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2010年10月31日 (日曜日)

ショパンのピアノ協奏曲第3楽章について考えてみた。

ガラコンサート。決して安くないお金を払って聴きに行く以上、納得のいく演奏をしてもらいたいのだが。
ピアノ協奏曲一番ををユリアナさんの演奏で聴かなければならんので。(しつこくてすいません)

http://konkurs.chopin.pl/en/edition/xvi/video/3_Yulianna_Avdeeva

(動画画面右下のほうにあるボタンの右から2番目を押すと楽章ごとに選べるようになってるよ)

彼女を推す人、彼女が素晴らしいと思う人はだいたい言うのが「楽譜の読みの深さ」である。読みが深いのに、どうしても納得がいかないのが第3楽章の冒頭の「ぴっぴっぴーん」である。大体のピアニスト(私が今まで聴いたうち全部)が冒頭はスタッカートで「ぴっぴっぴーん、ちゃらららら」と弾いている。だのに、ユリアナさんは何回聴いても「ぴーんぴーんぴーん、ちゃらららら」と弾いている。実はこれがとってもあたしにはキモチワルイ。愛らしい曲のはずが、冒頭からのんべんたらりとした演奏に聞こえてしまう。スタッカートじゃねえの?楽譜見てみたい。

見てみた。

Photo
やっぱりスタッカートである。

でも、よく見ると「ペダル」っても書いてある。ペダルを踏んでスタッカート。だからスタッカートに聞こえへんのである。確かに楽譜通りユリアナさんは弾いている(映像で見ると)。そして二度目に出てくる「ぴっぴっぴーん」(0:58)はペダルマークがついてないので「ぴっぴっぴーん、ちゃらららら」とスタッカートにちゃんと聞こえる。

ああ、そうなのか、納得したわ。あたしのような楽譜読めない者にも。

しかし、他のファイナリストはここまではっきりと違いがわかるようには弾いてない。ヴンダーは「なんとなーく言われてみればそうかな」くらい。トリフォノフはどれもスタッカートで同じように弾いてる。ルーカスも。(アルゲリチは・・・よくわからない。そういう問題じゃない気がする。そういう細かいことがぶっとんでる。超越してる。)

ユリアナさんは「楽譜はこう書いてあるんだから、ちゃんと守らなきゃ!!」的な人の感じがしてきた。きっと全部楽譜を見ながら聞いたら「おお、楽譜通り!」って思うんでしょうね。面倒くさいのでそれはしてないけど。ちなみにファイナルも入賞者コンサートもNYPとの共演コンサートでも同じだった(と思う)。多分ショパンさんは何か意図があって一度目と二度目の変化をつけたんだと思う。どういう意図がしらんけどな。まさか印刷間違いじゃないだろうしね。そこんとこが(楽譜に精通しているはずの)審査員のウケが良かった・・・・ということでオッケーかな。納得していいのかな? ねえ。

(すいません素人の考察なんで。プロの先生の方、読み流してください。)
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Untitled この子は来日しないのか。残念だな天使ちゃん。

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コメント

naopingさま
鋭い指摘ですね。でなければ、おっしゃる通り読み流しておりました。
私もガラコンサートでユリアナ聴くためにもう少し彼女の演奏を理解したいと思っているところです。
さて、ご指摘の第3楽章ピアノソロの冒頭について(私ピアノは昔取った杵柄なので、な〜んも専門的見解ではございません。ご了承の程。)
原典版楽譜も確認していないので、間違いということも有り得ます。
楽譜校訂者が自分の見解を書き込んだということも。
でも、なんというか、ここは民謡の出だしみたいなものなんではないでしょうか。言葉にならない「んはぁ〜」「ぃよぉ〜」とか、この楽章の民族的キャラクターを考えると、冒頭はう〜んとカントリーな感じを横溢させて「つかむ」ために、あえてベタッとした感じにする…でもって2回おんなじことやるのはダッサ〜いので、次はパリ・サロンの寵児クールな都会芸術家のショパン登場で、ペダルなしで、ってことではなかろうか。細かいけど、ショパンならそこまで考えてるようにも思う。
そして、そこまで読み込んで弾いてるとすれば、ふ〜むユリアナおぬし出来るな…。
専門家の皆様、笑い飛ばしてください。
またまた長文すみません。他のピアニストにも聞いて、後日自分のブログでまとめたいと思います。

投稿: よこよこ | 2010年10月31日 (日曜日) 22時37分

>>よこよこさん
こんな駄文にコメント頂いて・・・ホントにすいません。う、うれしいです。
エキエル版とかパデレフスキー版とか?ホントに素人なので全然わからないのですが、こんなにまで考えたり調べたりするほど私ってこの曲に思い入れが強くなってしまったんだなあと思います。

えーと。この第3楽章のロンドはポーランド民族舞踊の「クラコヴィアク」が元となっているとあるんで、出だしは「んはぁ〜」「ぃよぉ〜」って感じなのかも。つか、結構ここウケてしまったんですけど(笑)。

ユリアナさんの演奏ばかり聴いていると他のコンテスタントの演奏が何だかさっぱりした感じに聴こえる・・・例えはヘンなんですけどユリアナさんの演奏は「くさや」みたいな感じでハマる人はこの臭気にハマりそうな感じです(私はまだそこまで行ってませんけど)。ネット上で色々見ると私みたいに「なんとかこの優勝者に納得したい」みたいな人はいまだにたくさんいるみたいですね。10年後はどうなっているのでしょうユリアナさんは・・・。

投稿: naoping | 2010年11月 1日 (月曜日) 20時48分

こんにちは。
演奏のことはようわかりませんが、
ヤマハのピアノを使用して優勝したのは
なんでもユリアナさんが初めてなんだそうですね。
映像でも"YAMAHA"のロゴが何度も大写しになりますし
日本人としてはちょっと晴れがましい?

投稿: 木曽のあばら屋 | 2010年11月 3日 (水曜日) 16時35分

>>木曽のあばら屋さん
そうですね。今回はYAMAHAがずいぶんクローズアップされたなあという印象です。日本人としては喜ばしいところですが、その半面ネット上では「もしかしてYAMAHAの出来レースだったんじゃないの?」なんて声もありです。まさかそんなことないと思いますけど。

私は全然知らなかったファツィオリってピアノの音の美しさに驚きました。是非ナマで聴いてみたいです。

投稿: naoping | 2010年11月 3日 (水曜日) 20時23分

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昔、ドイツに長く滞在され、音楽も大変楽しんでおられる方から、ドイツでは演奏者のことをInterpret(=解釈者、通訳者)と表すと聞きました。ショパンコンクールでも確か演奏者を紹介するのにこの言葉を使っていました。今回コンクールにハマった理由の一つは「演奏」の面白さ...... [続きを読む]

受信: 2010年11月 6日 (土曜日) 11時35分

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