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2019年12月15日 (日曜日)

映画「アムステルダム・オリンピック大会」(1928)/弁士・伴奏付上映

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弁士:佐々木亜希子 
伴奏:永田雅代

宝町にある「国立映画アーカイブ」において「ポーランドの映画ポスター」展が開催されているのを知り、「これは行かなくちゃ」と思って調べたら、先月より「オリンピック記録映画特集」をやっているのを知った。「これも行かなくちゃ」とは思ったものの、もう半分くらい会期は過ぎているし、丁度年末調整期間とかぶっているので行きたいものはほぼ行けない感じ。

アーノルト・ファンクの「銀界征服」(サンモリッツ大会)も、大好きなモントリオール大会のも観られない。来週の土日に上映される有名な「民族の祭典」「美の祭典」はビデオ持ってたし、東京(1964年)や札幌(1972年)は観たことあるので、わざわざ観に行かなくてもなあ。行くかもだけど。

ということで、とりあえず昨日アムステルダム大会の映画を観に行った。受付で整理券を貰って上映30分前に番号を呼ばれて順番にお金をはらって会場に入る。観客はほとんどおじいちゃんだったので、平均年齢は75歳くらいかな。

アムステルダム大会のこの映画は上映時間が192分と大変長く、まあベルリンの二つに分かれてるのやつよりは短いものの、3時間超という長丁場(途中休憩あり)。それでももともとはもっと長く、全11巻のうち何巻かは時代と共に劣化して失われていたので、これは残された映像の中から再編成されたもののようである。字幕とかは後付けのようだ。

長いうえに白黒、そして何よりまだ無声映画の時代だったので、弁士と電子ピアノ伴奏がついた。この長丁場を女性二人は乗り切った。この催し、他の音声あり映画(トーキー以降)の映画は520円で観られるが、今回の弁士・伴奏つきのは1050円。いやこれって実はすごく安くないですか? だって生の語りと生演奏付きですよ。国立の施設だからかなあ。しかし、いびきをかいて寝てた人も結構いて、いやこれはしかたないかな。私もこのところ仕事が重くて若干うとうと。

しかしまあ、見慣れているベルリンオリンピックより更に8年前である。今あるオリンピックとはかなり違う。まず女性の参加は恐ろしく少ない。東洋人は日本人だけのようだし、今や大活躍の黒人さんもあんまり・・・いないかな。

大きなイベントの一つである聖火リレーも、あれはヒトラーが(戦争で他の国に攻め込むルートを確認するために)考えだしたやつだからもちろんまだないし、何より一番びっくりしたのは金銀銅メダルは閉会式にまとめて配ってたってことである。競技ごとの国歌演奏と国旗掲揚はあったけど。まあ、今より全然競技は少なかったからかもしれんけど、閉会式に時の女王さま?が一位の選手に「ホイ、ホイ」とばかり片手で手渡していた映像が残っていてなんか笑ってしまった。メダルには首にかけるリボンもなんもついてなくて、ホントにただのメダルで。受け取る人も普通に片手で受け取っててなんかおせんべいでも配られてる感じだった。2位はなんか王室のもうちょっと下のほうの殿下?が配って、3位はオリンピック会長が配ってた。

この大会での「初めて」は開会式から閉会式までずっと聖火台に火がともってたこと。あと初めてコカ・コーラがスポンサーになったのもこの大会らしい。いやそんなに昔からコカ・コーラあったんかい。

私は「いだてん」を観てないので(最初は頑張って観ていたが、3回くらいで力尽きた。そもそも大河苦手。・・・最終回はBSで今日観た。)日本のオリンピック参加についての細かいいきさつは知らないのだけど、とにかくこの中に突然日本人が出場し、少ない人数の中から金メダル2人(織田幹雄、鶴田義行)、銀メダル1人(人見絹枝)獲得しているのは本当にすごいことだし、誇らしいと思う。


マラソン(まだ男子しかない)は3人も出場し、1人は途中棄権したものの他の2人はずっと先頭集団にいた(そのため結構映像に残っている)。山田兼松は最後の方まで1位を死守していたものの、ヨーロッパの石畳に慣れていなかったため足を痛め、惜しいことに4位であった。もう一人の津田晴一郎は6位であった。テレビや通信などまだ発達していなかったので、競技場の観客たちは最後まで「1位は日本人」だと信じており、実際は黒人の選手が逆転して1位で走ってきたので、黒髪に黒い肌の選手が日本人だと思って声援を送ってたらしい。あんまし日本人見たことなかったんだろうな、オランダ人。

・・・というように色々と昔のオリンピックについてわかって面白かった。まあ日本人以外の選手は水泳のジョニー・ワイズミュラー位しか知らんのだけど、彼以外もなかなか昔のいい体のイケメンの西洋人が観られて大変目の保養になった。映画館の観客は「元・昔の映画好き青年」の集まりだったのか、弁士さんがワイズミュラーが映画「ターザン」の俳優だということを語ると「おおっ」と声を上げていたりした。あたしは知ってたけど。

まあ、今みたいに黒人の方の出場がほとんどなかったために、陸上は何故かフィンランド人が強くて、今と違うなあと思った。あと、オランダは乗馬が強かったらしく、映画も最後のほうはえんえんと乗馬のシーンで最初は「うーん、退屈」と思ったけど、見慣れると馬って美しいな、来年もしかしたら馬事公苑まで観に行ってもいいかな、とまで思った。

それにしても、弁士という仕事をしている人が現在もほそぼそといらっしゃるのだなあということに感銘を受けた。今、ロードショーで「カツベン!」という昔の活動弁士さんを描いた映画をやっているようだが、興味を持ったので観たいなと思った。

それと、弁士さんがおすすめしてたハンガリーの水球映画「君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956」は是非観たいな、と思ったんだけとアマプラには無さそうだ(DVDは高そう)。YouTubeで予告編見たけどすげえ好きな感じだった。どっかでやんないかな。キネマ旬報シアターとか。


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映画が始まる前にポーランドの映画ポスター展をみたのだけど、なかなか芸術的であった。しかし日本映画のポスターはどう見ても日本っぽくないものばっかりでほぼ見慣れているポーランド美術なもんで「うわっめっちゃポーランド!」って思った。7人の侍とか姿三四郎とかなんかすげえ・・・面白い感覚だなと。ゴジラなんかもなあ・・・違う意味でかっこいいかな。他にブルース・リーの映画のポスターもあってかっこよかった。

常設展と両方で250円で入れるのだけど、日本映画の歴史をつづった常設展もとても面白かった。いろいろな珍しい映像や機材などを見られて、(大昔の)映画の好きな人だったら結構楽しめるかと思う。上映前に30分くらいいしか時間がなかったのであんまりゆっくり見られなかったけど今度また行ったらじっくり見ようと思う。また、係員のおねいさんたちがとても親切だった。

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