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2013年4月20日 (土曜日)

ヴァイグレのリング(DVD)/ラインの黄金

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ワーグナー:『ニーベルングの指環』
序夜『ラインの黄金』(161分)

ヴォータン:テリエ・ステンスヴォルト(バリトン)
ドンナー:ディートリヒ・フォッレ(バリトン)
フロー:リチャード・コックス(テノール)
ローゲ:カート・ストレイト(テノール)
アルベリヒ:ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー(バリトン)
ミーメ:ハンス=ユルゲン・ラザール(テノール)
ファーゾルト:アルフレッド・ライター(バス)
ファーフナー:マグヌス・バルトヴィンソン(バス)
フリッカ:マルティナ・ディーケ(メゾ・ソプラノ)
フライア:バルバラ・ツェヒマイスター(ソプラノ)
エルダ:メレディス・アーワディ(コントラルト)
ヴォークリンデ:ブリッタ・シュタルマイスター(ソプラノ)
ヴェルグンデ:ジェニー・カールステット(メゾ・ソプラノ)
フロースヒルデ:カタリーナ・マギエラ(アルト)

フランクフルト歌劇場管弦楽団
ゼバスティアン・ヴァイグレ(指揮)

演出:ヴェラ・ネミロヴァ
装置:イェンス・キリアン
衣装:インゲボルク・ベルネルト
照明:オラフ・ヴィンター

収録時期:2012年6月、7月
収録場所:フランクフルト歌劇場(ライヴ)

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<あらすじ>

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こないだ来日してマイスタージンガーを振ったばっかり、ヴァイグレのリング。

昨年フランクフルトで上演された舞台の収録だがヘンテコな演出ではなく、比較的見やすい印象。ネズミの国とかトンでもないものではなく、安心して見ていられる・・・ようだ。

前奏曲は水の波紋の映像から始まる。それが変化してそのまま舞台装置になる。

波紋の真ん中からラインの乙女たち登場。金髪に水色のドレス、肉感的なラインの乙女である。スーツにネクタイのアルベリヒ。エロい誘惑をされてすかーとに頭をつっこんだりするが、やっぱりいつもの通りバカにされまくり、最後はずぼんを脱がされモモヒキ姿にされてしまう。

ラインの例の黄金はダナエの金の雨のごとく降り注ぐ。アルベリヒはずぼんの中に?黄金を詰めて逃げる。

舞台転換的なものはほとんどなく、色々と角度の変わる青い輪っかの中で行われる。まるで新宿コマ劇場のような。

ヴォータンは小学校の校長先生みたいな風貌(スタイリッシュではない)。神様はみんなオフホワイトな衣装なのかな。全体的に(見た目)高齢な感じの歌手陣。小柄なフライアが巨人から逃げてくる。まるでお人形さんみたいである(若くはない)。巨人2人は・・・何と言うか日本のアニメとかに出てきそうな(ジョジョとか?)衣裳。

・・・という感じで粛々と進められていくわけだが、この舞台の要はローゲである(と思う)。ブランコに乗って天上から登場。カート・ストレイトという、モーツァルトのオペラでは有名な歌手のようだ。声はリリックで素晴らしい。が、外見が何と言うか(昔活躍した)ロックミュージシャンのような。ポリスのスティングを思い出したぜ。腕に入れ墨なんかしちゃって、鍛えられた肉体。声と姿のギャップの面白さ。

ニーベルハイムは青い輪っかの下から登場。まあ、ずっとへんな演出を見なれているのでこれはごく普通に感じる。かくれかぶとをかぶったアルベリヒの扮する大蛇やカエルさんは手袋で代用。昔はここらへんが見せ場だったんだが、ここでは地味な扱いである。アルベリヒは捕えられて金色のスーツからまたモモヒキ姿へ。指切られて指環を取られて血が出る(うわ~)。アルベリヒカワイソス。

巨人たちにさんざ酷い目にあわされて帰ってきたフライア(表情は虚ろである)。うつ伏せにひっくり返ったところを(殺人事件の現場みたいに)チョークでなぞられて、その形に強奪した黄金を乗っけて行く。ヴォータンが指環を渡すのを躊躇しているところに、地底から3人の小さな娘たち(ノルンだね)とともにエルダ登場。大きい。大きいだけあって声は素晴らしい。

有名な虹の架け橋の場面は・・・象徴的というか。老人となった神々と現在の神々の対比。ローゲはまた吊りあげられる。吊られながら歌うのは大変そうだ。神々は舞台から降りてオペラハウスのボックス席でシャンパン片手にオペラ観劇としゃれこんでいる。ラインの乙女たちの嘆きと共に幕。ブラヴォーの声。観客が入っているのを忘れるほど、人的雑音がない。

歌手は平均的にいい感じで穴はない。指揮も日本でマイスタージンガー聴いたときのような「アレレ?」感はなく、すっきりはしているもののワーグナーらしいダイナミックな演奏。ワルキューレが楽しみである。 

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メーキング映像がついてるんだけど、すぐ見ていいものか一番最後に見るべきなものなのか迷う。結構好きなんだよね、メーキング映像って。

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コメント

 今晩は。
   
 アルベリヒの色紙、実にいいですね。
 一読して、つい某氏の色紙を想起させられるセリフでありながらも、しかし、穏やかならぬ真情をあまりにストレートに、短かい言葉で吐露しきったところに、大いなる迫力が感じられます。
 武者小路実篤の色紙で「仲良き事は美しき哉」というのがあまりに有名ですが、一種、これの真逆・正反対の心持ち・情念であるところも興味深いです。思えば、壮大な物語の展開はこの「呪い」が起源であると言えますね。容易に入手できないものと思われ、羨ましいです(・・・「 ○ ○ 鑑 定 団 」でも評価の下しようがないほどの値打ちですね)。

投稿: クラシカルな某 | 2013年5月 2日 (木曜日) 23時28分

>>クラシカルな某さま

これを手に入れるのは苦労しました・・・。
先日、ふとどのくらいの価値があるのかと思い、鑑定団でお馴染みの安○内先生に相談してみましたが、ただ「ふっ」とお笑いになられました。田●大先生にも相談しましたが、ハンカチで口を押さえながら「わ、わたくしには鑑定不可能です・・・」と逃げられてしまいました。中島△先生は「いい仕事してるのか・・・私にもわからない・・・」と言われました。ということで、価値は全く不明です。というか、そもそもあるべりひって誰?ってそこから?

それよりも
「あ、武者小路実篤という手もあったか~」って思いました。

投稿: naoping | 2013年5月 3日 (金曜日) 12時12分

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