« ボールペンの謎 | トップページ | ジモティ花見2013 その1 »

2013年3月20日 (水曜日)

ルジツキ/歌劇「エロスとプシュケ」

E2aa5d13f0


ルドミル・ルジツキ:歌劇「エロスとプシュケ」Op.40
ハンナ・リソフスカ(ソプラノ) ユゼフ・フィガス(テノール)
ヤン・チェカイ(バリトン) イェジ・オスタピュク(バス)
ヴオジミエシュ・デニセンコ、ダリウシュ・ニェミロヴィチ(バリトン)
カジミエシュ・ドゥウハ(テノール) マリア・オルキシュ(メゾソプラノ)
アンナ・マレヴィチ=マデイ(メゾソプラノ) ハンナ・ズドゥネク(ソプラノ)
ヤヌシュ・シドウォフスキ(俳優)
アントニ・ヴィヘレク(指揮)
ワルシャワ国立歌劇場管弦楽団&合唱団

録音:1978年10月、ワルシャワ、国立フィルハーモニー、ライヴ

.

過去記事:ネットラジオでポーランド音楽を聴く6

ポーランドラジオで初めて聴いて一目ぼれ?し、CDを所望するも日本の市場にはなく丸3年も(塔か何かで入荷するのを)待ち続けたが、このたびありがたいことに神が降臨し、やっと手に入れた(といっても自分はお金払っただけだけど)。

だが、何か文章を書こうにもあんまり秘曲すぎて参考にするものがなく(うちの「歌劇大辞典」にも載ってないのってどんだけ)。

で。CDについている解説書(ポ語と英語)とネットを参考に、わかる範囲でここに書いてみようと思う。もちろん、私の英語力は中学生並みなので間違いもあるかもです。

まず、元の題材のギリシャ神話「エロスとプシュケ」について簡単に。

・美人で評判の王女プシュケに嫉妬したアフロディテが、彼女を不幸な恋に陥れようと、自分の息子エロスに命じた。しかしエロスはプシュケのあまりの美しさに自分で恋に落ちてしまった。
・エロスはプシュケの正体不明の夫となり、夜だけ共に過ごした。エロスの顔を見ないという約束だった。が、ある時プシュケは夫の顔を見てしまい、愛の神エロスであるということを知ってしまった。約束を破られて怒ったエロスはプシュケの前から姿を消す。
・プシュケは夫を探して世界中をさまよい、紆余曲折いろいろあって(略)やっとこさ夫と巡り会い結ばれる。

・・・という突っ込みどころ満載のめんどくさい話であり。で、このオペラはてっきりシュトラウスの「ダフネ」みたいな感じで、ギリシャ神話をただオペラにしただけなのかと思ってたらそんなでもなく。時代と国を股にかけた、なかなか凝った設定なのだ。時をかける少女というか(違うか~)。

原作はイェジイ・ジュワフスキ(1874~1915)。この人は結構有名な人らしく、ポーランドの文学者、哲学者、登山家、民族主義者だという。

オペラは5場あり、それぞれ以下の時代と場所である。

第1場 古代アルカディア
・多分、ギリシャ神話の設定どおりの設定。

第2場 アレキサンドリア 紀元0年?(First year of AD)
・プシュケは吟遊詩人?(wandering-singer)として登場するようだ。
 

第3場
 中世(Middle Ages)のスペインの修道院
・プシュケは修道女として登場。音楽がちょっとプッチーニの「修道女アンジェリカ」っぽい?

第4場 1792年9月2日のパリのカフェ
・フランス革命時。プシュケはカフェのウェイトレスの平民の女の子という設定。「ラ・マルセイエーズ」が音楽に盛り込まれている。

第5場 現代(といってもこのオペラは20世紀初頭の作曲なのでそこらへんだろう) ヨーロッパのどこかの国の首都。
・ここの音楽はばりばりのウインナ・ワルツなので舞台はウィーンなのかもしれない。プシュケは銀行家の愛人?という設定か。時代と国を駆け巡ってやっとエロスと再会して結ばれる。

・・・というように、(設定だけ見ると)なかなか面白いオペラのような感じを抱くと思うが、考えてみるとこれを舞台化するにはかなりのお金がかかりそうである。これだけ色々な時代のセットや衣装を作るのも大変そうだし。演奏会形式だったらまあいける・・・かな。

作曲者について。

ルドミル・ルジツキ(Ludomir Różycki、1884年11月6日 - 1953年1月1日)は、ポーランドの作曲家、指揮者。
ワルシャワ出身。ワルシャワ音楽院の教授の息子で、同音楽院でピアノと作曲を学んだ。その後ベルリンに留学し、エンゲルベルト・フンパーディンクに師事した。1907年からレンベルクでオペラ指揮者兼ピアノ教師として活動し、やがてワルシャワに活動の拠点を移した。カロル・シマノフスキ、グジェゴシュ・フィテルベルクらとともに「若きポーランド」を組織し、ポーランドの音楽文化の活性化に努めた。カトヴィツェで没。
彼のバレエ『パン・トファルドスキ』はポーランドで最初の大規模なバレエで、コペンハーゲン、プラハ、ブルーノ、ザグレブ、ベオグラードなどで演奏され、ワルシャワでは800回以上上演された。他に8つのオペラなどがある。
(Wikipediaより)


このオペラの作曲年は1914~16年。作風の印象は、R・シュトラウスのようで・・・でもあんなに重厚でもなく、近代フランス音楽のような(プーランクとか?)、はたまたストラヴィンスキーのような近・現代的な匂いもし。ア-サー・ブリスを思い起こす所もある。

メロディや響きなどが独特で印象的な部分があちこちあり(反復が多い)、何度も聴きたくなる。「珍しいオペラ」好きなあたしだけど、珍オペラは一回聴いて聴かなくなっちゃったりすることが多いからこういうことは珍しい。このブログで取り上げた珍オペラの中でも随一の掘り出し物だと(あたしは)思う。

この録音はライブ収録だが音はまずまず。歌手は知らないしそんなにずば抜けてうまい人もなく、演奏はそこそこ。場が終わった途中の拍手は始めのほうは観客のキョトン顔が見えてくるようだが、だんだん盛り上がっているようで、最後はブラヴォー。

どんな曲かは、断片的にこちらで聴くことができる。断片過ぎてイライラするけど。

http://www.fabryka.pl/muzyka/rozycki-eros-i-psyche-ludomir-rozycki-435606/

---

追加で何かひらめいたら書くかもしれないし、書かないかもしれない。とりあえず今日はこんだけ。

|

« ボールペンの謎 | トップページ | ジモティ花見2013 その1 »

コメント

こんにちは。
名前すら聞いたことのない作曲家ですが、興味をそそられます。
映像があると良いのですが・・・。
確かに上演は大変そう。
断片いくつか聴きましたが、なかなか魅力的ですね。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2013年3月21日 (木曜日) 21時53分

40年ほど前にゲルハルトのコルンゴルトアルバム(当然LP)に遭遇以後、偏愛から覚めないでいる者です。こちらでロジツキを教えていただき、いろいろ渉猟しておりますが、テイストは私にぴったりで、今後のCDリリースが待たれます。ところで、コルンゴルトですが最近のイチオシは「沈黙のセレナーデ」(CPO2枚組)。購入して3週間経ちますが、毎日聞いていても全く飽きません。
録音状態も最高水準にあり、惚れ惚れする美声が堪能できます。特に第2幕2場のアリア、このコルンゴルト節が堪りません!

投稿: mahagonny | 2013年3月22日 (金曜日) 12時33分

>>木曽さん

こんにちは。
そう・・・私もこの作曲家を知ったのはたった3年前くらいです。
ルジツキの曲、最近YouTubeで増えてきたのですが、管弦楽曲かバレエばっかりで、この曲のはないですね。映像なんてあったらもう・・・。
こんな小さな情報で、曲の良さがちょっとでも伝わったら嬉しいです。

投稿: naoping | 2013年3月22日 (金曜日) 20時42分

>>mahagonnyさん

そうです、まさにコルンゴルト好きにはツボです。世代的にはコルンゴルトより少し前の作曲家ですが、テイストは似ています。世間にあまり知られてないけど、ただ1曲「カサノバ」ってオペラのアリアが(本国では)有名なようで、YouTubeで何種類か聴くことができる・・・という存在も何となくコルンゴルトと似ています。

http://www.youtube.com/watch?v=ygvLvHRhFro

ただ、残念ながら日本でルジツキのオペラのCDを発売することは早々はない気がします。
コルンゴルト「沈黙のセレナーデ」は未聴なのですが、聴いてみたいです。しかしCPOは高くてなかなか手が出ないというのが現状です。

投稿: naoping | 2013年3月22日 (金曜日) 21時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/108585/50853370

この記事へのトラックバック一覧です: ルジツキ/歌劇「エロスとプシュケ」:

« ボールペンの謎 | トップページ | ジモティ花見2013 その1 »