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2019年1月14日 (月曜日)

ROHシネマ「ワルキューレ」パッパーノ指揮/キース・ウォーナー演出

1547466362702ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」
【演出】キース・ウォーナー
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】スチュアート・スケルトン(ジークムント)
エミリー・マギー(ジークリンデ)
ジョン・ランドグレン(ヴォータン)
ニーナ・シュテンメ(ブリュンヒルデ )
エイン・アンガー(フンディング)
サラ・コノリー(フリッカ)他
ロイヤル・オペラ・ハウス
【上映時間】5時間1分
【料金】5,000円
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3連休。正月から体調が悪くて2日間ゴロゴロしていたが、今朝は調子が良かったので日本橋に映画に観に行く事に。たまたまAUビデオパスを見たらポップコーンとドリンクセットが100円、映画は1100円ということだったので、行く事に。ボヘミアンラプソディは・・・ちょっと考えたけどまだ1月ぐらいはやってそうな気がしたので、もうすぐ終わってしまう「私はマリア・カラス」に行く事にした。
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ところが。
カラスが終わって1時間くらいあとにロイヤル・オペラ・ハウスの「ワルキューレ」の映画を上映するということに気が付いたので、ついでに観ることに。というか、「ついで」が上映時間5時間というのもなんだかなあという気もしたが。ボ・ラプの2倍だぜえ。
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券を買い(AUのたまりにたまったポイントで買ったのでタダ)、こないだ行って閉まってた小諸そばでカツどんを食べ(500円だけど出来立てで美味しかったあ)、福徳神社で初詣をし(宝くじ買う前に行くべきであった)、正月のお雑煮で使い果たした茅乃舎のだしパックを買い(美味しいの~)、映画館に戻る。
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まあ、休日だったせいか、(ちっちゃいホールだったけれど)席の半分くらいはうまってた。ワグネリアンらしき男性たち多数。
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今回の公演のポイントは色々あるんだけど、何と言っても「トーキョー・リング」を演出した実績のあるキース・ウォーナーが演出だってことだと思う。あんなに面白い、ポップでキッチュな演出をする人なので、現在は本国でどんな演出をするのか興味があった。あと、エミリー・マギーとニーナ・シュテンメというキャスティングも大いに惹かれた。あと、ずいぶん昔に実際に聴いたロイヤル・オペラ管弦楽団の高性能っぷりはいわずもがな。名指揮者パッパーノもどんな指揮するんだろう・・・など。
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まず演出だが。同じ演出家か?と思うほど全然違う。キッチュでもポップでもなく、全体的に暗い感じだし、普通のヨーロッパの歌劇場の演出ってな印象。でも、ドイツの歌劇場やザルツブルグでするようなヘンテコ演出ではない。まあまあわかりやすい。まあ、世界中の映画館で上映するんだもんね、あまりヘンテコ演出も困るし。「トーキョー・リング」を唯一思い出させるものといえば、神々の世界から下界?に降りる細い長いハシゴがあったことくらいで・・・。
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あと、ワーグナーのト書きのちょっとしたことを演出に反映させて「ああ、そういうことだったの・・・」と感心するところはこの演出家かなあとおもった。例えば。第3幕のワルキューレの騎行の場面でヴァルトラウテがジークルーネに「何ぐずぐずしてたの?」と聞くとジークルーネが「ちょっといっぱい仕事があってね」と答えるところ、普通なら流してしまうところを・・・収集するべき英雄がバラバラ死体だったりとか。そのあとみんなで死体を組み合わせてちゃんと昇天させてあげるとこ(映像でね)とか、「なるほどなあ」ってなった。
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歌手は。なかなかの豪華メンバーだと思うが、期待してたマギーたんが若干調子が悪そうだったのが残念。ジークムントとヴォータンはなかなか頑張っていたものの、おととし新国立で見聞きした同役・・・スティーヴン・グールドとグリア・グリムスレイには(私の中では)どうしても勝てず・・・まあナマで聴いたものと比べてもしょうがないか。フンディング役の人は悪かっこよくてよかったし、フリッカもかなり熱演だったしちょっと若いころの草笛光子さんに似ててかっこよかった。
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しかしまあ、今回の一番の功労者はやっぱりニーナ・シュテンメだと思う。本当に素晴らしい。随分前にROH現地で(工事中だったので場所はロイヤルアルバートホールだったけど)見聞きしたヒルデガルト・ベーレンスを思わせる声と表現であった。素晴らしい。第2幕のジークムントに死を宣告するシーンでは泣いてしまった。ああ、ナマで聴いてみたい・・・まあ、聴いたことあるんだけどマルシャリンだったもんでな、ワーグナーを聴きたい。マルシャリン12年も前か。
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あと、日本ではできなそうだなあと思ったのは、最後のブリュンヒルデを火で囲うシーンで。本当の火を使うのはよその国では当たり前なのだけど、ヴォータンが固形燃料的なものを手のひらにくっつけて、火をつけると火柱がボッと出るやつをやってて、あれ、手品師じゃあるまいしかなり怖くないかなあと思った。
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あと、幕間で指揮者やコレペティトールや楽団員にいろいろとこの演目についてのインタビューをしてたのだけど、他の人はこの作品が「何回やっても難しい」だの「天才的」だの言ってたのに、ハープの女性が「いつもハープって1人か2人なので、ワルキューレは6人もいて楽しい」だの「ちょっと間違えても他に5人いるから誰かがフォローしてくれる」だの「終わったらみんな(元の楽団に)戻ってしまうからさみしい」だの言ってて、とっても可愛かった。
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・・・などと色々書いているけど、家帰ったらやっぱりクイーン聴いてるんだ私。なんじゃ。

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