斎藤工さんをこころゆくまで鑑賞する映画だ。ついでに言うと(あんまり出てこないけど)竹ノ内豊さんもかっこいい。

たぶんもう一回映画館で観ることはないだろうけど、わたくし的には「シン・ゴジラ」よりはぜんぜん面白かった。ウルトラマン世代の大人も現代の子供も安心して楽しめる内容となっている。そしてテレビで見るウルトラマンと怪獣よりも、映画のスクリーンで見るとすごくでっかく見えた。「何故日本だけに怪獣が現れるのか?」という疑問が映画でも語られていたが、アメリカの映画だったらアメリカにばっかり宇宙人が攻めてきたりするやん、それと一緒だよ。

ありがたいことにハッピーエンドのようだった。そして最後に流れる米津さんの歌もよい。途中になぜ五木さんの歌が?と思ったり(「日本沈没」の挿入歌らしい)。いろいろなこだわりが見られて、マニアは何回も観るのだろうな。

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2022年5月25日 (水曜日)

【飯テロ】給料日だからぷれみあむのり弁食べた

去年、東海道四谷怪談を歌舞伎座に見にいったんだけど、コロナ禍のために幕内弁当が食べられなかった。流石に玉三郎&仁左衛門の演目は素晴らしかったけれど、やっぱりお弁当あっての歌舞伎。ずっとそのことが頭を離れなかった。

だもんで、今日は定時に上がってしかも給料日だったので東銀座で途中下車。もしかしてお弁当が余ってて買えるかも・・・って淡い期待をしていた。

私の予想は当たり、お弁当売り場の売子のおねいさんの「お弁当半額です!」という声が聞こえたので即購入。

1728円(だったかな?)の「ぷれみあむ海苔弁」が半額で864円で販売。これは買うでしょ、なんだかよくわからんけどきっと美味しいに違いない。

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開けるとこんな感じ。のり弁なのに海苔は見えず。豚肉の味噌漬け?と鳥もも肉、美味しそうなしゃけ、そして何より分厚い牛のステーキ肉。これで千円しないなんて、私って何てついてるの。

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はて海苔はどこに。と思って豚肉を引っぺがすと海苔があった。こんな豪華な海苔弁は初めてだし、多分私史上1番だろう。

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シャケが美味しい。シャケ大好きでいつも業務スーパーで買ったのをおにぎりにして会社に持っていってるけど、いや全然違うわ。フワッとしてホクホク、冷めてても美味しい。

そして、メインの牛ヒレのステーキ。冷めてても柔らかい。そもそものり弁の上にステーキ肉って初めて見た。胡椒味で美味しかったです。

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ネットで調べたら、これは八重洲とよだという老舗のお店で作ってる、有名なお弁当らしい。たまに高島屋なんかで出店するものらしいよ。しかしまあ、このお弁当は歌舞伎座では期間限定らしいが、6時頃に歌舞伎座に行けば、もしかしたらこのような美味しいお弁当が半額で食べられるのか?という情報を仕入れたこと、それと何故かお土産屋で宇都宮の冷凍餃子が買えるのか!という発見もあり、また奇跡的に定時に上がったら歌舞伎座に行こうっとって思った。っていうか歌舞伎は見ないんかい!

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2022年5月23日 (月曜日)

祝祭の呪物展

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会社を珍しく定時で上がって参戦。オカルト系ホラー系YouTuber大好きなんでいくつか見ているが、その中の1つ「都市ボーイズ」のはやせやすひろさんと、オカルトコレクターの田中俊行さんのコレクションによる展覧会に行ってきた。会社から電車で10分くらいだったんでちょうどいいと思った。

この展覧会はとても人気があり、平日もかなり混んでいるという情報を仕入れていたので覚悟していたが、案の定行ってみたら整理券をもらう行列が出来ており、夕方6時ごろ行っても入れるのは7時とのことだった。しかし、入口にあるカフェで何か飲んで待っていれば比較的すぐに入れるとのことだったので、コーヒーを注文して待つことに(ちなみにカフェは現金不可なのでクレカで注文)。

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入口でもらったコースター。番号を呼ばれてからも階段で待ってたりしたので結局20分くらい待った。まあ、ちょっと前に行ったバンクシー展は立ったまま1時間以上並んだのでそれよりは全然マシ。

展覧会場が狭かったせいかさほど人間は入ってないけど随分ぎゅうぎゅうな感じ。こんなに人気があるのなら、もうちょっと大きな会場で催しても良かったかも。しかし、あんまり大きな会場だともっとお金がかかり、入場料500円なんて破格の値段ではできないのかなあとか思った。

さて。

呪物とは。持っているとよくないことが起こったり、体の調子が悪くなったりするもの(命を落としたりもする)、らしい。普通の人なら持っていたくないものだが、このお二人は好き好んでコレクションされている。はやせさんの都市ボーイズのYouTubeを見ていたので、いくつか見たことのあるものもあった。特に印象に残っているのは、耳の欠けた猫ちゃんの置き物と、呪いの絵画(オークションで競り落とした)である。呪いの絵画はとてもファンシーで可愛らしいものだったが、結構呪いがすごいらしいので撮影はしなかった。

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猫の置き物とチャーミーちゃん。猫ちゃんは持っていると耳に障害が起こり、最悪の場合命を落とす。この猫ちゃんの動画の時は何故か(いるはずもない)猫の鳴き声が聞こえた。チャーミーちゃんは可愛がると死ぬらしい。あまり心を奪われないようにしたい。

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他にも色々と展示物があったが、あまり色々と撮影するとなんか持って帰りそうな気がしたのであまり撮らなかった(ちなみに撮影はしてもよく、SNSに載せても良いとのこと)。いつもYouTubeで見ているはやせさんが会場にいらして、何かと説明してくれたりするので嬉しかった。まあ、私はYoutubeを見ているだけで特に有料の何かに入っているわけではないので、特に話しかけるわけでもなく「うわあ、動画で見るのと一緒だ(かわいい)」と感動して見てただけだったけど。

私自身は最近はあんまり霊現象が起こらず(前はカハクや美術展に行くと頭痛に見舞われたり、変な声を聞いたりしていたもんだが)、さほど心配はしていないものの、念のため家に入る前に業務スーパーの塩をわんさか浴びてから入った。まあ、あんなにたくさんの人が見ているわけだから、わざわざ私のところに憑いてくるわけはないと思うけどね。

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2022年5月15日 (日曜日)

ヘンデル/世俗的オラトリオ「セメレ」(ヘンデル・フェスティバル・ジャパン)

 


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ヘンデル:世俗的オラトリオ《セメレ》(HWV 58) 全曲

演奏会形式 全3幕ノーカット 原語(英語)上演 字幕付き

セメレ: 隠岐彩夏(S) / ジュピター: 辻裕久(T) / ジューノ&アイノ: 波多野睦美(Ms) / ソムナス: 牧野正人(Br) / アイリス: 広瀬奈緒(S) / カドマス: 酒井崇(B) / アタマス: 中嶋俊晴(C-T) / アポロ: 前田ヒロミツ(T) / オルガン: 勝山雅世 / 指揮: 三澤寿喜 / キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団
(浜離宮朝日ホール)

先週、浜離宮は行ったばっかり。もう当分行く予定ないだろうなと思ってたら、ヘンデルのオラトリオを上演するという情報があったので、即刻券をゲット。また築地でお寿司が食べられる!という期待もあって。

今回は、ちゃんと事前にお店を調べて行ったんだけど、行ってみたら人気店でしかもカウンターしかないちっちゃい店だったのでいっぱいになっていた。だもんで、他のお店を探そうとしたらすぐに客引きに捕まってしまった。「鮨処つきじや」というお店だった。1000円引きということだったが、普段からこの値段だった。詐欺じゃないか。でもまあ・・・大トロ、タイ、中トロ、カンパチ、ズワイガニ、エビ、ウニ、イクラ、玉子、海老のお汁、等々で2750円(税込)ならまあいいんじゃないの? 鮮度も良かったし。美味しかったなあ(夢見心地)。

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最近は、コンサートを楽しむように、お寿司を頂いている。写真だと同じように見えてもやはりお店によってシャリの味やネタの鮮度など色々。演奏者によってショパンやベートーヴェンの演奏が違うのと同じように。

お寿司のバイロイトたる築地でも、(食べログを見ると)その日の仕入れとか行く時間とかでネタの鮮度や品揃えなどで不幸が重なり、いつもは美味しいお店でも美味しくなかったりすることもあるんだよね。お寿司は運試しが半分かと。

さて、ヘンデル。ヘンデルっていうとこないだBSでベートーヴェンをモデルにした「フォルテッシッシモ」という宝塚の(雪組だったかな)演目を放送していたので録画して見た。そんで、ヘンデルも出てきた。

何で見たかっていうと、会社の部署でズカファンが2名ほどいて、ちょっと話が弾むかなあという下心もあったんだけどね。

しかし。ベートーヴェン役の望海風斗さんがあまりにイケメンすぎて、ベートーヴェンというよりは西本智実さんに近かった。まあ、そもそも西本さんが宝塚っぽいもんね。

宝塚でのヘンデルは、このような感じだった。

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さて、今回のセメレ。チラシによると初演当時は「淫らなオペラ」との評だったというが、これが淫らだったらモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」の方が衝撃的じゃね?とか思ったりもした。まあ、そもそもオペラじゃなくて「世俗的オラトリオ」とのことなので、今回のように演奏会形式が正しい。しかし。これはオペラとして上演してもとっても面白そう。新国立劇場でやらんかな。いやほんとに面白い。ヘンデルって本当に採用する物語が正しいというか、何百年経ってもどんなふうに演出しても面白く上演できるっていうのが天才的だよね。

<主なあらすじ>
人間の女セメレは(神)ジュピターと恋愛関係にあったが、ジュピターには(女神)ジューノという妻がいた。ジュピターは人間の姿でセメレと逢瀬を重ねていたが、ジューノの企みによってジュピターは神の姿でセメレと会うこととなり、セメレは神の姿で登場したジュピターによって炎で焼き殺されてしまう。セメレはジュピターの子(バッカス)を身籠もっており、バッカスは灰の中から無事誕生する。

事前に若干、Youtubeで予習。見た動画のセメレがチェチーリア・バルトリだったので「この役はメゾでもいいの?」とか思った。今回のセメレ役は絢爛たるコロラトゥーラ・ソプラノ(でしょ?)だったので、不思議に思った。それにしても初めて見聞きした隠岐彩夏さんというソプラノがびっくりするくらい素晴らしかった。二期会所属というが、知らんかった。まるで夜鳴き鶯のような、「神から与えられた声」って感じだった。CD売ってたら買おうと思ったけど、なんか自分の求めているものと違う気がしたので買わず。オペラアリア集だったら買ってたかもね。

どの方の声も皆素晴らしかったけど、他に特に印象に残ったのが中嶋俊晴さん(カウンターテナー)で、超絶コロラトゥーラですげえなって思った。その他、ジュピター役の辻裕久さんは、昔 英国歌曲にハマってた頃によくリサイタルに行った記憶が。なんか久しぶりにお姿を見たけどナイスミドルな感じでカッコ良かった。ソムナス役の牧野正人さんは車椅子で登場されていたけど、いかにも「眠りの神」っぽい歌唱で良かったし、音楽も眠い感じでちょっとブリテンの「真夏の夜の夢」っぽくて良かった。ジューノとアイノの二役だった波多野さんはいつもながらの貫禄。セメレのお父さん役の酒井崇さんは堂々たる美声と声量で素晴らしかった。ジューノの使いの広瀬奈緒さんは小柄で可愛らしくて声も良かった。

ヘンデル・フェスティバル専属のキャノンズ・コンサート室内合唱団と管弦楽団は、もちろん初めて聞いたのだけどすごい実力のある団体なんだなあと。このフェスティバルがあるのは知らなかったんだけどこのような大規模なオラトリオを上演するのは今回が最後とのことで、とっても残念だ。オペラを演奏会形式でもいいからやってほしいな。だめかな。

それにしても、こんなにヘンデルにハマるとは思わんかった。ヘンデルのオペラが欧米でよく上演されるのよくわかるわ。さて、BSでケイト・リンジー様主演のオペラを見なくちゃ。

 

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2022年5月 7日 (土曜日)

森本隼太ピアノ・リサイタル 浜離宮朝日ホール

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番Op.27ー1「幻想曲風ソナタ」
フォーレ:ノクターン第6番Op.63変二長調
ショパン:ポロネーズ第7番Op.61CT156変イ長調「幻想ポロネーズ」
シューマン:交響的練習曲Op.13
(浜離宮朝日ホール)

GW唯一のコンサート。コロナ前はGWはLFJと決まっていたのだが、全然やってない。去年も今年もピティナが丸の内で無料コンサートを開催しているのを見た(ネットで)くらいだ。まあ放送は全部見たわけではなく、ピアノの山縣美季ちゃんと、珍しく英国歌曲を歌ったソプラノの大森彩加さんを見聞きした。英国歌曲はガーニー、フィンジ、クィルターと「英国歌曲好きなら大体チョイスする作曲家」だったので良かった。

さて、本日聴きにいった森本隼太さん(巨匠)も、国際フォーラムの裏のTOKIAで幻想ポロネーズを弾かれたようだが、ネット配信はなかったし、今日のコンサートの券を取っていたので聴きにいかず。TOKIAは音的にはいいのだけど、並ばなきゃならないし、立ち見だと全く見えないのでパス。

ところで、浜離宮だが私は初めて。どこの駅かな?と調べたら築地市場駅だったので「おお、これは久しぶりに築地で昼食かな」と思って開演より早く到着。場外の賑わっている通りを歩くと、寿司屋があちこちに並んでいる。「すしざんまい」にしようかなあと思ってたけど行き当たりばったりで(時間もあまりなかったので)呼び込みに釣られて入店。いやはや、店内は小上がりのところに昼飲みのグループがいるくらいでカウンターはガラガラ。『またやっちゃったかな』と思った(以前、平日の大手町で空いてて入った蕎麦屋が最悪で、空いてるだけのことはあった)。しかし、注文してしばらくするとお客さんがわんさか入ってきたのでホッとした。

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写真は2035円(税込)のセット。いつも食べている上野の寿司屋よりもシャリは甘めに感じた。イカがトロトロで美味しかった。他のも美味しかったけど。映ってないけど海老の頭で出汁を取ったお味噌汁付き(美味しかった!)。店名もわからず入ったけど、後で調べたら浜茂鮨という名前で築地でも老舗でリーズナボーな店だった(見たところ通りの他のお店は結構高い)。また浜離宮に来たら食べようとか思った(次はぜひおまかせで)けど、別に予定はないなあ。

しかし。お勘定をしている間に土砂降りで。傘持ってたからいいようなもののホールまで結構あるのでびしょびしょになってしまった。ついてないなあ。 帰りは止んでた。

さてコンサート(前置き長い)。 森本さんの生演奏は私は2回目である。前はピティナの特級コンクールのファイナルで、コンチェルトだったのでソロで聴くのは初めて。あれから2年も経ったのねえ。森本さんは当時はすごくあどけなくて、15歳?だかだったから他のコンテスタント(大学生)よりすごく幼く見えた。ちっとは17歳の青年らしくなってるかと思ったら外見は特に変わった様子もない。

だがピアノを弾き始めるとすごいスケールの大きい、大人のような演奏を繰り広げるのでギャップがすごいのである。現在、イタリアのサンタ・チェチーリア音楽院に留学中。そしてこないだイギリスのヘイスティングス国際ピアノ協奏曲コンクール(そういうのがあるのは初めて聞いた)で優勝したそうなので、今にもっとレベルの高い有名コンクールに出場するんだろうな。

幻想ポロネーズを目当てに聴きに行ったのだけど、意外と初めて聴くフォーレが良かった。ガンガン弾きまくる印象のピアニストだが、しっとりとしたこういう曲もいいなと思った。まあ、ベートーヴェンもシューマンも良かったけど(私はピアノ素人であまり他の演奏家のを聞いた事ないので比べることができない)。1番素晴らしいと思ったのはアンコールと称して演奏したスケルツォ2番。スケルツォというよりはバラードといった感じの緩急の激しいスケールの大きな演奏。ピアノは見たところ普通のスタインウェイではない感じがしたのだけど(横に書いてあるロゴを見ると)、Twitterを見たらタカギクラヴィアという会社がわざわざ運び込んだらしい。初めて聴くホールなのでなんとも言えないけど、よく鳴るなあと思った。

ピアノの横にマイクが用意されていて、演奏後ピアニストのご挨拶。今の今まで超一流の演奏を繰り広げていたのに、口をひらけば普通の高校生で、「今回選んだ曲がどんなに素晴らしいか」などと曲への愛が溢れていたが、高校の生徒会や文化祭とかレベルの話し方で(巨匠に向かって失礼ですねすいません)なんか懐かしい感じがした。このギャップが本当にいい。また東京に来てコンサートしてほしいな。

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GW色々見れたし友人ともたくさん会ったし、美味しいものも食べたし、楽しかったなあ、明後日から会社で既に憂鬱。

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メトロポリタン美術館展

 

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6日の金曜日の18時に予約。混んでる美術展は金曜の夜に行くのが私のデフォ。20時までやってるからね。目論見はあたり、GWながらそんなに混んでなかった(19時過ぎはガラガラ)この美術展に休日に行った友人2人ぐらいに聞いたら「とっても混んでいた」とのこと。まあ金曜日は本来なら休日ではないんだけど1ヶ月一回以上有給は取らなあかんので。ゆっくり1時間半鑑賞。

美術展は先日スコットランド国立美術館展に行ったばっかりなので、ついつい比べてしまう。どっちも良かったけど結構作家は被ってた。印象としてはメトは若干宗教画が多いかな。実は先月バッハのマタイ受難曲を聴きに行ったばっかりだったので、キリスト様の絵を見るたびに頭でマタイ受難曲が鳴りだす。逆にマタイ受難曲を生で聞くといつも、ヨーロッパで見たルーベンスやら無名の画家やらの数々の宗教絵画が頭に浮かぶ。

宗教絵画をお好きでご覧になる方は、マタイ受難曲を(あの長い)全部聞いたりするんだろうか。私はクラヲタで良かったなと思うことの1つが、マタイ受難曲を最初から最後まで退屈せずに聴けるってことだ。実際キリスト教である人は宗教画を見ると「あ、あのシーンだな」ってすぐわかるんだろうけど、私も(家は真言宗だけど)絵を見て大体「このシーンだな」って思う。これはギリシャ神話の絵画を見ると結構「あ、知ってる」って思うのと一緒だ。シュトラウスのオペラ好きなもんでね。

出品リストを見ると63点ほどあったらしい。1番最初にフラ・アンジェリコの「キリストの磔刑」(タクケイって読むんだそうだ)を見たが、近隣に2人連れの30代だか40代だかの女性が、お連れの友人に「これ、これはぜひ見てね!アンジェリコは天使って意味なの!」(いや、貼ってある説明に書いてあるよね)とか言いながらめっちゃドヤ顔で説明してたので『うっざいなあ、クラシック音楽における私みたいなやつだ』と思って避けてたけど、鑑賞している間中いろんなところで出っくわしたのでうんざりした。「人のふり見て我がふり直せ」ってこの事だなあと思った。そもそもこのご時世、鑑賞中はあんまり喋っちゃいけないんじゃないか? もういいのかな。

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しかしまあ、全作品見てずいぶん素晴らしい絵があったにも関わらず、「やっぱりフラ・アンジェリコが1番いいな」と思ってまた頭に戻ってじっくり鑑賞。あ、フラ・アンジェリコって「受胎告知」が有名だよね。本物は見た事ないけど徳島の大塚国際美術館で複製を見たし、記念写真も撮ったわ。

お土産物屋がいつも通り充実していたが、あんまりそそられず(最近は以前みたいにドカ買いしなくなった。大人になったものだ)。フラ・アンジェリコとカラヴァッチョとエル・グレコの絵葉書(何に使うんだろう)と、カルロ・クリヴェッリという画家の「聖母子」のチョコレートを購入。アルミ缶に絵のシールが貼ってあるだけなんだけど、なんかキリスト教っぽくて珍しかったので。空いたら飴でも入れて持ち歩くのにしよう。

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これとは全然関係ないが、先日見た「ラジエーションハウス」のドラマのほうで(FODで見たのかな)、浜野謙太さんが主役でマッチングアプリで知り合った美女(堀田真由さん)が、実は人の顔を認識できない脳の病気で・・・という回で、「あれの元になったのは、チャップリンの『街の灯』じゃないのかな」って絵を鑑賞中に突然閃いた。いやホント関係ないけど。堀田真由さんって綺麗だよね(しみじみ)。

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2022年5月 4日 (水曜日)

劇場版 ラジエーションハウス

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ここに劇場版ラジハがある。ドラマのファンだったので(原作は全然読んでない)映画館まで観に行った。「大ヒット上映中」とあったが、GWでしかも水曜日サービスデーなのに朝一番とあってガラガラだった(品川だし)。どうせテレビでやるんだろうけど、好きなドラマの劇場版は基本的に映画館まで観に行っちゃう主義。

絶賛上映中のためネタバレはしない。ちょっとはするかな。観に行く予定の方は読まない方がいいかも。

 

 

ドラマは最後まで見たけどモヤモヤしたまま終わってしまったんで、全てがストンときたのでスッキリ。主演の本田翼ちゃんも窪田正孝さんもすごいファンと言うわけでもないんだけど(え、好きですけど)、本田さんの髪型にしてもらったり(わたしの専属美容師は「本田翼にしてくれ」と言っても馬鹿にしたり笑ったりしないのでとてもいい人です)、窪田さんのドラマを割とよく見たりしている(「エール」はもちろんだけど、実は視聴率の悪かった「ヒモメン」が1番好きです。)。

ラジエーションハウスは医療ものなんだけど、100%くっそ真面目なドラマじゃなくて、割とコメディ要素もあったり、出演者みんな個性的で本当に仲が良さそうなのでそこも気にいっている。好きな役は広瀬アリスさんと山口紗弥加さんかな。

今回の映画は、テレビでやったとしたら2話分になるのかな。最初はもうすぐ赤ちゃんが生まれる夫婦が車で甘春総合病院に向かう途中、酔っ払い運転の車に追突されて・・・という話と、後半は甘春先生のお父さんが危篤で離島に駆けつけたところこれまた大事件が・・・とかいう感じ。特に後半は、親類が映画のような離島で医者やってるのでとても興味深く見た。「わたしは行ったことないけど、島の医者ってこんな感じなのかなあ」って思いながら見た。実際のところ小笠原諸島は1週間に一回しか船は出ないはずなので「そんなに安易に行けないよなあ」とか思ったけど(だから、サラリーマンのわたしはおいそれとは遊びに行けないのであるが)。まあ映画だしね。

えーと感想は、感想は・・・面白かった。しかし盛りだくさんにいろんなことが起こりすぎて「いや、現実にはこんなにいろんなこといっぺんに起こらないだろう」とは思ったけど医療現場なんて事件の連続なのかな。あと、印象的だったのは山崎育三郎さんの熱演で・・・「あれ、この人ミュージカル俳優だったよね?」とか途中で思い出したりした。わたしはドラマ1も2も見てたので登場人物の人となりは全部わかった上で見たけど、全然ドラマ見たことなくて初見だったらどうかな?まあまあ楽しめるかな?という感じ。

GWなので映画館はとても混んでいて(ラジハだけ混んでないの?)、売店は再開してたけどすっごい並んでて何も買えず。他の人はコナンとかドラえもんとか見たのかな。ファンタビもやってたし。本当は「SING」をハシゴしようかと思ったけど、そっちは一日に1回しかもうやってないせいか満員に近かったのでやめて帰ってきた。コロナのせいで人ごみが辛い体質になってしまった(オペラや演奏会は行くけど)。 

駅に向かう途中に、輸入食料品の安売りの出店が出ていたので、ついつい可愛さに釣られてお菓子を買ってしまった。家に帰って気がついたけど、オバケちゃんのポテトスナック(100円)の原産国がポーランドだったので嬉しい(割とそういうこと多い)。

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お昼になるところだったので、激混みの駅の売店でお弁当を購入。結構みんな高いんだけどまあこれは許される範囲かな(1150円くらい)。チキン南蛮が美味しかったです(特にタルタルソースが)。

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全く関係ない話で恐縮だけど、衝撃だったんで。日谷ヒロノリさんと佐久間一行さんて同一人物って今日初めて知ったわ。(こないだ「クセスゴ」で見た「陶芸家」の歌が気に入ってて録画をつい何回も見てしまう。)

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2022年5月 3日 (火曜日)

スコットランド国立美術館展 東京都美術館

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GWの初日に鑑賞。友人と約束し、予約して券まで発券してしまったので何があっても行かなきゃならない。昼間は雨降ってなかったのに、夕方よりとんでもない豪雨。券は16時半の回であった。金曜日は20時まであいているし夕方はそもそも昼間よりはすいているのではと思ったもんで。

しかし、雨天のおかげでおかげさまで場内はかなりすいていた。祝日とは思えないくらい。館内はとても快適だった。

スコットランド国立美術館はエディンバラにあるそうで、エディンバラと言えばエディンバラ音楽祭くらいしか思い浮かばなかったが、絵を見終わった後の美術館の紹介動画を見てなんて綺麗な都市だろうと思った。そしてこの美術館の成り立ちみたいなことが語られていて、話によるとどうもどこかの資産家が「この美術館にたくさん寄付をするけど条件がある。1つはうちの(亡くなった)ワンちゃんを描いた(無名の画家のかいた)油絵をずっと展示すること、もう1つは今飼ってるワンちゃんを自分の死後も面倒見てくれること」とか言って(美術館側としてはそんなのお安いご用な感じだろう)たっくさんの寄付をした結果随分素晴らしいコレクションになったらしい(うろ覚えなので間違ってたらすいません)。犬好きの国らしい(まあ、イギリスでなくスコットランドだけど)。

日本にやってきたコレクションもかなり素晴らしいものだった。記事の頭の絵はベラスケスの18歳かそこらの作品で、恐ろしいうまさである。藝大だったら一発で受かるだろう(例えが変)。時代は1500年代くらいから1800年代末までのかなり見やすい年代のものばかり。スコットランドなので若干英国の画家の割合が多いかなあと思うが、代表的なところだとエル・グレコの「祝福するキリスト」とか、レンブラント、ルーベンス、絵の具の名前で有名なヴァン・ダイク、ヴァトー、ブーシェ、ゲインズバラ、アングル、コンスタブル、ターナー(ロンドンで見たのより随分地味な作品)、晩鐘でない方のミレイ、コロー、シスレー、スーラ、モネ、ゴーギャン、ドガ、ホイッスラーなどの有名どころ、そしてわたしの好きなヴュイヤールも思いがけなくあって嬉しかった。

1番最後にチャーチという画家のナイヤガラの滝の絵は流石にでかかった。でかいだけだが。

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↑これは写真を撮っていいスポット。

ゆっくり見られて1時間半。グッズも充実していたが、やばいことに布の鞄とか縫えるセット(リバティ?)とかあってものすごく欲しかったけど、白っぽい布ばかりで汚れそうだったので(既に頭の中で縫って使い倒すところまで想像)、やめておいた。わたしはイケアの安くて丈夫な布でないと鞄はダメだ。イケアも遠いから行ってないなあ(わたしにとってイケアは布屋なもんで、渋谷のは違う店)。

グッズ屋を早々に切り上げて、土砂降りの中を移動。ブーツの中は雨でぐちゃぐちゃ。しかし、店名から前から気になってた「HALKA」へ。モニューシュコのオペラと同じ名前ながら、ポーランドとは全く関係ないインド、ベトナム、タイ料理屋というから節操がない。でも、美味しかったのでよろしい。特に「モモ」というカレー味の小籠包みたいなのが美味しかった(ネパール料理。これ書いてたらまた食べたくなった)。

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