F・コンヴィチュニーのリング①
ワーグナー:『ニーベルングの指環』全曲より
・序夜『ラインの黄金』 (1959年9月18日)
ハンス・ホッター(ヴォータン)
リヒャルト・ホルム(ローゲ)
マルガ・ヘフゲン(エルダ)
オタカール・クラウス(アルベリヒ)
クルト・ベーメ(ファゾルト)
マイケル・ランドン(ファフナー)、他
・第1夜『ワルキューレ』 (1959年9月23日)
ラモン・ヴィナイ(ジークムント)
エイミー・シュアード(ジークリンデ)
アストリッド・ヴァルナイ(ブリュンヒルデ)
ハンス・ホッター(ヴォータン)
クルト・ベーメ(フンディング)、他
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
フランツ・コンヴィチュニー(指揮)
今日は何故かウチのマンションが外壁工事中で工事の男の人がたくさんいて外に出るのがおっくう。困るなあ、休日の工事はやめてよ大家さん。洗濯物が外に干せないじゃない。
ジークフリートの鍛冶屋さんばりに金属音がバッタンバッタンうるさいしさあ。
だもんで、本日は最近不足気味のリングを鑑賞。もちろんヘッドフォン。
えーとコンヴィチュニーといっても最近大活躍の演出家ペーターじゃなくておやっさんの方である。
これは昨日のチョコレートショッピングの帰りに購入。買う予定は全くなかったものの、ホッター・ヴァルナイ・ヴィントガッセンを揃えた超豪華キャストに惹かれて。4000円代と安かったし。しかし、買う前にレビューを見てたらきっとこれ買ってない。
なんでもものすごく音が悪いのだそうで。
・・・とはいうものの、中学の頃から(中二病こじらせて)フルトヴェングラーやフラグスタートのヒストリカル録音を聴いていたあたしなもんで、さほど心配はなく。だいたい大丈夫だ。
ただ、「ラインの黄金」は正直「そんなに言うほど悪くないじゃん」と思った。普通の昔のモノラルのレベル。そりゃまー、同じくらいの時代のカイルベルトと比べればアレだけど、全然聴けるレベル。
そしておやじコンヴィチュニーの指揮は素晴らしい。イナカドイツ的なやややぼったい指揮を想像していたけれど、そんな恐れるほどでもなかった。コンヴィチュニーで聴くとイギリスのオケとは思えないほどドイツ音楽的要素が濃い。コヴェントガーデンのリングというとケンペを思いだすけど(1957年)、あれとはずいぶん印象が違う。コンヴィチュニーの指揮はケンペほどスマートではないし、テンポを激しく変えたりしないのでどっしりした印象。でも遅すぎてダレることはない。どちらもそれぞれいいと思う。
ということで、「ラインの黄金」はかなり調子よく聴いていたものの、最後になってアララ。音が突然フェイドアウト。どゆこと。
「ワルキューレ」になると音がやっぱり悪いなあと感じ。雑音も多い。レコード盤でよくある隣の溝の音を拾っちゃってるみたいな声がひっきりなし。ただ、あとのほうはこれはなくなる。音のことではないけど、唐突なカットがあちこちに聴かれてびっくりする。CD飛んだのかと。
しかし、聴いているうちに何でも慣れてくるもので、(やっぱりリング好きだもんで)普通にあっというまに聴けてしまう。ホッターはやっぱりいいなって思うし、ヴァルナイもいつものように素晴らしい。ただ、ほんのちょっとクラウス盤のほうが調子がいいかも。ヴィナイはブリュンヒルデの死の宣告あたりから歌詞間違えたり、入りが遅れたり激しくミスりまくるが、これもライブならでは。フリッカ役のウルスラ・ベーゼは安定しているものの、強烈さがなくてちょっと残念。ジークリンデ役のシュアードは聴いたことない歌手だけど悪くない。
コヴェントガーデンでのライブだもんで、ケンペ盤とキャストは被っているけど、最大の特徴としてはまずブリュンヒルデ役が違う。ケンペ盤ニルソンとヴァルナイの実力の違いは明らか。二人は同い年だけど舞台デビューはヴァルナイのほうが全然早かったもんで。ヴァルナイはずいぶん早くからブリュンヒルデを歌ってたけど、ニルソンはその頃は実家の農場で畑仕事してたはずなんで。まあ、ケンペ盤のニルソンの初々しさもなかなかいいんだけどね。
まあ、とにかくコレを生で見聞きしてたら一生の宝物になりそうな、素晴らしい演奏と歌唱である。・・・音は悪いけど。いや、そもそもケンペ盤だって音はよくないけどね。
| 固定リンク
コメント