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2018年7月30日 (月曜日)

戦没学生のメッセージⅡ トークイン・コンサート

Photo藝大21 戦没学生のメッセージⅡ
トークイン・コンサート
「戦時下の音楽~教師と生徒」

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▮トーク
片山 杜秀  (慶應義塾大学法学部教授)
▮プログラム
葛原 守/歌曲《かなしひものよ》※
鬼頭 恭一/歌曲《雨》(清水史子詩)※
村野 弘二/歌曲《小兎のうた》(島崎藤村詩)
信時 潔/歌曲《春秋競憐判歌》(額田王詞)
下總 皖一/《箏独奏のためのソナタ》
鬼頭 恭一/《無題(アレグレット イ短調)》※
葛原 守《自由作曲(オーボエ独奏曲)》※
村野 弘二/オペラ《白狐》(岡倉天心台本)より第二幕〈こるはの独唱〉

橋本 國彦/歌曲《をみなら起ちぬ》(深尾須磨子詩)
細川 碧/東京音楽学校謹撰《明治天皇御製》(明治天皇作歌)
草川 宏/交声曲《昭南島入城祝歌》(佐藤惣之助詩/髙橋宏治補作・編曲)
(※は昨年も演奏された曲)

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出演
金持 亜実(ソプラノ) 
永井 和子 山下 裕賀(メゾソプラノ) 
大平 倍大(テノール)
今尾 滋(テノール/バリトン) 
田中 奈央人(箏) 
河村 玲於(オーボエ)
田中 翔平 森 裕子 松岡 あさひ(ピアノ) 
千葉 芳裕(合唱指揮)
小鍛冶 邦隆(指揮) 
東京藝大学生・卒業生有志オーケストラ&コーラス

(7月29日 奏楽堂)

昨年に続いて鑑賞。まあ、戦争によって命を失い活動を絶たれた東京音楽学校生の作品を復活演奏する、という趣旨は同じなのだけど、まあ個人的には私の大好きな村野弘二の「こるはの独唱」をまた聴きたかったので、台風一過の暑い中出かけた。ただ、今回はプログラム的に前回よりかなりパワーアップしているようで、前回はピアノ伴奏のものがほとんどだったが今回はフルオーケストラに合唱の曲が演奏された。
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それと今回素晴らしかったのは、この分野ではスペシャリストと思われる片山杜秀先生が解説者として登場したことか。勝手な想像として最初のほうでちょろっとお話しされるくらいなのかなあと思ってたけど、結構メインにずっと解説をしてくださったので、もうなんか有難くて「イヨッ!モリヒデ!」とか声をかけたくなった(失礼なのでしませんけど)。
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まあ、曲目的には昨年とかぶっているものが多かった。戦没学生さんの作品はそんなに残ってないので仕方ないのかな。その分を埋めるべく、彼らのお師匠の作品が演奏された。

前に交響曲の演奏を聴きに行った橋本國彦のオケ伴奏つきの歌曲は結構びっくりであった。橋本國彦は(私の勝手な印象では)メロディックで夢見がちな、どっちかっつーとフランス音楽に近い、近代的だがわかりやすい作風・・・と思っていたが、なんかベートーヴェンみたいな勇ましい感じだった。まあ、歌詞の内容が・・・男子だけでなく、おなごもみんな頑張れ!的な・・・「いさぎよく、いさぎよく、たもとをたちて(略)ははもたちぬ、つまもたちぬ、をとめもたちぬ」みたいな感じなもんでね。

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こんな感じかな。片山先生の解説によると「この時代の音楽、ベートーヴェンになりがち」だと。

しかし、今回の演奏会の白眉は戦没学生・草川宏作曲によるカンタータ「昭南島入場祝歌」である。だが・・・いかんせんオーケストレーションが完成しているわけではないので、高橋宏二さんによる補筆によって完成された版による演奏となっている。どの程度オリジナルなのか、どのくらい手を加えられたものなのか、あたしにゃよくわからないけれど(おそらく随分加筆されているように思う、解説を読む限り)、とても興味深く聴いた。これを聴くだけで行った甲斐はあったように思う。

まあ、題名からするとそこらへんの右翼?がスピーカーで爆音で流しそう・・・みたいな曲を想像しちまいがちなのだが、そんなことは全然ない。全くの芸術作品である(と思う)。昔昔の東洋の島国なのに、当時の最先端の西洋クラシック音楽の影響を受けまくっている。最初はR・シュトラウスの「日本建国2600年祝典曲」を思わせるし、中間部はなんと・・・ほとんどマーラーである。解説よると1930年代には指揮者プリングスハイムが来日しており、東京音楽学校にてマーラーの交響曲を何曲も初演したりしてたから、もしや学生さんもそれを耳にして影響を受けたのかなあ・・・と思う。また最後のほうではなんと、シェーンベルクばりの不協和音の音楽が聴かれたりする。そこらへんは師匠の橋本國彦の影響かと(と、解説にある)。

以上、色々とまあバラエティに富んだ演奏会だったので(長くなるので)全部を解説するのはやめとくが、なかなかお勉強になったので行ってよかったと思う。昨年の演奏会の模様はCD化されているのでご興味のある方は購入されたらいかがだろう(会場では売ってたけど、一般には売っているのかな)。ただ、気になったのは今回の演奏会ももしかしてCD化されるのかもしれないけど、観客にはお年寄りが多くて補聴器の音がひっきりなしだったため、どうなるのかなという心配はあった(今の技術でなんとかできるのかな)。
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戦没学生のメッセージ~戦争に散った若き音楽学徒たち (CD)

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コメント

先日、ラジオで音大生の学徒出陣についての番組があって、当時録音された「こるはの独唱」がかかってました。(クルマの中でちょっと聴いただけですが)
歌のメロディもよかったけど、ピアノの使い方が素晴らしかったですね。

村野さんの同級生だったという、大中恩さんの「幌馬車」という曲も放送されました。どちらも、もう自分は生きて帰ってこれないという覚悟で、「遺書」として残された作品。その時のすべての思いを一曲に凝縮したような痛切さに、胸を打たれました。

音楽とは関係ないのですが、片山先生が学徒出陣について語った8月7日放送の番組が聴けますので、リンクしときますね。
http://www4.nhk.or.jp/nradi/24/

投稿: ぜん | 2018年8月11日 (土曜日) 19時25分

>>ぜんさん

コメントありがとうございます。
「こるは」は名曲です。おっしゃる通り歌自体もよいのですがピアノの伴奏がものすごく素晴らしいです。大中恩先生は昨年のコンサートでお話しをされてるのを見ましたが94歳でご存命ですね。

リンク頂いたラジオ、聴かせて頂きました。片山先生はまあ、研究分野だしお仕事なんだろうけど本当にこの分野のお話をするのがお好きなんだなあとコンサートでも思いました。とてもお話しが上手ですし(私のようなアホな子でも)わかりやすいです。クラシック音楽がきっかけでもいいから、こういった歴史に興味が持てるということも大事だなあと思います。

投稿: naoping | 2018年8月12日 (日曜日) 09時51分

たびたびすみません。私の聴いた番組、8月16日まで配信で聴けるそうです。お聴きになられた演奏会の音源もありますね。こちらを先にリンクすべきでした。
https://www.nhk.or.jp/radiosp/gosenfu/
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=5020_01

投稿: ぜん | 2018年8月12日 (日曜日) 10時37分

>>ぜんさん

教えて頂いてありがとうございました(そういえば、会場でラジオ番組やりますみたいなインフォメーションがあったのですが、何しろ開演前に転んで負傷していたので、すっかり忘れておりました)。昨日さっそく聴きました。

まあ、内容が内容だけにかなりウェットな感じの番組になってましたが、冒頭の会場インタビューにもあったように「何故か力を貰えるようなコンサート」だったので、ずいぶん印象違うなあと思いました。コンサートでやらなかった曲も聴けてありがたかったです。

投稿: naoping | 2018年8月13日 (月曜日) 21時57分

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