« 亀有香取神社は霊験あらたか? | トップページ | R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング »

2019年10月 6日 (日曜日)

シェーンベルク「グレの歌」ノット/東響(2日目)

0bd58d92443f4c95a4e7fb32777d7c31

シェーンベルク「グレの歌」
ヴァルデマール:トルステン・ケール
トーヴェ:ドロテア・レシュマン
山鳩:オッカ・フォン・デア・ダムラウ(ダメラウ)
農夫:アルベルト・ドーメン
道化師クラウス:ノルベルト・エルンスト
語り:サー・トーマス・アレン
合唱:東響コーラス
合唱指揮:冨平恭平
指揮:ジョナサン・ノット
管弦楽:東京交響楽団
(10月6日 ミューザ川崎シンフォニーホール)

あなたのグレはどこから? 私のグレは小澤盤から。コンサートから帰宅して猛然と小澤征爾盤を聴く。(そういえば私の初トーヴェであるジェシー・ノーマンさんが先日亡くなられた。とうとう一度も実演に接することはなかったが、ご逝去は大変残念である。)小澤さんの演奏は山鳩さんよりトーヴェのほうがめっちゃ立派とか、語りはイマイチとかなんかいろいろとあるけど演奏は素晴らしいと思うの、当時中学生のあたしいい選択。ムンクの絵のジャケットも素晴らしい。

で。

今回で私の生グレは人生6回目。
若杉/N響
堤俊作/俊友会
尾高/東フィル
カンブルラン/読響
大野/都響
・ノット/東響(今回)

今年はグレの当たり年。カンブルランさん、大野さん、そして今回のノットさん。ノットさんの昨日の一回目の演奏は行かなかったんだけど(トルステン・ケールの初日は取るなって死んだばっちゃんが言ってた)、わたくしのつたないネット情報からすると一回目より二回目のほうがよかったみたい。でも二回とも行けばよかったなあ。昨日はラグビー観たかったもんでね。

ノットさんでは昨年の「ゲロ夢」の素晴らしさが忘れられず、同じ4階バルコニー席をゲット。お蔭でよく見渡せて、オケはとても聴こえた。作曲家は違うけど音は同じオケ、同じ指揮者だなって思った。ただ、みんな言っているようにケールのヴァルデマール王はあんまり聴こえなかった。一階席でも聞こえなかったのかなあ。まあ、今回の演奏会はどうもCD化されるようで(欲しいな)、独唱者のまん前には見慣れぬ形のマイクロフォンがあったので、録音ではおそらく聴こえるんだと思うよ。

この曲でちゃんと聴こえるテノールがいるとしたら、でかい声でお馴染みのアンドレアス・シャーガーくらいかなあ。しかし彼は今頃は藤村実穂子さんとともに「影のない女」のリハーサルとかやってるはずである。(いやあ楽しみだなあ。今月はまたウィーン国立歌劇場のライブストリーミングに入ったぜ。昨日今日とシモーネ・ヤングお姉さまの指揮するブリテンの「真夏の夜の夢」を見てた)

んーと、それで。結論から言うと今年の3つの団体で聴いたグレの歌では、今日聴いた東響の演奏が一番よかった。いろいろ平均的に見て、だけど。

独唱者関係では。

トーヴェでは一番好きなのはカンブルラン/読響のときのレイチェル・ニコルズなんである。これはどうしようもない、好みだから。でも、今日聴いたトーヴェのレシュマンも素晴らしかった。席の関係もあるかもねえ。

山鳩歌うメゾソプラノは3回ともみんなそれぞれよかった。やはり名歌手がキャスティングされる役だもんね。知的なマーンケ、さらに知的な実穂子さん、そして情熱を感じた今回のダメラウ、それぞれ。

ワルデマール王、聴こえるか聴こえないかの問題だけかも。席の問題かもだけど読響のときのロバート・ディーン・スミスが一番聴こえた。あとの2人はあんまり聴こえなかった。

最後の語りは・・・なんかもう今日聴いたサー・トーマス・アレンが凄すぎてびっくりした。このパートに関して他の2回の演奏、あんまり覚えてないくらい。もちろんドイツ語であったのだけど、さすがに英国は演劇の国、とても演劇的でよかった。全ての演奏で今までで一番良かったと思う。私モーツァルトのオペラ観ない人なんだけど、全然今まで彼の舞台に接してなくて残念に思った。

オケは・・・とにかく今日の演奏は凄かった。ホールが良かったせいもあるかも(サントリーも文化会館もよいホールであるが)。個人的にミューザの4階席バルコニーは本当に素晴らしい。ダイナミックながら響きもよくまとまっており、しかもオケが何やってるのも見渡せるのもいい。本日も主に沢山いる打楽器奏者をよく見ていた。例の「鎖」をがちゃがちゃやるのが見たかったんだけどよく見えた。ワーグナー・チューバに弱音器つけるのもよく見えたし。いや、見える見えないもアレだけど、信じられないくらい細かいところまで聴こえた。木管楽器の細かいところまで。オーボエとかフルートとか、美しかったなあ。

他にもまあ、色々と素晴らしい点はあるのだけど(農夫、クラウスもよかった。バイロイトでしょっちゅう名前を聞いた名歌手ドーメンの登場も驚いた)

とりあえず、行けてよかった。美しくきらびやかな東響の演奏を堪能させて頂いた。こんなによかったならもうちょっといい席でもよかったかな、とは思ったけど、読響と都響でお金使い過ぎたってのもありちょっと遠慮してしまった。テンポ等、気になる点はなく、とくに演奏上のキズはよくわからなかったが、農夫のパートのあとだったか、小銭を3回くらいばらまいた観客がいらっしゃって本日のMVP(←違う)。いったい何があったんだろう。

こないだの井上道義さんのブル8に続いてミューザでの名演奏。観客の盛り上がりも同じように素晴らしかった。ところで昨日今日と井上さんのN響のタコ11もあったみたいで、どっちも行った人も多かったかもね。クラヲタの友人が「どうしよう、どっちに行こう、仕事もあるし。うーん」と悩んでたけど。私はそんなにタコ好きでないからよかった。

・・・などと、いろいろとまとまりもなく(いつもだが)書いてきたけど、本当に素晴らしい演奏でした。人生初生グレの若杉さんの演奏と同じくらいの感動でした。

|

« 亀有香取神社は霊験あらたか? | トップページ | R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 亀有香取神社は霊験あらたか? | トップページ | R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング »