二期会「ローエングリン」準・メルクル 深作健太演出

ハインリヒ・デア・フォーグラー 小鉄和広
ローエングリン 福井 敬
エルザ・フォン・ブラバント 林 正子
フリードリヒ・フォン・テルラムント 大沼 徹
オルトルート 中村真紀
王の伝令 友清 崇
ローエングリン(青年時代)丸山敦史
他
合唱:
二期会合唱団
東京都交響楽団
ローエングリン 福井 敬
エルザ・フォン・ブラバント 林 正子
フリードリヒ・フォン・テルラムント 大沼 徹
オルトルート 中村真紀
王の伝令 友清 崇
ローエングリン(青年時代)丸山敦史
他
合唱:
二期会合唱団
東京都交響楽団
指揮:準・メルクル
演出:深作健太
演出:深作健太
(2月24日 東京文化会館)
2015年に上演されたシュトラウス「ダナエの愛」に続き、深作さんと二期会(とメルクル)が再びタッグを組んだ公演。ダナエと違ってローエングリンは超メジャーな演目であるので、これはこれで演出難しかったのではないかと。今までにありがちの普通の演出では深作さんを呼んだ意味がないし、逆にあまりマニアックでよくわからん演出だと、二期会に慣れ親しんできた聴衆からブーイングが出てしまうだろう。
で。今回一回だけ券を取って観させて頂いたけれど、なかなかうまくいっているなと思った(誰目線)。ひとひねりもふたひねりもあるけれど、そんなに(ドイツなんかでやってるみたいなのよりは)めっちゃ難解というほどでものない。しかし。この曲の筋書しか知らないで挑んできた聴衆にはちょっと説明が必要なのかなと。
今回は珍しく友人を誘って鑑賞。友人はまあまあオペラ好きだけど、ワーグナーに精通しているというほどでもない。私との付き合いで若干オペラに行く程度である。
だもんで。
今回の演出でおそらく初心者にはわからないと思われる点は幕間にレクチャー。
・今回のローエングリンはルードヴィヒ2世の妄想と思われる。
・第2幕の最初に天井から落ちてきた矢がぶっささった白鳥の死骸は、ワーグナーの他のオペラの「パルシファル」に出てくるもの。ついでに言えばパルシファルはローエングリンのとーちゃん。
・オルトルートが眼帯して槍を振り回してるのは「ニーベルングの指環」に出てくる神々の長ヴォータンのオマージュ。
・第2幕の最初にけが人がストレッチャーに乗っているのは「ワルキューレ」のパロディと思われる。(ついでに言えば新国立劇場の「トーキョーリング」の演出のもので、この時の初演指揮者は準メルクル)
・第2幕でオルトルートがエプロンしてかいがいしくけが人の世話をしているのは二期会パルシファルのパロディ(かな?)。
・オルトルートが持っているリンゴは「ラインの黄金」での若さの象徴。ヴォータンの妻のフリッカ(婚姻の女神)の妹のフライヤが育てているのは金のリンゴ。
・今回のローエングリンはルードヴィヒ2世の妄想と思われる。
・第2幕の最初に天井から落ちてきた矢がぶっささった白鳥の死骸は、ワーグナーの他のオペラの「パルシファル」に出てくるもの。ついでに言えばパルシファルはローエングリンのとーちゃん。
・オルトルートが眼帯して槍を振り回してるのは「ニーベルングの指環」に出てくる神々の長ヴォータンのオマージュ。
・第2幕の最初にけが人がストレッチャーに乗っているのは「ワルキューレ」のパロディと思われる。(ついでに言えば新国立劇場の「トーキョーリング」の演出のもので、この時の初演指揮者は準メルクル)
・第2幕でオルトルートがエプロンしてかいがいしくけが人の世話をしているのは二期会パルシファルのパロディ(かな?)。
・オルトルートが持っているリンゴは「ラインの黄金」での若さの象徴。ヴォータンの妻のフリッカ(婚姻の女神)の妹のフライヤが育てているのは金のリンゴ。
他に、いろいろと読み替え的なものは多数。ワーグナーの他のオペラを知っていればニヤリとさせられるし、私は歴史にあまり詳しくないのでアレだけどドイツ史に詳しい人だったらもっといろいろと面白かったのかなとも思う。
深作さんは(前のダナエの時にトークショーで語ってたなあ)ワグネリアンだそうなので、演出にワーグナー愛が溢れていた。二期会という昔からある日本の団体ながら、非常に個性的な面白い演出を見せてもらえてとても良かったと思う。まあ、私は新国立のほうのローエングリンは観たことがないので(ある事情で)、どのくらい違うのかわからないんだけど。
演出が(面白いので)注目されがちだが、演奏も素晴らしい。とくにダナエに続き準・メルクルの指揮はホントに素晴らしい。(そういえば、「ダナエの愛」のザルツブルグで上演されたのをYoutubeでちょろっと見聞きしたのだけれど、指揮やテンポに関してはメルクルのほうが全然好きだ。どうしてあんな凡庸な演奏だったのだろうメスト。)
メルクルの指揮した新国立「ジークフリート」は今だに自分の中ではベストだ。
都響の演奏も本当によく鳴っていて素晴らしかった。たぶん本場に引けを取らないと思う。たまに日本のオケのワーグナーは「ホントにひどい」と思うことも過去あったけれど、メルクルに任せればそんなことないのかも。第2幕の合唱とか第3幕の結婚行進曲とかびっくりするくらい早くて驚いたけど。
深作さんは次回は何を演出するのだろう。パルシファルかな。もしメルクルと深作さんコンビでリングをやったらすごく面白そう。お金がかかりそうだけど・・・。
その他、歌手や出演者について。福井さんがこのオペラ団の看板歌手なので、それこそイタリアオペラだって歌われるしなんでも来いなんでしょうけど・・・・「ダナエ」続いて力強い歌声が素晴らしい。一緒に観てた友人が「外見もうちょっとかっこよかったらなあ・・・」と言ってたけど、こういう演出なのでそれはいいのではと思う。エルザおよびルードヴィヒ2世の妄想の中のローエングリン役の俳優さんは存在感抜群。なるほど的な。
(最初から最後までほぼ出ずっぱりの子役はエルザの弟ゴットフリートのところなのだろうけど、第3幕で指揮者の真似をしたりしてたので、この役はワーグナーにハマり始めた頃のルードヴィヒ2世なのかな、とか。)
林正子さんは相変わらずスタイルがよくてシシイを思わせる。もう一人のエルザの木下美穂子さんも声楽的にきっと素晴らしいんだろうなあ。オルトルートの中村真紀さんはソプラノの人なので若干ドスが足りないかなとは思ったけど存在感抜群だった。というかおそらくこの演出では主役はオルトルートなのかな。カスミさんも観たかった。きっとドスが効いた大迫力のオルトルートだったろうな。
・大沼さんはやっぱり歌うまいしかっこいい。
・伝令がムスカ大佐っぽかったのはなんかあるのかな。
・伝令がムスカ大佐っぽかったのはなんかあるのかな。
他、いろいろと演出上では「なんで?」って思うこともあったが(第3幕のローエングリンは太陽王ルイ14世のかっこでパロックダンスを踊ってたりとか)、まあ、そういう謎な部分もありいの、がワーグナーっぽくていいのかな(←全部それで済ます)。

| 固定リンク