ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル2021
J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80
フランク(バウワー編曲):前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 Op.18
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
ラファウ・ブレハッチ(ピアノ・スタインウェイ)
(10月26日 ミューザ川崎)
ショパンコンクールが終わってしまった悲しみから、衝動的に券をゲット。しかし、終わって何日かするとそんなでもないんだけど。前の前のショパコンでコンクールウォッチャーデビュー(見るだけ)した頃もブレハッチ来てたような気がするが(違ってたらすいません)、行こうと思ったら当日券なかったんだった。
今回は、Eプラスで見つけて「うぉ~!A席でいい席が一個だけ空いてる!」と思いすかさずゲットしたが、日曜日にミューザより全然近いサントリーも当日券出てたので「あー、失敗した」と思った。でも幸せならOKです。
いつも舞台の横から見おろす席を好む変態なんだけど(オケのコンサートでも)、ピアノのリサイタルだったら正直言って舞台の後ろでも結構良席。ピアニストを斜め後ろから見る席だったのでピアノおけいこ中のキッズたちも見かけた。私の周辺では2名ほど居り、私の斜め前に座ってた賢そうな小学生男子はずっとおとなしく聴いており、私の後ろに座ってた小学生男子は前半は寝息を立てて寝ていた。しかしまあ、子供ながらこんなコンサートに連れてきてもらえて羨ましいな。裕福なんだな。
待ちに待って、演奏者登場。写真と動画でしか見たことないし大体のイメージはあったのだが、登場が後ろ姿だったので「なんと!そのまんまショパン!」って思った。髪型と、病弱そうなヒョロヒョロとした感じ、ショパンだった。弾き始めてからもずっと、バッハ弾こうがベートーヴェン弾こうがショパンにしか見えん。何だショパン生きてるじゃん。ポーランドったら嘘つきね。
ホント、川崎にいるはずが、舞台のピアノの周り3メートルくらいワルシャワがやってきた気分だった。
そもそもはショパンの3番しか目当てじゃなかったので、予習としてはベートーヴェンの2曲とフランクをYouTubeで一回ずつ聴いたくらい。しかしまあバッハは教会で聴くごとく神々しかったし、ベートーヴェンのソナタもよい演奏だった。しかし、わたし的に「きた」のはベートーヴェンの変奏曲あたりからで、なんかガッツポーズを決めたくなるほどよかった。かっけー。この曲好きだ。ベトベンはこうでなくっちゃ。
私のお隣に座っていたご婦人が、たいそうなブレハッチファンらしく(それらしき人はたくさんいたけど)、フランクのあたりから泣き始めた(ようだった)。私も泣きはしなかったものの、フランクは本当に美しくて、切ない気持ちになった。実はYouTubeでこの曲を初めて聴いたときに「なんだつまんねー曲だな。寝ちゃうかな。」って思ったけど・・・ごめんねセザール。いい曲だった。
さて。メインのショパン。今年のコンクールでずいぶん聴いた(印象としては葬送ソナタのほうが多かったし、葬送行進曲聴きながらの在宅勤務もなかなか似合っているなとは思った)が、やっぱりこれは圧倒的に全然違うし、生で聴くと圧巻であった。今までの曲はこの曲の前哨戦かなって思った。とにかくもう・・・なんかもう第4楽章なんかすっごい打鍵でド迫力なんである。目の前で繰り広げられていることが「これ、現実?」って思うくらい。いやほんと、これから聴きに行ける地方の方(券残ってたら)絶対行って。頭の中で「優勝!!」って出ちゃった位(いやホントに優勝してますけど)。キーシンのコンサートとかもっとお高いのに、6500円でこんな凄い思いができてほんと申し訳ない。投げ銭したいくらい。
大拍手でスタンディングオベーションもあり。聴衆に応えてアンコールは太田胃散とワルツ7番。(いつも思うが・・・太田胃散CMを知らない外国人になってこの曲がどのように聴こえるのか知りたい)
大満足のコンサートであったが、ただ一つの不満は・・・小学生の寝息ではなくて、女子トイレが恐ろしく並んでたこと。4階まで上がって行ったけど全然並んでた。私はいつもの巣(おっさんばかりのコンサート)にまた戻りまする。
記念にボムソリちゃんとのデュオのCDを買おうかと思ったけど、輸入盤でよくね?と思ったのでやめてしまった。ボムソリちゃんのコンサートも行きたいなあ。2人で来日しないかな、神尾さんとこみたいに・・・(←深い意味はない)。
------
記述が遅れてしまったが、ベルナルト・ハイティンクご逝去(21日)との知らせ。ロンドンでのリングという一生の宝物を頂いた指揮者なので、寂しい気持ちで溢れた。ちょっと前にグルベローヴァも亡くなり、かなり前の来日時に1回だけダンナさんの指揮によるオーケストラ付きのオペラ・アリアコンサートを見聞きしただけだけど、絶頂期の「ホフマン物語」のアリア、すごかったなあ。ご冥福をお祈りします。
| 固定リンク
コメント