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2014年6月22日 (日曜日)

新国立劇場/鹿鳴館

140621_134301池辺 晋一郎;歌劇「鹿鳴館」(全4幕)

【影山悠敏伯爵】黒田 博
【同夫人 朝子】大倉 由紀枝
【大徳寺侯爵夫人 季子】手嶋 眞佐子
【その娘 顕子】高橋 薫子
【清原永之輔】星野 淳
【その息子 久雄】鈴木 准
【女中頭 草乃】山下 牧子
【宮村陸軍大将夫人 則子】鵜木 絵里
【坂崎男爵夫人 定子】池田 香織
【飛田天骨】早坂 直家

【原作】三島 由紀夫
【指揮】飯森 範親
【上演台本・演出】鵜山 仁

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

(6月21日 新国立劇場・中劇場)

昨日行ってきました。連日のW杯観戦と残業の日々でかなり眠い。寝ちゃったらどうしようと心配。しかもちょっといつもより到着が遅くて、楽しみにしてたサブウェイのサンドイッチが食べられず残念。

中劇場久しぶり。大劇場の大きさに慣れているのでちょっと「アレレ?」感。券は完売・・・でもなかったようで、一階前方で空席がちらほら。戻りの券の残っちゃった分か。もったいないねえ。私は2階の一番前中央で視界を遮るものは0で誠に良好。一階席の前のほうだったらもしかしたらオケが聴こえ過ぎてキツイかもなあと思ったけど、2階は音もちょうどよくブレンドされてたし、歌手の声もよく聴こえた。指揮者の飯森さんの髪の毛のキューティクルも相変わらず整っていて綺麗だ。

さて、人生初かも?生日本産オペラ。Jポップ等の日本語の音楽が若干苦手なので少し危惧してたものの、違和感は最初だけだった(だって普段ドイツ語か英語かイタリア語ばっかだもん)。予習なし。原作読もうと思ったんだけど、大手町のくま書にはおいてなかったの。だもんで「明治時代の夫婦の愛憎劇」っていうざっくりぼんやりしたイメージで。

今回はオペラっていうよりも、普通に演劇を初めて見る感じで楽しめた。内容をよく知らんもんで、二幕目の最後の最後で女中頭の草乃が、影山の色仕掛けに負けて奥様を裏切ったとこなんて「あああ?」って言っちゃうくらい驚いたわ。ああいった(女性の着物に手をつっこむ等)所作は、日本の着物だと西洋のドレスなんかよりよっぽどエロティックなもんだな(まあ、女の昔の着物ってそういう為にできてるんだろうけど。合わせとか脇の下とか。)。

で、この草乃の役がこないだの「死の都」のブリギッタ歌ってた山下牧子さんで。あんな控えめな女中を演じてたのに(しかもかなり感銘を受けたのに)、「こんなにあっさりと裏切るんだ~~~ブリギッタ(泣)」っていうショックははんぱなかった。これが三島ワールドなのか。あの女中役はキーマンなのね。

音楽的には・・・池辺先生の音楽はかなりわかりやすいもので、西洋音楽でありつつもやっぱりジャパニーズな感じ。大河ドラマのようだ。しかし、舞台裏からバンダのダンス音楽が聴こえるところは、どうしてもこないだ観た「ヴォツェック」を思い出してしまい、頭の中にマリーがダンスしながら歌う「Immer zu! Immer zu! 」が流れてしまう。誰も言わないけど、やっぱりベルクには影響を受けてるのかもしれない。近現代オペラは大体ベルクの影響を受けていると思われ(ブリテンしかり)。

演出的には、顕子が久雄とのなれそめを語るところのサーカス団的なダンサーの集団がたいへん幻想的で美しく、あの時代の日本のやや西洋かぶれっぽい(雑誌「コドモノクニ」的な)ところがよかった。

後半でたくさん出てくるひょっとこダンスには少し閉口したけど・・・。なんじゃあれ。

歌手。このところ大活躍の鈴木准さんがまた登場。本当は今日出ないはずだったんだけど、本来のキャストが健康上の理由で出られず結局4日間全部歌われるようだ。こないだのびわ湖ではパウルだったんだけど、その時は「うーん、頑張っているけど声的にこの役にはキツイなあ」という感じだったもので、今回は声楽的に合った役だったなあと。英国テノール的なリリックな声が素敵。外見も少し三島好み?のシスターボーイぶりが役に合っている。

一番ブラボーが多かったのは高橋薫子さん。清澄な声が大好きな歌手さんだが、チャーミングな立ち振る舞いと美声で聴衆を魅了。ダブルキャストの幸田さんも好きなんで、どちらも観たいとこだが。

かなり前から日本のオペラ舞台で活躍の大倉さんは、昨日の舞台でも素晴らしかった。着物の所作も大変美しく、声も(いかにも日本的なプリマドンナ的な感じで)とても耳馴染みがよくてよかった。なんか懐かしいなあって思うのは何故。もう片方のキャストも腰越さんも(写真で見る限り)美しい方で観たかったな。

しかしまあ。徹底的に悪者である影山伯爵役の黒田さんの声の素晴らしさったら。なんかもう、ワーグナーの悪役(テルラムントとかクリングゾルとか)とかヴェルディの悪役(イヤーゴとか?)とかを彷彿とさせる迫力と声量で。結局は悪役が一番カッコイイ!!って思っちゃう。

それにしてもひどい結末だなあ。最後の銃声はきっと清原が殺されちゃったってことでしょう?かわいそうな朝子。昔の日本は男尊女卑。いくら文明開化と言っても所詮女は弱いもの、というなんという理不尽なバッドエンド。そこらへんがイタリア・オペラとは違うとこだねえ。

というわけで、かなり大盛況だった公演は日曜日で終わり。次はいつやるんだろう。オペラ・ファンだけでなく演劇ファンにおすすめ。おもしろい!です。

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おそらく今シーズンはこれで新国立に行くことはないため、オペラシティで狙ってたバッグを購入。なんかさみしいなあ。10月までオペラ観ないのか~。セット券買うと毎月何かしらイベントがあって嬉しいんだけど、来シーズンは飯守ワーグナーしか観たいものがないのでセット券はパスした。今シーズンのような「ついでだからこれも観ちゃおうか」的なものもなく。安くだったらモーツァルトとか観てみたいので、Z席の抽選に応募してみようかなあ。

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コメント

こんにちは。
お近くだったのですね。僕は舞台を左側でみる場所でした。
ほんと、ベルクに似てました。それと、バンダや舞踏会の楽団が舞台裏から聴こえるなんて、僕はベルント・アロイス・ツィンマーマンの「軍人たち」を連想。
リブレットは三島の戯曲の言葉そのままだったんだけど、かなり端折っていた(主要な場面では手を付けていない)けれど、ストーリー自体はオペラにちょうどいい分量でした。僕は大倉さんと黒田氏の「仮面夫婦」のコンビの歌と演技(高橋薫子さんもよかったけれど)に、関心させられましたよ。
ただ、三島の言葉にセンセーの音楽がのっていないと思わせられ・・・。それでいて、ピットが雄弁なものだから、バランスが悪かったな、と思いました。日本オペラだと、松村氏の「沈黙」のほうがよほど面白いし、日本語と音楽のかい離が少ないと思います。
来期は「沈黙」があります。ぜひご覧あれ。

投稿: IANIS | 2014年6月22日 (日曜日) 12時16分

>>JANISさん

こんばんは。
どうも JANISさんとは同じホリデイセット?だったようですね。席も近かったようです。
私は「軍人たち」の記憶がないので、こちらはなんとも言えませんけど、ベルクには似てますよね。「ヴォツェック」っぽくもあり、「ルル」っぽくもある。まあ好きなんでいいですけどね。
「沈黙」はよいのですか。こちらは遠藤周作ですね。うーん、まだずいぶん先の話なのでよくわかりません。こっちも売り切れてしまうかしら。頭に入れておきましょう。

投稿: naoping | 2014年6月22日 (日曜日) 22時28分

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