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2021年5月16日 (日曜日)

飯守さん傘寿記念コンサート/ニーベルングの指環ハイライト

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R.ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」ハイライト(演奏会形式/字幕付)
序夜『ラインの黄金』より
―序奏~第1場「ヴァイア!ヴァーガ!…」~アルベリヒの黄金強奪 (ラインの乙女たち、アルベリヒ)
―第4場 神々のヴァルハラへの入城 (管弦楽)
第1日『ワルキューレ』より
―第3幕 第1場 ワルキューレの騎行(管弦楽)
―第3幕 第3場 ヴォータンの別れと魔の炎の音楽
 「さらば、勇敢ですばらしい娘よ!」(ヴォータン)
第2日『ジークフリート』より
―第1幕 第3場 ジークフリートの鍛冶の歌
 「ホーホー!ホーハイ!鎚よ、丈夫な剣を鍛えろ!…」(ジークフリート、ミーメ)
―第2幕 第2場 森のささやき(管弦楽)
―第3幕 第2場 「上の方を見るがよい!… 」(さすらい人、ジークフリート)
―第3幕 第3場 「太陽に祝福を!光に祝福を!…」(ブリュンヒルデ、ジークフリート)
第3日『神々の黄昏』より
―序幕より 夜明けとジークフリートのラインの旅(管弦楽)
―第2幕 第3場「ホイホー!…」
    ~第4場「幸いなるかな、ギービヒ家の御曹司!」(ハーゲン、男声合唱)
―第2幕 第5場「ここに潜んでいるのはどんな魔物の企みか?…」(ブリュンヒルデ、ハーゲン、グンター)
―第3幕 第2場「それから小鳥は何と?…」~ジークフリートの死と葬送(ジークフリート、ハーゲン、グンター、男声合唱)
―第3幕 第3場 ブリュンヒルデの自己犠牲「太い薪を積み上げよ…」(ブリュンヒルデ、ハーゲン)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ワーグナー特別演奏会合唱団(合唱指揮:藤丸崇浩)
指揮:飯守 泰次郎(桂冠名誉指揮者)

ブリュンヒルデ:ダニエラ・ケーラー 
ジークフリート:シュテファン・グールド
アルべリヒ、ヴォータン、グンター:トマス・コニエチュニー
ハーゲン:妻屋秀和
ミーメ:高橋 淳
ヴォークリンデ:増田 のり子
ヴェルグンデ:金子 美香
フロースヒルデ:中島 郁子
名誉監督:カタリーナ・ワーグナー(バイロイト祝祭劇場総監督・演出家)

コロナ禍緊急事態宣言のため開催が危ぶまれていたが、関係者の皆様の努力のお蔭で見聞きすることができた(ありがとうございます)。都民なので色々としんどい思いをしていたが、東京都民で良かった、地方に住んでいたら鑑賞を諦めていたと思う。聴いていて色々な思いがよぎったけれど、今これを鑑賞している自分を羨ましく思うという謎の感情。演奏会終わったあと、友人に「もうなんか、明日死んでもいいかもって思うくらい良かった(死なんけど)。」ってLINEした。

「完売御礼」との表示だが、もちろん会場は満員ではない。このご時世なので50%くらいで売り切れにしたみたい。だもんで「きっと隣の席は空いているんだろうな」と思ってたら私の列はびっちり。隣の片方はちょっとふくよかな方で肩がしょっちゅう当たるし、反対側はずっとうとうとと舟漕いでいてそれも気になるし(舟漕いでた方は「かみたそ」の前に帰られたので助かったが)。

先日観た新国立「ワルキューレ」がオケ縮小版ってやつだったので(とは言え全然オケは見えない席だったんだけど)、舞台に上がったフルオーケストラは壮観で、それだけでも涙が出そうだった。ホルン何人いるんだい・・・。もうすべてが本気でねえ・・・コロナなんて何だよ!どこも縮小しないよ!っていう飯守さんの意気込みが感じられる。

飯守さんを見たのは2019年の新響との「トリスタン」以来だったんだけど、ご病気されたせいなのか若干足元が不安な感じがして心配してしまったのだけど、指揮ぶりは相変わらずだったのでほっとした。椅子が用意されてたけどちゃんと立って指揮されてたし。

それから、東京にグールドとコニェチュニーがいて、生の声が聴けるっていうのが信じられない。バイロイトのスタメンの歌手が、このコロナ禍で生で聴けるなんて、ああ、あたし本当に生きてるの?って思った。

今回、外人勢は3人いらっしゃって(残念ながらペーゼンドルファーは来日不可能になったので妻屋さんが代役を務めた)、グールドとコニュチュニーはそりゃー何回も見聞きしているのできっとよかろうとは思ってたんだけど、肝心のブリュンヒルデを歌うケーラーって歌手が知らなくて、どんなかなあって思ったんだけど、この人すっごい発見だった。

見た目まだ若い人のようだったけど、やや細めの声ながらよく通り、(私のいる)3階席まで普通に聴こえた。声が高くなる程美しくなる。ブリュンヒルデなんて音楽史上最も難しい役だと思うんだけど、ブリュンヒルデの(ジークフリートに起こされた時の)戸惑い、裏切られた時の怒り、そして最後にこの長い楽劇を〆る長丁場を見事に演じ歌い切った。今にバイロイトのスタメンになる人なんだろうな。カタリナが送り込んだのかな。

ポーランドの星コニェチュニーも大活躍でアルベリヒとヴォータン(さすらい人)とグンターを演じ分けた。最初のアルベリヒの時に演技とかめっちゃしながらの熱演で、本当に歌うの嬉しいんだなって思った。声質からいうとアルベリヒが一番合っているなって思う・・・っていうかアルベリヒでしょこの声は。いやもう何歌ってもこの声量は何。3階席でも普通に聴こえるの凄い。

新国立での飯守さんリングでローゲとジークムントとジークフリートを歌ったグールドは、相変わらずでっかいなあ、スーツなんか普通の4倍くらい布がいりそう、とか思いつつ聴いてたんだけど(なんじゃそりゃ)、本当に・・・シャーガーさんと並んで貴重なヘルデンテノールだよなあ。普通に金床カンカン叩いて歌ってたけど。ミーメの高橋淳さんとの掛け合いも最高。ってか高橋さんはミーメにしか見えないんだが。

話は前後するけど、3人のラインの乙女の日本人の方々も安定感ハンパなし。二期会での「ワルキューレ」のジークリンデ以来、飯守さんは事あるごとに増田のり子さんを起用されているようだし、バイロイト経験者の金子さんはもちろんだし、こないだのびわ湖でワルトラウテを歌われてた中島さんの深い声も最高だし。いやほんと穴がない。

しかしまあ。リングのハイライトで、これだけ濃ゆいものが今まであっただろうか。リングの中の数々の名場面の中で、演奏がハードな部分を抜き出した感。だからオケにとっても演奏がすっごいハードだと思う。最初から最後まで気を抜かずに同じテンションで演奏し続けられるのは本当に凄い。オケの本気を見た。

ギービヒ家のまんねんの人たちの男声合唱も、謎の「ワーグナー特別演奏会合唱団」という団体だったんだけど、きっと実力のある合唱団から集められたに違いない、素晴らしい歌唱だった。マスクして歌ってたけど。びわ湖でもハーゲン歌われてた妻屋さんもさすがの歌唱。

どの曲も最初から最後までとんでもないテンションで演奏&歌唱されたが、最後の「ブリュンヒルデの自己犠牲」のあと、カーテンコールのあとに舞台上全員で「ハッピーバースデー」を演奏。こんな豪華な(バイロイト歌手含む)ハピバは初めて聴いたし、たぶん死ぬまでこれ以上はないな。そのあとも拍手は鳴りやまず。14時から始まり、18時半過ぎに終わったコンサートだが、そのあとも19時くらいまで拍手してた。もうね、オケも合唱団も退出して、コントラバスのあとかたづけしててもまだ、観客の3分の1くらい残って拍手してた。

まったくまとまらない感想ですいませんが、本当に凄かった。ぎりぎりに券取れて良かった。飯守さんお誕生日おめでとうございます(←今頃)。いつまでも長生きして、日本のワグネリアンを楽しませて下さいね。

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お昼に上野公園で頂いた「やわらかひれかつサンド」。万世のカツサンドが上野駅で見当たらなかったからしかたなく買ったんだけど、分厚くてやわらかくて美味しかったなあ。また食べたい。からしが別添えなのもグー。

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