シモーネ・ヤング指揮/ハンブルク歌劇場 「ワルキューレ」
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」
ファルク・シュトルックマン(ヴォータン)
デボラ・ポラスキ(ブリュンヒルデ)
スチュアート・スケルトン(ジークムント)
イヴォンヌ・ナエフ(ジークリンデ)
ミハイル・ペトレンコ(フンディング)
ジャンヌ・ピランド(フリッカ)
ヘレン・クォン(ゲルヒルデ)、他
録音時期:2008年3月12-19日
ハンブルク州立歌劇場管弦楽団(ハンブルク・フィル)
シモーネ・ヤング(指揮)
シモーネ・マーガレットお姉さまのワルキューレ。買ってすぐにこのリング全曲聴いてしまった。今日は聴くの二度目なんで、女性指揮者だからといって特に意識することもない。
このCDセット、全曲聴いた中では、「ジークフリート」が一番よかった。ライブならではの高揚感。「ジークフリート」って演奏によってはすごく退屈か大成功か別れる感じがする・・・ってどの曲もそうなのかもしれんが。それに続く「神々」もとってもよかったけど(とくに男声合唱が!)、これはまた後日。
で、「ワルキューレ」。こないだ新国立でピーター・グライムズを歌ったスケルトンがジークムント。あのガタイのいい無骨な感じの容姿からは想像できないほど(まあ実際見たことあるから言えるんだけどね)ユーゲントリッヒャーなしなやかな声である。CDだと顔が見えないから、勝手にいい男を想像。「冬の嵐は過ぎ去り」など、うっとり。ここでは出てこないけど、ジークフリート役のフランツより好きな声。
(ところであの昨年の「ピーター・グライムズ」上演は音楽の友のコンサートベストテン?で1位だったような。本屋で立ち読みしただけだけど。自分が見た上演が1位だと嬉しいね)
ジークリンデのイヴォンヌ・ナエフは、どっちかっつーとフリッカみたいな落ち着いた声な感じだったんだけど、アルト歌手なのですね。もっと清純な感じのジークリンデが好きなんだけどね私は。
フンディングのペトレンコという歌手はロシア人なんでしょうな。ああ、どうしてもパーペと比べてしまうぞこの役は。
ブリュンヒルデとヴォータン役の二人は実演で見聞きしている。ずいぶん前の話なんだけど・・・何かブリュンヒルデはやたら元気一杯だったのは覚えている(演出でな)。このCDで聴くだけでもなんか元気一杯やな、相変わらず。まあ、元気のないブリュンヒルデってあんまりないかも。まあそれでも、テオリンよりうるさくない。表現は女性らしい・・・っつうか印象としては何と言うか「主婦」っぽい(?)。
シュトルックマンは初めて舞台で見た時は「素敵」って思ったみたいだったが(ワタシが)。今は外見的にずいぶん年を取ったんだろうなあと想像する(たぶんよ、たぶん)。声は相変わらずたいへんいい。「ホッター以外のヴォータンは認めない」とか昔は思ってたけど、色々聴いているせいなのか?人間が丸くなったのか?今はそんなでもない。
当然なんだけど、オケがうまいよねえ。私なんか日本のオケでワーグナー聴くことが殆どなんでとくにそう思う。まあ、飯守さんの棒で日本のオケが神がかり的な演奏することもあるにはあります。あるんですが・・・ハンブルクはね。「いやいや、ハンブルクなんてドレスデンに比べたらアレでしょ」とか?言う人がいるのかもしれないけど、やっぱりドイツのオケは威力が凄いわ。まあ、録音がいいということもあるのか・・・?正直言って新国立劇場で聴きに行くよりもよっぽど迫力がある(あまりいい席で観たことがないんでな)。まるで指揮者のすぐ後ろで聴いているかのような。
そして・・・指揮の安定感がハンパない。テンポとかヘンテコなとこもなく自然な流れ。そして第3幕になるとスケールが大きくなってことさら感動する。とくにヴォータンの魔の炎の音楽の一番盛り上がるとこ・・・ありゃ飯守さんの実演でもダム決壊しまくったけど、このCDは(録音なのに)同じように凄い。かなりクルわあ。(多少ここらへんで演出上の「じいじい」という雑音があり。)幕が終わるごとに聴衆のブラボーと拍手がが入る。かなり盛り上がった公演のようだ。
新国立にワーグナー振りにこないかなあ、シモーネ女史。
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