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2011年9月11日 (日曜日)

ダニール・トリフォノフ ピアノ・リサイタル

P1110743_2 ショパン:舟歌 嬰へ短調
12の練習曲
シューベルト=リスト編曲:春のおもい、ます、水の上で歌う、魔王
シューマン=リスト編曲:献呈
リスト:ラ・カンパネラ、メフィスト・ワルツ
ダニール・トリフォノフ(ピアノ)


(9月9日・紀尾井ホール)
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自称、トリフォノフ・ウォッチャー?として昨年のショパン・コンクール(3位)より、ルービンシュタイン・コンクール(優勝)~チャイコフスキー・コンクール(グランプリ)まで彼を見守ってきたので、前日のチャイコフスキー協奏曲に続いてリサイタルまで聴きに行ってきた。

私がトリフォノフの演奏をネットで聴いたのは昨年の10月9日が初めてみたいだ(ってブログに残ってる)。ショパコンの2次からで、前回チャイコン2位のクルティシェフなどとともに印象が強かった。でも、その時は別に彼がカッコイイとかカワイイとかそういう印象はなくて、研ぎ澄まされた美音と(ファツィオリなるものはそれまで全く知らなかった)演奏中の取り憑かれたような表情が印象に残ったわけで。

その後、初めて本物を見たとき(ショパコンのガラで来日)、「あ、この人こんなにカワイイのね。知らんかった」って思ったんだった。何でこんなにネットと印象が違うんだろう。

ずっと彼を見聞きしてたのは、その不思議ぶりと演奏中の妙な表情と演奏の素晴らしさだけであって、全然カッコイイとかカワイイとかで追いかけてるんじゃない。(え?違うの?って思うかもしれんが)

しかし。

今回来日にあたって貰ったプログラム冊子には、HISの広告があり「コンサート4公演付スイス・イタリア9日間」などどいうファン向け旅行ツアーが計画されていて(35万円だそうだ)、ファンミーティング付だという。

どこぞの韓流スターかと。

で、リサイタルの観客層は(ハハに連れられたおこちゃまもいたが)やはり韓流ファンのと同じかなあと。普段、おっさんばっかりのコンサート会場に慣れた私はものすごーく居心地が悪かった。(マーラー、R・シュトラウス、ワーグナーばっかりだもんで)

しかも。「トリ本」?と呼ばれるカラーの写真集みたいなのを売ってて、みんな買ってた。私は中身をのぞいてみたけど、全く買う気もなく元に戻した。いやあアイドルじゃねえし。公演後勿論お約束のサイン会もあったから、そのためのCDを皆奪い合うように買ってた。私は何か売ってるのさえ見えず。いや、3種類くらいしかないはずだからそれらが売ってたんだろうな。そこらへんでは入手しづらいDUX盤が人の間からちらっと見えて「おお」と思った。

開演前にどこぞの母娘が「まあ、まだトリフォノフはCD出してないはずよ」とか喋ってたけど「え、その程度の知識で来たの?デッカからとっくにデビューしてるでしょ」とか思ってしまった。言わなかったけど。

演奏は。

いつもの通りのトリフォノフ。前日に続いてファツィオリ。ショパンとリストなら、チャイコよりもこの音色はあってる。

大好きな舟歌。ちっとも豪華客船にならない。ショパコンの頃よりも温かみをくわえた演奏。どんどん良くなっていくトリフォノフを聴けて嬉しい。このままつぶれないでほしいな、人気出過ぎたりして。チャイコンでも弾いた12の練習曲も聴けて嬉しい。ファツィオリの音がキラキラと綺麗。星が降ってくるようだ。スタインウェイのほうが落ち着いてていいかなとも思う事もあるけど、これはこれでいい。お時儀がちゃんとしてきたな、トリフォノフ。あのキョドったお時儀が好きだったんだが。

休み時間、カリ屋崎さんに遭遇。前日もサントリーにいらしてたみたい。

後半のシューベルトとシューマンは彼の演奏では初めて聴く(というかこの編曲は初めて聴いた)のだが、メロディーはほぼおなじみの曲だった。献呈だって、子供の頃に(元曲を)よく聴いていたしね、フェリアーで。そのあとお得意のラ・カンパネラとメフィスト・ワルツ。ここらへんの得意曲になると彼は何故かいつも凄い猫背になり、ずんぐりむっくりになる。で、姿勢を正すとまたシュッとスマートなトリフォノフに戻ったりするので、何かに似てると思った。あ、前にテレビで見た「敵に遭うとほっそりするふくろう」だった(アフリカオオコノハズク)。アレ凄いよね。あんな感じ。

メフィスト・ワルツ(ルビコンでの演奏)
http://www.youtube.com/watch?v=P5FDtRiN6fY

勿論演奏は素晴らしく、ブラボーと花束・プレゼントが。
で、アンコールは限りなく(曲目がロビーに貼ってなかったので細かく覚えてないすいません)、観客の「まだまだ」「もっともっと」が激しくなかなか帰れない。トリフォノフはいちいち曲目を言いつつ、演奏。チャイコフスキーはやっぱりロシアではチーコフスキーなのな。華麗なる円舞曲など。最後の最後にやっとピアノの蓋を閉じておしまい。そのあとは勿論サイン会で、ロビーは女性客でごったがえした。私は恐ろしくてとっとと退散。「まあ、これでいいのかな。とにかく人気商売だもんねピアニスト」とか自分に納得させながら帰宅。もうコンクールは出ないようだし、私もこれでトリフォノフ・ウォッチャーは卒業かな。

それにしても・・・こんなんなっちゃうのねトリフォノフ(悩)。これじゃユンディと変わんないかも。まだ大学生でお勉強中なのだから、ゆったりした学生生活をさせてあげて欲しいなあ。コンポーザー・ピアニストとしても勉強・活躍して欲しいし。今回みたいな超一般向けの曲ばっかりじゃなくてスクリャービンのソナタやプロコフィエフもナマで聞いてみたいです。まあ、今しばらくはこんな感じなのかも。影ながら応援し、見守って行きたいです。

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参考映像(アフリカオオコノハズク)

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コメント

おそらくあと数年で、彼はホルスト・シュタインをホウフツさせる風貌になると予想しているので、ミーハーは脱落するでしょう。それからが彼の芸術の成熟となることを期待しています。
サイン会ウォッチングを少々していたらアンコール曲も張り出されました。ピアノ曲に疎いので知らなかったのですが、ショパンに「タランテラ」なんてあったんですね。
カリ屋崎は6月だったかな、レン・チェン(Vn)バッハ無伴奏リサイタルにおいて、サイン会先頭での傍若無人なずうずうしい振る舞いを見て、嫌悪感を覚えました。幸い私は9日は目撃しませんでしたが、サントリーも出没したのなら、そちらで顰蹙をかったのでしょうか。まあ芸能タレントは宣伝に使えるものは何でも利用するのも仕事のうちなんでしょうが。

投稿: | 2011年9月11日 (日曜日) 18時39分

どおも。お疲れさまでした〜。
naopingさんとガラコンご一緒出来て楽しかったです。
ありがとうございました!
次にトリフォノフ聴きに行くとしたら、やはり私も
オール・スクリャービンとかベルク以降の現代曲ないし
自作展のようなものを期待、かな。
>>まだ大学生でお勉強中なのだから、
そうですよね、まだ20歳。
まあ、日本以外ではこういうノリはあまり無いとは思うのですが。
しっかし、トリのことを語るとどうしても親戚のオバちゃんモードに
なってしまふのが、自分でも可笑しす。
また、ヘンタイ演奏会ご一緒しませう♪
ハコダテへもどうぞ!

投稿: よこよこ | 2011年9月11日 (日曜日) 19時12分

>>   さん

どなたか存じませんが・・・・ありがとうございます。
ホルスト・シュタインですか・・・うううううん(それはそれで複雑・・・)、そうですか、そうかも(少し動揺)・・・・あと10年もすればかなり逝っちゃいそうな頭頂部ですが・・・。頭頂部の完成とともに彼の芸術は成熟されるのですね。

カリ屋崎さんはピアノをやってるだけあって(ふじこと共演したらしいす)ピアノのコンクールは大好きみたいですね。知り合いじゃないのでよくわかりませんけど、お弟子さん?みたいな人たくさんに囲まれてるのを見ました。金髪なので目立ちますね。 

投稿: naoping | 2011年9月12日 (月曜日) 20時27分

>>よこよこさん

どうも~~~。お疲れ様でございます。ガラコン楽しかったですね。しかし、トリフォもあんまりマニアックなものを弾くと「?」「?」みたいな女性がコンサート会場に溢れそう・・・いや何弾いても関係ないんですかねえ、彼が素敵なら。ワタシそういう目で彼を見てないのでよくわかりませんけど。

私がトリフォノフについて語るときって・・・・何なんだろう。ロマノフスキーのときは結構目にハートが入っちゃうんだけど、トリは違いますねえ。未確認生命体を見ているようなそんな感じですかね。
またぜひぜひお会いしましょう。北海道行く時はご案内よろしくです!

投稿: naoping | 2011年9月12日 (月曜日) 20時39分

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