« R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング | トップページ | Leiden nach dem Sturm »

2019年10月20日 (日曜日)

R・シュトラウス/影のない女 ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング(シャーガーさん実穂子さんご出演)

Ed95922f5d4c41129351817bb36a424a

Dirigent Christian Thielemann
Regie Vincent Huguet
Bühne Aurélie Maestre
Kostüme Clémence Pernoud
Licht und Video Bertrand Couderc
Dramaturgie Louis Geisler
 
Der Kaiser Andreas Schager
Die Kaiserin Camilla Nylund
Die Amme Mihoko Fujimura
Geisterbote Clemens Unterreiner
Barak Tomasz Konieczny
Sein Weib Nina Stemme Hüter der Schwelle des Tempels
Daniela Fally Stimme eine Jünglings
Jörg Schneider Stimme des Falken
Maria Nazarova Stimme von oben
Monika Bohinec Der Einäugige
Rafael Fingerlos Der Einarmige
Marcus Pelz Der Bucklige
Michael Laurenz 1. Dienerin
Ileana Tonca 2. Dienerin
Valeriia Savinskaia 3. Dienerin Szilvia Vörös
1. Stimme der Ungeborenen Ileana Tonca
2. Stimme der Ungeborenen Valeriia Savinskaia
3. Stimme der Ungeborenen Stephanie Houtzeel
4. Stimme der Ungeborenen Szilvia Vörös
5. Stimme der Ungeborenen Bongiwe Nakani
1. Solostimme Ileana Tonca
2. Solostimme Valeriia Savinskaia
3. Solostimme Stephanie Houtzeel
4. Solostimme Szilvia Vörös
5. Solostimme Bongiwe Nakani
6. Solostimme Monika Bohinec

過去記事:R・シュトラウス/影のない女 ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング

アンドレアス・シャーガーさんは初役、藤村実穂子さんはノットとの「グレの歌」をキャンセルしてのキャスティング(蛇足ながら「グレ」の代役の歌手は逆転ホームラン状態で大評判だったので特に文句はなし)。

5月にも同歌劇場で上演されたが、主要メンバーは若干変わっている。5月もグールドなど豪華メンバーではあったが、今回は主役級がシャーガーと藤村実穂子さんとコニエチュニーに変更されより強力となっている。10日の公演ではシャーガーさんが風邪を引いてグールドに変更になったが、それでも凄いメンバーだ。グールドは「アリアドネ」に出てるのでたまたまその日空いてたのかな。

(ところでOTTAVAのサイトの公演の日本語説明ページで配役一覧が5月のになっていた。一般の方のTwitterを見てたら「当初の発表からずいぶん変わった」みたいに勘違いしている人もいたので、直したほうがいいかと)

演奏については指揮者もオケも同じなので相変わらず最高であるが、演出は若干変えてるみたい。あまり記憶に自信はないのだけど、冒頭は5月は「配線がうまくいってないのかな?」って思うほど舞台が真っ暗だったし、第3幕の最後はもっと照明が奇麗でお祭りみたいにぴかぴか光ってたのに(楽しみにしてたのに)、今回はなんだか「町の人たちもみんな助かって良かったネ。夫婦愛最高!」的な感じでなんだかベートーヴェンの「フィデリオ」になっちゃった。ただ、バラックの身体不自由な3兄弟がちゃんと助かって嬉しそうに出てきて、いつも他の演出では「あの兄弟は死んじゃったのかしら、それとも行方不明?」と心配してたのでちょっとほっとした。

この演出は前も思ったけど過剰にわかりやすい。冒頭に皇帝がなんかすごくうれしそうに出てきたので、シャーガーさん風邪治って嬉しいのかなとか勝手に思ったけど、よく考えてみたら皇帝は皇后と愛の一夜を過ごして寝室から出てきたのであって(だから嬉しそうなのか)、うばがカーテンをあけると皇后はベッドに寝転んでまったりとしている・・・という具合。そうだ、そもそもはそういう設定だったけど今までの他の演出は二人とも勝手に一人ずつ出てきて歌を歌うみたいな感じだったなあ。

期待の実穂子さんのうばであるが、そういえば日本人がこの役を演じるのを初めて見聞きしたので(まあ、このオペラを日本人だけで上演したのを見たことがないんだけど)、なんか新鮮。しかし影のない女というよりは蝶々夫人のスズキみたいに見える。まあこれは第1幕だけで第2幕からは「怪しい東洋の魔女」感がだんだん出てきた。ただ、第3幕の一連の狂ったうばのシーンは、彼女の持ち味なのか知性が勝っているようであんまり狂った演技でもなく、皇后を失う母の悲しみや愛情みたいなものを強く感じさせる演技と歌であった(なんて書くとちょっと上から目線だな、日本が誇る偉大な歌手にごめんなさい)。そういう演出に変わったのかしらん。

シャーガーさんはグールドよりも若々しい、小回りのきく感じでよかった。美しい皇后役のニーンルトとも金髪でお似合いである。同じオペレッタ出身のルネ・コロと方向性の似ている美声でよいよい。「いかにも皇帝!」みたいな神々しいジェームズ・キングとは少し違って親しみやすい感。(あ、ごめんどのテノールもみんな大好きです。)

コニエチュニーは前にこの役だったコッホよりも見た目親しみやすいというか「いかにも優しそうなオット」感を全面に出していて、(この歌手はなんかワーグナーの悪役のイメージがあったんで)意外に思った。最初に彼の声をナマで聴いたときは「この歌手、どっから声が出てるのかしらー」って思うくらい不思議な発声だった気がしたけど、だんだん私も慣れてきたのか、「いい声だな」と思うようになった。
前回と不動のニーンルト、シュテンメのソプラノ二人はもうこの役では最強なんじゃないかな。とくにシュテンメは神がかりかと。

あと、他に最初に出てくる「伝令使」の役の歌手はとってもかっこよくて声もよかった。2015年に新国立劇場にファーニナル役で出てた人だそうな。

前回もそうだけど、お家芸というか文字通りウィーン国立歌劇場の「十八番」なんだろうけど、それにしてもこの難曲を行方不明にならずに上演することのできるこの団体はやっぱり凄い(しかも毎日のように違う曲やってる)し、いつもノーカットで上演してくれるのも凄いし、ティーレマンも凄いし、是非このプロダクションの映像化をしてもらいたい。もうちょっと何回かやって慣れた感じの上演で。

|

« R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング | トップページ | Leiden nach dem Sturm »

コメント

音源雑記帖でシャーガー出演を知り、急いで国立歌劇場のサイトで完売寸前のチケット(平土間8列目209Euro)を購入。4泊6日で18日の公演を聴いてきました。
おかげさまで、ティーレマンの豪快な指揮のもとウィーンの影のない女を堪能しました。
なお、立見席も含め前席背面に字幕タブレットがあり日本語が選択できます。舞台との視線の移動が少ないので、日本で観るより楽しめます。

投稿: antonin104 | 2019年10月26日 (土曜日) 23時27分

>>antonin104さん
「えええ。この記事を読んで券取ってウィーン行ったのー?なんとフットワークの軽い方だ!それともタイムトラベラー?」などと寝ぼけて思ったのですが、前の「影のない女」の記事をご覧でしたね。それにしても羨ましい。貧乏人には夢のまた夢です。

私が昔に国立歌劇場に行った時は、前の席の字幕はまだ日本語がなくて英語を見てた気がします(うろ覚え)。日本の新国立劇場も採用して欲しいです。

投稿: naoping | 2019年10月27日 (日曜日) 09時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« R・シュトラウス/ナクソス島のアリアドネ  ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング | トップページ | Leiden nach dem Sturm »