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2018年5月31日 (木曜日)

飯守さんのフィデリオ at天井桟敷 (新国立劇場)

Fidelio3ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」
ドン・フェルナンド:黒田 博
ドン・ピツァロ:ミヒャエル・クプファー・ラデツキー
フロレスタン:ステファン・グールド
レオノーレ:リカルダ・メルベート
ロッコ:妻屋 秀和
マルツェリーネ:石橋 栄実
ヤキーノ:鈴木 准
囚人1:片寄 純也
囚人2:大沼 徹
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団
指揮:飯守 泰次郎
演出:カタリーナ・ワーグナー
ドラマトゥルク:ダニエル・ウェーバー
美術:マルク・レーラー
衣装:トーマス・カイザー
照明:クリスティアン・ケメトミュラー
舞台監督:村田 健輔

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(5月30日 新国立劇場オペラパレス )
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チョンさんのときも書いたが、フィデリオは苦手なオペラなので、全く行く予定もなかったのだが、カタリーナの演出のあまりの評判の悪さに俄然観に行きたくなり(でも2万は払えないなあ)、行った次第。
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とある日のZ席を取ろうとしたところ瞬殺だったのであきらめてたところ、平日の30日はまだD席が若干残ってたので、これ幸いとGET。しかし、4階席の一番後ろって生まれて初めてだ(新国では)。
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ほとんどZ席と変わらない感じで端っこに近い席。でも行ってみたら意外と・・・快適なもんなんだなと思った。音もマイルドになっててよろしいし、まあ歌手の声もよく聴こえた(声量のない歌手はキビシイかな)。ワーグナー歌手が主役だったのがよかったのかな。
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何より、4階席でよかったと思ったのは舞台の構造が、3階建て(3階に中2階的なものがあるので4階建てともいうかも)であったのでどの階も比較的よく見えたことである。逆に平土間一階席は舞台の上の方は見えなかった・・・とい情報もネットであった(だとしたらキツイな。2万いくら払ってそれじゃ)。まあ、ほぼZ席なので舞台の左下の部分が若干見切れてしまったのだけど、不満といえばそのくらい。私の性能のいい双眼鏡では歌手の表情までとてもよく見える。
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(あと一日残り公演ありますので、最終日を楽しみにしている方は以下を読まないほうがよろしいかと。私はまったく行く予定なかったのでネタバレ全部読んでしまってから行きました。あはははははは)
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舞台中央の広場?的なところに人工芝を敷き詰め、ピンクのお花を舞台に並べて刺していく看守たち。しかし、マルツェリーネがそれらをなぎ倒しながら登場。恋に恋する乙女のマルツェリーネの頭の中もお花畑である。巨大なバービー人形とその彼氏人形(ケンだったかな)でままごと遊びである。そんな彼女に恋するヤキーノは振られてばっかり。
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レオノーレは最初はお花のワンピース姿で登場するも、かつらをかぶりズボンをはいて男性に変装するのだ。ドン・ピツァロが登場するからって、また人工芝とかお花とか片付けなくちゃならなくて、歌手のみなさんご苦労様である。
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えーと3階建て(4階建て?)のフロア案内をしなくちゃ。1階、その他囚人たちの牢屋でごさいま~す(合唱が必要なときだけ新国立の見事な舞台機構を使って舞台が上に上がり、登場する)。2階、フロレスタンの牢屋でございま~す。3階は左からレオノーレのお部屋(フロレスタンのでかい肖像画が飾ってある。どうやって持ち込んだのかしら)、広場的なもの、看守のお仕事場?、その上にドン・ピツァロのお部屋で、何故かレオノーレの肖像画が飾ってある。
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レオノーレの提案で「囚人にも日の光を浴びさせてあげたら」ということで、囚人たちのお部屋(牢屋だな)が登場。元気ないはずの囚人たちは滅法歌がうまい。元気いっぱい歌う(オペラだからしょうがないな)。囚人の一人に私がファンである大沼さん。いい声。でも、べつに日に当たる様子もなく、牢屋は真っ暗なまま。
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第1幕では普通は登場しないはずのフロレスタンは最初っからずっと舞台にいる。何故かVIP待遇なのか個室であり、ちゃぶ台的なものもある。どこからチョークを持ってきたのか、壁にいっぱい妻の絵とか植物の絵とか描いてる。もともと絵描きなのかな(←そんな設定ない)。
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第2幕。政治犯でドンピツァロに命を狙われているフロレスタンの元へ妻のレオノーレ看守長のロッコとともに地下へ。フロレスタンは例のアリアを歌いながらなぜか床板を引っぺがして土をほりほり。脱獄しようとしてるのかな(なわけない)。結局そこが彼の墓穴となるわけだが。
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ドン・ピツァロが地下牢に降りてきて、フロレスタンを殺そうとしたところ、男装してたレオノーレが上着を脱ぎだして、自分の正体を明かす・・・が、(このへん、見切れてあんまり見えず)ドン・ピツァロにフロレスタンがナイフで刺されてしまう。驚くレオノーレ。そこで例の大臣到着のラッパ・・・からのレオノーレ序曲第3番。その素晴らしい飯守さんの指揮による演奏の中、レオノーレもやっぱし殺されちゃうし、地下牢の入口をふさぐためにレンガをどんどん積んでいくし(まるで「ラインの黄金」の巨人族みたいな・・・ってやっぱりワーグナーのひ孫さんだねえ)、普通とは真逆のことがどんどん繰り広げられていた。あたしは大体知ってたので「ほうほう」と思って見てたけど・・・周りの人は若干ぎょっとしてた感。
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そのまた地下牢のその他おおぜいの囚人さんたちのところへ、ご家族やら恋人とおぼしき女声合唱団が登場。そして牢屋はあけられ再会を喜ぶ人たち。そこへフロレスタンとレオノーレの・・・ダミーの人たち・・・が登場。フロレスタンはドン・ピツァロの変装?で、女性は「なんでわたしここにいるの?」的なキョトン顔。本物のこのご夫婦は牢屋に閉じ込められたまま(死んだはずなのに)二重唱を歌っている。幽霊なのかしら。自分で墓穴を掘って横たわってみたり。
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最後の最後は囚人たちの高らかな合唱で終わる・・・はずが・・・解放されたと思ったらお迎えのご家族ともどもまた牢屋に入れられて閉められてしまう。もしかしてこのあとはガス室に入れられてしまうのかも・・・という勝手な想像がふくらんでしまう。それにしてもなんというバッドエンディング、もう最高じゃないですか。夫婦愛とかハッピーエンドとか、このオペラの私の苦手なところをすべてひっくり返してくれたのだ。もうね、大っ嫌いだったカタリーナさんが好きになってしまった。バイロイト行きてえ。
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演出家は帰国してしまったので、(期待してた)演出に対してのブーはなし。ドン・ピツァロ役にのみブーが若干・・・まあこれは私も思ったのでしかたないかも。主役二人はこないだ「神々の黄昏」で歌ってた人だったので、なんか繋がってる感があって面白かった。歌は当然素晴らしかった。他はマルツェリーネ役の石橋さんがよく通る素晴らしい声でよかった(以前、BSNHKで謎の関西オペラ?を放送したときに見聞きして、素晴らしいお声だと思った。希望通りナマで聴けて嬉しい)。
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飯守さんの振る東響は本当に素晴らしかった。とくに頻出するホルンの重奏とかめっちゃいいし(ベートーヴェンの音がする、ねっ!)、レオノーレ序曲も最高だった。新国の芸術監督としての最後の演目、飯守先生お疲れ様でした。いい舞台をたくさん見せて下さって本当にありがとうございました。
 
Fidelio2天井桟敷から見える舞台。 

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