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2010年5月16日 (日曜日)

ロトチェンコとステパーノワ展

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白金の庭園美術館は久しぶり。このところあんまり惹かれる展覧会がなかったせいか。

都会の隠れたオアシス。とても身近で学生時代から100回以上は訪ねているが、南北線の駅ができたとたんずいぶん人でにぎわうようになってしまった。嬉しいような悲しいような。

日曜日。午後は混むだろうと思って午前10時過ぎに訪ねた。ところがぎっちょん、この典雅な建物の前になんとはとバスが止まっている。私は目を疑った。そして私よりちょっと上の年齢のおねいさま方がぞろぞろと入館されたのである。私はその中にまざって入館。

P1110391 なんということだ。混んでしまった。

今日の出し物はロシア・アバンギャルドの旗手、ロトチェンコ夫妻。なんだか気の毒な気が。だって・・・こういうのより普通の絵画でしょう、この年代の方が見たいのは。

ということで案の定、彼女らの興味はこの建物自体、「あさかの宮邸」へ。まあそれが当然である。「これは何の部屋?」とか係の人に訊きまくってる。そういえばここが何の部屋か~とか考えたこともなかった。

さて。

Photo09_3 今回は絶対にはずせなかった。あたしの大好物のロシア・アバンギャルド。マレーヴィチ、タトリン、文学ではマヤコフスキー、音楽ではモソロフなどとともにあたしのアイドル、ロトチェンコの登場ときたら絶対行く。

実はこの展覧会、「飛行機の柄の服を着て行ったら100円引きです」ってチラシに書いてあったんだが、いくら探してもない。だめだ。色んな柄のブラウス持ってるんだけど、ランプシェードとか。だめか?

えーと。

右の絵は何度か図版で見たことのある「これより良いおしゃぶりはない」ってポスター。なんだか赤ちゃんが銃弾を何本もくわえさせられて目を白黒させている絵にしか見えないが、おしゃぶりの広告。

建物の一階の展示はまあ、キュビズムのデッサンなんかであんましおもろくないが、二階はもう、こんな色合いのポスターやデザインばっかり。かわいすぎるから。大好きロシア・アバンギャルド。色彩は全部こんな感じで、ロシア語の(わけわかんない)タイポグラフィーがもうかっこよすぎる。うう。ここに住みたいと思うくらいだ。

奥様のステパーノワ様は主にコスチュームとかテキスタイルデザインとかされてたようで、ここらへんははとバスのおねえさま方にも好評。「あら、かわいいわね。なんかこの幾何学模様が懐かしいわね。」とかそんな感じ。

今回は絶対に図版カタログ買おうと思ってたのでゲット。このカタログ。カバーがついててそれもとっても可愛い。表は上の「おしゃぶり」の絵で、裏は奥様のテキスタイルデザイン。なんか凝ってるわ。中身も眺めているだけで楽しい。うふふ。

ロシア・アバンギャルドに慣れ親しんでると、必ず出てくる詩人ウラディーミル・マヤコフスキー。政治的に絶望してピストル自殺なんかしてるけど、そんな激しい彼の(なかなかかわいらしいセンスの)側面にみたいなところを垣間見るのが好き(文学はよくわからんので)。マヤコフスキーは絵本なんかも作ってるけど、ポスターのコピーライターの仕事もしてる。展示の「お茶受けクッキー」のパッケージのコピーがかわゆくて萌えた。

招いていようとなかろうと
頼んでいようとなかろうと
お客はあなたの家へ
必ずやってきます

早くごちそうしなくっちゃ
でも家には何もない
パンはひからび
バターはネコがなめちゃった

どうしようーーー
状況は絶望的だ
さあ急げ
「お茶受けクッキー」を買いに行け



ちょっと「前田のクラッカー」の袋のコピーを思い出すが(大きなエプロン僕がして さあさあお仕度出来ました スープに牛乳 それからね それそれなーに それなーに ラララ前田の 前田のランチ クラッカー クラッカー)、「買いに行け」っていう命令形なのがマヤコフスキー・クォリティ。

P1110398 まあ、展示はそんなにたくさんではないけれど、色々楽しめた。グッズ販売もまあまあ多くて買うのを迷ったが、いつものようにTシャツを購入。飛行機の絵がカワイイ。次回行く時は100円引きか?

公式サイト:ロトチェンコとステパーノワ展

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で。

次回の展示がまた、私の心をくすぐる。バロック音楽をお好きな方なら「ああああ~」と思う、有元利夫さん展。画学生の頃、有元さんの絵が好きな生徒が多くてよく展覧会にも行った。とっても懐かしい。彼の絵を見ていると、チェンバロやリコーダーの音が聞こえてくるような気がする。DENONのバロックのシリーズのジャケット絵でおなじみだね。

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コメント

 ロシア・アバンギャルト展、行こ。食わず嫌いだったようである。おしゃぶり広告の絵が素敵だ。銃弾というよりすべて虫歯とみえたが。
 ロシアってぇとどうも赤い旗もって前進前進、また前進、なんて昔のスパイダースの映画みたいで、二の足を踏んでいたのだが……。行ってみよう。
 レンピッカだって線がきついと思っていたが、実物を見てみればよかったし。
 有元利夫、ジャケ買いをしたっけ。
 

投稿: 面久院滅多坊 | 2010年5月16日 (日曜日) 20時21分

>>面久院滅多坊さん
ロシア・アバンギャルド楽しいですよ。絵本でも広告でも無理やりアバンギャルド芸術にしちゃうところが面白いです。
このおしゃぶりのポスターのコピーがまた凄いです。
「これよりよいおしゃぶりはなかったし、今もない 年をとるまで吸いたくなる あちこちで発売中」
詩人マヤコフスキー最高です。

有元さんのジャケットのCD、結構安くなっているのでなにか一枚欲しくなりました。

投稿: naoping | 2010年5月16日 (日曜日) 21時14分

こんにちは。
ロシアン・アヴァンギャルドいいですねえ。
美術じゃないけど、ダニイル・ハルムスという詩人が好きです。

有元さんのジャケットのCDで私が一番好きなのは、
寺神戸亮による「コレルリ/ヴァイオリン・ソナタ集」です。
時点が同じ演奏者の「ビーバー/ヴァイオリン・ソナタ集」かな。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2010年5月16日 (日曜日) 23時39分

いつもお世話になっております。このエントリとは全然関係ないのですが、お許し下さい。

しばらくの間、左側の列のCD紹介?の欄にプライ&ヴンダーリヒ、サヴァリッシュの「ドン・ジョヴァンニ」が出ていたじゃないですか。あれ~こんなのあるんだぁ、と思ってHMVサイトに行ったけれど涙の入手困難で。

が、それを今日吉祥寺のdisk unionで発見しまして、嬉しくて嬉しくて。

ご報告せねば、と思った次第でありました。

であであ。

投稿: ガーター亭亭主 | 2010年5月17日 (月曜日) 02時14分

>>木曽さん
おお、ハルムスですか。私はかなり前「ハルムスの幻想」ってユーゴスラビア(!)映画を見たことがあります。芸術的というかシュールというか、よくわかりませんが・・・面白かったです。

DENONのこのシリーズでは、(ジャケ絵もアレですが)最近気になるルクレールのヴァイオリンソナタ集が欲しいです。でもコレッリもいいな。でもどれもよさそうなので迷う所です。
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>>ガーター亭亭主さん
そうですか! あのジャケットが素敵なので(まあ、そんなもんなんですけど)ブログに貼ってみたら、あらあら「入手困難」って。何と言うことでしょう。でも手に入れられたようでよかったですね。自分のことのように嬉しいです。それにしても素晴らしいメンバーですよね、コレ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3790106

投稿: naoping | 2010年5月17日 (月曜日) 21時29分

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