劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン (ネタバレあり)
過去記事: 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝
auシネマ割を利用して鑑賞。外伝の時もだが、私のよく行く日比谷や日本橋の東宝ではヴァイオレットはやらないので、今回は苦手な渋谷で。
今回も(外伝と同様)可愛らしい小冊子を入場者に配ってた。前回と違うのはいちいちお熱を測られたこと。そして(緩和宣言は出てたものの)千鳥格子状に着席。アサイチの回だがさすがに祝日とあって満席。アニメだからといって親子連れが多いとかそういうことはない。老若男女いろいろな人がいた。
外伝も相当感動して1回目は泣きすぎてあとのほうあまり画面が見えずに2回目も観に行ったが、今回の劇場版はそんな号泣はしなかった。マスクして泣くのは結構しんどいのでかなり我慢していたせいもあったが。
(以下盛大にネタバレするので、「もう観た」人と「いやオレこんなん絶対観ないし」って人のみ読んで。)
まず、この映画を観に行く前に、(ネットフリックスで)テレビアニメ版は観た方がいいかと思う。最初のほうで「いままでのあらすじ」的にヴァイオレットの受けた仕事のエピソードにちょろちょろと触れたりしているので、最後まで「このヴァイオレットって子はそもそも何者なの?」と思ったまま終わることはないと思うが、それでもテレビアニメ版を観たあとのほうがずっと感銘度は高いと思う。
映画の最初に、世界中の視聴者の涙を絞りまくった第10話のあの「アン」の、孫に当たる女の子が登場する。で、あのクララお母さんからアンのお誕生日に(死後50年に渡って)毎年贈られてくる手紙がまた読まれるので、いやはや開始5分~10分そこらで思い出し涙が出てしまう。(いや正直いうと始まる直前の「松竹」の富士山見ただけでウルッと来た。)
映画としては以下の3つのエピソードが同時進行し、最後に重なり合う。
・アンの孫娘が、祖母の葬式のあと遺品の手紙(ヴァイオレットが代筆したもの)の束を見つけ、ドールに興味を持ち、ライデンの郵便社までヴァイオレットの足跡をたどりに行く。
・ヴァイオレットに病床の少年より出張代筆の依頼が。「お子様割引」的なものを利用し、家族への手紙を代筆。死後に家族に渡される契約。
・ホッジンズが宛先が不明の手紙の中にギルベルト少佐の筆跡に似たものを発見(誰かの代筆をしたと思われる)、ホッジンズとヴァイオレットは住所を訪ねにある島へ。
ヴァイオレットがあんなに追い求めていたギルベルト少佐は、テレビシリーズのときには結局生きてるのか死んでるのかわからないまま終わり、外伝でももちろん出てこない。「いや、このぶんだと少佐は結局生きてないんじゃないか」と半ば思い込んでいたので(私だけ?)、映画でなんとか生きてたってわかったときには「ああ、少佐は生きていた!!何という喜び!!」とまるで自分のことのように喜びで一杯になったが、正直「ああ、もう終わっちゃうんだこの話」という悲しみでちょっと寂しくもなった。少佐を思っていつも暗い表情の主人公は最後の最後にやっと幸せになれるのであるが、(私の性格がひん曲がっているせいなのか)今までのヴァイオレットでなくなってしまうような一抹の寂しさがあった。
ヴァイオレットは少佐に会いにはるばる船に乗って少佐の住む島に行くのだが、なかなか少佐はヴァイオレットに会おうとしない。普通の子どもとしての幸せを知らず「戦乙女」として育てられた彼女への苦しい思いもあっただろうが、それを「生きていて、声も聞けたので十分です」と言って受け入れるヴァイオレットは健気だ。まあ、もし訪ねて行ってあっさり会ってたら映画的には盛り上がらんだろうしな。
最後の最後に大型客船に乗って帰るヴァイオレットを走って追う少佐、それを見つけて船から海へ飛びこんで少佐を迎えに行く少女ヴァイオレット・・・なかなか実写の映画ではハードなシーンだが、だってヴァイオレットは生きる兵器だもん、強い子だからこのくらい平気平気。いやはや普通じゃ死ぬわこんなん。
というわけで(急に〆る)大変素晴らしい映画なのでご興味のある方は是非。京都アニメーションらしく作画が大変細密で(とくに噴水や雨など得意の水の表現!)、あといつもながらエヴァン・コール作曲の音楽もシンフォニックで壮大で素晴らしい(名門バークリー出て日本のアニメやゲーム音楽作ってるアメリカ人)。途中で挟まれる「みちしるべ」の歌も泣けるし、最後の毎度おなじみのTRUEさんの歌も大変感銘深い。つるさんのコンサート行ってみたい。無理かな。
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久しぶりに渋谷塔に行ってみたが、クラシック売り場が半分になっていて驚いた。半分ジャズ売り場になってた。クラヲタでももうCDなんか買わないのかなあ。まあ、私ももうずっとCDなんか買ってないし、クラシックに限らずCDはオワコンなのかもしれないね。
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1日経ってある方の映画の考察を見ていたら、最後のほうに映る郵便社の記念写真に、外伝に出てくるテイラーが写ってる?というのがあり、やっぱりもう一度見に行かなきゃって思った。
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コメント
TV版は無論のこと、例の事件で公開が遅れた外伝にも大いに感動したこともあり、この劇場版が本当に完成するのか大変心配でした。待ちに待っただけのことはあり、作品の出来は実に素晴らしい!のひと言。naopingさんの解説の通り、いくつかの物語りが多少入り組んで進行していましたが、最後にはすべてが見事に繋がり、緻密な構成に感心すると同時に、鑑賞後とてもハッピーな気持ちになりました。プレゼントの小冊子を頂けたこともあり、また京都アニメーション応援の気持ちも込めて、なんとこの1週間に2回目の鑑賞。挿入歌ともどもEvan Callさんの音楽の貢献が大きいですよね。オケの演奏も素晴らしく、エンディング・ロールによるとチェコ・フィルの演奏とありました。道理で。
ところで、テイラーちゃんらしき人物が古い写真に写っていたとの件。そのようにも見えましたが、そのシーンはとても短くて私は確認出来ませんでした。劇場でなければ味わえない迫力ある音響効果もあり、もう1回見に行きますかね。
余談ですが、ヴァイオレットの衣装と憂いを含んだ佇いに森薫さんの英国恋物語『エマ』を想い出しました。
投稿: RAM | 2020年9月28日 (月曜日) 02時28分
>>RAMさん
まさかこのような音楽ブログでアニメ映画のコメント頂けるとは思わず、感無量です。そして、私も本日健康診断の帰りに2回目を観に行ってしまいました。別記事に起こしますので改めての感想はここでは書きませんが、テイラーちゃんは確認できましたのでここにご報告いたします。
森薫さんの作品についてはあんまり存じ上げないのですが、前に知り合いのレイヤーさんに何かのコスプレ衣装の依頼をされたときに(結局実現せず)、コスプレってどんなもんかなと思ってネットで色々写真を見てたら「乙嫁語り」という漫画の主人公のコスプレを見て「すっげえええええ」って思ったのを思い出しました。(あんまり関係ありませんが)
投稿: naoping | 2020年9月28日 (月曜日) 16時53分