R・シュトラウス/影のない女 ウィーン国立歌劇場ライヴストリーミング
R・シュトラウス:「影のない女」
DIRIGENT Christian Thielemann
REGIE Vincent Huguet
BÜHNE Aurélie Maestre
KOSTÜME Clémence Pernoud
LICHT UND VIDEO Bertrand Couderc
DRAMATURGIE Louis Geisler
Der Kaiser Stephen Gould
Die Kaiserin Camilla Nylund
Die Amme Evelyn Herlitzius
Geisterbote Sebastian Holecek
Barak Wolfgang Koch
Sein Weib Nina Stemme
Hüter der Schwelle des Tempels Maria Nazarova
Stimme eine Jünglings Benjamin Bruns
Stimme des Falken Maria Nazarova
Stimme von oben Monika Bohinec
Der Einäugige Samuel Hasselhorn
Der Einarmige Ryan Speedo Green
Der Bucklige Thomas Ebenstein
1. Dienerin Ileana Tonca
2. Dienerin Mariam Battistelli
3. Dienerin Szilvia Vörös
1. Stimme der Ungeborenen Ileana Tonca
2. Stimme der Ungeborenen Mariam Battistelli
3. Stimme der Ungeborenen Virginie Verrez
4. Stimme der Ungeborenen Szilvia Vörös
5. Stimme der Ungeborenen Bongiwe Nakani
1. Solostimme Ileana Tonca
2. Solostimme Mariam Battistelli
3. Solostimme Virginie Verrez
4. Solostimme Szilvia Vörös
5. Solostimme Bongiwe Nakani
6. Solostimme Zoryana Kushpler
(ウィーン国立歌劇場開館150周年記念上演、2019年5月25日)
日本時間の夜中0:30よりストリーミング放送。まあ、OTTAVA.TVにて1650円課金すれば見られたのだが(2019年5月28日23時まで購入可能)、私はamazonプライムに課金しているので、そっち経由で契約して視聴。amazonプライムはいつもAmazonスティックを用いてテレビで見ているので、この映像もテレビで。しかし本当にちゃんと映像が送られてくるのか心配で心配で、カウントダウン1時間前からスタンバってた。今のところ無料期間だから余計心配。あとで気がついたのだが、日本語字幕も操作すれば出てくる。全曲リアタイする予定だったが、いくら最愛オペラでも睡魔に負け、半分くらいで就寝。72時間以内なら何回か見られるので心配はない。
ウィーン国立歌劇場が建てられて150年経った記念の公演。シュトラウスはこの歌劇場ゆかりの指揮者で作曲家であるから、彼の作品がこの記念日に上演されるのは当然かとは思うけど、一番有名な「薔薇の騎士」じゃなくて「影のない女」だというのがまた、意外な感じである。しかし、もしも薔薇の騎士だったらこのライヴナンチャラには私は加入しなかったんじゃないかな。
ティーレマンの「影のない女」というと、ザルツブルク音楽祭で上演されたときのDVDが思い出される。私はもちろん持っているけれど、これがまたヘンテコ演出で、見事な演奏が台無しにに感じられるほどの代物であった。まあ、どんなに酷い演出でも演出の意図さえわかればまだ良さそうなものだが、この上演に関しては意図がわからない。映像でなくてCDで出せばよかったのに。
ザルツブルクの上演もなかなかの豪華メンバーであったが、今回はそれにも増して豪華。主役男性二人はザルツブルクと今回は一緒だが、女性主役3人は総入れ替えである。ザルツブルクでバラクの妻を歌ってたヘルリツィウスは今回はうば役に回った。まあ、このオペラでは皇后とバラクの妻とうば役はどれも同じぐらいボリュームがありそれぞれに難役である。1役だけでも大変なのに2役もマスターしてる、ヘルリツィウスって歌手は改めて凄いなあと。女性3人はそれぞれ日本でも素晴らしい歌声を聞かせてくれたお馴染みの名歌手である。残念ながら私は新国立のサロメに行かなかったので、ニールントは生では聴いてないと思うけど、ヘルリツィウスは飯守さんのパルシファルでクンドリーを歌ってたのを見聞きしたし、ステンメもかなり前にマルシャリンで見た。声はもちろんのこと外見もみんな魅力的だし、とくに皇后役のニールントは輝くような美しさだった。女性3人はパチパチと火花を散らすような歌唱合戦で、もしかしたら男性陣を圧倒してたかも。
歌唱とウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏、そしてティーレマンの指揮に関しては、全く文句のつけようのない名演であると(現場にいなくたって)私は思った。作曲者が「全部演奏したら歌手は大変だしお客さんも飽きて帰っちゃうかもしんないから、まあテキトーにカットしてもいいよ」などとカットを容認してたせいで、数多くの色々なカット演奏が存在し、われわれ影のない女愛好家を混乱に陥れていたが、ティーレマンという指揮者はカットなしで演奏してくれるので本当に助かる。そして全曲演奏しても、隙のない高いクオリティで演奏できることを証明してくれた。
そして、特筆してよいのは演出である。この曲の実演や映像を何度か見てきた私なのだが、一回もト書き通りの上演を見たことはない。いつも時代や場所をよそに移した設定のものばかりである。それが功を奏していることもあるけれど、そろそろホフマンシュタールの考えてる通りの設定の普通の演出が見たいものだと思っていたところ。まあ、そもそもホフマンシュタールもはっきり時代や舞台を決めいているわけではないのだけども(東洋のどっかの島国、くらい)。遠い昔に見た猿之助さんの演出やゲルギエフのときの英国人演出によるものもとても面白くてうまく考えられているなあとは思うし大好きだけど。
今回の上演は演出家の思う「初演の頃はたぶんこうだったんじゃないか」という感じの演出だった。ちゃんと台本に書いてあることが舞台に反映されているので、初めて見る人でもわかりやすかったんじゃないかなと。時代こそなんとなく第二次大戦時っぽくしてはあるけど、ナチスが出てくるわけでもないしはっきりは決めてないっぽい。そして、台本だけではよくわからない部分も演出で補っている(と思う)。とくに、最後の方の皇后の苦悩の独白も、初めて見る人は「なんでこんなにこの人苦しんでいるの?」と思うかもしれないけど、「皇后の頭の中」をちゃんと視覚的に再現して(自分が影を諦めれば、バラク夫婦には子供が生まれて幸せになる。でも、バラク妻の影を取ってしまうということは、この二人の子供を奪うことになる・・・)くれているのでそれはとても親切だと思った。
とくにそのような情報はないのだけど、この上演はブルーレイかなんかになるのかな。そしたら是非購入したい。でも、10月にはまたこの演目の上演が予定されていて、そのときは藤村実穂子さんのうばとシャーガーさんの皇帝が予定されているから(実穂子さんのグレ山鳩降板はこのせいか。しかし山鳩は一回私は聴いたので、彼女の演じるうばが映像でも見られるならそっちのほうが私はいいな)、もしかしたらそっちが発売されるのかも・・・そっちのほうが嬉しいなと色々と夢を膨らますのであった。
| 固定リンク
コメント