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2016年10月 9日 (日曜日)

飯守さんの「ワルキューレ」 新国立劇場

1475926161602ワーグナー「ニーベルングの指環」
第一日 「ワルキューレ」
【ジークムント】ステファン・グールド
【フンディング】アルベルト・ペーゼンドルファー
【ヴォータン】グリア・グリムスレイ
【ジークリンデ】ジョゼフィーネ・ウェーバー
【ブリュンヒルデ】イレーネ・テオリン
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ
【ゲルヒルデ】佐藤 路子
【オルトリンデ】増田 のり子
【ヴァルトラウテ】増田 弥生
【シュヴェルトライテ】小野美咲
【ヘルムヴィーゲ】日比野 幸
【ジークルーネ】松浦 麗
【グリムゲルデ】金子 美香
【ロスヴァイセ】田村由貴絵
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【指揮】飯守泰次郎
【演出】ゲッツ・フリードリヒ
【美術・衣裳】ゴットフリート・ピルツ
【照明】キンモ・ルスケラ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

(2016年 10月8日 オペラパレス)
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昨日行ってきた。大変に評判がよかったのでかなり期待してた。しかも会場に行ってみたらとってもいい席だったので券を取った時の自分に感謝した。A席なのに、2階席で横からオケも指揮者も見下ろせて、舞台も切れることなくよく見える。前回のラインゴールドの時の反省から(頭でっかい座高の高いおっさんがまん前に座ってた)、1階席はもうやめたんだった。
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しかし、自分的にはまずったこともあって。先週の日曜に買ったバレちゃんのパルシファルのDVDを見たばっかりだったものだから。(オペラ歌手にしては)スタイルのよい美男美女の主役(しかも歌もうまい)の映像を見たもんだから。
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「ワーグナーのオペラなんだから外見は二の次」という超お約束がすっかり私の視覚にはもう通じなくなってしまった。だもんでジークムントとジークリンデのカッポーのラブシーンは、なんかもう大相撲の「がっぷり四つ」にしか見えなくなり、困った。どうしよう、ああどうしよう。もう目をつぶって観るしかない(いや、聴くしかない)。
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とか思ってちょいと目をつぶって聴いていたら、あら不思議。グールドさんかっこいいわ。イケボっていうの。声だけ聴いたら、歌いまわしとかジェームス・キングをちょっと思い出し。かっこいい。美声だし。
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脳内はこんなかんじ。
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いや、終幕までずっと目をつぶってたわけではないので安心せい。
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ま、今回ホントに声楽にはホント穴がない。みんなよい。ワルキューレは何回か見ているが、て、日本で観たものでは歌手は一番ではないかな。
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それにしても。
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今年の東京で観れるワーグナー上演の凄さよ。春にはあのジークフリート二期会トリスタンはありいの、この秋はこの新国ワルキューレにウィーン国立のワルキューレ、ティーレマンの塩城ラインの黄金まである。私はスケジュールとご予算の都合であとの二つは残念ながら見送ることになりそうなのだけど、なんだかこれってバブル期みたい。もうね、平野ノラが「おったまげ~~~」って叫んじゃいそうな勢い。はいオッケーバブリー。
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で、今回のワルキューレ。初めて聞いたんだけどヴォータンのグリムスレイがほんとにヴォータン。あんたホントにヴォータンなんじゃないの?って聞きたくなるくらい外見も声もヴォータン。声はハンス・ホッターみたいなソフト路線じゃなくて、どっちかっつーとジョージ・ロンドンかな(違うか)。グリムスレイ、シアトルそのまんま演出リングにも出演していて、ホントにアーサー・ラッカムの絵じゃねえのってくらいヴォータン。でもヨハナーンやってもきっとヨハナーンかと(見てないけど)。
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ブリュンヒルデのテオリン。なんか前に観たときよりちょっと太った印象(ジークリンデほどでっかくないけど)。でも、「ただ声がでっかいだけの人」みたいな勝手な印象が(私は)あったんだけど、全然違ってた。とても人間的で、深い表現。ジークムントを自分で作って運命を作っておいて、うまくいかなくなると娘に丸投げっていう自分勝手で大きな子供みたいなヴォータンを愛しながらも、悩み苦しみ、ジークムントに心から同情して運命を変えてあげようとする。「この女があなたのすべてだと?地位も名誉もいらないと?(意訳)」とジークムントに言う場面はピアニッシモで切々と歌い、観客の心をえぐった。私含めて周りの人結構泣いてた。さすが世界中でブリュンヒルデ歌っているだけある。
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新国立では準レギュラーみたいな扱いのツィトコーワたん。相変わらず可愛らしいわん。声も深くて素敵。山のようにでっかい人々の中にいて、ことさらスリムで小柄に見える。怒り爆発のフリッカをなだめようと、ヴォータンにひょいっと一瞬持ち上げられるツィトコーワたんかわゆす。まあ、こんなに若くて美しい奥さんの言うことだったら神々の長ヴォータンも聞くしかないかな。
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憎まれ役のフンディングのペーゼンドルファーもほんとに憎たらしそうないい声である。外見もなんかフンディングっぽいし(それは誉め言葉なんだろうか)。いやほんと憎たらしいです。そもそもこんなに悪い役ではないと思うんだけど。演出上、ホントにやなやつになってた。
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ジークリンデ役のウェーバーは体格のわりに、かなり走り回ったり頑張ってた。体きく系太った人なのかしら。とてもたくさんのブラヴォー(ブラーヴァ)をもらってたけど、わたし的にはすこーしだけ歌い方にクセを感じる。でも、声はよく出ていたし表現は感動的であったのでよかったのでは。他の歌手がみんな良すぎるから高望みをしてしまうんだね。
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演出。もうこれは昔懐かしの演出って感じである。もういろいろ演出家の自分勝手な演出のものを見ているので、読み替えもなくストレートなものであると私は感じた。第一幕でフンディングの手下がたくさん出てくるのも別に私には普通に見えたし、第2幕で木馬に乗ってるヴォータンが子供返りしているようで可愛かった。結構ネットでは話題となってた第3幕のワルキューレの騎行のシーン(お嬢さんたちがほとんど裸の男性にまたがってるやつね)でも、「別に・・・このくらい普通じゃね?」みたいな感じで見てた。ただ、思ったのは、トーキョー・リングの時のワルキューレ役の歌手さんたちも今回同様大変そうだったなあと。他の劇場ではワルキューレさんたちはただ槍と盾持ってあちこち歩き回ってるだけのが多い気がするのになあ。
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最後の炎の場面は、遠目に観るとホントの炎みたいに見えるけど、よく見ると映像なんだよね。うまくできてる。その昔の日本でのトンネル・リングなんて「ホントの炎を使わなきゃやんないもん」ってゲッツくんごねたらしいね。結局舞台横で消防署が待機してたんだっけ。昔話だねえ。
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あー、で、最後にオケ。私は今年素晴らしいワーグナーを聴きすぎた、日本のオケで。春祭のN響、こないだの読響(トリスタン)。ここらへんはもしかしてヨーロッパの普通の歌劇場のオケ(まあ、単体で活動するドレスデンとかウィーン・フィルとかはまた違うかもだけど)よりうまかったかも。私は飯守さんのファンなのであんまり悪く言いたくないんだけど、東フィルさんだってよいときは凄くいいので・・・今回はうーん感がほんの少し。まあ最後の盛り上げは素晴らしかったので、よかったかなと。
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(こないだの二期会トリスタンの時に、幕間でふつうの観客の男の人がオケピ内で準備中のヴァイオリン奏者の一人に「(オケが)本当に素晴らしい音ですね」みたいなことをおっしゃっていて、これまた全然赤の他人の私が横で「うーん、ホントに」ってうなずいてしまったのを思い出す。)
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まあ、上演は全体的にはまれにみる名演で、「これだけの歌手を日本で見られる幸せを是非!」っていう宣伝文句(Twitterで読んだ)には嘘はない。あと3公演あるのでお金のある方、学生さんとか安く行ける環境にある方は是非出かけられることをお勧めします。(私は今回は2度目はもうなし。金ないし。)
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新国立劇場/ワルキューレ(トーキョー・リング2009)
ケンペ/ワルキューレ(コヴェントガーデン1957)
飯守さんの「ワルキューレ」その1(二期会)
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その他、公演と関係ないこと。
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・新国立はポケストップは何個かあった。でもポケモンは一個も出てこなかった。
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・今回はアンケートに答えるともれなくなんかくれるっていうので、答えてみた。何くれるのかなって思ったら(前に避難訓練のときもらった新国立劇場のウエットティッシュかなって思ったけど)、クリアファイルだった。これからの公演名が書いてあるだけのもんで、何てことなかったけど、裏面が座席表になっててこれは便利だなと思った。(舞台写真とかだったら嬉しかったんだが。)
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・幕間に成城石井で購入した柿の葉寿司を食べたんだけど、美味しかったなあ。帰りにもう一個買って帰ろうかと思ったらもう店になかった。2割引きだったけどちゃんとメイドイン奈良だった。あたしってなんでこんなに柿の葉寿司好きなんだろう。

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コメント

歌手は◎でしょう!テオリン、グールド、ツィトちゃんはいろいろな役で観、聴いているし、グリムスレイはこの前の「サロメ」で体験済み。あの声、凄かった・・・。
まあ、飯守さんがどんなに頑張ってもね。ダン君の時もそれなりではありましたが、やっぱりN響や読響のワーグナーは日本のオケでは特別です。
ますます楽日の観劇が楽しみになりました。

投稿: IANIS | 2016年10月 9日 (日曜日) 21時04分

>>IANIS さん

どうもです。
なんか歌手とオケのタイミングが合ってない感じがたま~にありまして、今までそんなことなかったのになあと不思議な感じがしました。
最後の日でしたら、きっともっとまとまった演奏になるでしょう。お楽しみに!

投稿: naoping | 2016年10月10日 (月曜日) 18時06分

師匠。
こんばんは。
8日土曜に行ってきました、日帰り新幹線終電です。
声は現在のレベルでは、最高レベルだと思いました。
オケは仕方ないと思います。金管がそこまで要求できないのでは。2列目真ん中でした。かみさんは1列目左ブロックでしたので変わると聞いたら、端の方がオケの音が良く聞けるとの事でした。

投稿: Mie | 2016年10月21日 (金曜日) 19時59分

>>Mieさん

同じ会場にいらっしゃったのですね。あれだけの声の饗宴は世界でもほとんどないかも。本当に素晴らしい体験でした。

オケは・・・一週間後のバッティストーニの時の東フィルが信じられないほどエキサイトしてたので、何だろうなって思いました。

投稿: naoping | 2016年10月21日 (金曜日) 21時27分

師匠
今日、ウィーン国立歌劇場の「ワルキューレ」観ました。オケのトランペットがいささか乱暴に聴こえ、「新国の東フィル混じってねぇ???」と思わせられましたが、フンディングのアンガーとフリッカのシュスターの迫力の低音、娘らしい演技も上手くなったブリュンヒルデのシュテンメが印象に残る舞台でしたー!

新国、「ワルキューレ」もオケ以外は負けてはいなかったですよー!
そ、それでね、この公演、チケット一枚余っていたのです。公演日が迫っていたからボックスオフィスで安いチケットが手に入らないと知ってガッカリしていた見ず知らずのお爺ちゃんに差し上げてしまったのです。

今、考えれば師匠にもらって頂けば良かったなーと。
池田香織さんヴァージョンのトリスタンのチケットも、急に行けなくなって無駄にしちゃったなー。
評判良かったのに残念・・・こんな時の為に是非、師匠、私のメルアドにご一報を

投稿: えーちゃん | 2016年11月10日 (木曜日) 01時17分

>>えーちゃんさん

まあ。。。過ぎてしまったことなので、お気持ちだけはありがたく頂いておきます。

それにしても。
その見ず知らずのお爺ちゃん、家まで訪ねてきて「あの時助けてもらったお爺ちゃんです。ハタを織らせて下さい」とか言ってきてもいいレベルですよね(なんじゃそりゃ)。

投稿: naoping | 2016年11月12日 (土曜日) 08時51分

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受信: 2016年10月14日 (金曜日) 14時26分

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