ワーグナー/ローエングリン 東京・春・音楽祭2022
何年ぶりになるのかな、春祭のワーグナー。私は2017年の「神々の黄昏」以来らしい。コロナになってシャーガーさんのトリスタンが中止になってもう何年かな。もう、日本にいる限りシャーガーさんには会えないのでは、という悲しみが襲う。
それでもまあ、久しぶりにヤノフスキは日本にやってきた。相変わらずの低い譜面台が懐かしい。
そもそも、ワーグナーのオペラではあんまりローエングリンは見ない方。何故かというと、日本で大人気の歌手さんが大体タイトルロールなんで。私はあの歌手さんが苦手なんだよね。なので春祭も新国立劇場も縁がなく。あ、二期会は行ったよ。今回はツィトコーワたん目当てで券をゲット。でも、直前になってキャンセルに。まさか、ロシア人だからってことはないよね。
そんで、キウリってとっても覚えやすい名前の歌手が代役に。
とにかくまあ、ワーグナーのオペラが全曲聴けるのであれば、演奏会形式でもありがたい。今やほとんど日本人キャストの新国立劇場を思えば、こんなに外人の歌手がキャストを占めるのはコロナ以来珍しい。コロナ前とほとんど変わらない・・・東京オペラシンガースさんがちょっと人数が少ないかな?というくらい。
いつもはキュッヒルさんがコンマスを務めているのが目玉の1つだったが、今回は白井圭さんがコンマス。それもまた良い。ワーグナーのオペラで大活躍の舞台裏のバンダの金管楽器とか合唱とか聞くと、やっぱりオペラはこうじゃなくちゃね、というなんか懐かしい気持ち。コロナ前は普通だったのに。
あと。このところのヨーロッパ情勢で、このオペラが随分昔の筋書きながら、ドイツ軍がハンガリーに攻めるとか?以前と比べて昔の話っぽくなくなっている感が(対訳を見ながら鑑賞すると特に)ある。そのオペラをポーランド人が指揮してるってのもねえ(気にしすぎか?)
歌手は・・・タイトルロールは腹の出っ張ったメガネのおっちゃんが担当。3等席だったんだけど舞台が結構見える席だったので、正直、あまり見ないようにはしていた。声はなかなかいいなって思ったけど、第3幕ではやっぱりちょっとつかれてた感。でも、最後の最後は盛り返して頑張ってたよ。
それとは打って変わって、エルザ役のオオストラムという歌手はとっても素敵だった。外見も金髪でエルザらしくて美しかったし、声量がありどこまでも伸びる声がすごく素敵だった。失礼だけどローエングリン役のヴォルフシュタイナーはあんまり見ないでエルザばっかり見てた。
オルトルートのツィトコーワたんの代役のアンナ・マリア・キウリという歌手は覚えておいていいと思う。「予習」と称してこのところ昔のサヴァリッシュ/バイロイト盤を聴いてたんだけど、愛するヴァルナイ様のオルトルートを思わせる悪役っぷりだった。いやホントですってば。旦那役のシリンスはちょっと悪役要素が足りなかったなって思ったけど声楽的には良かったと思った。
男声ではハインリヒ王役のタレク・ナズミという歌手さんがとってもいい声で外見も押し出しが立派でとても良かった。彼が歌うところを待ち遠しくしていたくらい。伝令のホレンダーって歌手も頑張ってたけど、うーん、伝令と言えば石野繁生さんの素晴らしさを超えるものは今の所なし。
演奏はもちろん素晴らしく、とは言えそういえば二期会の準メルクルの方が指揮は好みだったよなあとか思いつつも、こんな素晴らしいキャストで聴けるのは本当にありがたく、最後はやっぱりスタンディングオベーション。第3幕の登場で拍手が終わる前に演奏を始めたのは、同じポーランドの指揮者のヴィトみたいだなあとか思ったりもした。曲は違うけど。
最後は拍手が鳴り止まず、N響さんが片付けを終わった後も鳴り止まず、スタンディングオベーション。やっと指揮者が挨拶に出てきてそれで終了。このご時世でやってきて下さった指揮者にも歌手の皆さんにも、もちろん関係者の方々にも感謝。演奏後Twitterを検索し、ワーグナーの時はいつも悪口を撒き散らしてる ○こ○○さんをまた非表示にした自分の行動も懐かしさを感じた。いやこんなに文句言うならドイツにでも移住したらいいのに。
終演後、上野駅の駅弁売り場が200円引きだったので購入。私がこれを購入したら後ろに並んでたお婆さま方も買ってて笑った。
いやあ だって金目鯛と鰻とシャケ乗ってた買うでしょ。美味しかったし、また見かけたら買いたい。これで(200円引きで)900円ちょいは安い。
それと・・・明日、去年夫に先立たれた高校時代の友人と久しぶりに会うので、ちょっとでも笑顔になってもらおうと上野駅でお菓子を購入。しかし、なんで私の(かなり親しい)友人って夫に先立たれる人多いんでしょう。もう3人目だ。
| 固定リンク