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2021年9月20日 (月曜日)

怖いクラシックコンサート

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怖いクラシックコンサート
チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ
ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」
(絵画:ベラスケス/王女マルガリータ)
プッチーニ:オペラ『蝶々夫人』より「かわいい坊や」
(絵画:ドラクロワ/怒れるメディア)
ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
(絵画:ファレーロ/サバトに赴く魔女たち)
ビゼー:オペラ『カルメン』より
前奏曲、ハバネラ、手紙の二重唱、第2幕への間奏曲、闘牛士の歌、第3幕への間奏曲、第4幕フィナーレ
(絵画:ゴヤ/エッチング「闘牛技」
アンコール・サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
(絵画:ブリューゲル/死の勝利)

ソプラノ:砂川涼子
メゾソプラノ:谷口睦美
テノール:笛田博昭
バリトン:与那城敬
指揮:三ツ橋敬子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
解説:中野京子
司会:笠井美穂
(9月19日 東京文化会館大ホール)

過去記事:怖い絵展 上野の森美術館

「怖い絵」シリーズで大人気の中野京子さんの監修・解説によるコンサート。「怖い」とは題名だけで(ムソルグスキー以外は)ちっとも怖いものはないし、曲目も私から言わせると超々初心者向けである。普通ならスルーする出し物だが、出演歌手がやたら豪華だったし、中野さんの著作のファンの友人を誘ってみたら快諾だったので行く事に。一人じゃ行かなかったかな。

舞台に巨大スクリーンを配して、曲に因んだ絵を映し出して中野さんの解説を聞く、という趣旨の演奏会。音楽評論家とかの解説ではないちがう視点の解説だったので、これはこれで面白いなと思った。とくに「カルメン」なんて「いや今更なに?」という曲目でも、「そういえば闘牛士って出てくるけどそんなに気にしたことないな」とか考えたりもした。

1.チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ
特に選曲は意味がなく、中野さんがお好きだからということである。ふうん。

2.ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」
有名なマルガリータ王女の解説。近親婚を繰り返したせいであんまり長生きできなかった一族の王女様の話。近親婚でも血の濃さは実の親子以上とのこと。だが「一族みんな下唇ベロンチョ」の話はなかった。ラヴェルはこのマルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得て作曲した、という。この曲をどっか街中で耳にした晩年のボケてしまったラヴェルが「美しい曲だ、誰の曲?」と尋ねたそうな。

3.プッチーニ:オペラ『蝶々夫人』より「かわいい坊や」
王女メディアの絵を取り上げるなら、ケルビーニのオペラがあるやん、とは思ったけど、イタオペ・ファンの人の間では有名だけど一般的ではないし、歌手のレパートリーの問題もあるしというわけで蝶々さんに。そもそもの予定では「私のお父さん」のアリアが歌われるはずだっただったんだけど何故か蝶々さんに。えー、ジャンニスキッキだったら何の絵だったんだろうか。砂川さんは(何年経っても)相変わらずチャーミングだし声量があって素晴らしい声。ベテランの味である。最後のピンカートンのチョーチョーさんを呼ぶ声は笛田さんが歌唱。いい声。

4.ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」
この曲、ナマで聴くの初めてだし、たぶんまともに全曲聴いたの小学校の音楽の授業以来かもしんね。有名曲は有名曲だけあって、ちゃんとした演奏で聴くとやっぱりいい曲だと思う(前に聴いた「新世界」も思った)。この時展示されたファレーロの絵は初めて見た。こういう「こんな機会でないと知らない絵」が出てくるのいいね。

5.ビゼー:オペラ『カルメン』より
休憩後はカルメンのハイライト。実は「カルメン」を全曲生で見たことがなく(←ええええ)、あまり親しみのない楽曲ではあるが、この手の演奏会やガラコンサートに行くと大体「カルメン」ハイライトになるので相当人気があるものと思われ。今回は二期会の谷口さんのカルメンと与那城さんのエスカミーリオ、藤原の砂川さんのミカエラと笛田さんのドン・ホセという、日本の二大歌劇団の代表選手による演奏。生の舞台ではありえない配役でこれはこれで貴重かな。

この曲にて解説の絵はゴヤのエッチング。中野さんは実際にスペインで闘牛をご覧になったそうで、それを見ているからエスカミーリオのアリアも臨場感のあるものに感じるのかなと思った。ただ、「闘牛士の歌」の時に演奏中に色々と絵を映し出していたのに、かっこいい与那城さんに見とれてしまってすっかり絵を見忘れてしまったのを後悔。

谷口さんに限ったことではないが、歌手がカルメンを演じる時は何故か片腕を腰に当ててかっこよく構えて歌うので、今更ながらカルメンというキャラクターの独自性について考えてしまった。谷口さんのカルメン、お奇麗で声もステキだった。

藤原歌劇団代表スターによる「手紙の二重唱」はほんと魅力的だし、いや何と言っても笛田さんの声量のある美声はずっと素敵で、彼の出る舞台はみんな見たいくらい(まあ、そもそもイタオペそんなに観ない人なのでアレだけど)。

アンコールの「死の舞踏」は好きな曲なので(中学生のときよく聴いてたな)、生で聴けて嬉しい。

帰りにアンケートに答えると名画の絵葉書が貰えてなんか嬉しかった(さすが上野って感じ)。選べなくて何が貰えるかわからんかったけど、私はデュフィの黄色いヴァイオリンの絵だった。友人はゴッホのなんかだった。

なお、この公演は有料ライブ配信され、有料だが9月25日までアーカイヴで見られるとのこと。ご興味のあるかたはどうぞ。生のほうが演奏はいいに決まってるけどね。
https://ticket.rakuten.co.jp/music/classic/rtxphrr/

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さて。私がこのコンサートを企画した場合、本当に怖いクラシックを入れるべきなんじゃないかな。どうしてもメジャー曲じゃなくなるけど。ちゃんと「怖い絵」展に登場した絵ばかりである。

1.R・シュトラウス:「サロメ」より7つのヴェールの踊り
(絵画:ビアズリーのサロメ)
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2.ベルク:ルル組曲より オスティナート
(絵画:ウォルター・リチャード・シッカート「切り裂きジャックの寝室」)
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3.ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲
(絵画:ジェリコー「メデュース号の筏」)

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4.プーランク:「カルメル派修道女の対話」よりフィナーレ
(絵画:ドラローシュ「レディ・ジェーングレイの処刑」)
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