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2020年5月 1日 (金曜日)

創作短編「マスクの女」

2019年12月某日。

残業帰りの1人の女が、マンションの一室に帰ってくる。

ドアを開けると、人影が・・・・
わたし「うわあああああ!!!!誰誰誰??・・・泥棒?・・・警察呼びますよ!!!」
マスクの女「ちょっと!!ちょっと待って!!よく見てよく見て!!私よ!!っていうか・・・あんたよ!」
その女が白いマスクをはずすと・・・それはまさに自分であった。

わたし「どうして?私がもう一人いるの?ドッペルゲンゲル?私もしかして死ぬの??」
マスクの女「実は、あんたに知らせたいことがあって。2020年の世界からタイムスリップして来た。」
わたし「ど、どうやって・・・??」
マスクの女「細かいことは置いといて・・・とにかく2020年は大変だから、覚悟しておいたほうがいい。」
わたし「えええ。・・・あ、そうそう知りたかったんだ。私、オリンピックの券取れたかなあ。いまだにパラリンピックしか取れてないんだ。」

マスクの女「券は・・・取れない。っていうかオリンピック自体、延期になった。でも・・・次の年もできるかどうか・・・。」
わたし「え・・・?どゆこと?また日本に大地震が?」
マスクの女「地震じゃない。新しいウィルスが発生して、世界中に広まってる。何十万人も死んでる。」
わたし「え・・・うそだあ(笑)。そんなの信じないよ。そうそう、シャーガーさん来たんだよね?トリスタンどうだった?素晴らしかった?泣いちゃった?」

マスクの女「シャーガーさんは来なかった。」
わたし「ええええ。じゃあまた代役立てたのかあ、それはやだなあ」
マスクの女「トリスタンの上演はなかった。それどころか東京ハルサイ自体ほぼやらなかった。ついでに言えばその年のラ・フォル・ジュルネもなくなった。世界中の歌劇場もやってない。あんたには直接関係ないけどバイロイト音楽祭も中止。」
わたし「ちょ・・・(絶句)冗談・・・(笑)。」

マスクの女「でも、安心して。両親は元気。姪も甥も今のところはそのウィルスとかかわってないから大丈夫。でも、世の中は大変。旅行会社、飲食関係、かなりひどい。つぶれる会社もたくさん。」
わたし「えええ???ウチの会社は大丈夫???」
マスクの女「ウチの会社は・・・逆に仕事増えるかな。世間のみんなは家にいるから、ネット通販で繁盛する。でもあんたは現場じゃないから、家にパソコン持って帰って家で仕事するようになる。」

わたし「(意味わかってない)ええええ??? うっそー(笑)。家で仕事なんかできないよ。あそんじゃう。オペラ見ちゃう。」
マスクの女「うん。オペラは見れるよ。世界中のオペラハウスの公演がネットでタダで見られるようになる。それだけだな、楽しいのは。今にそれも飽きるかもしれないけど。」
わたし「・・・」

マスクの女「なので、今のうちにたくさんコンサートに行ったほうがいい。全然なくなるよ。でもまだあんたはまし。仕事はちゃんとあるし。演奏家とか歌手とか大変だから。安月給って怒ってないで感謝しなさい。」
わたし「・・・これは、夢だ!!早く目がさめろ!!(自分の顔をぺしぺしする)」
マスクの女「♪夢な~らば~どれほど~良かったでしょう~~~♪」
わたし「歌ってないで!!消えろ!!なんか怖い!!」
マスクの女「♪ババンババンバンバン、手を洗えよ~ ♪ババンババンバンバン、マスク買っとけ~ ♪ババンババンバンバン、家出るなよ~ ♪ババンババンバンバン、また来年!!!」
(マスクの女、踊り歌いながら消えて行く)

わたし「なんだろう・・・残業続きで私、疲れてるのかな。」


制作・著作
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ⓃⒽⓀ

(この話はフィクションです)

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