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2011年11月19日 (土曜日)

「トリスタンとイゾルデ」J.フェルゼンシュタイン演出、G.ベルク&アンハルト劇場(DVD)

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ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』全曲
トリスタン:リチャード・デッカー(T)
マルケ王:マレク・ウォジェコウスキ(Bs)
イゾルデ:イオルダンカ・デリロヴァ(S)
クルヴェナール:ウルフ・パウルセン(Br)
ブランゲーネ:アレクサンダー・ペテルザマー(Ms)、他
デッサウ・アンハルト劇場の男声合唱団
デッサウ・アンハルト・フィルハーモニー
ゴロー・ベルク(指揮)
演出:ヨハネス・フェルゼンシュタイン

収録:2007年、デッサウ、アンハルト劇場(ライヴ)

たまにはトリスタン。劇場でなくテレビ(14型)で鑑賞。

ドイツの地方劇場の上演のライブ収録。デッサウと言えば私のようなマニアにはバウハウスのメッカとして名高いが、音楽好きの方には「別になんも」な地方都市である。

歌手、ご覧のように小粒な感じ。トリスタンは私が今年観たアルミンク指揮の「トリスタン」演奏会形式上演の時の人である。その時は「まあ、ちゃんと歌っていたな」という印象。ちゃんと歌えるトリスタン、かなり重要だ。

あと、同じくアルミンクの指揮による「ローエングリン」演奏会形式でオルトルート歌った歌手がブランゲーネ。しかし、その時は「風邪による不調」が開演前に発表されたため、本調子の時の歌は聴いたことない。

他の歌手は知らない名前。有名な人いるのかな?

しかし、このDVD色々と面白い、特徴的な点がある。

まず、イゾルデ。このDVDの価値の三分の一は主役イゾルデが美しいということだ(と思う)。まるで女優さんのようである・・・・少なくともあたしの14型テレビでは。

(14型テレビのいいところは、たいていの女優さんはかなり美しく見えるということである。・・・姉の家に遊びに行ってトンでもない大画面の亀山モデルで綾瀬はるかちゃんを見て、その劣化ぶりに愕然としたことがある。テレビってコワイ。小さい画面のほうがいいよ、ホント。サッカーの試合とかの点数読めないけど。)

イゾルデ役のデリロヴァって歌手は、HMVの説明によるとマリア・カラスを思わせる容姿というが、まあ私はルチア・アリベルティに似てるかな?と思った。あと、「サインはV」の中山麻理さんにも似てるなあと(←古い)。とにかく綺麗。ワーグナー歌う歌手では、昔のワルトラウト・マイヤーもエロ綺麗だったけど。

<第1幕>

まずびっくりなのは、舞台構造。普通のオペラの舞台って、舞台の前にオケがあり、指揮者がいて観客という順番だと思うんだけど。これは違う。まず(奥から)海を映す巨大スクリーンがあり、その前にオケ、そして背中を向けた指揮者、合唱団、そして舞台、観客という順番になる。それは演奏会形式じゃね?って思うかもしれないけど、それとも違う。舞台はっていうと第一幕では大きな船の断面みたいな感じのものが、ぐるぐる回ってる。ドリフ?
ただ回ってるんじゃなくて、微妙に海の上っぽくふらふらした感じのまわり方。船酔いしそうである。

歌劇が上演されている舞台の向こうで一段下がって指揮者とオケがいる。なので指揮者が指揮してるのが常に見える。なかなか面白い光景だが、歌手はどうやって合わせているのだろう。不思議。

述べたように綺麗なイゾルデ。赤い髪が印象的である。声はそんなにとりたてて美しいことはない。たまに音がずれたり入りがずれたり自由な感じ。パワーはあり一生懸命歌っている。
ブランゲーネはちょっとおばさんっぽい。ショートカットの髪形が少し朝丘雪路さんを思わせる。歌はうまい。

トリスタンは(生で見たとおり)でっかい。歌はとりあえずちゃんと歌っているがやっぱりパワー不足。終幕に備えているんだろうが。
クルヴェナールはまあ・・・クルヴェナールだな。あごひげ。背中に刺した二本の剣がいかにもカッコイイが、少し邪魔な感じ。

演出は・・・舞台構造以外はまあ普通。あまりいろいろぐちゃぐちゃやらないほうがこのオペラはいいんじゃないかと思う。指揮はなかなかいい。中庸の魅力。激しくもなく、緩くもなく。

<第2幕>

海をバックに、芝生の上にストーンヘンジ・・・じゃなくてサークル・ストーンっていうのかね。石柱が円になって立ってるやつ。いかにもコンウォールって感じの(行ったことないので知らないけど)。

イゾルデの髪の色に合わせた赤っつーか濃いピンクのお花のワンピース。トリスタンが現れると大喜びで二人で抱き合い、横になってごろごろ転がる。まるでインド映画のよう。二重唱はトリスタンが寝っ転がっててその腹の上にイゾルデがまたがったりしてる(あらら)。が、いつのまにかイゾルデはドピンクのスリップ姿に。ブランゲーネの警告の間にイゾルデも寝っ転がってて胸の谷間が見えたりする(あらら)。ライブ収録なのに何故か二人の寝姿を真上から映したりする(別収録か?)。まあ・・・舞台で行われていることなので(文章ほど)そんなにエロいことはない。普通。マルケ王、なかなか声がいい。

二重唱は慣習に基づくカットあり。

<第3幕>

普通の演出。苦しそうなトリスタン。介護するクルヴェナールかなり頑張ってる(歌も演技も)。シャルマイを吹く牧童・・・じゃなくて楽器吹いてる楽員の女性がまるでコンチェルトのソリストみたいにクロースアップされて不思議。

イゾルデ登場。歌は普通だけどやっぱり美しい女性が必死に走ってくるのは凄く胸にクルものがある(女でも)。コレ、もしニルソンだったらそんなでもないのかなあ。イゾルデの歌唱はかなり頑張ってるから、恐らくナマで聴いたら感動するんじゃないかと思う。

第二陣登場。マルケ王の軍隊たちは何故か弓矢で攻撃。クルヴェナールは矢がいっぱい刺さって死ぬ。

トリスタンの死体の上で、イゾルデはジャケット写真のような体制で愛の死を歌う。なんか不思議な感じ。第3幕にも(トリスタンが歌うところに)ビミョーにカットあり。

舞台構造のせいか幕は下りず。だからカーテンコールっていうのはなくて?ただ盛大な拍手を受ける。ブランゲーネの人が一番ブラボーが多かった。でも、歌唱的には平均的にみんな良かった感じ。穴がないというか。そんなにずば抜けて素晴らしい人はいないけど。

ということでなかなか感動した。何か色々とヘンテコなことをやられるのより普通のがいいな。ちなみに演出のヨハネス・フェルゼンシュタインは大演出家ヴァルター・フェルゼンシュタインの息子だそうな。名前だけでさほど~よく知らないけど。

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