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2021年12月 6日 (月曜日)

クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル (所沢ミューズ)

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クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
<プログラム>
J.S.バッハ:パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
J.S.バッハ:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
(所沢ミューズ アークホール)

(会社で)年末調整が始まり、連日夜10時が定時状態。今日も「休日出勤の予定入れといて」と言われ、ツィメルマンの券を取っていた私は日々怯えていた。が、なんとか免れたので、所沢まで行ってきた。ああ、だってサントリーも川崎もウィークデイなんだもん、行けないよね。しかも券、お高いし。それに比べて所沢は安心価格。B席6300円で巨匠ツィメルマンが聴けちゃう。サントリーと川崎はB席1万円よん。所沢は藤村実穂子さんだってパユだって3500円。もっとウチから近かったら会員になるんだけどなあ。

ああ、本当に良かった。こんな巨匠クラスのリサイタル初めてだ。いや、今年亡くなった巨匠ネルソン・フレイレは前に聴いたけどコンチェルトだったしね。

先日聴いたブレハッチと曲目が2曲被ってるので、聴き比べも楽しみ。片や2005年ショパンコンクールの覇者、今日は1975年の覇者である。ショパコンも昔と今とは全然違うし、同じポーランド人でも世代が全然違う。ツィメルマンは(今回聴きに行くから色々調べたけど)昔のポーランドはなかなかピアノが手に入らなくて自分でこしらえてたとか、今では信じられないような時代を生きた人である。

本日使用のピアノは(3階席の)遠目に見てスタインウェイだったんだけど、ご自分で持ち込んだピアノ・・・ということらしい。こんなん幼き日にテレビで見たホロヴィッツ来日公演みたいやないけ。しかも本人大の日本好きとのことで日本にもおうちがあるらしい・・・ツィメルマン。今日の所沢のホールもお気に入りのホールらしいし。

さてリサイタル。譜面を置いての演奏である。3階席なので手すりに隠れてほどんど弾いている姿は見えない。しかしホールの特性なのか残響が適度にあり音は素晴らしい。

演奏は全体的に・・・(変な感想でごめんなさい)不治の病に侵された人が、苦しい治療を経たが残念ながら助からず、やっと苦しみから逃れて神に召されて、天国で目を覚ました最初に聴いた音楽みたいな・・・そんな気がした。もうなんか、「ピアニストが目の前で演奏している」というよりは、ピアノも奏者もどっか行っちゃって(あんまし見えなかったってのもあるけど)、草原に日が射してくる様とか、小川のせせらぎとか、小鳥のさえずりとかが頭に浮かんだ。

(伝わってますか?)

バッハもブラームスもショパンも、どれもとても美しい演奏だった。とにかく今まで聞いたことのないような演奏であった。バッハは何か天使が降りてくるような感じだったし、ブラームスは(予習なし。初めて聴いた曲だが)あまりにも美しすぎてどうしようもなく泣ける演奏だった。なんだろうあれは、残業続きの私の心をツンツンと突いてくる。

大好きなショパン3番はもう・・・いや何だ。もういいわ。凄すぎる。ショパコンで若手の演奏ばかり聴いてたので(それはそれでよい演奏もあったものの)、やっぱり違うんだなあと思った。圧倒的なスケールで聴衆をねじ伏せた感があったブレハッチも素晴らしかったし感動したけれど、ツィメルマンは何か違う・・・これは天国の音楽。聴けて良かったな。ツィメルマンがこのホールが好きでいてくれて良かった。

最後は大拍手でスタンデイングオベーションもあったけど、ツィメ様は一度引っ込んだら二度と出てこず。アンコールもなし。巨匠とはこういうものなのか。

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所沢に行くと必ず買う「さやま茶」のペットボトルと、夕飯と明日の朝食用に買った航空公園駅のパン屋「アンリ・ファルマン」のサンドイッチとフランスパン。アンリ・ファルマンって名前がいいよね。

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コメント

このツァーの初日は柏崎市。
東響新潟定期以外、外国の演奏家(でもツィメルマンは港区に家を持っていて、奥様も日本の方ですから、半分日本人みたいなものです)の演奏を聴くのは、2019年2月のポゴレリチ以来です―未だ県境を越えるのに周囲の反対あり―。
前半のバッハの現代ピアノと過去のフォルテピアノの融合を図ったような音色の選択と、HIPを消化したアーティキュレーションは素晴らしく、バッハの音楽を生き生きと表現していたと思います。
後半のブラームス。Op.117の間奏曲は中級程度のひとなら誰でも弾けるものですが、ピアノの響きを超えた室内楽奏者たちが演奏するがごとき各声部の歌ごころ、そして心の奥深くしみいる慟哭と優しさが見事に調和した、圧巻のブラームスでした。こんなブラームスを弾けるピアニスト、ツィメルマンだけでしょう(あと、現れ方は違うけれど、ポゴレリチとアファナシェフくらいか)。
最後のショパンの第3ソナタ、これはもう感心させられっぱなし。徒に構えは大きく見せず、どこまでも自然体。それでいて、潜められたショパンの情念の全てが盛り込まれた“深い”演奏に、初めて第3ソナタの素晴らしさをみた思いがしました。
特に第3楽章のラルゴの歌。これが祈りの音楽として聴こえたのには―!

なお、柏崎では楽譜こそ置いていたものの、最初のページを開いたままで暗譜で弾いていました。

投稿: noboru satou | 2021年12月 5日 (日曜日) 19時54分

わたくしは木曜日、西宮の兵庫芸文に行きます。
ここはB席4000円でしたw とても楽しみ。

投稿: ぜん | 2021年12月 6日 (月曜日) 11時38分

>>ぜんさん
兵庫はB席4000円なんですね(笑)。楽しまれますよう。

投稿: naoping | 2021年12月 6日 (月曜日) 12時53分

聴いてきましたです。感想は同じ。音楽が絶妙にコントロールされてて、しかも自然で呼吸が深くて。こういうのを巨匠というんだろうなぁと思いました。

終演後アンコールは無かったけど、拍手に応えて四回出てきて客席に手を振ったりしてました。西日本の公演はここだけだったから、ちょっとサービスよかったのかしらん(笑)

投稿: ぜん | 2021年12月12日 (日曜日) 10時56分

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