« グローバル・フィル 第54回定期演奏会 | トップページ | 高校生のためのオペラ教室「蝶々夫人」 新国立劇場 »

2015年7月11日 (土曜日)

マーラー「復活」 ハーディング/新日本フィル

マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』
指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:ドロテア・レシュマン
メゾ・ソプラノ:クリスティアーネ・ストーティン
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭
(2015年7月10日すみだトリフォニー)
.
金曜の夜の鑑賞。別に会社がヒマなわけではなく、仕事ごっちゃり残して定時。なんかもう、「あああああ」って感じになって。社会保険事務稼業やってる人じゃないとわかんない話題なんだけど、今年わたし、当たっちゃったの、アレに。算定の調査に。「当選おめでとうございます」状態。年金事務所に行かなきゃなんないの。しにたい。
.
ということで、ストレス一杯状態なのをふっとばすべく、急遽すみとりへ。会社から一番近いコンサートホール(ティアラと並んで)。当日券狙いだ。
.
復活、実はマーラーのなかでもあんまり得意でない。中学生の頃あまりに聴きすぎた(若干飽きた)。自分のリアル中二病時代が思い起こされてウッとなる。マーラーこそ至高の天才とか思ってて崇拝してた、なんかヘンな中学生だった自分がイヤ。マーラー聴き始めて「一緒に歌いたい」とか思い始め、思い立って朝のNHKドイツ語講座を聞いてたのはこの頃。いや年齢的にホントはドイツ語じゃなくてまず英語じゃね?
.
まあお陰でドイツ語は読めるようになった(意味はさほどわからん)。これはホントにドイツ音楽クラヲタには有難い。後年、海外旅行に行った時にも役に立った。読めるってだけで違うもんね。
.
・・・というわけで、復活。実演で聴くの3回目くらい。こりゃ少ない。なんかもう、イメージがね。ゴジラとか出てきそうな(暴力的な)音楽。もう色々破壊しそう。東京タワーだけでなく、近隣のスカイツリーまでも。そして仰々しい幕切れ。何この感動巨編。進撃の巨人か?
,
というイメージで臨んだのだけど、今回はイメージを覆された。何と言うか、ハーディング・マジック? 何と繊細で美しい音楽なのだろう。まあ、ダイナミックな所はダイナミックなのだけれど、第1楽章でも静かな部分はしっとりと歌われていて、美味しい紅茶をゆっくりと味わっているような感じ(なんじゃそりゃ)。さすが英国人。恐ろしいほどの集中力で突き進む、指揮者とオケ。
.
もしかして、これは希代の名演になるんじゃね?と思ったけれど。第2楽章で見事にそれは覆され。ああああ。どうしたの新日本。
.
合唱団は最初から舞台に入ってたのだけど、独唱者は途中から入場。お馴染み「原光」。ふかぶかとした歌声に慣れてしまっているので、どうも今回そんなでもない。ハイティンクのお気にだというが、そうなのか。うまいことはうまいのだが。私は少し違った。しかし突然、下町に流れてきたヨーロッパの空気。よおろっぱの歌手はやはり一味違う。
.
終楽章。なんかあっと言う間だ。ついつい気になるのは舞台裏のバンダの皆さん。上野のパンダじゃないぜ。どんなふうに聴こえるのだろう。
.
実は今回、2階席の後ろのほうだったので、音が全体的にとてもブレンドされていて、バンダの聞こえ方がほぼ完ぺきで・・・ああ多分マーラーの頭の中ではこんな風に聴こえてたんじゃないかな?って思うほど。
.
感動。
.
舞台上の集中力も凄いのだけど、観客の集中力も凄くて。ピアニッシモでも微塵も緊張感が切れることはない。凄い演奏になるという期待と緊張感が凄くて・・・なんか既に私ちょっと泣いてましたわ。
.
更に。
.
栗友会の合唱が静かに、誠に静かに入ってくる瞬間。こんなに弱音で入ってくるものなのか。その声は、目の前にいるアジア顔の人々の集団ではなく・・・私はいつの間にかヨーロッパの教会にいた。クノップフのデッサンのような壮大でち密な。重厚な男声合唱に、女声が入ってくると、まるで天使の集団が雲の切れ間から漂いながら降りてくるような・・・・
.
と、思ったけど、ソプラノ独唱で現実に引き戻された。少し、私の考えてるイメージと違ったなここは。天使の集団の中からだんだんと姿を表すような感じで出てきてほしいんだよね。ソプラノ、ちょっと最初から強すぎた。ここ残念、個人的に。
.
それにしても、合唱のうまさはすごい。私、涙ちょちょぎれましたわ。さすが(私の思う)日本3大合唱団の一つ。合唱だけでも聴きに行って良かったって思うほど。そんだけではないけどね。
.
素晴らしい演奏が終わったあと、普通この曲は間髪入れずブラボーの声がするもんだけど、「いや待て、ここは指揮者が腕をおろしてからよ!」という聴衆の空気を読んで、一瞬の沈黙。この日もいい聴衆であった。
.
ハーディングは凄すぎる。まだ39歳というが、この統率力ははんぱない。オケとの相性はいいのだろう。震災の時のマーラー5番を思い出した(テレビで見ただけだが)。彼の指揮には確固たる何か信念のようなものを感じる。言葉では言い表せないが。
.
土曜日(これ書いてる今日)も演奏するようだが、2回目なのでオケも慣れてもっといい演奏になるんじゃないかな。いやホント素晴らしい演奏会でした。毎度ながら叩いているネット反応もあったけど・・・・私は行ってよかったです。
.
1436558321450

|

« グローバル・フィル 第54回定期演奏会 | トップページ | 高校生のためのオペラ教室「蝶々夫人」 新国立劇場 »

コメント

はじめまして
私も金曜日の復活を聞きに行っていました。感想は、あなた様とほぼ同じで、第一楽章が素晴らしかったのですが、第二楽章では”おいおい、大丈夫か?”それでも、第二楽章が舞曲であることを改めて思い起こさせる解釈で、私には新鮮でした。
第4楽章、第5楽章は独唱、合唱、バンダともに素晴らしかったです。コーダの部分では、思わず涙が流れました。
細かなアンサンブルの乱れなんかはありましたが、そんなことはどうでもよい、感動的な演奏会だったと思いました。

投稿: tori | 2015年7月11日 (土曜日) 19時14分

>>toriさん

はじめまして コメントありがとうございます。
復活よかったですね。この曲がこんなにいい曲だったなんて、かなりイメージが変わりました。ネットによると土曜日はもっと名演だったそうですが、金曜日も(若干スリリングでしたが)よかったと思います。

ハーディング、前から知ってましたけどこんなにいい指揮者になってたなんて。名門パリ管のシェフになるそうですが、ますます楽しみです。

投稿: naoping | 2015年7月12日 (日曜日) 07時02分

10日の演奏を聴いてました(翌日はノットと東響のオペラシティがあったもので)。
「復活」、苦手な曲なのですが、ハーディングが次のシーズン第8を振るというので、その予行演習も兼ね、聴いてみることにしました。レシュマンがソプラノ歌っているし・・・。
いやはや、ピアニッモの集中力が半端でないのにびっくり。それがそのまま音楽の内面と一致しているところが凄い。この弱音があるから、轟くフォルティッシモが意味を持ってくると、改めて思い知らされました。バンダ、ホルンは3階舞台に向かって左隅。打楽器が賑やかに鳴る部分は楽屋側、もう一度バンダでのトランペットはホルンと一緒の場所でした(僕は3階でしたので)。トランペットの移動は大変でしたでしょうが。
振っているダニエルの姿が、音楽の全てを表現していたよう。どこかアバドを思わせる指揮姿に胸が・・・。
合唱も良し(naopingさんの後の二つって、新国と晋友会?)。ストーティンは、ラーションのような声質ではないので、合わないのでは?と思っていたけれど、やっぱそう。でも真摯に歌ってくれてありがとう。レシュマンのソプラノ、僕の聴いた席では、テキストにのめりこんで、むしろ感動的に聴こえました。

終わってみれば、この曲を見直す感動に圧倒。ハーディングがベルリン・フィルのシェフ候補(キリル・ペトレンコに決定しましたが)に挙げられたのも頷ける指揮に、次の第8のため、マイプランの購入、真剣に考えてます。

投稿: IANIS | 2015年7月12日 (日曜日) 23時13分

>>JANISさん

おお、同じ日に鑑賞されたのですね。素晴らしい演奏会でした。わたし的には今年上半期のベスト1か2くらい(争ってるのはコルボのヨハネ)

復活が大好きな人もいれば、私とかみたいにちょっと苦手な人もいる。そんな人でもかなり印象が変わる演奏だったと思います。今まで聞いていたのがただただダイナミックに攻めてるだけの演奏だったのかも?

こうなるとハーディングの千人、どんなか聞いてみたくなりますね。券が取れるなら行きたいけど、こんなに大評判になっちゃったら券取れないかも・・・心配です。伝説のヤッシャ・ホーレンシュタインin RAH を超えるかも?

ハーディング、パリ管も凄いけどもしかしてBPOのシェフになってたらなあって思いました。候補にはなってたんですね。もし「復活」がBPOだったら・・・ってちょっと想像して聞いていました。

ちなみに私の日本三大合唱団は 栗友会、新国、東京オペラシンガースです。晋友会も昔はうまいなって思ったのですけど、あんまり最近聞く機会がないです。

それにしても、先週末は泣きっぱなしでしたわ。そもそもあんまり涙もろくないんだけど、「復活」、翌日の「蝶々夫人」、夜に見た「ど根性ガエル」と。

投稿: naoping | 2015年7月13日 (月曜日) 23時20分

naoping様、遅まきながらのコメントで失礼します。
中学生の時からのマーラーファンとは筋金入りで恐れ入ります。自分が中学生の時、まわりにマーラーを聴いてる中学生なんて(私も含め)皆無でした。

ハーディングの「復活」良かったようですね。ハーディングは2012年ザルツブルクの「ナクソス島のアリアドネ」を映像で聴いてイイネ!と思いました。

アバドとベルリンフィル(来日)で「復活」聴いたのはもう20年近く前になりますが、今でも最後のメゾが静かに入ってくるところは(本当に身体に「入って来る」ような感じ)思い返してもゾクッとします。その瞬間、目の前に(見えないけれど)音符がふわっと空気の中に現れ出たかのような体験でした。マリアンナ・タラソワと言う名前でした。合唱はスウェーデン放送合唱団でこれもまた最高でした。久々にnaopingさんのブログにお邪魔したら「復活」のご感想が書かれてましたので、(遅まきながら)思わずコメントしてしまいました。すみません。

投稿: grunerwald | 2015年7月26日 (日曜日) 21時29分

>>grunerwaldさん

中学・・・というか本当は小学6年生の頃なのです、マーラーとの出会いは(8番で)。結果的に・・・大人になってもこんなへんな人になってしまいました。中学の頃は私の周りにももちろんこんなヘンな人はいませんでしたし、今もこんな人はいません。ネットがあってよかったです。

アバト、ベルリン・フィルでナマ復活なんてホントに羨ましい(スウェーデン放送合唱団も)。正直今回の演奏も「BPOなみの演奏力のオケで聴いたらトンでもない大名演になるかも」などと演奏中に思ったくらいです。このところ、世界一クラスのオケの生も聴かないとなーと思いつつ、なかなか思ったときには機会には恵まれないものですね。

投稿: naoping | 2015年8月 1日 (土曜日) 15時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/108585/60697804

この記事へのトラックバック一覧です: マーラー「復活」 ハーディング/新日本フィル:

« グローバル・フィル 第54回定期演奏会 | トップページ | 高校生のためのオペラ教室「蝶々夫人」 新国立劇場 »