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2015年7月12日 (日曜日)

高校生のためのオペラ教室「蝶々夫人」 新国立劇場

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プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」(全曲)
蝶々さん:腰越満美
ピンカートン:樋口達哉
シャープレス:大沼徹
スズキ:小林由佳
ゴロー:糸賀修平
ボンゾ:畠山茂
ヤマドリ:小林由樹
新国立劇場合唱団
石坂宏指揮/東京フィルハーモニー交響楽団
(2015年7月11日 オペラパレス)
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前々から羨ましく思ってた「蝶々夫人」。高校生ならば2160円で「蝶々夫人」全幕が見られる。まあ、どちらかと言えば学校行事で授業の一環として生徒に見せるというのが圧倒的に多いのだろう。あとはママとお付き合いで行くとかね。
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これ、当日まで券が余ってればあたしたちのような普通のオペラ・ゴーアーでも観ることは可能。ただし4320円。それでもまあ、オペラパレスでオペラまるまる一曲見られるとしたらちょっとお得であろう。ただし、素晴らしくいい席はすでに高校生の団体に買われているので、そこは覚悟しないと。
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私の行った土曜日は、当然午後の授業って高校はないはずなので、他の普通の日と比べて全部は売れなかったようだ。400枚ほど余っているとのことだったので、朝予約しようと電話をかけたけど、繋がらない。めんどうくさいので直接行くことに。でも、ボックスオフィスに行った時点ではもう3階と4階席しかなかった。
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そんなもんで3階席をゲット。なんかお得なのかそんなに普通に二期会に行くのと変わらないのか不明なのだが(今度やる日本人キャストの魔笛D席よりは高い)。3階とはいえ、横っちょのせり出したところの二番目だったので鑑賞には不自由はない。声はほんの少しS席相当よりは聞きづらいかも。
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はて。行ってみるともう、初台はプリーツミニスカートのJKと灰色のワイシャツ制服姿の男子高校生で溢れており。意外と「カワイイなあ、もう!」とは思えない。凄いアウェイ感。普通の日にディズニーランドに行ったら高校の遠足とぶち当たったような、ヘンな感じ。
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そもそも高校生が「蝶々夫人」とか普通に楽しめるのかがかなり疑問。ふとTwitterを見ると、これから見にいくという女の子が「ちょ~~wwwこれから見に行くっているのにチラシに結末書いてある~~~超ネタバレ!!」的なことを書いていたので、「オペラって結末わかってて観に行くものだよね、そもそも」とへんな感心。
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会場に入ってもなんだか場内は騒然としており。場内アナウンスも聴こえないくらい。「これからオケがチューニングしますのでお静かに」というアナウンスでやっと引率教師が黙らせて少し静かに。指揮者が出てきて男子学生たちは「ヒューヒュー」とか言いだして、ここはロックコンサート会場かと。
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まあ、演奏中はだれも騒ぐことなく(ここらへんは普通のオペラ上演よりむしろ静かな気がした。大部分は寝てたんじゃないかな)大変有意義に楽しむことができた。
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休憩は25分。化粧室に行こうとすると、男子が何やら騒いでた。「解説を下さ~~~~い!解説を!!」
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おお。予習なしで連れてこられたのか。学校も不親切ですこと。何か事前に解説をするとでも思ったのか学校は。普通は解説とかないもんね。あらすじは解説書を読めってことよね。
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また、別の男子(同じ男子かも?)は「休み時間25分なんてオレそんなに長い休憩いらね~し、はやくやって(終わらせて?)ほしいんですけどおおお」と意見。するとおともだちの男子が「いや、そもそも休憩ってオレらのためじゃないんじゃね?やってる人の休憩じゃね?」と回答。あたしもそれを聞いて「あっそうだよね、考えてみると」と感心。
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で。
セットはいつも新国でやられているのと同じやつらしく、やや簡素な感じ。演出は普通。まあそもそもあんまり読み替えとかしないだろうが。
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キャストはダブルキャストで、別キャストは蝶々さんは横山さんでピンカートンは村上さん。シャープレス須藤さんとスズキの山下さんとかなり豪華キャストで「こっち観たいなあ」とも思うけど、これは仕方ない。
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ただ、私の観たほうの蝶々さんの腰越さんはとってもかわいかったし(15歳っつーのは無理だが)、歌もかなり頑張ってたので全然よかった。「ああ、ここまで信じ切っちゃって、まだ捨てられたってのがわかんないのか」とか本気で思ってしまった。大変失礼ながら横山さんの蝶々さんだったら(声楽的に立派すぎて)ここまで感情移入できなかったかも。樋口さんのピンカートンも素敵だったけど、小柄でアメリカ人には見えないのが難だな。

(頂いた解説書には「オペラは声がすべてよ。見た目いっさい関係なし!」的なことが書いてあって「なるほど」とは思ったけど、今やオペラはビジュアルも大事なんだよね。)

手慣れているせいか演奏水準はすごく高く、合唱がやっぱり限りなく美しく(蝶々さんの登場シーンなんかね、もうね)、普通に楽しめたし、通常通り泣けた。みな芸達者だ。
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終わってからの高校生の反応を観察してみたものの、みんな別に普通の日常会話に終始しており(結構寝てた人が多かったような、Twitterだと)、楽しんでたかどうかは不明。「またオペラを観たい」との答えが95%という、昨年のアンケート結果はホントなんだろうか。疑問。
ま、みんなこれから渋谷や新宿に遊びに行くんだろうな、とはオモタ。

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コメント

いつも楽しく読ませて頂いております。
私もナオピンさんみたいな面白い文章が書けるようになりたいです。目標にしています。
チョーチョー夫人は好きなオペラなんですがタイトルロールが実演でも録画でもどんなに歌がうまくてもビジュアル的に失望の連続なんで避けるようになりました。
今は音のみの録音でしか聴かなくなりました。
こういう感覚って女性の方にもあるんですかね。

投稿: ルコナン | 2015年7月14日 (火曜日) 00時57分

不肖私メもnaopingさんの良い具合に力の抜けた文章を目標に日々切磋琢磨している次第でありますっ!(←ならまず力抜け)。
最近は全国的に学校で「芸術鑑賞」ってあるんですかね。
ウチは四国ですが、娘たちも市民会館でオーケストラ聴いたって言ってました。
しかし東京は・・・「オペラ」なんですね! 
それも全幕、スゲーなあ。
字幕は出たんですか?

投稿: 木曽のあばら屋 | 2015年7月14日 (火曜日) 18時07分

>>ルコナンさん

ぜんぜん大したことないブログですが、読んで頂いてありがとうございます。

まあ、オペラ歌手のビジュアルが大事というのは思いは半々でして、歌が素晴らしい歌手を聞くと、やっぱり声が大事だな~と思ったり(横山女史はトゥーランドットやブリュンヒルデはそれはカッコイイ名演でしたし)、私は気分屋です。

それはそうと、タイにお住まいなのですか。タイと言えばバンコク・オペラなんですけど、最近は上演してないのでしょうかね。リング面白そうなのに。

投稿: naoping | 2015年7月16日 (木曜日) 22時18分

>>木曽さん

力が抜けた・・・というより間の抜けた文章を目標としております。

私の中学の頃、オーケストラの鑑賞教室がありました。グリーグのピアノ協奏曲の冒頭で何故か大爆笑が起こり、それ以降この曲はトラウマとなっております。私の高校の頃、国立劇場の歌舞伎教室はありましたが、新国立はなかったのでオペラ鑑賞教室はありませんでした。羨ましい。でも、もし私が高校生の時に「蝶々夫人」観ても(その頃はクライバーの「トリスタン」に狂ってたし)半分バカにしたかもしんないです。

字幕はもちろん出ましたが、事前の解説全くなしでした。高校生が解説書読むと思う??

投稿: naoping | 2015年7月16日 (木曜日) 22時31分

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