レコードで聴く!フルトヴェングラーのトリスタン第一幕
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』(第一幕)
イゾルデ:キルステン・フラグスタート
トリスタン:ルートヴィッヒ・ズートハウス
ブランゲーネ:ブランシュ・シーボム
マルケ王:ヨーゼフ・グラインドル
クルヴェナール:ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ他
コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:ダグラス・ロビンソン)
フィルハーモニア管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
録音:1952年6月10-21日、23日、ロンドン、キングズウェイ・ホール(モノラル)
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またもやレコードである。不朽不滅の名盤、フルヴェンのトリスタン。何でレコードなの? 変にこだわっちゃってさすがクラヲタね、とか思われるかもしれんが。
何のことはない、単にCDで持ってないだけである。今やブリリアントからでも安価で出ているので買っちゃってもいいんであるが。まあ、他に欲しいものもあるんでな。
このレコードを買ったのはまだ高校生だったか、高校出たばっかりかそのへんだったと思う。当時はオペラの全曲盤は高価なものだったと思うが、お年玉をため込んで買ったか年末年始に細々とアルバイトをして買ったのだろう。私の3番目のトリスタンである。
1.クライバーDG盤
2.バーンスタイン・フィリップス盤
3.フルトヴェングラー盤
これを聴いていた頃(10代末期)はまだお子ちゃまだったので、フルトヴェングラーのワーグナーを聴くのはそれだけで大変「ツウな」クラシック・ファンだと思っていた。そしてフラグスタートを神のように崇めていた。
(今だから告白するが、小中学生の頃はレコ芸などで読んでておぼろげにフラグスタートって歌手は半分か4分の1くらいは神様なのかとおもっとった。純粋に人間だったんだってのを知ったのはもうちょっとあとになってからである。サンタクロースはいないって幼稚園くらいからわかってたのに。ちなみに、ヘンデルは小学生くらいまで女だと思ってた。)
で。
このEMIは・・・一生懸命聴いたものの、そしてフルトヴェングラーは素晴らしいと思いつつも・・・最初はやっぱりズートハウスはとてもテノールの声とは思えなかったし、フラグスタートはすでにすっかりお年を召していて、若い声のほうがいいよな、とか思ってた。フルヴェンの指揮と相まってどんより重い空気が立ち上る不思議なトリスタン。当時はクライバー盤を愛してやまなかったかったから、全然違う曲のようにも思えた。
その後少し経って、フルトヴェングラーのトリスタンのライブの断片をレコードで入手、トンでもない大熱演のズートハウスとフルトヴェングラーを聴くことになる。これはCDでも復刻されたから聴かれた方もいらっしゃると思う。こんな演奏をナマで聴いたら私は失神してしまうかもしんね。ということで、少しズートハウスのことを見直して。
過去記事:フルトヴェングラー/トリスタンとイゾルデ・断片(1947年)
今は。ずーっと色々トリスタンを聴いてきていると、意外と重いトリスタンもいいかな~?などと思ったりもする。重いテノールでもラモン・ヴィナイなんか好きだもんね、今。
で。
すまぬ、今日はこれからワールドカップが始まるもんで第一幕だけを聴く。
CDを持ってないため、CDで音がどのくらい良くなったのかわからん(ずいぶん聴きやすくなったんだろうなあ)。しかし、前奏曲はレコードからでもロンドンの外の車の通る音が聞こえる(気のせい?)。当時は相当優秀録音だったに違いない。
しかし、調子に乗って聴いているとクルヴェナールの「Darf ich die Antwort sagen?(私がお答えしてもかまいませんか)」トリスタンの「Was wohl erwidertest du?(どう答えるのだ)」のあと、ぷっつりと音が途絶える。残念でした!盤面チェンジです!! 今は大体トリスタンは一幕まるまるCD一枚に収まっているような気がするが(フルヴェンはそうでもないのかな?)、もうなんというか・・・昔はこんなのを我慢して聴いていたのだな10代の私は。それにしてもF=Dの声の若さよ。それに続きテキトーな合唱(なんかバラバラじゃねえか?)、そのあとのフラグスタート大先生の素晴らしい歌唱。しなやかで、なんと神々しいのであろう。やっぱりちょびっとは神様なのかもしれない。そして薬を飲んでから魔法にかけられたようなフルヴェンの指揮。なんだか別世界のようである。まあ、もしこれがドイツのオケだったらもっと凄かったのかな・・・と思わんでもないが。
(ヴァルナイもイゾルデをこんなふうにスタジオで録音を残してほしかったな~。年食ってからでも。)
・・・と、まあずっと聴いているうちにわかるが、第一幕だけで3回も盤をチェンジするのである。ああ、みなみイライラする!!途切れないで聴いてみたい。そしてやっぱり埃が溜まれば針は飛ぶ!! やっぱりこのさいブリリアントしちゃう??とか考えてしまったブリリアントな午後であった。がんばれニッポン!・・・ま、まだか。
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コメント
お久しぶりでございます。
この録音は私の最初のトリスタン全曲です(CDですが)
二十歳の学生だったので国内盤一万円は清水の舞台から飛び降りる思いでした(笑)
重苦しい演奏ではありますが私にとってトリスタンは「こういうもの」として刷り込まれております。次に購入したのがDGのベーム盤だったので違いに吃驚!媚薬を飲んでから幕切れまではジェットコースターに乗せられているようでした(笑)もちろんこちらも名演です。
ところで最近マルケ王の気持ちがよく分かる様になってきました(笑)
投稿: 大分のワグネリアン | 2010年6月12日 (土曜日) 08時40分
>>大分のワグネリアン さん
お久しぶりでございます。
一昔前、CDオペラ国内盤対訳つきの値段の高さは驚くべきものがありますね。フルヴェンのは今は国内盤は出てないのかな?
ベーム盤はずいぶん時が経ってから買いましたが、やっぱりあっというまに終わってしまう印象でした。
マルケ王については突っ込まないことにします(笑)。
投稿: naoping | 2010年6月12日 (土曜日) 13時30分
今頃ここへも、こんばんは。
わたしの場合は、初トリはベームのレコードです。
やはり、各幕1枚半です。ということは、半面余りますね。
ところが、ナイスなことに、最終B面に3幕のリハーサル風景がおさめられてたんですよ。
これが面白い。ベームがいやなオヤジと実感できます(笑)
ベームが刷り込みなもんでしたから、フルヴェンを聴いたときは、イライラしましたね(笑)
でもいまは、どんなトリスタンでも大好きですな。
曲が素敵すぎなんですよね。
ところで、飯守先生のトリスタンが2幕だけだけどやりますね。ところが、大阪なんですよ。悩ましいですね〜
投稿: yokochan | 2010年6月17日 (木曜日) 20時33分
>>yokochanさん
やはりベームが最初なのですね、yokochanさんは。
私はクライバーを聴いてそのあとすぐ、フルヴェンだったら「遅!」と嘆いたことでしょう。が、バンスタ盤でワンクッションあったので全然平気でした(笑)。
最近、レコード盤聴くのが好きでバンスタ盤も久しぶりに挑戦してみましたが・・・前奏曲の途中でリタイア。大好きなベーレンスまで行きつかない。そのあと聴いたフルヴェン盤は、すごく快適なテンポでした。
飯守さんですか・・・大阪までは行けないし。なんとか東京シティフィルでやってくれませんかね~。私はおっかけは東京だけでなんで(貧)。
投稿: naoping | 2010年6月17日 (木曜日) 22時47分