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2012年5月27日 (日曜日)

影のない女/ティーレマン&VPO ザルツブルグ2011年ライブ

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リヒャルト・シュトラウス:『影のない女』全曲

皇帝:スティーヴン・グールド
皇后:アンネ・シュヴァネヴィルムス
乳母:ミヒャエラ・シュースター
バラク:ヴォルフガング・コッホ
バラクの妻:エーフェリン・ヘルリツィウス、他
ウィーン国立歌劇場合唱団
ザルツブルク音楽祭児童合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
クリスティアン・ティーレマン(指揮)

演出:クリストフ・ロイ

収録時期:2011年7月
収録場所:ザルツブルク音楽祭(ライヴ)
※日本語字幕なし 

過去記事:ザルツブルグ音楽祭2011 映像のない「影のない女」ティーレマン

ザルツブルグ音楽祭2011 映像のない「影のない女」ティーレマン2

ベーム/DECCA盤・影の無い女

昨年、NHK衛星で放映された公演。ウチはBSないので(これだけのために入ってすぐやめるっていうのもちょっと考えたが)今回DVDで観たのが初めてである。音だけはどっかのサイトで全曲聴いた。まあたくさん観た方はおいでだと思うが、個人メモ的に。

我々(誰?)のような昔のデッカファンにはたまらない設定である。舞台はウィーンのソフィエンザール内。かのショルティのリングや千人の交響曲などの数々の名録音を残したホールである。ホールって言っても実はでっかい(ぼろい)ダンスホールである。

(どっかで書いたと思うけど、ン?年前ソフィエンザールには行ったことはある。たまたま何かを目指して友達とてくてく車の通る小さな通りを歩いていたら、「あ、ここ知ってる。すごーく知ってる。ソフィエンザールだ!!」と小躍りして大喜び。一緒にいた友人は「ハア?このぼろっちい建物が何なの?」と不思議な顔をしていた。今は取り壊されちゃったのかなあ。当時は建物の周りにはダンスパーティ開催!みたいなポスターが貼ってあったけど。お向かいにはたしかウェーベルンの生家のプレートがあった気がする。)

今回の演出は、この曲の最初のスタジオ録音である1955年のベーム指揮の歴史的なデッカ録音の光景を元にしてある(っていっても舞台上で起こる細かいことは事実ではないけど)。この録音については過去記事参照のこと。といっても私の書いた文より読者の方々のコメント欄のほうが詳しい。

幕が開くと、見なれた風景。そう、ショルティのリングの録音風景のヴィデオをご覧になった方は「ああ」と思うとおもう。ソフィエンザールの室内。歌手がのる舞台にはマス目が引いてあって、数字が書いてあって、そこを歌手の人が動いてステレオの効果をあげている。それを色々と指導したり譜面台を動かしたりいろいろやってるのが、録音助手の眼鏡君であり(俳優さんで、歌わない)。かなり出ずっぱりであたしのような眼鏡フェチにはたまらない。

後方にある録音スタジオには終始メガネのおじさんが見守っている。ヴィクター・オロフか?

歌手の皆さんは(実際の公演時は7月で暑いのに)ローデンのコートを着こんで厚着である。この録音をしたときは冬で、暖房を使わせてもらえなかったし、しかも一発録音であったようだ(そのいきさつについては過去記事コメント欄参照)。この演出の設定では皇后役の人は新進歌手であり、乳母の役の人はそれを指導している感じ・・・でもぶっちゃけここに出てくる女性歌手はみなおばはんである。舞台装置もこんなだしみんな普通のカッコなので、ホントにこれメルヒェンオペラの「影のない女」なの?っておもう。ということで後半、目は飽きる。

バラック夫妻登場からだんだん雲行きが怪しくなる。設定では実生活でも夫婦で今や離婚寸前らしい。昔、クリスタ・ルードヴィヒとワルター・ベリー夫妻がこの役を演じてた気がするがそれを思い出す(つか・・・黒縁眼鏡とかベリーに似てね?声も似てるし)。単なる録音風景なのか、実はオペラなのか(オペラなんだけど)、だんだん何だかわかんなくなってくる。

乳母が魔法を使って女の人たちを出してバラックの妻の憧れの男を連れてくる場面はフツーにウィーン国立歌劇場合唱団の皆さま(日本人の方もいる?)が普段着でぞろぞろとやってくる。バラックの妻に鏡を見せるシーンではみんなでコンパクトをカバンから出して見つめる。(以下とりたてて面白くもないので略)

第2幕。冒頭、乳母役のおばはんが眼鏡君にちょっかいを出す。眼鏡を取って自分にかけたりする。あたしの眼鏡君に、やめれ。乳母役のおばはんはバラックの妻の憧れる青年役の歌手と浮気させようとする(何か書いててめんどうくさくなるな、この設定)。バラックと兄弟たちの役の人たちが大勢の子供たち(可愛い)をソフィエンザールに連れてきてお菓子や果物をふるまう。バラックの妻、夫にものをぶん投げる。

大騒ぎの一団が出てったあと、皇后役の歌手が何やら次に歌う皇帝役の歌手あてに?何やらお手紙を譜面台に置く。これは恋の始まりか?眼鏡君に見せたらふんふんとうなずいた。何が書いてあったのだ。気になる~~~。が、スティーヴン・グールドは声は素晴らしいがなんか萌えねえな、こんな設定でも。もっとかっこいい歌手だったらいいのに(ないものねだり)。「鷹よ!」と歌うとタイミングよく、鷹役の女の子が入ってくる。もう何だか録音風景なのか何だかわからなくなってくる。

何だか録音舞台上に羽飾りのダンサーのおねいちゃんたち登場。ダンスホールだからダンスパーティ始まっちゃったのか?若い男役の歌手、カバレットの歌手みたいなカッコで登場。バラックの妻役の歌手を誘惑。恐くなった妻、別室でお休み中のワルター・ベリー、じゃなくてダンナを呼んでくる。夫婦喧嘩だか、いちゃいちゃしてんだが、なんだか。

そのあとの皇后のシーンでは、お給仕の子や眼鏡君や録音技師など全部子供になって登場。よくわからんが、可愛い。
バラック夫妻にひと悶着あり、バラック役の歌手が奥さんに斧を振り上げる。奥さんは過去の愛情がよみがえって、幕・・・?

第3幕。ソフィエンザールも夜になった。それにしてもソプラノ二人は歌手にしてはスリムじゃのう。完全全曲演奏ということでいつものようにカットでびくびく怯えることはない。乳母のあのかっこいい場面(4重唱)も、皇后の長い独白も全部聴ける。こんな演出でも(もうね、3幕ともなるとぶっちゃけ演出面では飽きるから)こんな素晴らしいオケと指揮者で全曲聴けるのは本当にありがたい。

なんだかこのごたごたにまぎれて眼鏡君はお給仕の女の子とコート来て外に出て行ってしまった。デートか。

皇后の独白シーン。かなりイミフなんだが、とにかく何だか苦しんだ末、さっきの皇帝の歌手へのお手紙を開いてみると、お返事が。恋はかなったのか? 眼鏡君がいつのまにか戻ってきて、二人を見て後ろでニヤニヤしてる。カワイイ。幕が閉まる。

間奏。美しく正装してきたバラック夫妻の歌手。よりを戻したんだね。幕が開くとなんだかクリスマスコンサートの風情。舞台上に大きなクリスマス・ツリーとプレゼント。少年合唱団の前に主役4人が独唱者となってコンサートをしている。観客と見守る乳母の歌手。落ち着かない観客の子供を叩いたりしている。何それ。(舞台上の)観客はスローモーションで大喝采を送っている。お給仕の女の子と眼鏡君も観客にいて、女の子「す、好きです」眼鏡君「ちゅう」ってな感じ。何かこの大舞台に戸惑いがちな表情の皇后の歌手。幕。

演出は色々ヘンなんだけど、音楽が素晴らしすぎてやっぱり感激してしまった。オケと指揮者はデッカ・ベーム盤と同じくらい素晴らしかったと思う。歌手もなかなか頑張っていたと思う。もうちょっと皇后が若かったらなあ。

それにしても「影のない女」ってオペラ自体とは全く縁もゆかりもない演出で、初心者は全く理解できないだろう。あたしも最後のほうはよくわからんかった。何となく「クリスマス飾りっぽい」と感じるこのオペラの最後を皮肉った終り方とも取れる。

歌手や指揮者には惜しみない拍手、そして演出家には大ブーイングというザルツブルグらしい終り方。

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昨日、W杯予選に備えて美容院に行ったのだが、いつもやってくれる美容師さんがもう髪が出来上がったのにコテで髪のすそをクルクル巻きあげ始めた。「?」と思い「パーマをかけたらこんな風になるってことっすか?」ときいたら、「いつも同じ髪型なので私飽きてしまって・・・ごめんなさい頼まれもしないのに」とか言われてしまった。あたしはちっとも飽きてないんだが。巻髪はなんだかバッハみたいであんまり似合わなかった。

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コメント

なはははぁ~
そうなんですか、何だか不思議なジャケットだと思ってましたら。
わたしも未デジ化だし、おんでまんども見逃したもんで、このDVDをそのうち買おうと思ってましたが、なんだかもうよくなってしまったような・・・・。
でも音源ならば絶対に欲しいメンバーです。
古い奴だと思われようと、このオペラはやはりお伽話であって欲しいし、皇后の葛藤や夫婦愛や皇帝の孤独などが、ちゃんと麗しく描かれて欲しいと思います。
オペラの舞台は、ますますどこへ行っちゃうんだろ?

投稿: yokochan | 2012年5月29日 (火曜日) 23時02分

>>yokochanさん

おお、てっきりご覧になってるものかと思いました。
読んでいただき、どうでもよくなる気持ちもわかりますが、それで片づけてしまうのは勿体ない。誠に勿体ない名演です。指揮とオケに関しては(わたくし的には)テンポや音色、バランスなどもう完璧かと。歌手も大スターはいない代わりに平均的にみんないい感じです。画面ではこの曲のメルヘンチックなところはどこにもありませんが。・・・猿之助演出やこないだのゲルギーの公演の演出が恋しくなります

投稿: naoping | 2012年5月30日 (水曜日) 20時38分

naopingさん

 ティーレマンという人は、今はドレスデンでしたっけ?。昔ミュンヘンフィルでしたよね。ウィーンフィルを振って、こういうオペラを録画させてもらえるクラスの人なんですね。私、実は今、仕事でミュンヘンでして、偶然ガスタイクのホールの当日券が買えて、ブーフビンダーのモーツァルトのピアノ協奏曲集を聴いて来ました。なぜかホールにティ-レマンのドアップ写真が飾ってあって、何だかあまり・・・。
 でも、演出以外は良かったっていうのは、分かる気がします。最近ドイツのオペラは、スーツを着たトリスタンとイゾルデとか、ジーンズみたいな格好のタンホイザーとか、もう非道すぎますからね。

投稿: 安倍禮爾 | 2012年6月 4日 (月曜日) 05時56分

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