« LFJ2015 ブラームス/ピアノ五重奏曲 | トップページ | LFJ2015  レミ・ジュニエ/バッハ ピアノ協奏曲第5番 他 »

2015年5月 5日 (火曜日)

LFJ2015 コルボ バッハ/ヨハネ受難曲

バッハ:ヨハネ受難曲BWV245
ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
ミシェル・コルボ (指揮)
(2015年5月3日 ホールA)
.
.
.
なお、プログラムに独唱者の表記がなかったので、ローザンヌ・アンサンブルのサイトより引用。
.
Dimanche 3 mai 2015, 20h30, Hall A
Bach, Johannes-Passion BWV 245
Marie Jaermann, soprano
Jean-Michel Fumas, contre-ténor
Tilman Lichdi, Evangéliste, arias, ténor
Farbice Hayoz, le Christ, baryton
Manuel Rebelo, Pilate, arias, baryton
Ensemble Vocal Instrumental Lausanne
Direction Michel Corboz
.
今年も逝ってきた、コルボ先生の宗教曲シリーズ。私はもう3年目か。今年もめでたく成仏してきた。王子のマタイは券取れず、裏番組のペルトに大いに後ろ髪を引かれたりしたものの、結果的には大満足な公演であった。
.
前日、あの素晴らしいブラームスのピアノ五重奏で舟こいでしまったので大いに反省。夜8時半の演奏会に備えて、昼間はNHKFMの放送で我慢し(でも、アイーダ見たかったなあ・・・)、夜だけ出撃した。お陰であの大曲でもまったく眠くならず。
.
それにしても。マタイじゃなくてヨハネであれだけの人が集まって、みんな対訳まで買って(あたしも買った。持ってるCD対訳ついてなくて)、必死に追いながら聴いている様は、どこの宗教団体かと。いや、キリスト教か。
.
まあ、よくわかんないで聴きに来た若者も多いと思われ。ちょっと前勉強してきたオナゴたちの会話を耳にした。「キリストがユダに騙されて・・・どーのこーの」「え、じゃこのエヴァンゲリストってのは何なの?」「え・・・預言者?かな?」 少し違うかな。でも努力は買う。
あたしもあまりよくわからんで臨んだ。人生初ヨハネだ。でもマタイだって2回しか生聴いてないし。
.
本日は一階席前から16番目で鑑賞。なかなかよく見える~と喜んでたら、開演直前に前の席にでっかい頭の男の人登場。エヴァンゲリススト様殆ど見えず。スクリーンで鑑賞。
.
それにしてもまあ、よくコルボ先生はいらっさったものだ。もう80歳超えてるときく。歩みはさすがによろよろと少し足を引きずってたものの、指揮を始めたらそんなの全然忘れちゃうくらい。椅子は用意されていて座ってらしたけど、気分が乗ってくると?立ちあがって指揮。すげえ。
.
いつもながら、合唱のうまさ、まとまりには舌をまく。いつもは少年合唱の録音を好んで聴いているので、大人だと耳ががっかりしてしまうこともあるのだけど、この合唱団はがっかりしない。人数少ないのも一人ひとりが実力のある歌手の集まりだからなんだろう。
.
毎年の事ながらなんて美しい。
.
独唱者はどの人も魅力的。エヴァンゲリストのテノールの人の美声は奇跡的。ヘフリガーを超えるエヴァンゲリストはいない!(ごめん、ヘフリガーのしか知らないんだけど)と思ってたけど、声の美しさ、表現の多様さにおいて遜色ないと思う。もうそこでキリストの受難を見ているような。
,
(モーツァルト歌ってるのを貼っとく)
.
カウンター・テナーの人もびっくりするくらい綺麗な声だった。外見は往年のアンドレアス・ショルみたいな?感じでよかった。ツイッターを色々漁ってると、「どう見ても男なのに!声は女!びっくり」みたいなのが多くて面白かった。米良さんだって日本にいるのにね。
.
ソプラノの人も可憐な美声でよかった。外見も美しかった(関係ないんだけど)。好きな声だ。モーツァルトのオペラアリアとか色々聴きたい。
.
ヴィオラ・ダ・ガンバ弾いてるおねいちゃんも綺麗だった。ソロ素敵だった。
.
耳で聴くもの、目に入るものすべてが美しくて、日本でしかも劣悪Aホールで聴いていることなどすっかり忘れ、心はヨーロッパのカテドラルだった。なんかドラえもんかなんかが道具を使って、ヨーロッパで行っていることをそのまんま切り取って持ってきてくれたみたいな奇跡。まあ、本当はマタイを聴きたかった(コルボさんの指揮で)けれど、ヨハネも十分美しい奇跡の傑作であると思った。
.
演奏終了後は当然大拍手で。スタンディングオベーションもちらほら。オケや合唱団がはけたあとも拍手は鳴りやまず。最後はコルボさんがちょこんと出てきて拍手にこたえ、終了。いやほんとお疲れ様でした。来年もお元気で来て頂けるよう、心の底からお祈りしております。
.
今回、コルボさんはバッハどうも連れてきてるみたいだったんだけど(パンフレットに書いてあった)、バッハの他にキリストの弟子が2~3人来てるかな?みたいな演奏だった。

icon icon
(もしCDを入手されるのであれば、塔で限定盤ですがかなり安価で売っているので、そちらで購入したほうがいいかと。蛇足ですが。2015.5.6)

|

« LFJ2015 ブラームス/ピアノ五重奏曲 | トップページ | LFJ2015  レミ・ジュニエ/バッハ ピアノ協奏曲第5番 他 »

コメント

マタイの終曲「われら涙流しつつひざまづき」は壮大な締めくくり。重い気分で席を立つことになるのに対して、ヨハネの終曲コラールはあっけなく終わり、すがすがしい幕切れというのはちょっと変ですが、まだちょっとお茶でもして帰るか気分もなるかという。
ずいぶん前になりますが、来日したゲヴァントハウス管弦楽団(ハンス・ヨアヒム・ロッチュ指揮)の演奏では一語一語言葉を噛みしめるような歌い方。匕首を胸元に突きつけるようなといってはまた変ですが、「おまえはどうか」と迫っているような印象を受けました。聴いているクリスチャンに対して信仰のありかを問いただしているような気がしないでもなかった(もちろん歌詞はそんなものではないですが)。そんな凄みのある演奏だったような気がして、それを思い出すと私にとってはやはり重い終曲です。

投稿: uma- | 2015年5月 5日 (火曜日) 18時20分

>>uma-さん

たしかに、ヨハネの終曲は結構あっさりしていますね。キリストが亡くなる時の音楽は長調だった・・・ような。マタイのドラマティックさに慣れていると、ヨハネは若干違和感があります。

塔で、(LFJ会場で買えなかった)コルボのヨハネとマタイを一挙購入しましたが、マタイは愛聴していたマウエルスベルガー&ゲヴァンドハウスよりすっきりさっぱり風味でお茶漬けさらさらな感じです。スイスとドイツの違いかな?

投稿: naoping | 2015年5月 6日 (水曜日) 11時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: LFJ2015 コルボ バッハ/ヨハネ受難曲:

« LFJ2015 ブラームス/ピアノ五重奏曲 | トップページ | LFJ2015  レミ・ジュニエ/バッハ ピアノ協奏曲第5番 他 »