マルティヌー:交響曲第1番
マーラー:交響曲第1番「巨人」
大井剛史指揮/ル スコアール管弦楽団
(すみだトリフォニー・ホール)
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ご存じのとおり、このところアマオケさんのコンサートに通っている。団体によって結構色々な特色があって面白いし、何よりあまりお金をかけないで楽しめるのがよい。タダで聴かせてくれるところもあるし。まあ、観客の半数かそれ以上は出演者の知り合いなのかもなあと思う。
本日のコンサート。(入場料千円とあるが、ぶっちゃけ)タダで入れるとは言え、こんなに人が入るのは凄いなあと思う。ほぼ満員である。
ところで(うだうだ考えた)。
私の仲のいい友人のお友達がとある有名アマオケ(ルスコさんではなく)に入っていて、アマオケながら演奏会は有料なのだが、友人経由で指定席券をタダで頂いて2回ほど出かけた。そこで不思議に思ったのが。
連れてってくれた友人が「ここの席はあんまり友達が見えないな。まあ管楽器だから仕方ないか~。弦楽器だったら見えるのにね」などと発言していたことだ。
オケに見える、見えないが関係あるのか? 昔のパユみたいなカッコイイ団員がいて、それが好きで見に行っているのならまだ話はわかるが、(同性の)友人が演奏している雄姿をそんなに見たいのだろうか。(まあ私も、オケ自体を眺めるのは好きなのだが、別の意味で)
今日だって。私は一階席の真ん中よりちょっとうしろの「自分的にはうまいこと聴こえる席」をゲットしたが、私のすぐ前の列に座っていた人々は、他の知り合いの人に
「2階席のほうがよく見えるから移ろう」と言われて、私の前から姿を消した。大体は演奏を聴くのではなく、見に行っているのだ。
私だって、今日は知り合いが2名ほど出演した。でも、見に行っているわけではない。あくまで聴きに行っているのである。
そんなことを長々と書いていてもしかたないので、演奏会について。
本日の指揮者さんは、先日「ザ・シンフォニカ」さんを指揮していた大井さんという方である。お若い方である。こないだはカルウォーヴィチなんか振ったものだがら、かなり印象がよい。それだけではないけど。マーラーの第9番を振ったのだが、なかなか熱血な指揮で見てて面白かった。演奏もなかなか印象に残った。
で、今日のプログラムはマルティヌーの1番とマーラーの1番である。マルティヌーは実はあんまり得意な作曲家ではない、私。
過去記事:マルチヌー/交響曲第3番&6番
オペラも2曲ほど手に入れたが、全く理解できなかった。
だもんで、今日は「まあ大好きな巨人だけ聴くつもりで行こう」と出かけたんだわな。しかし。
結構面白かった、マル。
このところ、ポーランド音楽のわけのわからない曲をたくさん聴いているので、そのへんから耳が寛容になったり慣れたりしたのかもしれない(国は違うが)。それと。
かなりディープな話になるが、私は以前にマルティヌーの生徒で親密な関係だったカプラローヴァという女流作曲家に凝ってたことがある。まあCD一枚しか持ってないんだがなかなか好きであった。結局25でこの女性は亡くなってしまうんだが、そのへんのマルティヌーとの関係がすごく興味があった。
作風もやっぱり彼女は師匠の影響をずいぶん受けていたのだな、と思った、初めて聴いたんだけれど1番。
私の(CD2枚買っただけだが)マルティヌーの曲の印象は・・・顕微鏡をのぞいて小さい虫みたいのがうじうじうごめいていたり、またはなんだか渦巻きがくるくる回っているような・・・頭の中はそんな感じ。ヘン?
今日もまあ同じ印象だったが、ナマで聴いたせいもあって色々な発見があった。この曲はピアノがオケに入っていたりして色彩的にとても面白い曲だな、と思った。キライじゃないぜ。
で、メインのマーラー。マルティヌーと違って、こっちは初めて聴くのではない。普通に全部知ってる。よおおく知ってる。
マルティヌーは演奏するのはとっても難しいんだろうなと思った。あんまり馴染みないし。でも、マーラーを聴いてたら「やっぱりマーラーのほうが難しいのかも」とか思った。
マーラーは・・・巨人はとくに冒頭は「音楽を奏でる」というよりは、何か「空気を表してる」みたいな感じがする。
たとえば(突然だが)、ブルックナーとかブラームスとかのドイツ・オーストリア系音楽は、絵でいうと「下地をたっぷり塗ったキャンバスに色々な色を何回も塗り重ねてる」みたいな感じの音楽だと思う。最初から最後まで。
マーラーは、それに対し薄い色の絵の具を重ねて塗ったり。または鳥の写真を貼ったり軍隊の写真を貼ったり、色々な材質のものをコラージュしたりとかその上にまた色を重ねたり。絵というよりはその空気感を表したい・・・みたいな。そんな(当時としては斬新な)今までにない色んな手法が取られているような気がする。初演を聴いた当時の人はさぞびっくりしたんじゃないかと思う。
ぶっちゃけ何が言いたいのかというと・・・一つ一つの楽器の音の風通しがとてもよい曲である。
ということは、楽器一人ひとりの音がよく聴こえてしまう。だから奏者は油断ができない。うう、とても大変な曲だったのである。(・・・ということをこの楽団さんの演奏会に来るたびに思ってしまう。前のアルペンのときも。)
何を書いているのかよくわからん・・・。が、やはり好きな曲なのでとても楽しめた。指揮者もこないだに続きとっても頑張ってた。っていうか指揮姿を見ながらたまに「くすっ」とか笑ってしまったりした(すいません)。頑張って指揮していて気分がいい。私は結構好きだな、この指揮者。
オケは文句なく爆音を響かせてキモチイイ。マーラーはこのくらいやってくれないとね。
最後はブラヴォーが出て、大拍手。アンコールはなし。
終わったあと、速攻トイレに。向う途中で、腰の曲がった白髪頭のお婆ちゃんが二人。リュックしょって近所のお散歩がてらみたいな服装。嬉しそうにお話をしていた。
「いい曲だったねえ」「そうねえ」
おおお。
1889年にブダペストで初演されて121年。今やヨオロッパから遠く離れた東洋の島国のお婆ちゃんたちにもマーラーは受け入れられた!! よかったなマーラー!! 「いつか私の時代が来る」という作曲者の予言はこうして当たったのである。
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おお、今日のN響アワーは千人か!!