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2019年4月 7日 (日曜日)

新国立劇場「フィレンツェの悲劇」「ジャンニ・スキッキ」

Firenze1  

ツェムリンスキー:『フィレンツェの悲劇』
グイード・バルディ:ヴゼヴォロド・グリヴノフ
シモーネ:セルゲイ・レイフェルクス
ビアンカ:齊藤純子

プッチーニ:『ジャンニ・スキッキ』
ジャンニ・スキッキ:カルロス・アルバレス
ラウレッタ:砂川涼子
ツィータ:寺谷千枝子
リヌッチョ:村上敏明
ゲラルド:青地英幸
ネッラ:針生美智子
ゲラルディーノ:吉原圭子
ベット・ディ・シーニャ:志村文彦
シモーネ:大塚博章
マルコ:吉川健一
チェスカ:中島郁子
スピネッロッチョ先生:鹿野由之
アマンティオ・ディ・ニコーラオ:大久保光哉
ピネッリーノ:松中哲平
グッチョ:水野秀樹
指揮/沼尻竜典
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
(新国立劇場・初日)

ものがたり
★『フィレンツェの悲劇』
織物商人シモーネが旅から帰ると、妻ビアンカの許にフィレンツェ公爵の息子グイード・バルディがいる。シモーネはグイードが買い物に来ただけのように振る舞い、一番高い物を売りつけようとすると、グイードはビアンカを所望する。シモーネは紛らわせようと宴を供するが、二人の様子を見て疑いを強め、席を立ってしまう。帰ろうとするグイードはビアンカに長いキスをし、ビアンカは愛を誓う。シモーネとグイードは決闘で剣を交えるが、最後にシモーネはグイードを絞め殺す。ビアンカはシモーネの強さに恍惚とし、グイードの死骸のうえで二人は見つめあう。

★『ジャンニ・スキッキ』
裕福な商人ブオーゾ・ドナーティはまさに死んだばかり。親戚が集まって悲しんでいるが、実は皆考えていることは遺産のこと。甥のリヌッチョは遺言状を見つけ、それをかたにジャンニ・スキッキの娘ラウレッタとの結婚を認めるように伯母ツィータに迫る。ツィータはしぶしぶ認め、いざ遺言状を開くが遺産は修道院にと書かれている。書き換えてしまおうとたくらみ、それをジャンニ・スキッキに依頼する。現れたジャンニ・スキッキは断るが、かわいい娘のラウレッタに頼まれ引き受ける。しかしブオーゾになりすまして遺言を口述する段になると、すべてはジャンニ・スキッキに遺すと言い出す。親戚たちは怒り狂うがすでに後の祭り。最後にジャンニ・スキッキが口上を述べ、幕が降りる。

新国立劇場は初日はなるべく行きたくないのだが、他の日はどうしても都合がつかずに初日に参戦。大好きな作曲家ツェムリンスキーとプッチーニの二本立て。しかし何故か日本ではあんまりやらない「フィレンツェ」のほうはCDも持ってるし以前実演も観たし慣れ親しんでいるのに対し、「ジャンニ」のほうは一度も実演では観たことないし、「三部作」の他の二作に比べてあんまり慣れ親しんでない。喜劇あんまり好きじゃないからかなあ。

「フィレンツェ」のほうは有名な名歌手レイフェルクスがほとんど歌いっぱなしのシモーネを歌い、「ジャンニ」はこれまたアルバレスがタイトル・ロールを歌う。新国って主役級のほとんどは外人歌手でチョイ役は日本の歌手ってなイメージだったけど、今回は外人は3人。他は日本人なので何だか二期会か藤原歌劇団の風情。

えーとそれから。本日新国立に向かう途中で、どっかのお父さんと息子さん(小学3年生くらい?)の二人連れを見かけたので「へええ、こんなオトナなオペラで親子連れって珍しいわね。途中で飽きちゃって大声出したりしないかしら。まあ、私の近くの席でなければいいんだけど」とか思ってたらなんと隣の席だった。ひええ、A席だぜえ。お母さんが急病とかで代わりに来たのかしらん、とか思ったけど。別に途中で騒ぐとかしなかったのでほっとしたけど。

まず。「フィレンツェの悲劇」薄い幕の向こうには不倫真っ最中の二人が。小学生の男の子、こんなんみて大丈夫かな。

今回、セットがとっても素晴らしい(美しい)。フィレンツェらしい風景とツェムリンスキーの若干崩壊寸前の音楽に見合った崩壊寸前の建物が。歌手はまあ、ほとんどレイフェルクスが歌うところばっかりだし、やはり名歌手なので見事。テノールはまあ、ドイツオペラながらイタリア系な声かな。メゾの人はまあ、ヒロインながらあんまり歌うとこ少ないのであまり印象なし。このオペラはシモーネと管弦楽が良ければまあいいかなという勝手な私の印象。それにしても「悲劇」と銘打ってはあるがまあハッピーエンドなんじゃないだろうか。殺人は起こっているけれども。演出はとくにひねりもなく、初心者だったら見やすいかな。

そして「ジャンニ・スキッキ」。タイトルロールだけが外人で、あとは日本人。若いカッポー役が藤原2大スターの砂川さんと村上さんなので(前に二人の出演した「ボエーム」を観たので)藤原歌劇団かなみたいな雰囲気。しかも普段この会場で外人重量級ワーグナー歌手ばっかり見聞きしているから、いかにも日本人は小粒であり、声量もちょっと足りない感。小劇場向きなんじゃないかな、そもそもこの曲は。

まあ、いろいろと思うところは(演奏者のせいではない)あったものの、この演目はとても楽しいものだった。まず設定が登場人物が全部「仮ぐらしのアリエッティ」さながらの、「ちっちゃい人たち」であるということ。すべては死んだばっかりの金持ちブオーゾの「机の上」で繰り広げられる。まあ、人間がちっちゃくなるわけではないので、セットが全部でっかい。お皿の上に巨大なクッキー、人が乗れるくらいの天秤計り。ブオーゾは本の上で寝ている。鉛筆とか全部でっかい。

ブオーゾが残した遺書を机の引き出しから探したりしているが、手紙とか絵葉書とか巨大なのである。なんかすべてが可愛い。もっとちっちゃい劇場ならよかったかなとも思う。

タイトルロールのアルバレスはさすがにベテランというか余裕のあるところを見せていたが、何しろ魅力的なのが砂川さんのラウレッタ。まあいつも彼女は可愛いんだけど、とくに今日はポニテの髪型で可愛かったなあ。ずっとながめていたいのに、結構歌うとこ少ない。有名な「私のお父さん」と最後の場面くらいなのかな。相手役の村上さんはなんかムロさんみがあって素敵だった。二人とも歌唱もよかった。初日だったので若干うまくいってないとこもあったけど、2日目からはきっとよくなるに違いない。

まあ、2曲あわせてたった2時間で2万円強支払うのはどうかなとは思ったけど・・・3曲やったらやっぱり疲れるかもなので2曲でちょうどいいのかな。初心者向けかと思うので初オペラとかにいかがでしょうか。あと、本日はアンケートに答えると記念品が貰えた(ちっちゃいクリアファイル)のと、普段はお金を払って借りる「お座布団」が最初から席に敷いてあったので有難かった。人より座高が低いのでのう。

 

 

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