ボッティチェリ展(東京都美術館)

昨日、上野のボッティチェリ展へ。金曜日は夜8時までやっているので、東京下町勤務者には有難い。土日にトビカンの人気ハイライト演目に出かける勇気はないし、有給までとって普通の日に行くのもどうかと。いや、それもいいんだけど。
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しかしまあ。定時に上がって地下鉄より上野公園に向うと、いつもながらなんて辺りは暗い・・・。昼間ならひょいひょい歩ける上野公園も、夜になると明かりは少ないのでどこが何かよくわからず。草野球場が見えて文化会館の明かりが見えてやっと・・・トビカンに着くのである。目が悪い上に方向音痴なもので。
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トビカン周辺も暗い。
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しかも。ボッティチェリ展内部も暗い。なんせ500年以上も前に描かれた絵なもんで、光は禁物。保存のためにとにかく場内が暗くて。なんかあたし、鳥目になっちゃったのかと。ビタミンAが足りないのかしら。おかしいわねあんなにニンジン食べてるのに。
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しかし展示は面白かった。昔だなあと。描き方がね、昔なの。人間のフォルムがね。頭の後ろの方、ちょっとへこんでる感。デッサンもちょっとだけ、甘い。しかしこんなに昔なのに、意外と色の保存がいい。青とか退色してない。いい絵具使ってたのかな。さすがメディチ家の庇護を受けているだけあるわね。
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ボッティチェリの描く女の人、独特。すぐわかる。そして独特のポージング。下からぐいっと振りかえる感じ。アレはボッティチェリだなあと。ポスターになってる「聖母子」の赤ちゃんも、まるでボッティチェリの描く独特の美女のように視線がなまめかしい。
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昔の絵なので、木の板に描いてる。だからなんだか真ん中が反ってるのが見受けられる。
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展示は、ボッティチェリのだけじゃなくて、師匠のフィリッポ・リッピの絵と、フィリッポ・リッピの息子のフィリッピーノ・リッピの絵も多く展示。どっちもそれぞれよい。とくに息子リッピの絵はボッティチェリのライバルと言われただけあって、かなりいいし、作風も似ている。ただ、顔の描き方はまた別だな。
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あと、ボッティチェリの工房で描かれた絵もあって、そこらへんは下絵をボッティチェリが描いて、細部は工房の人々が描いたのかな。なので、細部の描写がすんごい。植物とか。一人で描いてるんじゃないもんで、すべてのパートが全力投球で描かれている。
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他にはポッライオーロ?とかいう人の「竜と闘う大天使ミカエル」の絵がかっこよかった。なんか大天使ミカエルとか大天使ガブリエルって名前の響きはかっこいいね、いつも思う。(そんで、こういう宗教画を沢山見ると、マタイ受難曲が聴きたくなってしまう。)
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ボッティチェリの絵はどれも素敵だったけど、とくに「書斎の聖アウグスティヌス」がね、めっちゃかっこいい。ダンディ。宙を見つめて、何かが振ってきそう。展覧会での扱いが地味なのに絵はでかい。しびれるう。
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展示が結構もりだくさんで、もっとゆっくり見たかったのだけど、とても間に合わなかった。1時間半くらいいたんだけど最後のほう駆け足。ちゃんとじっくり見るのであれば2時間は必要。グッズもなかなか素晴らしく、チケットファイルとか缶入りキャンディとか買ってしまった。だめだなああたし(ジークフリート買っちゃったのにい)。しかし、金曜の夜は意外と空いており、普通に見られるのでよいね、おすすめ。展示は4月3日までなのでお急ぎ下さい。西洋美術館でやってる、カラヴァッジョも観たいな。
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画家ご本人も来日。一緒に写真撮らせてくれるよ。紙みたいにうすっぺらい人だった。
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コメント
こんにちは。
私も『ボッティチェリ展』を見てきましたので、興味を持って読ませていただきました。ルネサンスやバロックの事態は、画家の作品と工房作品があり、須古理分りにくいですね。しかし、一本には、傑作と言われる作品のほとんどが画家本人が主体で描いた作品であることがおおいようですす。
ボッティチェリの場合、工房作品と画家本人の作品が比較的分りやすいのではないかと感じました。とにかくボッティチェリの美しい作品が多くみらよかったと思いました。「書物の聖母)」「薔薇園の聖母」「美しきシモネッタの肖像」などはため息が出るほど美しく、「東方三博士の礼拝」、「書斎の聖アウグスティヌス」も始めてみましたが大変魅力ある作品で、とにかくどの作品も美しく感激しました。
回の『ボッティチェリ展』から特に印象に残った作品を厳選し、今までの基礎知識を織り交ぜて少し掘り下げ書いてみました。またボッティチェリの師、フィリッポ・リッピと弟子のフィリッピーノ・リッピの絵画とも狡くしてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたしま
投稿: dezire | 2016年3月13日 (日曜日) 13時14分
>>dezire 様
ボッティチェリよかったですね。どの絵も大変良かったけれど構成もよかったと思いました。時間が足りなくてあとの方速足鑑賞になってしまったのが悔やまれます(学芸員の人に「あと閉館まで30分で~す」とせかされてしまいまして)。感想も薄っぺらいのでお恥ずかしい。←いつもですけど
美術史的なことが音楽史ほど詳しくないので、そちらの詳細なブログは大変お勉強になる気がします(すいません、あとでゆっくり読ませて頂きます)。
展覧会で購入した「聖アウグスティヌス」の絵ハガキを100円ショップの銀縁の額縁に入れて飾っているのですが、金かかってない割になかなかいい感じです。
投稿: naoping | 2016年3月13日 (日曜日) 23時30分
「書斎の聖アウグスティヌス」、私も印象的でした。背景に描かれた幾何学書の文章の中には、ボッティチェリのいたずら書きも見られるとか。展示のキャプションで触れていましたね。
「【小出しシリーズ34】ちなみにこの背景の書物には「マルティーノ修道士はどこだ。彼は逃げた。~~」と読み取れる部分があります。聖堂でこの壁画を描きながら聞こえてきた会話を、遊び心で書いちゃったようです。ボッティさんやっぱりおもろいわ。」(都美術館・ボッティリッチ展→特別WEBサイト(http://botticelli.jp/)「ボッティチェリ展担当者のボッチーなつぶやき Tweets by @Botticelli2016・3月16日」より。)
時計の文字盤も遊び心で描かれたのでしょうか。時刻を表すローマ数字の並び方が不自然でした。特に20時を表す「XX」のローマ数字を描かず24時間時計の様に見せている描き方が面白いですね。何か深い意味でもあるのかなと思ってしまいます。
投稿: uni | 2016年3月30日 (水曜日) 19時42分